電験三種の三相交流|Y結線とΔ結線の計算の型

電験三種の三相交流を、Y結線とΔ結線の計算の型で紹介する記事のアイキャッチ

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単相の交流回路はなんとか解けるのに、三相交流になると『√3がどこで掛かるのか分からない』と手が止まる方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の三相交流は「1相分を取り出して単相で解き、最後に3倍する」という型でほとんどの問題が解けます。

この記事を読むと、Y結線とΔ結線の違いと、三相の計算を毎回同じ手順で進めるコツがつかめます。

目次

三相交流とは?まず単相との違いをつかむ

先に結論

三相交流は、大きさが同じで120度ずつずれた3つの交流をまとめて送る方式です。3つの電圧を足すと、どの瞬間も0になります。

『三相って、単相が3つあるだけじゃないの?』と思う方もいるかもしれません。

実は、その考え方でほぼ合っています。3つの単相の電源を、タイミングを120度ずつずらして並べたものが三相交流なんです。

ずれがきれいにそろっているので、3つの電流は打ち消し合います。そのため、帰りの線をまとめたり省いたりでき、少ない電線で大きな電力を送れます。

比べるところ単相交流三相交流
電源の数1つ120度ずつずれた3つ
電線の本数(代表例)2本3本(三相3線式)
主な使われ方家庭のコンセントなど工場の動力・送電・配電
計算の考え方そのまま解く1相分を取り出して解き、3倍する

「平衡」の問題がほとんど

電験三種の理論で出てくる三相交流は、3つの相の電源と負荷が同じ大きさの「平衡三相回路」が中心です。

平衡なら、3つの相はずれているだけで中身は同じです。だから1相分を解けば、残りの2相も同じ答えになるんです。

交流のベクトル図やインピーダンスがまだ不安な方は、先に電験三種の交流回路で単相の解き方を固めておくと楽になります。

Y結線とΔ結線の電圧・電流の関係を表で比べる

√3が掛かるのは、Yは電圧、Δは電流

Y結線では線間電圧が相電圧の√3倍、Δ結線では線電流が相電流の√3倍になります。もう片方はそれぞれ等しくなります。

『どっちが√3倍だったか、すぐ忘れてしまう』という声はとても多いです。ここが三相交流でいちばん大事なところです。

まず言葉をそろえておきます。相電圧・相電流は1つの相(1つの負荷や電源)にかかる電圧と流れる電流です。線間電圧・線電流は、電線と電線の間の電圧と、電線を流れる電流です。

比べるところY結線(星形)Δ結線(三角形)
つなぎ方3つの相の片方の端を1点(中性点)にまとめる3つの相を輪になるようにつなぐ
線間電圧と相電圧線間電圧 = √3 × 相電圧線間電圧 = 相電圧
線電流と相電流線電流 = 相電流線電流 = √3 × 相電流
位相のずれ線間電圧が相電圧より30度進む線電流が相電流より30度遅れる
中性点あるない
Y結線は電圧に、Δ結線は電流に√3が掛かることを左右に並べて比べた図解

覚え方は「つなぎ目の形」で

Y結線は、電線どうしの間に相が2つ直列に入ります。だから電線どうしの電圧(線間電圧)が大きくなる、と考えると覚えやすいです。

Δ結線は、1本の電線のつけ根に相が2つつながっています。2つの相の電流が合流するので、線電流のほうが大きくなるんです。

よくある失敗

単純に2つ足して2倍にしてしまうミスがあります。2つの相は120度ずれているので、ベクトルで合成すると2倍ではなく√3倍になります。

√3が出てくる理由をベクトル図で確かめる

Y結線の線間電圧は、となり合う2つの相電圧の差です。2つの矢印は同じ長さで、120度ずれています。

この2本で二等辺三角形を描くと、底辺の長さは 2 × 相電圧 × cos30° になります。cos30° は √3 ÷ 2 なので、ちょうど √3 × 相電圧です。

