電気主任技術者と電験の関係|資格・免状・選任の違い

電気主任技術者と電験の関係を、資格・免状・選任の違いで解説する記事のアイキャッチ

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「電気主任技術者」と「電験」、同じ意味で使われていて、どこが違うのか分かりにくいですよね。

結論から言うと、電験は電気主任技術者になるための試験の呼び名です。試験に受かると免状がもらえ、事業場で選任されて初めて、その事業場の電気主任技術者として仕事をします。

この記事を読むと、電気主任技術者と電験の関係を「試験」「免状」「選任」の3段階に分けて理解でき、免状を取ってから現場を任されるまでの流れが分かります。

目次

電気主任技術者と電験は同じもの?まず結論から

先に結論

電験は「電気主任技術者試験」の略として使われている呼び名です。電気主任技術者は、その試験に合格するなどして免状を持ち、事業場で保安の監督を任される人のことです。

『電験三種を取ったら、もう電気主任技術者なんでしょ?』と思っている方も多いはずです。

実は、言葉の使われ方には少し幅があります。日常会話では「電験三種を持っている人」も「第三種電気主任技術者」と呼ばれることが多いんです。

ただ、法律の上では、免状を持っていることと、事業場の主任技術者に選任されていることは別の話になります。ここを分けておくと、求人や会社の話がぐっと読みやすくなりますよ。

言葉何を指す?ひとことで言うと
電験電気主任技術者試験(第一種・第二種・第三種)受ける試験の名前
電気主任技術者免状試験の合格や認定で経済産業大臣から交付される資格を持っている証明
選任された電気主任技術者事業場の設置者が選び、国に届け出た人その事業場の担当者

例えば、電験三種に合格して免状を受け取ったビルメンテナンス会社の社員がいたとします。その人は「第三種の免状を持つ人」です。

会社がある事業場の主任技術者としてその人を選んで届け出ると、そこで初めて「その事業場の電験三種の主任技術者」になります。

電験全体の種類や流れは電験とは?電気主任技術者試験の種類と流れで紹介しています。

「電験三種」と「第三種電気主任技術者」は呼び方の違い

電験三種、電験3種、第三種電気主任技術者試験は、どれも同じ試験を指しています。正式な名前は「第三種電気主任技術者試験」です。

「電験3級」と呼ぶ人もいますが、正式な呼び方ではありません。電験は「級」ではなく「種」で数えます。

試験・免状・選任の3段階で見る電験と電気主任技術者

3つの段階は、決める人も根拠も違う

試験は電気技術者試験センター、免状は経済産業大臣、選任は事業場の設置者が担います。どの段階の話をしているかを意識すると迷いません。

『資格を取る話と、仕事で任される話がごちゃごちゃになる』という方もいますよね。

そこで、電験から電気主任技術者として働くまでを3つの段階に分けて表にしました。この記事の一番の要点です。

段階誰が関わる?中身手元に残るもの
試験(電験)電気技術者試験センター(経済産業大臣の指定)理論・電力・機械・法規の4科目に合格する試験結果通知書
免状経済産業大臣(申請の受付は試験センターなど)合格者や認定を受けた人が申請して交付される電気主任技術者免状
選任事業用電気工作物の設置者免状を持つ人から主任技術者を選び、国に届け出る選任の届出(事業場ごと)
電験の試験、免状の交付、事業場での選任という3つの段階を、関わる人と手元に残るものとともに上から順に並べた図解

今の自分はどの段階?早見表

3段階のどこにいるかで、次にやることが変わります。自分に近い行を探してみてください。

今の状態いる段階次にやること
これから勉強を始める試験の前4科目の範囲と試験の形を知る
一部の科目に合格している試験の途中免除を申請して残りの科目を受ける
4科目に合格したばかり免状の前免状交付申請書を出す
免状はあるが選任されていない免状あり選任のある職場で経験を積む
事業場の主任技術者として届け出られている選任済み保安規程にそって点検と監督をする

