電験三種とは?試験の中身・できる仕事・合格までの道のり

電験三種とは何か、試験の中身・できる仕事・合格までの道のりを紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

求人票や職場で「電験三種」という言葉を見かけて、どんな資格なのか気になっている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種は電圧5万V未満の事業用電気工作物の保安を監督できる国家資格です。ビルや工場、コンビニなど、身近な建物の電気設備の多くがこの範囲に入ります。

この記事を読むと、電験三種の試験の中身、合格までの仕組み、取ったあとの仕事、そして今日から何を始めればいいかが分かります。

目次

電験三種とは?5万V未満の電気設備の保安を監督する国家資格

先に結論

電験三種の正式な名前は「第三種電気主任技術者試験」です。合格して免状を受けると、電圧5万V未満の事業用電気工作物で電気主任技術者として保安の監督ができます。

『電験三種とは、そもそも何をする人の資格なの?』という疑問から始めましょう。

電気事業法では、ビルや工場のように高い電圧で電気を受ける設備の持ち主に、電気主任技術者を選任するよう決めています。設備の工事・維持・運用が安全に行われているかを監督してもらうためです。

その電気主任技術者になるための免状を得る試験が、電験です。電験には一種・二種・三種があり、三種はいちばん受験者が多い入り口の試験なんです。

監督できる範囲を建物の例で見る

三種で監督できるのは、電圧5万V未満の事業用電気工作物です。ただし、出力5千kW以上の発電所などは除かれます。

種類監督できる範囲例になる建物・設備
第三種(電験三種)電圧5万V未満(出力5千kW以上の発電所などを除く)ビル、工場、コンビニ、5千kW未満の発電所
第二種(電験二種)電圧17万V未満大規模な工場、大型の商業施設、5千kW以上の発電所
第一種(電験一種)すべての事業用電気工作物電力会社の発電所・変電所・送電線

例えば、街のオフィスビルの屋上にある受変電設備(キュービクル)は、多くが三種の範囲に入ります。身近な現場が多いので、まず三種から目指す人が多いんですね。

電験の全体像は電験とは?で、一種・二種との違いは電験の1種・2種・3種の違いで紹介しています。

いろいろな呼び方があるけれど同じ資格

電験三種は、書く人によって表記がばらばらです。電験3種、3種電験、電験Ⅲ種と書かれることもありますし、会話では「電験3」「電験三」と縮めることもあります。

どれも第三種電気主任技術者のことです。求人票で「電験電験三種」のように言葉が重なって見えても、同じ資格を指していると考えて大丈夫です。

免状に有効期限はない

電験三種の免状には、有効期限も更新の制度もありません。一度取れば、原則としてずっと使えます。

電験三種の試験はどんな中身?4科目と時間割

理論・電力・機械・法規の4科目を、五肢択一で解く

試験は4科目で、どれも5つの選択肢から1つを選ぶ形です。受験資格の制限はなく、誰でも受けられます。

『どんな科目があって、何時間くらい試験を受けるの?』と気になりますよね。

令和8年度(2026年度)上期の受験案内をもとに、4科目の中身を並べました。

科目主な出題範囲解答する問題試験時間
理論電気理論、電子理論、電気計測・電子計測A問題14題・B問題3題(選択を含む)90分
電力発電所・蓄電所・変電所、送電・配電、電気材料A問題14題・B問題3題90分
機械電気機器、パワーエレクトロニクス、照明、電熱、自動制御、情報処理などA問題14題・B問題3題(選択を含む)90分
法規電気法規(保安に関するもの)、電気施設管理A問題10題・B問題3題65分

