電験三種の理論|出題範囲と最初に固めたい分野の順番

電験三種の理論の出題範囲と、最初に固めたい分野の順番を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験三種の勉強を始めようとして、『理論のテキストを開いたら、いきなり式だらけで心が折れそう』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の理論は、直流回路から始めて、静電気と電磁気、交流回路へと順に積み上げていくと進めやすい科目です。ほかの3科目の土台にもなるので、最初に取り組む人が多いんです。

この記事を読むと、理論の出題範囲と、分野をどの順番で固めればよいかが分かります。

目次

電験三種の理論とは?出題範囲を分野別に見る

先に結論

試験センターの公表では、理論の出題範囲は「電気理論」「電子理論」「電気計測及び電子計測」の3つです。試験時間は90分で、A問題14題とB問題3題(選択問題を含む)が出ます。

『理論って、どこからどこまでが範囲なの?』と最初に気になりますよね。

試験センターが示している範囲は3つだけですが、中身を分けるともう少し細かくなります。テキストの章立てに近い形で並べてみました。

大きな範囲中に入る分野主に出てくること
電気理論直流回路オームの法則、合成抵抗、キルヒホッフの法則
電気理論静電気クーロンの法則、電界、コンデンサ
電気理論電磁気磁界、電磁力、電磁誘導、インダクタンス
電気理論交流回路実効値、インピーダンス、ベクトル、電力と力率
電気理論三相交流Y結線とΔ結線、線間電圧と相電圧
電子理論半導体と電子の運動ダイオード、トランジスタ、電界・磁界中の電子
電気計測計測指示計器、誤差、分流器と倍率器

電験三種の理論は、この7つの分野に分けて考えると、全体の量がつかみやすくなります。

試験の形をおさえておこう

理論の試験は、ほかの科目と同じく五肢択一です。筆記方式はマークシート、CBT方式はパソコンで答えます。

項目内容
試験時間90分
問題の数A問題14題、B問題3題(選択問題を含む)
答え方五肢択一
B問題の形1問の中に小問が2つ
合格基準原則60点(調整される回もある)

B問題は1問に小問が2つあり、前の小問の答えを次で使うこともあります。例えば「(a)で回路の電流を求め、(b)でその電流から電力を求める」という流れです。

90分の使い方を考えておこう

A問題14題とB問題3題を90分で解くので、単純に割ると1題あたり5分ほどです。B問題は小問が2つあるぶん、時間がかかりやすいですよね。

例えば、A問題を先に解いて、時間がかかりそうな問題には印をつけて飛ばす。最後にまとめて戻る、という順番にすると、解ける問題を取りこぼしにくくなります。

試験全体の形は、電験三種の試験の仕組みで紹介しています。

電子理論と計測では何を学ぶ?

『電子理論や計測って、回路の計算とどう違うの?』と思う方もいますよね。

電子理論は、半導体の性質や、電界・磁界の中で電子がどう動くかを考える分野です。計測は、電圧や電流をはかる計器のしくみと、はかった値の誤差を扱います。

分野代表的なテーマ押さえておきたい考え方
半導体ダイオード、トランジスタ電流が流れる向きと増幅のしくみ
電子の運動電界・磁界の中の電子電界で加速し、磁界で向きが曲がる
指示計器可動コイル形、可動鉄片形など直流用か交流用か、何を指すか
測定範囲の拡大分流器、倍率器直流回路の分流・分圧そのもの
誤差誤差率、補正測った値と本当の値の差の比べ方

電子理論は電験三種の電子理論、計測は電験三種の電気計測でくわしく紹介しています。

理論がほかの3科目の土台になるのはなぜ?

電力・機械・法規の計算は、理論の式を使って解く

理論で学ぶオームの法則や交流の電力、三相の計算は、電力・機械・法規の計算問題でもそのまま使います。理論を固めるほど、ほかの科目が軽くなります。

『理論、電力、機械、法規の順がいいと聞くけど、本当に順番って大事なの?』という声もよく聞きます。

実は、順番が大事と言われる理由は、理論で学ぶ式がほかの科目の「道具」になるからなんです。例えば電力の送電の問題では、三相の電力の式と電圧降下の考え方を使います。

理論で学ぶこと使われる科目と場面
オームの法則・電力の式法規の計算、電力の電力損失
三相交流の計算電力の送電・配電、機械の誘導機や変圧器
電磁誘導機械の変圧器・発電機・電動機の仕組み
交流の電力と力率電力の力率改善、法規の需要設備の計算
半導体機械のパワーエレクトロニクス
計測の考え方機械や電力で計器を扱う場面
電験三種の理論で学ぶ式が、電力・機械・法規の計算の道具として使われることを示した図解

理論を後回しにするとどうなる?

