電験一種とは?監督できる範囲と試験の仕組み・目指す順番

電験一種とは何か、監督できる範囲と試験の仕組みを紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験三種や二種を持っている方なら、『いちばん上の電験一種って、どんな世界なんだろう』と一度は考えますよね。

結論から言うと、電験一種はすべての事業用電気工作物の保安を監督できる、電気主任技術者の最上位の資格です。試験は年1回で、一次のマーク式と二次の記述式の2段階になっています。

この記事を読むと、電験一種で監督できる範囲、二種との違い、試験の仕組みと合格率、そして一種まで進む順番が分かります。

目次

電験一種とは?すべての事業用電気工作物を監督できる資格

先に結論

電験一種の正式な名前は「第一種電気主任技術者試験」です。合格して免状を受けると、電圧に上限なく、すべての事業用電気工作物で保安の監督ができます。

『電験1種とは、二種と何がそんなに違うの?』と思う方もいますよね。

一番の違いは、監督できる範囲に上限がないことです。電験は「電気主任技術者試験」を縮めた呼び方で、一種・二種・三種の順に範囲が広くなります。

種類監督できる範囲例になる設備
第一種(電験一種)すべての事業用電気工作物電力会社の発電所・変電所・送電線
第二種(電験二種)電圧17万V未満大規模な工場、大型の商業施設、5千kW以上の発電所
第三種(電験三種)電圧5万V未満(出力5千kW以上の発電所などを除く)ビル、工場、コンビニ、5千kW未満の発電所

例えば、17万V以上の電圧で電気を送る送電線や、それにつながる大きな変電所は、一種でなければ担当できません。電力の大もとを支える設備を任される資格、と考えると分かりやすいです。

電験全体の仕組みは電験とは?で紹介しています。

一種の電気主任技術者が関わる場面

試験センターが一種の例に挙げているのは、電力会社の発電所・変電所・送電線です。電気をつくって遠くへ送る、大もとの設備ですね。

こうした設備では、高い電圧の機器の運転や点検、工事の時の保安の監督などを担当します。もちろん、二種・三種の範囲の設備も一種の範囲に含まれるので、ビルや工場の保安も担当できます。

なお、電気保安法人などで外部委託の仕事を受ける側になるには、免状に加えて実務経験が要ります。経済産業省の資料では、一種の免状なら3年以上とされています。

一種でも監督の対象外になる部分がある

電気主任技術者が監督するのは、電気的な設備です。水力・火力・原子力の発電所のうち、ダムやボイラ、タービン、原子炉などの部分は電気主任技術者の監督の対象外になっています。

こうした部分は、ダム水路主任技術者やボイラー・タービン主任技術者といった別の主任技術者が担当します。

呼び方はいろいろ

電験1種、電験1と書かれることもありますが、どれも第一種電気主任技術者のことです。「電験1級」は正式な呼び方ではありません。

免状は一度取ればずっと使える

電験一種の免状にも、有効期限や更新の制度はありません。一度交付を受ければ、原則としてそのまま使えます。

『取るのに何年もかかるのに、更新があったら大変』と心配していた方は、ひとまず安心してください。

電験一種と二種の違いを表で比べる

試験の形は似ていて、違うのは範囲と一次の問題数

一種と二種は、どちらも年1回・一次と二次の2段階です。受験手数料も同じで、違いは監督できる範囲と、一次の問題の数・合格基準です。

『二種と一種、試験はまったく別物なの?』と気になる方も多いはずです。

実は、試験の枠組みはかなり似ています。令和8年度(2026年度)の受験案内をもとに並べました。

比べる点電験一種電験二種
監督できる範囲すべての事業用電気工作物電圧17万V未満
試験の回数年1回年1回
一次試験理論・電力・機械・法規(マークシート)理論・電力・機械・法規(マークシート)
一次の解答数(各科目)A問題4題・B問題2題A問題4題・B問題3題
二次試験電力・管理、機械・制御(記述)電力・管理、機械・制御(記述)
受験手数料(インターネット申込み)13,800円13,800円
受験資格制限なし制限なし

書面申込みの受験手数料は、一種・二種とも14,200円です(令和8年度)。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

範囲が広がると何が変わる?

