電験の1種・2種・3種の違い|範囲・試験・難しさを一覧で比べる

電験の1種・2種・3種の違いを、監督できる範囲と試験の受け方で比べる記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験には1種・2種・3種があると聞いても、『何がどう違うのか、いまいちピンとこない』という方は多いですよね。

結論から言うと、違いは「監督できる電圧の範囲」と「試験の受け方」の2つです。3種は5万V未満、2種は17万V未満、1種はすべての事業用電気工作物が範囲で、3種だけ年2回の1段階の試験です。

この記事を読むと、電験の1種・2種・3種の違いを1枚の表でつかめて、自分がどこから始めればいいかも分かります。

目次

電験の1種・2種・3種の違いを1枚の表で比べる

先に結論

数字が小さいほど監督できる範囲が広くなります。試験は3種が年2回・4科目の1段階、1種と2種は年1回・一次と二次の2段階です。

『結局、何が違うのかを一度にまとめて見たい』という方のために、令和8年度(2026年度)の受験案内と試験センターの公表値をもとに1枚の表にしました。

比べる点電験三種電験二種電験一種
監督できる電圧5万V未満(出力5千kW以上の発電所などを除く)17万V未満すべて
例になる施設ビル、工場、コンビニ、5千kW未満の発電所大規模な工場、大型の商業施設、5千kW以上の発電所電力会社の発電所・変電所・送電線
試験の回数年2回(上期・下期)年1回年1回
試験の形4科目・五肢択一(CBTか筆記を選ぶ)一次4科目はマーク、二次2科目は記述一次4科目はマーク、二次2科目は記述
受験手数料(インターネット申込み)7,700円13,800円13,800円
合格率(令和7年度)上期12.9%・下期13.1%一次35.0%・二次16.5%一次32.0%・二次31.7%
受験資格制限なし制限なし制限なし

書面申込みの受験手数料は、三種が8,100円、二種と一種が14,200円です。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

電験の三種・二種・一種を、監督できる範囲・試験の回数・試験の形の3つの点で横に並べて比べた図解

表を見ると、一次の科目名は3つとも理論・電力・機械・法規で同じです。三種で学んだ内容が、そのまま二種・一種の土台になるということなんです。

一方で、二種と一種の違いは、表の上では範囲と合格率くらいしか目立ちません。実際には一次の問題数や二次で問われる深さが違うので、あとの見出しでくわしく見ていきます。

呼び方は「種」で数える

電験の1・2・3種は、ひとまとめに「電験123」と呼ばれることもあります。数字の書き方も「電験三種」「電験3種」とばらばらですが、どれも同じ資格です。

正式な名前は「第三種電気主任技術者」のように「種」で数えます。「電験3級」は正式な呼び方ではありません。呼び方の話は電験3級・2級という呼び方は正しい?で紹介しています。

電験そのものの仕組みは電験とは?で紹介しています。

監督できる範囲の違いは「電圧」と「施設の大きさ」

上の種は下の種の範囲もすべて含む

2種の範囲(17万V未満)には3種の範囲(5万V未満)が入り、1種はそのすべてを含みます。上の種を持っていれば、下の種の設備も担当できます。

『5万Vとか17万Vと言われても、どんな建物なのか想像しにくい』という方もいますよね。

試験センターと経済産業省の資料に出てくる例で考えると、イメージがわきやすくなります。

設備の例担当できる種
オフィスビル、中規模の工場、コンビニ三種・二種・一種
出力5千kW未満の発電所三種・二種・一種
大規模な工場、大型の商業施設二種・一種
出力5千kW以上の発電所二種・一種
電力会社の基幹の発電所・変電所・送電線一種

例えば、街のビルの屋上にある受変電設備(キュービクル)の多くは三種の範囲です。一方で、5万V以上で受電する大きな工場は、二種以上が必要になります。

職場では、こんな会話を聞くこともあるかもしれません。

「この工場は受電の電圧が高いから、三種じゃなくて二種の人が選任されているんだよ」
「なるほど、電圧で必要な種が決まるんですね」

3つとも同じ「電気主任技術者」

範囲は違っても、仕事の中身は同じ電気主任技術者です。電気設備の工事・維持・運用について、保安の監督をします。

電気事業法では、事業用電気工作物の設置者は電気主任技術者を選任しなければなりません。どの種の免状を持つ人を選任するかは、その設備の電圧や規模で決まるわけです。

外部委託を受ける時の実務経験も種で違う

ビルや工場の保安の仕事には、電気保安法人などが設置者から委託を受ける「外部委託」という形もあります。経済産業省の資料では、令和5年1月末時点の選任の形の91%が外部委託でした。