例えば、勉強仲間とこんなやりとりになったとします。

「Yの線間電圧って、なんで相電圧の2倍じゃないの?」

「向きが120度ずれているから、まっすぐ足せないんだよ。三角形で考えると√3倍になるんだ」

一度この三角形を自分で描いてみると、√3を丸暗記しなくても思い出せるようになりますよ。

三相電力の式の使い分け

迷ったら「1相分の電力 × 3」

三相電力は P = 3 × 相電圧 × 相電流 × cosθ で、線間電圧と線電流で書くと P = √3 × 線間電圧 × 線電流 × cosθ になります。

『式が2つあって、どっちを使えばいいの?』と迷いますよね。

どちらも同じ電力を表しています。問題文に出てくる値が相の値か線の値かで使い分ければ大丈夫です。

手元にある値使う式
相電圧・相電流P = 3 × 相電圧 × 相電流 × cosθ
線間電圧・線電流P = √3 × 線間電圧 × 線電流 × cosθ
相電流と1相の抵抗P = 3 × 相電流² × R
無効電力を出したいQ = √3 × 線間電圧 × 線電流 × sinθ
皮相電力を出したいS = √3 × 線間電圧 × 線電流

例題:Y結線の平衡負荷

自作の例題で、手順を最後まで追ってみます。

『1相のインピーダンスが 8 + j6(10Ω)のY結線の平衡負荷に、線間電圧200Vの三相電源をつないだ。三相の消費電力は?』

例題の解き方
  1. 相電圧を出す:Y結線なので 200 ÷ √3 で約115.5V
  2. 相電流を出す:115.5 ÷ 10 で約11.5A(Y結線なので線電流も同じ)
  3. 1相の電力を出す:相電流² × R で、約133.3 × 8 から約1,067W
  4. 3倍する:約3,200W

線の値の式でも確かめてみます。√3 × 200 × 11.55 × 0.8(力率は R ÷ Z = 8 ÷ 10)で、約3,200Wになり、同じ答えが出ますね。

同じ負荷をΔ結線にすると

同じ10Ωの負荷をΔ結線にして、同じ200Vにつないでみます。

Δ結線なので相電圧は200Vのままで、相電流は20Aです。線電流は 20 × √3 で約34.6Aになります。

三相の消費電力は 3 × 20² × 8 で9,600Wです。Y結線のときの3倍になるんです。この「Δにすると3倍」は、あとで出てくる電動機の始動の話にもつながります。

力率が与えられている時の解き方

問題によっては、インピーダンスではなく「消費電力」と「力率」が与えられ、電流を求めることもあります。

例えば、線間電圧200V、消費電力6,000W、力率0.75の三相負荷なら、線電流は 6,000 ÷(√3 × 200 × 0.75)で約23.1Aです。式を変形するだけなので、Y結線かΔ結線かを気にしなくても解けます。

Y-Δ変換の手順

平衡負荷なら、Δの1相のインピーダンスを3で割るとYになる

平衡三相負荷のΔ結線は、1相のインピーダンスを3分の1にしたY結線に置きかえられます。逆にYからΔへは3倍です。

『YとΔがまざった回路が出てきたら、どうすればいいの?』という方も多いはずです。

そんな時は、全部をY結線にそろえてから1相分を取り出すのが近道です。Y結線にすれば中性点を基準に相電圧が決まるので、単相の回路と同じように解けます。

Y-Δ変換を使った解き方
  1. Δ結線の負荷を見つけ、1相のインピーダンスを3で割ってY結線に直す
  2. 電源もY結線として考え、相電圧(線間電圧 ÷ √3)を出す
  3. 1相分の回路を描き、相電流を出す
  4. 線電流・電力など、問題が聞いている値に戻す

例えば、1相30ΩのΔ結線の負荷は、1相10ΩのY結線と同じです。線間電圧が200Vなら、相電圧は約115.5V、線電流は約11.5Aと、さっきの例題と同じ流れで解けます。

平衡でない時の変換は別の式

3つの相のインピーダンスがばらばらな時は、3で割るだけでは変換できません。専用の変換式を使います。

ただ、最初は平衡の変換を確実にできるようにするのが先です。不平衡の変換は、平衡の問題に慣れてから手をつけても間に合いますよ。

三相の問題を解き始める前のチェック
  • 電源と負荷はY結線かΔ結線か
  • 問題文の電圧は線間電圧か相電圧か
  • 負荷は平衡か(3つの相が同じか)
  • 聞かれているのは相の値か線の値か、電力か