『法規は暗記が多いから先に取ろうかな』と考える方もいるかもしれません。

もちろん、その作戦もありです。ただ、電験3種の理論を後回しにすると、法規の計算問題やほかの科目の計算で、式が分からず手が止まる場面が出てきます。

科目合格を使う人の組み方

科目合格を使って分けて受ける場合も、理論は最初の回に入れる人が多いです。理論とあわせて、暗記の多い法規を1回目に組む方法もあります。科目の取り方の作戦は電験三種の科目合格制度で紹介しています。

最初に固めたい分野の順番

直流回路から始めて、交流と三相へ広げる

理論の分野は、前の分野の知識を次で使う形になっています。直流回路で計算の基本を固めてから、静電気・電磁気、交流回路、三相交流へ進むと、つながりが見えやすくなります。

『どの分野から手をつければいいか分からない』という方のために、学ぶ順番の目安を表にしました。

順番分野先に分かっていると楽なことここで身につけたいこと
1直流回路分数と1次方程式の計算オーム・合成抵抗・キルヒホッフ
2静電気直流回路の考え方クーロンの法則とコンデンサの合成
3電磁気静電気との似ている所磁界・電磁力・電磁誘導の向きと大きさ
4交流回路直流回路と三角比インピーダンス・ベクトル・力率
5三相交流交流回路と√3の関係Y結線とΔ結線の電圧・電流・電力
6電子理論静電気と電磁気半導体の動きと電子の運動
7電気計測直流回路と交流回路計器のしくみと誤差の考え方

理論電験の勉強でよく聞く「直流から」という順番も、この表の考え方と同じです。

この順番は目安です。テキストの章の順が違う時は、テキストに合わせても大丈夫ですよ。

電験三種の理論の分野を、直流回路・静電気と電磁気・交流回路・三相交流・電子理論と計測の順に学ぶ流れを示した図解

1. 直流回路は理論の入口

直流回路は、電験三種の理論の中で計算の基本がいちばん詰まった分野です。

例えば、2Ωと3Ωの抵抗を直列につないで10Vの電源につなぐと、合成抵抗は5Ω、電流は10÷5で2Aです。この「合成してから電流を出す」流れが、交流でもそのまま使えます。

くわしくは電験三種の直流回路で紹介しています。

2・3. 静電気と電磁気は「似ている所」で覚える

静電気のクーロンの法則と、磁気のクーロンの法則は、式の形がよく似ています。並べて覚えると、覚える量が減ります。

ただ、コンデンサの合成は抵抗と逆なので気をつけましょう。直列は逆数の和、並列は和になります。例えば2μFと3μFを直列にすると、6÷5で1.2μFです。

静電気は電験三種の静電気とコンデンサ、電磁気は電験三種の電磁気で紹介しています。

4・5. 交流回路と三相交流で山場を越える

交流回路は、多くの人がつまずきやすい分野です。直流と違い、電圧と電流の「タイミングのずれ(位相)」を考える必要があるからです。

例えば、抵抗3Ωとコイルのリアクタンス4Ωを直列にして100Vの交流電源につなぐと、インピーダンスは√(3²+4²)で5Ωです。電流は100÷5で20A、有効電力は I²R で20×20×3=1,200W、力率は3÷5で0.6になります。

三相では、例えば線間電圧200VのY結線に、1相10Ωの抵抗をつないだ場合を考えます。相電圧は200÷√3で約115.5V、1相の電流は約11.5Aです。電力は3×I²R で、ちょうど4,000W(4kW)になります。