二種の範囲は17万V未満なので、それより高い電圧の設備は一種の出番になります。

例えば、電力会社の基幹の送電線や大きな変電所です。二種の免状で担当できる大規模な工場とは、扱う電気の大きさがひと回り違うんですね。

試験の日も、一次は一種と二種が同じ8月30日、二次も同じ11月15日でした(令和8年度)。同じ日に同じ時間割で行われるので、申込みの時にどちらを受けるかを決めておきましょう。

二種のことは電験二種とは?で、三種まで含めた比較は電験の1種・2種・3種の違いでくわしく紹介しています。

二種と同じところ
  • 年1回の一次と二次の2段階
  • 一次は理論・電力・機械・法規の4科目
  • 二次は電力・管理と機械・制御の2科目
  • 受験資格の制限がない
二種と違うところ
  • 監督できる範囲に上限がない
  • 一次のB問題が各科目2題
  • 一次の合格基準の点数が違う
  • 問われる内容がより深い

電験一種の試験の仕組み|一次と二次の配点と合格基準

一次に受かった人だけが二次に進める

二次試験を受けられるのは、同じ年度の一次試験の合格者と、一次試験が免除される前年度の一次合格者だけです。

『一次と二次って、どんな日程で受けるの?』という方のために、令和8年度(2026年度)の流れを並べました。

令和8年度の電験一種の流れ
  1. 5月18日から6月4日までに受験を申し込む
  2. 8月30日に一次試験(理論・電力・機械・法規)を受ける
  3. 9月14日の一次の結果発表で、合格か科目合格かを確かめる
  4. 11月15日に二次試験(電力・管理、機械・制御)を受ける
  5. 令和9年1月29日の二次の結果発表を待つ

一次の時間割は三種の筆記方式と同じで、理論が9時15分に始まり、法規が17時30分に終わります。来年度の日程は、電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

電験一種の申込みから一次試験、一次の結果確認、二次試験、二次の結果発表までの流れを上から順に並べた図解

一次試験の合格基準

一次の合格基準は、年度ごとに試験センターが公表します。最近の2年分を並べました。

年度一種の一次の合格基準
令和7年度80点満点で各科目48点以上
令和8年度理論48点、電力・機械・法規60点(いずれも100点換算)

令和8年度は理論だけ基準が下がっています。難しさに応じて調整されることがある、と覚えておきましょう。

一次の一部の科目に受かると、翌年度と翌々年度の2回、申請でその科目が免除されます。3年の間に4科目をそろえれば、二次に進めるわけです。

二次試験は記述式の2科目

二次は、問題を選んで記述で答える試験です。

二次の科目内容解く問題時間(令和8年度)
電力・管理発電所・変電所の設計と運転、送配電線路の設計と運用、電気施設管理6題中4題を選ぶ120分
機械・制御電気機器、パワーエレクトロニクス、自動制御、メカトロニクス4題中2題を選ぶ60分

令和7年度の二次の合格基準は、一種・二種とも100点満点換算で60.0点以上(180点満点で108点以上)、かつ各科目とも平均点以上でした。

二次に科目合格の制度はありません。ただ、一次に受かった年度の二次で落ちても、翌年度は一次が免除されて二次から受けられます。試験の細かい中身は電験1種の試験で紹介しています。

一次と二次で勉強のしかたはどう変わる?

一次は選択肢から答えを選ぶ形なので、正しい答えにたどり着ければ点になります。二次は、答えにたどり着くまでの式や説明を自分で書いて見せる形です。

『計算はできるのに、書くとなると手が止まる』という声もよく聞きますよね。二次に向けては、次のような練習を混ぜておくと切り替えが楽になります。

  • 選択肢を見ずに、自分で式を立てて答えを出す
  • 途中の式と単位を省かずにノートに書く
  • 機器のしくみや保護の考え方を短い文で説明する
  • 時間を計って、1題を決めた時間で書き切る
よくある失敗

一次の勉強に集中しすぎて、二次の記述の準備が間に合わないことです。一次の結果発表から二次までは約2か月しかありません。一次の勉強の途中から、二次の過去の問題に目を通しておくと安心です。