例えば職場でこんな会話になることがあります。

「電験三種、受かったんだって?じゃあ来月から主任技術者だね」
「いえ、まだ免状の申請中なんです。届いてから会社が選任の届出をする流れです」

合格、免状、選任の順番が分かっていると、こうした場面でも落ち着いて説明できますね。

試験:電験に合格する

第三種の試験は、電気事業法に基づく国家試験です。経済産業大臣の指定を受けた電気技術者試験センターが実施しています。

受験資格の制限はありません。学歴や実務経験がなくても受けられます。試験の科目や形式は電験三種とは?試験の中身とできる仕事で紹介しています。

免状:資格を持っている証明

試験に合格しただけでは、まだ免状は手元にありません。合格者は、試験結果通知書に同封される免状交付申請書を試験センターに出して申請します。

免状に有効期限はなく、更新の手続きもありません。一度交付されれば、原則としてずっと使えます。

選任:事業場の担当になる

電気事業法第43条では、事業用電気工作物の設置者は、免状を持つ人の中から主任技術者を選任しなければならないとされています。

選任したり解任したりした時は、設置者が国に届け出ます。つまり「誰をその事業場の主任技術者にするか」を決めるのは、本人ではなく設置者なんです。

条文はe-Gov法令検索の電気事業法で読めます。

電気主任技術者は何をする人?選任が必要な理由

自主保安を支える役

国の技術基準を守るために、設置者は保安規程を定め、電気主任技術者を置きます。主任技術者は工事・維持・運用の保安を監督する役です。

『そもそも、なぜ事業場ごとに主任技術者を置かないといけないの?』と疑問に思いますよね。

事業用電気工作物は、設置者が自分で安全を守る「自主保安」が基本です。その柱が、保安規程と電気主任技術者の2つになっています。

設置者は保安規程を定めて、使い始める前に国へ届け出ます(電気事業法第42条)。設置者と働く人は、その保安規程を守らなければなりません。

主任技術者はその保安規程にそって点検の計画を立て、現場に指示を出す立場です。いわば、事業場の電気の安全を見守る責任者なんです。

電気事業法では、主任技術者は保安の監督の職務を誠実に行わなければならないとされています。工事や運転に関わる人は、主任技術者の保安のための指示に従います。

選任が必要な事業場の例

試験センターの説明では、自家用電気工作物は工場やビルのように高圧以上で受電している事業場などの電気工作物です。

関東電気保安協会の説明では、6kVの高圧や特別高圧で受電する工場、事務所ビル、学校、病院、ホテルなどが当てはまるとされています。

一方、一般の住宅や小さなお店のように低圧で受電する施設は一般用電気工作物です。保安規程の届出も主任技術者の選任も要りません。

主任技術者のふだんの仕事

関東電気保安協会は、保安管理の仕事として次のようなものを挙げています。

  • 月次点検:原則として毎月1回、使っている電気設備を点検・測定する
  • 年次点検:原則として毎年1回以上、停電して点検・測定・動作試験をする
  • 臨時点検:異常が起きた時の原因調査や、台風・降雪の前後の確認
  • 事故や災害の時の応急処置
  • 新しい設備を入れる時の助言や、国に出す書類の作成

例えば、オフィスビルの受変電設備(キュービクル)を毎月見回って電圧や電流を測り、年に1回は停電して設備をまとめて確かめる、というイメージです。仕事の中身は電験三種でできる仕事でくわしく紹介しています。

電気工事士とは何が違う?

よく比べられるのが電気工事士です。電気工事士は電気工事士法に基づく資格で、電気工事の「作業」をします。

電気主任技術者は、工事が正しく行われているかを含めて「保安の監督」をする立場です。試験センターのよくある質問でも、電気工事士は工事・施工、電気主任技術者は保守・管理が主な業務と説明されています。

「現場で配線をつなぐのは電気工事士さん、その工事を確かめるのが主任技術者さん」
「なるほど、手を動かす人と、安全を見る人で分かれているんですね」

こんなふうに覚えておくと分かりやすいですよ。くわしくは電験三種と電気工事士の違いで比べています。

種類ごとに監督できる範囲

『電験三種の電気主任技術者は、どこまで担当できるの?』というのは、多くの方が気になるところですよね。

範囲は電圧で決まっています。どの種の免状を持つ人を選任できるかは、事業場の設備しだいです。

免状の種類監督できる範囲職場の例
第三種電圧5万V未満(出力5千kW以上の発電所などを除く)ビル、工場、コンビニ、5千kW未満の発電所
第二種電圧17万V未満大規模な工場、大型の商業施設、5千kW以上の発電所
第一種すべての事業用電気工作物電力会社の発電所・変電所・送電線