委託を受ける側になるには、免状に加えて実務経験が要ります。その年数も種によって違います。

免状外部委託を受けるのに必要な実務経験
第一種3年以上
第二種4年以上
第三種5年以上

講習の受講などで短くなる場合もあります。上の種ほど必要な年数が短いのも、1種・2種・3種の違いの1つです。

3つとも免状に有効期限はない

一種・二種・三種のどれも、免状に有効期限や更新の制度はありません。一度取れば、原則としてずっと使えます。

試験の違いは「回数」「段階」「科目合格」

3種と、1種・2種で試験の形が大きく違う

3種は年2回で1段階、1種と2種は年1回で一次と二次の2段階です。科目合格の残り方も違います。

『電験2種と3種、試験はどれくらい違うの?』と気になる方も多いはずです。

一番大きな違いは、試験の段階と回数です。科目合格の仕組みまで並べると、計画の立て方がまったく変わることが分かります。

比べる点電験三種電験二種・一種
段階1段階(理論・電力・機械・法規)一次(理論・電力・機械・法規)と二次(電力・管理、機械・制御)
解答の形五肢択一一次はマーク、二次は記述
受け方CBT方式か筆記方式を選ぶ筆記のみ
科目合格の免除申請で最大連続5回(約2年半)一次の科目合格は翌年度・翌々年度の2回
合格基準各科目原則60点(調整あり)年度ごとに公表

三種は令和4年度から年2回、令和5年度からCBT方式が始まりました。年2回あるので、科目合格を積み上げやすいのが特徴です。

一次の問題数も種で違う

同じ4科目でも、解く問題の数は種によって違います。令和8年度の受験案内で並べました。

種1科目で解く問題の数
三種理論・電力・機械はA問題14題とB問題3題、法規はA問題10題とB問題3題
二種(一次)各科目A問題4題とB問題3題
一種(一次)各科目A問題4題とB問題2題

二種・一種の一次は問題の数が少ないぶん、1問ごとに深く考える力が要ります。三種は問題の数が多く、時間の中で手早く解く練習が大事なんです。

1年の予定の違い

令和8年度の日程で比べると、1年の動き方の違いがよく分かります。

種申込み試験
三種 上期5月18日から6月4日CBT方式は7月16日から8月9日、筆記方式は8月30日
三種 下期11月9日から11月26日CBT方式は令和9年2月4日から2月28日、筆記方式は令和9年3月21日
二種・一種5月18日から6月4日一次は8月30日、二次は11月15日

三種は半年ごとにチャンスがあり、二種・一種は夏から秋にかけての1回勝負です。最新の日程は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

二次試験の記述がいちばんの差

二種と一種の二次は、問題を選んで記述で答える試験です。電力・管理は6題中4題を選んで120分、機械・制御は4題中2題を選んで60分です(令和8年度)。

三種は選択肢から答えを選べば点になりますが、二次では式や説明を自分で書く必要があります。電験3種と2種の差を感じやすいのは、まさにこの部分なんです。

二種の試験の中身は電験二種の試験でくわしく紹介しています。

よくある勘違い

「二種は三種の問題が少し難しくなっただけ」と考えてしまうことです。一次は三種の延長で学べますが、二次の記述は別の練習が要ります。

難しさの違いを合格率で見る

合格率の数字だけで難しさは比べられない

三種は1回あたり1〜2割、二種・一種は一次・二次それぞれの合格率があります。受ける人の層が違うので、数字だけで単純には比べられません。

『結局、1種と2種と3種はどれくらい難しさが違うの?』と気になりますよね。

まずは試験センターの公表値を並べてみます。

年度三種(上期/下期)二種(一次/二次)一種(一次/二次)
令和5年度16.6%/21.2%24.5%/17.7%33.0%/17.9%
令和6年度16.0%/16.8%28.9%/18.9%29.9%/15.6%
令和7年度12.9%/13.1%35.0%/16.5%32.0%/31.7%

