電験三種でできる仕事|選任される職場と点検・監督の中身

電験三種でできる仕事と、選任される職場の種類を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験三種の勉強を始めた方も、合格した方も、『実際にどんな仕事をするんだろう』と気になりますよね。

結論から言うと、電験三種でできる仕事の中心は、電圧5万V未満のビルや工場などで電気設備の保安を監督することです。毎月の点検、年に一度の停電点検、工事の立ち会い、事故の時の対応までを受け持ちます。

この記事を読むと、電気主任技術者の仕事の中身と、選任される職場の種類、1年の点検の流れが分かります。

目次

電験三種でできる仕事とは?まず役割をつかむ

先に結論

電験三種の免状を持つ人は、第三種電気主任技術者として、電圧5万V未満の事業用電気工作物の保安の監督ができます。ただし出力5千kW以上の発電所などは対象外です。

『電気主任技術者って、自分で配線工事をする人のこと?』と思っている方もいるかもしれません。

実は、電気主任技術者は工事の作業をする人ではなく、保安を監督する人なんです。電気事業法では、事業用電気工作物の設置者は、免状を持つ人から主任技術者を選任しなければならないと決められています(第43条)。

選ばれた主任技術者は、保安の監督の仕事を誠実に行う必要があります。工事や運用に関わる人は、主任技術者の保安のための指示に従うことになっています。

選任されると責任も重くなる

設置者は、保安規程を定めて使い始める前に国へ届け出ます(電気事業法第42条)。主任技術者は、この保安規程にそって点検や監督を進めていきます。

九州産業保安監督部は、外部委託の事業場では毎年の年次点検が義務になっていると注意をうながしています。悪質な法令違反は、職務を誠実に行う義務に反するとして免状の返納の対象になりうる、とも書いています。

『資格を取れば終わり』ではなく、選任されたあとの責任まで含めて仕事なんですね。

電験三種で担当できる設備の例

第三種で担当できるのは、電圧5万V未満の設備です。試験センターや経済産業省の資料では、次のような例が挙げられています。

種類監督できる範囲例になる設備
第三種(電験三種)電圧5万V未満(出力5千kW以上の発電所などを除く)ビル、工場、コンビニ、5千kW未満の発電所
第二種(電験二種)電圧17万V未満大規模な工場、大型の商業施設、5千kW以上の発電所
第一種(電験一種)すべての事業用電気工作物電力会社の発電所・変電所・送電線

身近なところでは、高圧で電気を受けている事務所ビルや学校、病院、ホテル、スポーツ施設などが、自家用電気工作物にあたります。こうした建物の電気室やキュービクルを守るのが、三種の主な仕事場です。

電験三種という資格全体のことは電験三種とは?で紹介しています。

電気工事士とどう違う?

試験センターは、電気工事士は工事・施工、電気主任技術者は保守・管理が主な業務、と説明しています。つまり、作業をする人と、保安を監督する人という分担です。

『電験を持っていれば工事もできるの?』と思う方もいますよね。工事の作業には電気工事士などの資格が別に要るので、気をつけておきましょう。

くわしくは電験三種と電気工事士の違いで紹介しています。

電気主任技術者の仕事を5つに分けて見る

仕事の中心は「点検」と「監督」と「もしもの対応」

関東電気保安協会の説明では、保安管理の仕事は月次点検・年次点検・臨時点検・事故の時の対応・設計や工事の相談の5つに分けられます。

『毎日、何をしているのかがイメージできない』という声もよく聞きます。

関東電気保安協会が説明している保安管理の仕事を、5つに分けて並べました。

仕事どんなことをする?頻度の目安
月次点検使用中の電気設備を点検・測定する原則毎月1回(条件により隔月や3か月に1回)
年次点検停電させて点検・測定・動作試験をする原則毎年1回以上
臨時点検異常の原因を調べる、台風や大雪の前後に確かめる必要な時
事故・災害の対応停電や故障の時に応急の処置をする起きた時
設計・工事の相談新しく設備を入れる時の助言、届け出の書類づくり、工事が正しく行われているかの確認工事や増設の時

月次点検は、絶縁監視装置を付けた設備では隔月1回以上になるなど、設備の規模や条件で回数が変わります。

年次点検で確かめること

年次点検は、建物の電気をいったん止めて行う大きな点検です。九州産業保安監督部が内規から抜き出して載せている項目を見ると、イメージがつかみやすくなります。

年次点検で確かめる項目の例
  • 低圧の電路の絶縁抵抗
  • 接地抵抗の値
  • 保護継電器の動作の特性と、遮断器との連動の動き
  • 非常用予備発電装置の自動での起動と停止
  • 蓄電池設備のセルの電圧など
  • PCBを含む機器に当たらないか

停電させるので、ビルのテナントや工場の生産と日程を合わせる必要があります。点検そのものだけでなく、関係する人との調整も仕事のうちなんです。

事故や災害の時はどう動く?