ダムやボイラ、タービンなど、電気的な設備でない部分は電気主任技術者の監督の対象外です。そこは別の主任技術者が受け持ちます。

試験センターの電気主任技術者についての案内にも、種類ごとの範囲が載っています。

上の種へは試験か実務経験で進める

第三種の免状を持つ人が、電圧1万V以上の設備で5年以上の保安監督の実務経験を積むと、第二種の資格を得られる道があります。第二種から第一種も同じような仕組みです。

学歴と実務経験で免状を得る道は電験の認定取得とは?で紹介しています。

外部委託・兼任など選任の形の内訳

実は約9割が外部委託

経済産業省の資料では、選任の形のうち外部委託が91%を占めています。事業場ごとに社員を置くのは、全体から見ると少数です。

『主任技術者って、ビルに1人ずつ常駐しているイメージだった』という方も多いのではないでしょうか。

ここが、この記事でお伝えしたい観点です。選任には、いくつかの形があるんです。

選任の形どんな形?割合(令和5年1月末時点)
外部委託電気保安法人や電気管理技術者と委託契約を結び、国の承認を受けて選任を免除される91%
選任設置者が免状を持つ人を主任技術者として選ぶ4%
統括複数の事業場を直接まとめる事業場で選任する2%
兼任承認を受けて、1人が2つ以上の事業場を兼ねる2%
許可選任国の許可を受けて、免状のない人を選任する1%

割合は、経済産業省の第14回電気保安制度ワーキンググループ資料(令和5年10月)に載っている数字です。

電気主任技術者の選任の形を、外部委託・選任・統括・兼任・許可選任の5つのカードで並べ、外部委託が大半を占めることを示した図解

外部委託を受ける側に要るもの

外部委託を受けるには、免状に加えて実務経験が要ります。経済産業省の資料では、第一種は3年以上、第二種は4年以上、第三種は5年以上とされています(講習の受講などで短くなる場合があります)。

受託側の内訳(令和4年3月末時点)は、電気保安協会47%、電気管理技術者協会23%、協会以外の電気管理技術者18%、保安協会以外の保安法人12%です。

外部委託はいつからある?

外部委託の仕組みは1965年に、300kW未満の需要設備を対象に始まりました。1971年には500kW未満へ広がっています。

2004年には、一定の条件を満たした人が外部委託を受けられるよう自由化されました。2025年4月からは、スマート保安の技術を使う場合に点検の頻度を3か月に1回へ延ばせるようになっています。

兼任と許可選任

1人の主任技術者に2つ以上の事業場を兼ねさせることは、原則できません。保安上の支障がないと認められて承認を受けた場合だけ認められます。

許可選任は、自家用電気工作物の設置者が国の許可を受けて、免状のない人を選任する仕組みです。電気事業法第43条第2項に定めがあります。

免状を持つ人は増えている

経済産業省の資料によると、第三種の免状を取る人は令和5年度以降、それまでの2倍以上に増えています。年2回の試験とCBT方式の導入で、受験の機会が広がったことが背景と見られています。

太陽光発電の設備が増えるなど、電気保安の仕事そのものも広がっています。免状を取った後の働き方の選択肢は、これからも気になるところですよね。

免状を取ってから選任されるまでの流れ

合格の後にも手続きがある

合格したら、まず免状の申請です。そのうえで、選任される職場で働くか、実務経験を積んで外部委託の側に回るか、道が分かれます。

『合格したら、すぐ主任技術者として働けるの?』と気になる方もいますよね。

流れを順番にすると、次のようになります。

合格から選任までの流れ
  1. 試験センターから試験結果通知書と免状交付申請書を受け取る
  2. 免状交付申請書を試験センターに出す(交付手数料は2,350円・非課税)
  3. 申請からおよそ2か月で免状が届く
  4. 主任技術者の選任がある職場で働く
  5. 設置者がその人を主任技術者として国に届け出る