受験者数と合格率の推移から見る電験一種

一次はおおむね3割、二次は年によって差が大きい

試験センターの公表では、一種の一次の合格率は3割前後です。二次は令和5・6年度が2割を切り、令和7年度は3割を超えました。

『電験一種って、どれくらいの人が受けているの?』と気になりますよね。

電気技術者試験センターの公表値を並べました。

年度一次の受験者/合格者/合格率二次の受験者/合格者/合格率
令和5年度1,469人/485人/33.0%719人/129人/17.9%
令和6年度1,433人/428人/29.9%720人/112人/15.6%
令和7年度1,569人/502人/32.0%772人/245人/31.7%

令和7年度の一次では、4科目合格者のほかに688人(43.8%)が科目合格をしています。一次を何年かに分けて通る人が多いことが分かりますね。

数字から読み取れること

受験者は一次で年1,500人前後です。三種の受験者が1回で2万人を超えるのと比べると、ずっと少ない人数です。

一次の合格者の多くは、すでに二種や三種の勉強を通ってきた人だと考えられます。そのうえで二次の合格率が2割を切る年もあるので、記述の力がかなり問われる試験だと言えます。

数字の推移をもっと長く見たい方は、電気技術者試験センターの第一種の試験結果のページで確かめてみてください。

二種の二次と比べてみる

同じ年度の二種の二次と並べると、一種の二次の数字の動きがよく見えます。

年度一種の二次の合格率二種の二次の合格率
令和5年度17.9%17.7%
令和6年度15.6%18.9%
令和7年度31.7%16.5%

令和5・6年度は、一種も二種も二次の合格率が2割を切っていました。令和7年度の一種だけ大きく上がっていますが、1年分の数字なので、この先も同じとは限りません。

数字を見る時のコツ

合格率は年度によって上下します。1年だけの数字で「今年は受かりやすい」と決めず、何年か分を並べて見るのがおすすめです。

電験一種を目指す人がよく通る順番

三種、二種、一種の順に積み上げる人が多い

受験資格の制限はないので一種から受けることもできます。ただ、試験の範囲は三種・二種の内容が土台なので、順番に積み上げる人が多いです。

『いきなり一種を受けてもいいの?』と考える方もいるかもしれません。

ルール上は問題ありません。ただ、一種の一次と二次は二種よりさらに深い内容を問うので、土台がないと苦しくなります。

一種までのロードマップ

一種を目指す時によく通る道を、試験の道と実務経験の道に分けて並べました。

段階試験で進む道実務経験で進む道
1電験三種に合格する電験三種に合格する
2電験二種の一次と二次に合格する三種の免状で1万V以上の設備の保安監督を5年以上
3電験一種の一次と二次に合格する二種の免状で5万V以上の設備の保安監督を5年以上

経済産業省の資料では、第二種の免状を持つ人が実務経験5年で第一種、という認定の道が示されています。対象の設備は、一種の場合は電圧5万V以上の電気工作物です。

また、電気主任技術者の認定校の大学を卒業した人は、5年の実務経験で一種の免状を申請する道もあります。認定の細かい条件は電験の認定取得とは?で紹介しています。

電験三種から二種、一種へ進む道を、試験で進む道と実務経験で進む道の2列で比べたロードマップの図解

自分はどの道が近い?判定表

今の状況に近い行を探してみてください。

今の状況考えやすい道
三種を持っていて、まだ二種の勉強を始めていないまず二種の一次から始める
二種を持っていて、5万V以上の設備で保安監督をしている実務経験の道が使えるかを先に確かめる
二種を持っていて、勉強の習慣が残っている一種の一次から科目合格を積む
電力会社や大きな発電所の仕事に関わりたい求人や職場で一種が求められているかを見てから決める
三種の範囲の仕事で十分だと感じている無理に急がず、仕事の経験を積みながら考える