停電や設備の故障が起きた時は、現場に駆けつけて応急の処置をします。関東電気保安協会は、24時間365日の出動の態勢をとっていると説明しています。

外部委託で受け持つ場合は、夜や休日に連絡が入ることもあります。応募の前に、呼び出しの当番の決まりを確かめておくと安心です。

工事の監督と書類の仕事

設備を増やしたり入れ替えたりする時は、計画の段階から相談に乗ります。工事が始まったら、正しく工事されているかを確かめるのも大事な役目です。

関東電気保安協会は、電気主任技術者の業務や手続きは「多様かつ複雑」と説明しています。保安規程の作成や、産業保安監督部に出す書類も仕事に入ってきます。

電気主任技術者の仕事を月次点検・年次点検・臨時点検・事故対応・工事の相談の5つのカードに分けて並べた図解

電験三種の仕事の1年|点検の流れを追ってみる

毎月の点検を軸に、年に一度の停電点検と工事が入る

1年の仕事は、毎月の点検をくり返しながら、年次点検や設備の工事、台風などの前後の確認が入るイメージです。

『1年を通すと、どんなリズムで働くの?』と気になる方もいますよね。

ここでは、外部委託で複数のビルや工場を受け持つ場合を例に、1年の流れを並べてみました。実際の予定は、受け持つ事業場や会社によって変わります。

受け持つ事業場での1年の流れの例
  1. 毎月、各事業場を回って月次点検をし、記録を残す
  2. 設置者と日程を合わせ、停電して年次点検を行う
  3. 台風や大雪の予報が出たら、前後に設備を確かめる
  4. 設備の増設や入れ替えがあれば、計画の相談に乗り工事を確かめる
  5. 停電や故障の連絡があれば、駆けつけて応急の処置をする

月次点検の日はこんな流れ

ビルの電気室で配電盤の前に立ち、月次点検の記録を付けている電気主任技術者の仕事の場面をイメージした写真

月次点検の日は、受電設備の外観を見て、計器で電圧や電流を確かめ、異常な音やにおいがないかを見て回ります。記録を付けたら、気になる点を設置者に伝えます。

例えば、こんなやりとりが生まれます。

「キュービクルの扉のパッキンが傷んでいるので、雨が入る前に交換を考えてみてください」
「分かりました、見積もりを取ってみます」

設備の様子を伝えて、直す判断を設置者にしてもらうのも、保安を監督する人の大事な役目です。

年次点検の日はこんな流れ

年次点検は、停電の時間が限られる中で多くの項目を確かめる、1年でいちばん忙しい日です。おおまかには次の順に進みます。

年次点検の日の流れの例
  1. 設置者や関係する人と、停電の時間と手順を確かめる
  2. 決めた手順で受電を止め、安全を確かめる
  3. 絶縁抵抗や接地抵抗を測り、保護継電器の試験をする
  4. 非常用の発電装置などの動作を確かめる
  5. 受電を戻して、記録と気になる点を設置者に伝える

例えば、休日の朝から昼すぎまで停電させて点検する、という形が多くなります。テナントへの案内の文書づくりを手伝うこともあります。

外部委託は点検の回数が延びることもある

2025年4月から、スマート保安の技術を使った場合に、外部委託での点検の頻度を3か月に1回まで延ばせるようになりました。働き方も少しずつ変わってきています。

選任される職場は4つの形に分かれる

9割は外部委託という形

経済産業省の資料では、令和5年1月末時点の選任の形は、外部委託が91%を占めています。三種の仕事を考える時は、外部委託の世界を知っておくのが近道です。

『三種を活かすなら、どこで働けばいいの?』と迷う方も多いはずです。

電気主任技術者の選任には、いくつかの形があります。経済産業省の資料と法令から、主な形を並べました。

選任の形どんな形?主な職場の例
自社で専任その事業場の社員として常に勤務して選任される工場の電気係、大きなビルの設備の担当
管理会社から専任ビル管理会社の社員が、委託契約にもとづいてその事業場に常に勤務して選任されるビルメンテナンス会社
兼任・統括承認を受けて複数の事業場を兼ねる、または直接統括する事業場で選任される複数の拠点を持つ会社
外部委託設置者が電気保安法人や電気管理技術者と委託契約を結び、承認を受ける電気保安協会、電気保安法人、独立した電気管理技術者