手数料と期間は令和8年度(2026年度)の受験案内に載っている数字です。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。免状の申請の細かい手順は電験三種の取得までの流れで紹介しています。

「選任される人」と「補助する人」

すぐに選任されるとは限りません。経験の浅いうちは、選任された主任技術者のもとで点検や測定を手伝いながら覚えていく形も多いです。

例えば関東電気保安協会は、電気主任技術者の補助業務として実務を積んでから、協会の主任技術者としてお客さまを受け持つ前提の採用を案内しています。

免状を取ったら確かめたいこと
  • 免状交付申請書を出したか
  • 今の職場に主任技術者の選任があるか
  • 選任されるのは自社の社員か、委託先か
  • 実務経験として数えられる仕事をしているか
  • 次に二種を目指すか、外部委託を目指すか

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電気主任技術者と電験についてよくある相談

相談の多くは「言葉の違い」

知恵袋などでは、電験と電気主任技術者の言葉の違いや、認定で取った免状の扱いについての質問がよく見られます。

知恵袋などで見かける相談から、3つを選んで答えていきます。

電気主任技術者三種と電験三種は同じですか?

「電気主任技術者三種と電験三種って同じなの?」という質問がありました。

結論から言うと、指している資格は同じです。電験三種は第三種電気主任技術者試験の呼び名で、合格して免状を受けると第三種電気主任技術者の資格を持つことになります。

ただ、事業場の担当として仕事をするには、さらに設置者による選任が要ります。ここだけ区別しておけば大丈夫です。

求人票では「電験三種」「第三種電気主任技術者」「電気主任技術者(三種)」など、いろいろな書き方が混ざっています。どれも同じ資格を指していると読んで大丈夫です。

ただし「選任あり」「選任予定」のように、選任についての書き方は求人ごとに違います。入社してすぐ主任技術者として届け出られるのか、補助から始めるのかは、応募の前に確かめておきましょう。

認定で取った免状は「電験合格」とは違う?

「認定で電験三種を取った人は、電験合格とは呼ばないの?」という相談もありました。

認定は、試験ではなく学歴と実務経験で免状を受ける道です。そのため「試験に合格した」とは言いませんが、交付されるのは同じ種類の電気主任技術者免状です。

申請先は試験センターではなく、各地域の産業保安監督部(署)です。交付手数料も6,600円と、試験合格者の申請とは違います。

電気主任技術者の二種に受験資格はある?

「電気主任技術者二種と電験二種の違いは?受験資格はあるの?」という質問も見かけます。

こちらも、呼び名が違うだけで同じ試験のことです。電験二種の試験には受験資格の制限がなく、三種を持っていなくても受けられます。

よくある質問

電験に合格すれば、すぐに電気主任技術者を名乗れますか?

免状を受ければ電気主任技術者の資格を持つ人になります。ただ、事業場の主任技術者として仕事をするには、設置者による選任と国への届出が要ります。

電験三種の電気主任技術者は、どんな建物を担当できますか?

電圧5万V未満の事業用電気工作物です。出力5千kW以上の発電所などは除かれます。ビルや工場、コンビニなどが例に挙がっています。

電気主任技術者の免状に有効期限はありますか?

ありません。更新の手続きもなく、一度交付されれば原則としてずっと使えます。

電験の免状を持っていれば、どの会社でも選任してもらえますか?

選任するかどうかは、事業場の設置者が決めます。外部委託の事業場が多いため、自社で選任がある職場か、委託先として受け持つ会社かを求人で確かめておくと安心です。

外部委託とは何ですか?

一定規模未満の自家用電気工作物で、設置者が電気保安法人や電気管理技術者と委託契約を結び、国の承認を受けて主任技術者の選任を免除される仕組みです。

まとめ

この記事の要点
  • 電験は電気主任技術者試験の呼び名で、合格すると免状を申請できる
  • 免状は資格の証明で、有効期限や更新はない
  • 事業場の主任技術者になるには、設置者による選任と国への届出が要る
  • 選任の形は外部委託が91%で、選任・統括・兼任・許可選任は少数
  • 第三種は電圧5万V未満、第二種は17万V未満、第一種はすべてを監督できる
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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