ベクトルの描き方に慣れると、三相交流もぐっと楽になります。交流回路は電験三種の交流回路、三相は電験三種の三相交流で紹介しています。

6・7. 電子理論と計測は最後にまとめて

電子理論と電気計測は、ほかの分野の知識を使いつつ、覚える内容も多い分野です。

例えば、分流器や倍率器の計算は、直流回路の分流・分圧の考え方そのものです。直流回路まで戻って確かめると理解が早くなります。

つまずきやすい所をチェックしよう

計算ミスの多くは「単位」と「向き」

理論で点を落とす原因は、式を知らないことより、単位の換算や電流・磁界の向きの取り違えであることが多いです。

『解き方は分かっているのに、答えが合わない』ということ、ありますよね。

次のチェックで、自分のつまずきやすい所を確かめてみてください。

理論でつまずきやすい所のチェック
  • kやm、μといった接頭語を、計算の前にそろえているか
  • 直列と並列で、抵抗とコンデンサの合成の仕方を取り違えていないか
  • 電流・磁界・力の向きを、図を描いて確かめているか
  • 交流の電圧・電流が最大値か実効値かを見分けているか
  • 三相の問題で、相電圧と線間電圧を取り違えていないか
  • 出した答えの大きさが、だいたい合っているかを見直しているか

例題:単位をそろえて計算する

例えば、4.7kΩの抵抗に2mAの電流が流れている時の電圧を考えます。

単位をそろえると4,700Ωと0.002Aなので、V = RI から4,700×0.002で9.4Vです。kとmをそのまま掛けて「9.4」と出たとしても、単位を意識していないと桁をまちがえやすいんです。

よくある失敗

答えの選択肢に、桁だけ違う数字が並んでいることがあります。単位を最後に確かめずにマークして、点を落としてしまうことも。答えを出したら単位を声に出して確かめましょう。

向きは「右ねじ」と「フレミング」で決める

電磁気では、電流・磁界・力の向きを考える場面がたくさんあります。頭の中だけで考えると、左右を取り違えやすいんです。

決めたい向き使う決まり覚え方の例
電流のまわりの磁界右ねじの法則ねじを進める向きが電流、回す向きが磁界
電流が磁界から受ける力フレミングの左手の法則電動機(モーター)の向き
導体を動かした時の起電力フレミングの右手の法則発電機の向き

『試験中に手を動かすのは恥ずかしい』と思うかもしれません。ただ、指を立てて確かめる人は多いので、気にせず使ってみてください。

公式を丸暗記するより「意味」で覚える

理論には公式がたくさんあり、全部を丸暗記しようとすると大変ですよね。

例えば電力の式は、P = VI、P = I²R、P = V²/R の3つがありますが、どれもオームの法則 V = RI を入れかえただけです。元の1つと、入れかえ方が分かれば十分なんです。

公式の整理は電験三種の公式まとめで紹介しています。

理論の勉強の進め方|テキストから過去問へ

テキストで1周、過去問で何周も

理論はテキストを1周読んで例題を解き、そのあと過去問を年度ごとに解いて、解けなかった分野をテキストに戻って確かめる流れが進めやすいです。

『テキストを読み終わったけど、次は何をすればいいの?』という方もいますよね。

電験三種の理論をテキストと過去問で勉強している机の手元をイメージした写真

理論の勉強は、次の手順で進めてみてください。

理論の勉強の手順
  1. テキストを1周読み、章ごとの例題を解く
  2. 分野ごとに、基本の問題を時間を計らずに解く
  3. 過去問を1年分ずつ、90分を計って解く
  4. 間違えた問題の分野をテキストに戻って読み直す
  5. 間違えた問題だけを日をおいて解き直す

例えば、平日は1日1時間でテキストと例題、土日は3時間で過去問1年分、という組み方なら、仕事をしながらでも回しやすいですよ。

過去問を年度別に解く時の進め方は、電験3種の理論の過去問の解き方で紹介しています。

1週間の組み立ての例

仕事をしながら理論を進める場合の、1週間の組み立て方の例です。時間は目安なので、自分の生活に合わせて変えてみてください。

曜日時間の目安やること
月・火1時間テキストを1節読み、例題を解く
水1時間前の2日の例題を解き直す
木・金1時間次の節を読み、基本の問題を解く
土3時間過去問1年分を90分で解き、答え合わせ
日3時間間違えた問題の分野をテキストで読み直す