例えば、二種を持って特別高圧の工場で働いている人なら、上司にこんな聞き方ができます。

「この設備の受電の電圧は何Vでしたか?一種の認定の実務経験になるか確かめたくて」

勉強の続け方を決めておく

一種は年1回の試験なので、1年の計画の立て方がとても大事です。一次の科目合格は2回分しか残らないので、3年の間に4科目をそろえる枠で考えておきましょう。

例えば、こんな分け方があります。年数の目安は人によって違うので、あくまで組み立て方の例として見てください。

考え方進め方の例
1年目で一次を全部狙う4科目を同時に進め、夏の一次にすべて合格して秋の二次へ
2年かけて一次をそろえる1年目に2科目、2年目に残り2科目で一次を合格にする
二次を翌年の本命にする一次合格の年の二次は力試しにし、翌年度は一次免除で二次に集中

仕事の繁忙期が夏に重なる人は、一次の科目を2年に分ける方が続けやすいこともあります。自分の1年の予定と重ねて決めてみてください。

二次の記述は、一人では自分の答案の良し悪しが分かりにくいものです。独学で進める人も多いですが、記述の添削がある講座を使う方法もあります。講座の比べ方は、次の案内から読んでみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

電験一種でよくある相談

多いのは「難しさ」「次に何を取るか」「学校からの道」

知恵袋などでは、一種の難しさを他の試験と比べる相談や、三種・二種のあとの進み方の相談がよく見られます。

よく見かける相談から、3つを選んで答えていきます。

電験一種はどれくらい難しい試験?

「電験一種の資格試験はどれくらいの難易度か」という相談がありました。

他の資格と単純に比べるのは難しいので、ここでは数字で見てみます。令和7年度は一次の合格率が32.0%、二次が31.7%でした。

ただし、受ける人の多くが二種・三種を通ってきた人です。『3割なら受かりそう』と思いがちですが、その3割はかなり準備をしてきた人たちの中での数字なんです。

三種に一発で受かりそう。次は二種?一種?

「三種に一発合格できそうだが、次は何の資格を取ればいいか」という相談です。

一種を目指すとしても、二種の一次と二次で学ぶ内容が土台になります。三種の勉強の流れが残っているうちに、二種の一次から始めるのが無理のない順番です。

二種の試験の中身は電験二種とは?で確かめてみてください。

大学で単位を取ると一種の免状も取れる?

電気電子工学科の大学生から「大学の単位と実務経験で電験の免状が取れると聞いたが、本当か」という相談がありました。

経済産業大臣が認定する学校で所定の単位を取って卒業し、実務経験を積めば、試験なしで免状を申請できます。一種の場合、認定校の大学を卒業して5年の実務経験が目安です。

自分の学科が認定校か、どの単位が要るかは、学校の担当の先生に聞いておきましょう。資格と免状の関係は電気主任技術者と電験の関係で紹介しています。

よくある質問

電験一種とは何ですか?

正式には第一種電気主任技術者試験のことです。合格して免状を受けると、すべての事業用電気工作物で保安の監督ができます。

電験一種に受験資格はありますか?

ありません。三種や二種を持っていなくても受けられます。ただ、試験の内容は三種・二種が土台なので、順番に進める人が多いです。

電験一種の試験は年に何回ですか?

年1回です。令和8年度は一次が8月30日、二次が11月15日でした。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

試験を受けずに電験一種の免状を得る方法はありますか?

二種の免状を持って5万V以上の設備で5年以上の実務経験を積む道や、認定校の大学を卒業して5年の実務経験を積む道があります。申請先は各地域の産業保安監督部などです。

電験一種の二次に科目合格はありますか?

ありません。ただ、一次に受かった年度の二次で落ちた場合、翌年度は一次が免除され、二次から受けられます。

まとめ

この記事の要点
  • 電験一種は、すべての事業用電気工作物の保安を監督できる最上位の資格
  • 試験は年1回で、一次(マーク式4科目)と二次(記述式2科目)の2段階
  • 二種との違いは範囲と一次の問題数・合格基準で、受験手数料は同じ
  • 合格率は一次が3割前後、二次は年によって差が大きい
  • 三種、二種、一種と積み上げる人が多く、実務経験で進む道もある

一種は長い道のりですが、三種・二種と同じように一歩ずつ進めます。まずは今の自分がロードマップのどの段階にいるかを確かめてみてください。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次