三種の令和5年度の合格率は、受験者数と合格者数から計算した値です。

数字の見方のコツ

表だけ見ると、一種の一次の合格率は三種より高く見えます。ただ、一種を受ける人の多くは、三種や二種の勉強を通ってきた人だと考えられます。

さらに二種・一種は、一次と二次の両方に受かって初めて合格です。一次を通った人の中で二次の合格率が2割を切る年もあるので、通しで見るとかなり狭い道になります。

科目合格の多さも見ておきたいところです。令和7年度は、三種の科目合格率が上期27.7%・下期27.6%でした。二種の一次では3,493人(48.4%)、一種の一次では688人(43.8%)が、4科目合格のほかに科目合格をしています。

どの種も、その回で4科目そろって受かる人より、科目合格の人の方が多いことが分かりますね。

受験者の人数も大きく違います。令和7年度は、三種が1回あたり2万4千人ほど、二種の一次が7,211人、一種の一次が1,569人でした。

勉強でつまずきやすいところの違い

数字のほかに、勉強していて壁に感じやすいところも種で違います。

種つまずきやすいところ
三種4科目の範囲の広さと、理論の計算の土台になる数学
二種一次の深さに加えて、二次で式や説明を書く記述
一種二種よりさらに深い内容と、記述で筋道を立てて書く力

例えば三種の勉強では『分数の式変形で手が止まる』という声をよく聞きます。二種に進むと、今度は『計算はできるけど、書いて説明できない』という悩みに変わっていくんですね。

三種の数字の推移は電験三種の合格率と合格者数の推移で紹介しています。

どこから始める?判定フローと、三種から二種へ増える勉強

迷ったら三種から。土台ができてから二種・一種へ

受験資格がないので、どの種から受けることもできます。ただ、試験の範囲は三種の内容が土台なので、三種から順に進む人が多いです。

『いきなり二種から受けた方が早いのでは?』と考える方もいるかもしれません。

ルール上は問題ありません。今の自分の状況で、次の順番に答えてみてください。

どの種から始めるかの判定フロー
  1. 電気の勉強がはじめて、または数学に不安があるなら、三種から始める
  2. 三種の範囲の計算と知識がすでにあるなら、次の質問へ進む
  3. 仕事で5万V以上の設備を担当する予定があるなら、二種を考える
  4. 予定がなく、今の仕事が三種の範囲なら、三種を確実に取る
  5. 二種を持っていて、電力会社の基幹の設備に関わりたいなら、一種を考える

例えば「ビルメンテナンス2年目で、第二種電気工事士は持っている」という場面なら、まず三種で4科目の土台を固めるのが無理のない順番です。

電気の勉強がはじめてかどうか、担当する設備の電圧はどうかの質問に答えて、三種・二種・一種のどこから始めるかを決める判定フローの図解

三種から二種へ上がる時に増える勉強

三種に受かったあと、二種に向けて増える勉強を表にしておきますね。

増えるもの中身
一次の深さ4科目は同じだが、三種より踏み込んだ内容になる
二次の記述電力・管理、機械・制御を記述で答える練習
計画の長さ年1回の試験に合わせて、年単位で計画を立てる
科目合格の残し方一次の科目合格は2回分なので、3年で4科目をそろえる枠で考える

『三種の勢いのまま行けるかな』と思う方もいますよね。一次は三種の延長で学べますが、二次の記述は早めに過去の問題を見ておくと安心です。

二種のことは電験二種とは?で、一種のことは電験一種とは?でくわしく紹介しています。

電験3種から電験2種へ続けて狙う時の計画例

三種と二種を続けて狙う時は、三種の年2回と二種の年1回をどう組み合わせるかがポイントです。例えば、次のような組み立て方があります。

時期やること
1年目三種の上期・下期で4科目をそろえる(科目合格を使ってもよい)
2年目二種の一次の科目を2つほど決めて夏に受ける
3年目二種の一次の残りの科目と、二次の記述の練習を進める