A問題は1問に答えが1つ、B問題は1問の中に小問が2つある形です。法規には「電気設備の技術基準の解釈」も含まれます。

機械の情報処理の問題では、プログラムがBASICとC言語の両方で書かれていて、どちらか読める方で答えられます。

電験三種の理論・電力・機械・法規の4科目で、それぞれ何を学ぶかをカードで並べた図解

科目ごとに求められる力が少しずつ違う

4科目は同じ電気の試験でも、手ごたえがかなり違います。ざっくり分けると、次のような違いがあります。

科目主に使う力勉強の始め方の例
理論公式を使って計算する力直流回路の計算から順に積み上げる
電力設備のしくみを理解して覚える力発電所から家庭までの電気の流れを図で追う
機械機器の原理と計算の両方変圧器と誘導機のしくみから入る
法規法令の決まりを覚える力と少しの計算電気事業法と技術基準の全体の形をつかむ

理論は他の3科目の土台になるので、最初に手をつける人が多い科目です。分野ごとの順番は電験三種の理論で紹介しています。

受け方はCBT方式か筆記方式を選ぶ

三種は令和4年度から年2回(上期・下期)になり、令和5年度からはパソコンで解くCBT方式が始まりました。令和8年度からは、申込みの時にCBT方式か筆記方式のどちらかを選びます。

筆記方式は1日で4科目を受けます。令和8年度上期は8月30日で、理論が9時15分に始まり、法規が17時30分に終わる時間割でした。

CBT方式は、決められた期間の中で自分で会場と日時を予約します。会場は全国47都道府県にあり、空きがあればどこでも予約できます。

『CBTと筆記、どちらがいいの?』と迷う方もいますよね。違いを表にしておきます。

比べる点CBT方式筆記方式
受ける日期間の中から自分で予約決められた1日
解答の方法パソコンで選ぶマークシート
結果試験の終わりに得点が表示される合格発表を待つ
問題の公開非公開試験の当日に問題と解答を公表

仕事の都合で土日に受けにくい人はCBT方式、1日でまとめて受けたい人は筆記方式、という選び方ができます。

よくある失敗

CBT方式を選んだのに、会場の予約を忘れてしまうことです。予約が済んでいないと受験できず、受験手数料も戻りません。申込みと予約は別の手続きだと覚えておきましょう。

受験手数料と電卓

令和8年度の受験手数料は、インターネット申込みで7,700円、書面申込みで8,100円です。受ける科目の数にかかわらず同じ額です。

電卓は、四則演算と√の計算ができるものを持ち込めます。関数電卓やスマートフォンは使えません。√が要る問題があるので、√付きの電卓を選んでおくと安心です。

試験の申込みの流れは電験三種の試験の仕組みでくわしく紹介しています。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

合格基準と科目合格、合格率の推移

4科目それぞれで60点が目安。受かった科目は残せる

合格基準は各科目とも原則60点(100点満点)です。一部の科目だけ受かった場合は「科目合格」になり、申請すると次の回から免除されます。

『4科目を1回で全部そろえないといけないの?』と不安に思う方もいるはずです。

実は、そうではありません。三種は科目ごとに合否が決まるので、受かった科目を残しながら次の回に進めるんです。

科目合格は最大で連続5回まで免除

科目合格をすると、申請により最大で連続5回まで、その科目が免除されます。年2回の試験なので、期間にすると約2年半です。

例えば令和8年度上期で理論に受かった場合、令和10年度下期まで理論の免除を申請できます。

免除は自動ではない

科目の免除は、次の回に申し込む時に自分で申請する必要があります。申請を忘れると、受かった科目もまた受けることになります。

合格基準は、難しさに応じて調整されることもあります。例えば令和7年度上期の筆記方式では、機械だけ55点以上でした。科目合格の作戦の立て方は電験三種の科目合格制度で紹介しています。

合格率の推移を表で見る

電気技術者試験センターの「試験結果と推移」から、年2回になってからの数字を並べました。令和6年度上期より前の合格率は、受験者数と合格者数から計算した値です。

回受験者合格者科目合格者合格率
令和4年度上期33,7862,7939,9308.3%
令和4年度下期28,7854,5148,26915.7%
令和5年度上期28,1684,6839,25216.6%
令和5年度下期24,5675,2118,76121.2%
令和6年度上期25,4164,0647,89816.0%
令和6年度下期24,5474,1177,63516.8%
令和7年度上期24,7663,2016,85912.9%
令和7年度下期24,1763,1646,68013.1%