『平日1時間なんて、少なすぎるのでは』と感じるかもしれません。ただ、毎日少しずつでも続けると、土日の過去問で「解ける問題が増えた」と実感しやすくなります。

過去問を解いたら記録しておくこと
  • 解いた年度と点数
  • 間違えた問題の分野(直流・交流など)
  • 間違えた理由(式を知らない、計算ミス、時間切れ)
  • 解き直した日

ひとりで進めるのが不安な時は

『テキストの解説を読んでも分からない所で止まってしまう』という声もよく聞きます。

独学で合格する人も多い科目です。ただ、質問できる環境や動画の解説がほしい方は、講座を使うのもひとつの手です。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

理論についてよくある相談

相談が多いのは「勉強の順番」「過去問の暗記」「公式の覚え方」

知恵袋でも、電験の理論についての相談がたくさん寄せられています。よくあるものを選んで答えます。

相談1:電気工事士の学科に受かったけど、理論から始めるべき?

第二種電気工事士の学科に受かっていて、電験三種は理論から勉強した方がいいのか、という相談があります。

電気工事士の勉強で、オームの法則や合成抵抗にはすでに触れていますよね。その知識は、理論の直流回路でそのまま役立ちます。

ただ、電験の理論は静電気や電磁気、交流のベクトルなど、さらに深い内容まで出てきます。理論から始めて、直流回路は早めに通過するのがおすすめです。

相談2:過去問を丸暗記すれば理論は合格できる?

過去問を何年分も丸暗記すれば理論に合格できるか、という相談もよく見かけます。

結論から言うと、理論は数値や回路を変えて出されることが多いので、答えの暗記だけでは対応しにくい科目です。

『でも、似た問題が何度も出ると聞いた』と思った方もいますよね。その通りで、問題の「型」はくり返し出てきます。答えではなく、解き方の型を覚えるつもりで過去問を使ってみてください。

相談3:公式が多すぎて覚えられない

理論の公式がたくさんあって、合格者はどう覚えたのか、という相談もあります。

おすすめは、公式を「元になる式」と「そこから出てくる式」に分けることです。先ほどの電力の3つの式のように、元の式から自分で導けるものは、覚える数に入れなくて大丈夫です。

相談4:コンデンサの直列で、合成が和になるのはなぜ?

コンデンサの問題で、直列回路なのに合成静電容量が和になっている解説を見て混乱した、という相談もあります。

コンデンサの合成は、直列で逆数の和、並列で和です。直列なのに和になって見える時は、回路の図を描き直すと、実は並列につながっていることがよくあります。

相談この記事での答え
理論から始めるべき?理論から始めて直流回路は早めに通過する
過去問の丸暗記で受かる?答えではなく解き方の型を覚える
公式が多すぎる元の式と導ける式に分ける
コンデンサの直列が和になる?回路を描き直してつながり方を確かめる

よくある質問

電験三種の理論の試験時間と問題数は?

試験時間は90分で、A問題14題とB問題3題(選択問題を含む)が出ます。各科目とも五肢択一です。

理論の出題範囲はどこまでですか?

試験センターの公表では、電気理論、電子理論、電気計測及び電子計測の3つです。分野に分けると、直流回路・静電気・電磁気・交流回路・三相交流・電子理論・計測になります。

理論はどの分野から勉強すればいいですか?

直流回路から始めて、静電気と電磁気、交流回路、三相交流へ進む順番が目安です。電子理論と計測は最後にまとめて取り組むと進めやすいです。

理論の合格基準は何点ですか?

原則60点(100点満点)です。問題の難しさなどで調整される回もあるので、最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

文系でも理論は勉強できますか?

できます。受験資格の制限もなく、分数や1次方程式の計算から順に積み上げれば進められます。不安な方は、テキストに入る前に中学・高校の数学の計算を少し復習しておくと楽になります。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種の理論の範囲は電気理論・電子理論・電気計測及び電子計測
  • 試験は90分、A問題14題とB問題3題(選択問題を含む)
  • 理論の式は電力・機械・法規の計算の道具になる
  • 直流回路から始めて交流・三相へ広げる順番が目安
  • 計算ミスの多くは単位と向きの取り違え
  • 過去問は答えでなく解き方の型を覚える

試験の形や合格基準は年度ごとの受験案内で示されます。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

電験の全体像は電験とは?で紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次