年数はあくまで組み立て方の例です。三種の科目合格が残っているうちは三種を優先し、そろってから二種の一次に移ると、勉強が散らばりにくくなります。

試験以外で上の種へ進む道

三種の免状を持って、電圧1万V以上の設備で5年以上の保安監督の実務経験を積むと、二種の資格を得る道があります。二種から一種も同じように、実務経験5年の道があります。

試験で進むか、実務経験で進むかは、今の職場の設備で考えるのが現実的です。どちらの道でも、まずは三種の勉強が出発点になります。勉強の進め方に迷ったら、講座の比べ方も見てみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

電験の1種・2種・3種でよくある相談

多いのは「レベルの差」「3種のあとに認定で上がれるか」

知恵袋などでは、1種・2種・3種の難しさの差や、3種を取ったあとの進み方の相談がよく見られます。

よく見かける相談から、4つを選んで答えていきます。

1種・2種・3種は、それぞれ何レベル?

「電験の1種・2種・3種はそれぞれ大卒レベルなどで言うとどれくらいか」という相談がありました。

試験センターは、学歴に当てはめたレベルを公表していません。受験資格の制限もないので、学歴で決まる試験ではないんです。

その代わり、この記事の表のように、範囲・試験の形・合格率で比べるのが確かです。『自分の学歴だと何種まで』と決めつけず、三種の過去の問題を1科目分ながめてみるのがおすすめです。

3種が一番やさしくて、1種は別格?

「3種が一番簡単で、1種の難しさは別格なのか」という相談もありました。

三種は1段階の試験、一種は一次と二次の2段階で、二次は記述式です。試験の形から見ても、一種の方が求められる力は大きいと言えます。

ただ、三種も4科目の範囲が広く、1回の合格率は1〜2割です。『3種なら簡単』と考えず、しっかり計画を立てて取り組みましょう。

3種を取ったあと、2種や1種を認定でもらえる?

「電験3種を取ったあと、2種や1種を認定でもらえるようになるか」という相談です。

はい、その道があります。三種の免状を持って1万V以上の設備で5年以上の保安監督の実務経験を積むと、二種の資格を得る道があります。二種から一種も、5万V以上の設備で5年の実務経験で進む道があります。

申請先は各地域の産業保安監督部などです。くわしくは電験の認定取得とは?で紹介しています。

電験3種に、今も取る価値はある?

「最近は暗記で受かる人も多いと聞くが、電験3種の価値は今もあるのか」という相談もありました。

経済産業省の資料では、太陽電池発電設備などが増え、電気保安の担い手を育てることが課題として挙げられています。電気保安協会などが外部委託で受ける太陽電池発電所は、約14,000件から約32,000件へ2倍以上に増えたとされています。

保安を監督する人が必要とされる場面は、これからも多いと言えます。『価値があるか』より『自分の仕事でどう使うか』で考えるのがおすすめです。

よくある質問

電験の1種・2種・3種で一番違うのは何ですか?

監督できる電圧の範囲です。3種は5万V未満、2種は17万V未満、1種はすべての事業用電気工作物が範囲です。

電験2種と3種は試験のどこが違いますか?

3種は年2回で4科目の1段階です。2種は年1回で、一次(マーク式4科目)と二次(記述式2科目)の2段階です。

いきなり電験2種や1種を受けてもいいですか?

受験資格の制限はないので受けられます。ただ、範囲は3種の内容が土台なので、電気の勉強がはじめての方は3種からが自然です。

上の種を持っていれば、下の種の設備も担当できますか?

できます。2種の範囲には3種の範囲が含まれ、1種はすべての事業用電気工作物が範囲です。

受験手数料はいくらですか?

令和8年度のインターネット申込みで、3種が7,700円、2種と1種が13,800円です。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 電験の1種・2種・3種の違いは、監督できる電圧の範囲と試験の受け方
  • 3種は5万V未満、2種は17万V未満、1種はすべてが範囲
  • 3種は年2回の1段階、2種・1種は年1回で一次と二次の2段階
  • 合格率は受ける人の層が違うので、数字だけで単純に比べない
  • 迷ったら3種から始めて、土台を固めてから2種・1種へ進む
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次