1回の合格率は1〜2割ほどです。ただ、毎回それより多い人数が科目合格をしています。

つまり、1回で受かる人だけでなく、何回かに分けて受かる人がたくさんいる試験なんです。令和8年度上期の人数などは、この記事を書いた時点(2026年10月)ではまだ公表されていません。

数字の見方は電験三種の合格率と合格者数の推移でくわしく紹介しています。最新は電気技術者試験センターの試験結果のページで確かめましょう。

電験三種でできる仕事と、取ったあとの道

免状を受けて選任されると、電気主任技術者として働ける

試験に受かったあと、免状の交付を受け、事業場で選任されることで電気主任技術者として保安の監督を任されます。

『資格を取ったら、すぐに現場を任されるの?』と気になる方もいますよね。

試験に合格したら、試験結果通知書に同封される申請書で免状の交付を申請します。令和8年度の受験案内では、交付手数料は2,350円で、申請から交付まで約2か月です。

電験三種の免状が生きる場面

電気主任技術者は、月ごとの点検や、年1回停電して行う点検、事故の時の対応などを通して設備の安全を守ります。

働き方どんな形か
事業場に選任されるビルや工場の設置者に選ばれ、その設備の保安を担当する
外部委託を受ける側で働く電気保安法人などで、委託された設備の点検を担当する
設備管理の仕事で活かすビルメンテナンスや工場の電気保全で、受変電設備に関わる

点検の中身を具体的に見ると、関東電気保安協会は、使っている設備を原則毎月1回点検する月次点検と、原則毎年1回以上、停電して測定や動作試験をする年次点検を挙げています。

電験三種の電気主任技術者が保安を監督する設備の例として、ビルの屋上にある受変電設備を点検する場面の写真

経済産業省の資料では、令和5年1月末時点の選任の形は外部委託が91%でした。外部委託を個人や法人で受けるには、免状に加えて実務経験も要ります。

仕事の中身は電験三種でできる仕事で、場面ごとに紹介しています。

電気保安の人材は国も注目している

経済産業省の資料では、令和5年度以降、三種の免状を取る人がそれまでの2倍以上に増えたとされています。年2回化やCBT方式で受けやすくなったことが理由の1つと見られています。

一方で、太陽電池発電設備などの増加で、保安の担い手を育てることが課題として挙げられています。電験三種は、これからも必要とされる場面が多い資格だと言えそうです。

三種から先の道

三種の免状を持って、電圧1万V以上の設備で5年以上の保安監督の実務経験を積むと、二種の資格を得る道があります。もちろん、試験で二種を受けることもできます。

また、三種の免状と5年以上の実務経験で、第一種電気工事士の資格の認定を受ける道もあります。

電験三種に合格してから免状の交付、選任、実務経験を積んで二種や第一種電気工事士へ進む道を上から順に並べた図解

電験三種が向いている人と、最初の1か月にやること

向き不向きより「続けられる形」を先に決める

電験三種は範囲が広い試験です。電気の知識よりも、毎週少しずつ勉強を続けられるかどうかが大事になります。

『自分に電験三種は向いているのかな』と迷う方も多いはずです。

学歴や文系・理系で決まるものではありません。次のチェックで、当てはまるものを数えてみてください。

電験三種が向いている人のチェック
  • ビルや工場の設備の仕事をしている、または目指している
  • 中学・高校の数学を少しずつやり直すことに抵抗がない
  • 平日に少しでも勉強の時間を作れる
  • 1回で受からなくても、科目合格で積み上げる気持ちがある
  • 電気がどう届いているかに興味がある

3つ以上当てはまるなら、今から始めても十分に間に合います。当てはまる数が少なくても、勉強の時間をどう作るかを決めれば進められます。

最初の1か月の進め方

いきなり参考書を最初から読み込むより、まず全体を見渡すのがおすすめです。例えば、仕事のあと平日に1時間、土日に3時間とれるビルメンテナンス2年目の人なら、こんな進め方ができます。