令和5年1月末時点の内訳は、外部委託91%、選任4%、統括2%、兼任2%、許可選任1%でした。

電気主任技術者が選任される形を、自社で専任・管理会社から専任・兼任や統括・外部委託の4つに分けて示した図解

外部委託の受け手はどこ?

令和4年3月末時点の外部委託の受け手の内訳は、電気保安協会が47%、電気管理技術者協会が23%でした。協会に入っていない電気管理技術者が18%、保安協会以外の保安法人が12%です。

つまり、電気保安協会や保安法人で働くか、経験を積んで電気管理技術者として独立するかが、外部委託の主な道になります。独立するには免状に加えて、告示で決められた実務経験などが要ります。

兼任と許可選任という形

1人の主任技術者が2つ以上の事業場を兼ねることは、原則としてできません。ただ、保安上の支障がないと認められ、承認を受けた場合は兼任ができます(電気事業法施行規則第52条第4項)。

関東東北産業保安監督部の届け出の記載例では、特別高圧で受電する事業場や最大電力2,000kW以上の事業場などは兼務できない、と注意書きがあります。

もう一つ、「許可選任」という形もあります。自家用電気工作物の設置者が国の許可を受けて、免状を持たない人を主任技術者に選任するものです(電気事業法第43条第2項)。全体の1%ほどと少ないですが、こうした形もあると知っておくと、求人を読む時に役立ちますよ。

ビルメンテナンスの仕事との関係

厚生労働省の職業情報サイトjob tagでは、ビル施設管理の仕事を、電力設備・空調・給排水などの運転や管理をする職業と紹介しています。新卒で入った人が実務を積みながら電気主任技術者などを取ると、一人前と認められると書かれています。

中途採用では、資格を持っていることが求人の条件になることが多いともされています。三種の免状は、ビルメンテナンスの世界で入口を広げてくれる資格なんですね。

選任の形や資格との関係は、電気主任技術者と電験の関係でもくわしく紹介しています。

自分に合う職場はどれ?判定表で考える

「受け持ち方」と「経験の積み方」で選ぶ

同じ三種の仕事でも、1つの建物に常にいるか、複数の事業場を回るかで、毎日の過ごし方が大きく変わります。

『どの職場が自分に向いているのか分からない』という方のために、判定表を作りました。今の自分に近い行を探してみてください。

こんな人に考えやすい職場確かめたいこと
1つの建物の設備をじっくり見たいビルメンテナンス会社(常駐)選任の予定があるか、電気以外の設備も担当するか
ものづくりの現場で働きたい工場の電気係・設備保全受電の電圧、生産設備の保全も担当するか
いろいろな事業場を見て経験を広げたい電気保安協会・電気保安法人何年ほど補助の業務をしてから受け持つか
将来は独立も考えたい電気保安協会・保安法人で経験を積む実務経験として数えられる仕事か
太陽光などの発電設備に関わりたい発電設備の保安を受け持つ会社受け持つ発電所の規模と場所

発電設備の仕事は広がっている

経済産業省の資料では、太陽電池発電設備の設備量が10年で約6倍になっています。電気保安協会などが外部委託で受け持つ太陽電池発電所も、約14,000件から約32,000件へと2倍を超えて増えました。

ただ、遠くの発電所を回る仕事は移動も多くなります。応募の前に、受け持つ範囲と移動の仕方を確かめておきましょう。

求人を見る時に確かめたいこと

同じ「電気主任技術者」の求人でも、仕事の中身はかなり違います。応募の前に、次の点を確かめておきましょう。

求人票で確かめたい項目
  • 入社後すぐ選任されるのか、補助から始めるのか
  • 受け持つ事業場の数と、受電の電圧
  • 電気以外の設備(空調・給排水など)も担当するか
  • 夜や休日の呼び出しの当番があるか
  • 実務経験として数えられる仕事か