電力・機械の科目とのつながりも見ておく

三相の型は、理論のあとも何度も出てくる

送電・配電の電圧降下、変圧器の結線、誘導電動機の始動など、電力や機械の科目でも三相の計算を使います。理論で型をつかんでおくと、ほかの科目が楽になります。

『理論で終わりの単元じゃないの?』と思われがちですが、実は三相交流は4科目の中でも長く付き合う考え方なんです。

科目三相を使う場面理論でつかんでおきたいこと
電力三相3線式の電圧降下・電力損失線電流と√3の関係
電力1回線・2回線の送電線1回線が3本1組であること
機械変圧器のY結線・Δ結線線間電圧と相電圧の関係
機械誘導電動機のY-Δ始動Yにすると電力・電流が3分の1

例えば電力の科目では、三相3線式の電圧降下を √3 × 線電流 ×(R cosθ + X sinθ)の形で近似して計算します。√3が出てくる理由は、Y結線の線間電圧と相電圧の関係そのものです。

機械の科目のY-Δ始動は、始動の時だけ電動機をY結線にして、始動電流を抑える方法です。先ほどの例題で見た「Δにすると3倍」を逆から見たものなんです。

三相交流の考え方が、理論から電力の送配電と機械の変圧器・電動機へつながることを示した図解

送配電の計算は電験三種の送電・配電、変圧器の結線は電験三種の変圧器でくわしく紹介しています。

理論の中での順番は電験三種の理論で見られます。ひとりで進めるのが不安な方は、解説動画や質問できる講座を使うのもひとつの方法です。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

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三相交流でよくある相談

相談が多いのは「言葉の意味」と「3倍の理由」

知恵袋には、計算そのものより、相電圧・1回線といった言葉の意味でつまずいた相談が多く見られます。よくあるものを選んで答えます。

相談1:Δ結線で「相電圧」と言われたら、どの電圧?

電源がΔ結線の時、相電圧と言われたら線間電圧と同じと考えてよいのか、という相談があります。

結論から言うと、Δ結線では相電圧と線間電圧は等しいので、同じ値として扱えます。Δは1つの相が電線と電線の間に直接つながっているからです。

相談2:「三相3線式1回線」の1回線とは?

問題文の「1回線」の意味が分からない、という相談もよくあります。

1回線は、三相の電力を送るための電線3本の1組のことです。2回線なら、その組が2つ並んでいると考えましょう。

相談3:P = 3RI² の「3」はどこから?

三相の消費電力を P = 3RI² で出す解説を見て、なぜ3を掛けるのか分からない、という相談もあります。

1相の抵抗で使われる電力が RI² で、同じ相が3つあるから3倍です。ここでのIは相電流なので、Δ結線の時は線電流を√3で割ってから使いましょう。

相談4:オイラーの公式は使えないとだめ?

三相交流をオイラーの公式を使わず、ベクトル図だけで解けていれば大丈夫か、という相談もあります。

平衡三相の基本の問題なら、ベクトル図と三平方の定理、√3の関係で十分に解けます。『複素数も全部やらないと…』と焦らず、まずは型を固めるのがおすすめです。

よくある質問

電験三種の三相交流で最初に覚えることは何ですか?

Y結線は線間電圧が相電圧の√3倍、Δ結線は線電流が相電流の√3倍になる関係です。これが分かれば、1相分を取り出して解けるようになります。

三相電力の式はどれを覚えればいいですか?

1相分の電力を3倍する P = 3 × 相電圧 × 相電流 × cosθ が基本です。線の値で書くと P = √3 × 線間電圧 × 線電流 × cosθ になります。

Y-Δ変換はどう計算しますか?

平衡負荷なら、Δ結線の1相のインピーダンスを3で割るとY結線になります。YからΔに直す時は3倍します。

回路図でY結線とΔ結線はどう見分けますか?

3つの相の端が1点(中性点)にまとまっていればY結線、3つの相が輪のように三角形につながっていればΔ結線です。問題文に結線の名前が書かれていることも多いので、まず問題文を確かめましょう。

三相交流は理論以外の科目でも使いますか?

使います。電力の科目の送配電の電圧降下や、機械の科目の変圧器の結線、誘導電動機の始動などで三相の計算が出てきます。

まとめ

この記事の要点
  • 三相交流は120度ずつずれた3つの交流で、平衡なら1相分を解けばよい
  • Y結線は電圧に、Δ結線は電流に√3が掛かる
  • 三相電力は1相分の電力を3倍して出す
  • YとΔがまざったら、Δを3分の1にしてYにそろえる
  • 送配電・変圧器・電動機の計算にもつながる

電験の全体像は電験とは?で紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

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