電験三種の最初の1か月
  1. 試験センターのホームページで、筆記方式の過去の問題を1科目分ながめる
  2. 受ける回と、最初に受ける科目を決める
  3. 分数や式の変形、三角関数など、数学の基礎を2週間ほどで見直す
  4. 理論の直流回路から教科書を読み始める
  5. 1週間ごとに、進んだページ数を手帳に書く

過去の問題は筆記方式のものが試験センターで公開されていて、解答も載っています。ただし解説は付いていないので、解説は参考書などで補いましょう。

勉強の全体の進め方は電験三種に合格するにはで紹介しています。独学か講座かで迷う方は、講座の比べ方も見てみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

1か月目でつまずきやすいところ

多いのは、理論の計算で手が止まってしまうことです。

『式の変形がどうしても分からない』という時は、教科書の例題を1問だけ選んで、途中の式を全部ノートに書き写してみてください。どこで分からなくなるのかが見えると、戻るべき数学の単元が分かります。

電験三種でよくある相談

多いのは「呼び方」「認定の扱い」「仕事とのつながり」

知恵袋などでは、資格の名前のこと、試験以外の取り方のこと、今の仕事に活かせるかの相談がよく見られます。

ここでは、よく見かける相談を3つ選んで答えていきます。

電気主任技術者三種と電験三種は同じもの?

「電気主任技術者三種と電験三種は同じですか」という相談がありました。

結論から言うと、同じ資格を指しています。電験は試験の呼び方で、合格して免状を受けると第三種電気主任技術者になります。

正式な書類や履歴書では「第三種電気主任技術者免状」と書くのが一般的です。資格と試験の関係は電気主任技術者と電験の関係で紹介しています。

認定で取った人は「電験三種合格」と言えないの?

学校の単位と実務経験の認定で免状を得た人は、試験合格とどう違うのか、という相談です。

認定で得ても試験で得ても、交付されるのは同じ第三種電気主任技術者の免状です。違うのは取り方と申請先で、認定の場合は各地域の産業保安監督部などに申請します。

履歴書には免状の名前で書けば十分です。『試験で受かっていないと格好がつかない』と気にする必要はありません。

工場の電気保全をしていて工事士は持っている。次は電験三種?

工業高校を出て製造業で電気保全をしていて、電気工事士を持っている方から「次は何を目指すか」という相談もありました。

工場の受変電設備に毎日触れているなら、電験三種は仕事とつながりやすい資格です。電力や法規で学ぶ内容が、現場で見ている設備とそのまま重なります。

例えば、上司とこんな会話になることもあるかもしれません。

「次の点検、立ち会ってみる?」
「はい。電験三種の勉強でちょうど保護継電器のところをやっているので、見てみたいです」

よくある質問

電験三種とは何ですか?

正式には第三種電気主任技術者試験のことです。合格して免状を受けると、電圧5万V未満の事業用電気工作物で保安の監督ができます。

電験三種に受験資格はありますか?

ありません。年齢・学歴・実務経験の条件はなく、文系の方や学生でも受けられます。

電験三種は年に何回ありますか?

令和4年度から年2回(上期・下期)です。令和8年度からは、申込みの時にCBT方式か筆記方式かを選びます。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

1回で4科目に受からないといけませんか?

いいえ。受かった科目は科目合格となり、申請すれば最大で連続5回まで免除されます。何回かに分けて4科目をそろえる人も多い試験です。

電験三種の免状に更新はありますか?

有効期限や更新の制度はありません。一度交付を受ければ、原則としてずっと使えます。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種は、電圧5万V未満の事業用電気工作物の保安を監督できる国家資格
  • 試験は理論・電力・機械・法規の4科目で、五肢択一
  • 合格基準は各科目原則60点で、科目合格は最大連続5回まで免除を申請できる
  • 合格率は1回あたり1〜2割だが、科目合格を積み上げて受かる人も多い
  • 合格後は免状を申請し、選任や外部委託の仕事で活かせる

まずは過去の問題を1科目分ながめて、受ける回と最初の科目を決めるところから始めてみてください。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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