合格したばかりで経験がない時は

『免状は取ったけれど、現場の経験がない』という方もいますよね。最初は補助の立場から入り、経験を積んでから選任される流れが一般的です。

経験の積み方は電験三種を取ったが実務経験がない時は?で紹介しています。電気主任技術者の求人に強い転職支援を使って、職場ごとの違いを聞いてみるのも一つの方法です。

電験ガイド

電験の資格を活かせる職場を探すなら

電気主任技術者の求人は、ビルの設備管理や工場、電気保安の仕事など職場によって探し方が変わります。設備管理・建設の分野に特化した転職支援サービスで、資格や経験に合う求人を相談してみましょう。

講座の選び方プライムキャリアの公式サイトを見る

求職者の利用は無料と公式サイトに記載があります。求人の内容は公式サイトで確かめてください。

電験三種の仕事でよくある相談

多いのは「仕事に困らない?」「就職先はどこ?」「採用で試験はある?」

知恵袋などでは、資格を持っていれば仕事に困らないのか、どの就職先を選ぶか、採用でテストがあるかといった相談がよく見られます。

よく見かける相談を3つ選んで答えていきます。

電験三種を持っていれば、本当に仕事に困らない?

「電験三種を持っていれば本当に仕事には困らないのか」という相談がありました。

経済産業省の資料では、電気保安の人材は、人口減少や太陽光などの設備の増加で、需給の差が広がるおそれがあるとされています。官民で人材の育成と確保を進めることが欠かせない、とも書かれています。

一方で、免状を持つ人は令和5年度以降大きく増えています。『資格さえあれば安心』と考えるより、現場の経験をどう積むかまで考えておくと心強いですよ。

ビルメン、保安協会、工場。就職先はどう選ぶ?

「電験三種を活かせる仕事として、ビルメン、電力会社、保安協会などを考えているが、どこがいいか」という相談です。

どれが上ということはなく、受け持ち方と経験の積み方が違います。1か所に常にいるならビルメンテナンスや工場、いろいろな事業場を回るなら保安協会や保安法人です。

例えば関東電気保安協会は、補助の業務で3年ほど経験を積んでから、協会の電気主任技術者としてお客さまを受け持つ前提だと説明しています。こうした育て方の違いも、選ぶ時の目安になります。

電験三種が必要な仕事の採用で、テストはある?

「電験三種を必要とする仕事の採用に、テストはあるのか」という相談もありました。

採用の進め方は会社ごとに違うので、ひとまとめには言えません。求人票の選考の欄や、説明会・面接の案内で確かめるのが確実です。

『どんな質問をされるのか』が気になる方は、電験三種を活かす転職で面接の準備も紹介しています。

よくある質問

電験三種でできる仕事は何ですか?

第三種電気主任技術者として、電圧5万V未満の事業用電気工作物の保安を監督する仕事です。月次点検・年次点検・工事の監督・事故の時の対応などを受け持ちます。

電験三種があれば電気工事もできますか?

電気工事の作業には、電気工事士などの資格が別に要ります。電気主任技術者は保安を監督する立場です。

電気主任技術者はどんな職場で働いていますか?

ビルメンテナンス会社、工場、電気保安協会や電気保安法人などです。外部委託の形が全体の9割ほどを占めています。

年次点検では何をしますか?

停電させて、絶縁抵抗や接地抵抗の測定、保護継電器の試験、非常用予備発電装置の動作の確認などを行います。

独立して電気主任技術者の仕事をすることはできますか?

電気管理技術者として外部委託を受ける道があります。免状に加えて、告示で決められた実務経験などの条件を満たす必要があります。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種でできる仕事は、電圧5万V未満の設備の保安の監督
  • 仕事は月次点検・年次点検・臨時点検・事故対応・工事の相談の5つ
  • 選任の形は外部委託が9割で、保安協会や保安法人が主な受け手
  • ビルメンテナンス、工場、保安法人など、受け持ち方で職場を選ぶ
  • 合格直後は補助の立場から経験を積んで選任をめざす流れが多い

電験三種の仕事は、建物や工場の電気を毎日安全に使えるように支える仕事です。まずは判定表で自分に近い職場を一つ決めて、その職場の求人を眺めてみてください。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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