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電験三種の理論で静電気の分野に入ったとたん、『電界と電位の違いがよく分からない』と感じている方も多いですよね。
結論から言うと、電験三種の静電気は、クーロンの法則から静電容量までの5つの式が「どうつながっているか」を押さえれば、計算の見通しがぐっとよくなります。
この記事を読むと、静電気とコンデンサの式の関係と、誘電体を入れた時に何が変わるかの見分け方がつかめます。
静電気の分野で出てくる量を一覧で見る
静電気の量は、力F、電界E、電位V、静電容量C、電荷Qの5つが中心です。「電界は1Cあたりの力」「電位は1Cあたりのエネルギー」と覚えると、式どうしのつながりが見えてきます。
『式がたくさんあって、どれから覚えればいいの?』という声はとても多いです。
まずは、量の名前と単位、代表的な式を表で並べてみます。真空中の点電荷を例にしています。
| 量 | 記号と単位 | 代表的な式 | ひとことで言うと |
|---|---|---|---|
| 静電力(クーロン力) | F〔N〕 | F = Q1Q2 ÷(4πε0 r²) | 電荷どうしが押し合う・引き合う力 |
| 電界の強さ | E〔V/m〕 | E = Q ÷(4πε0 r²) | 1Cの電荷が受ける力 |
| 電位 | V〔V〕 | V = Q ÷(4πε0 r) | 1Cの電荷が持つエネルギー |
| 静電容量 | C〔F〕 | C = Q ÷ V | 電荷をためる力の大きさ |
| 静電エネルギー | W〔J〕 | W = CV² ÷ 2 | コンデンサにたまるエネルギー |
ε0 は真空の誘電率で、約8.85 × 10⁻¹² F/m です。1 ÷(4πε0)は約9 × 10⁹ になるので、計算ではこちらの値をよく使います。
電界と電位の関係
電界は距離の2乗に反比例し、電位は距離に反比例します。距離の乗数が1つ違うだけ、と覚えておくと混ざりにくいですよ。
平行板のように電界がどこでも同じ場所では、V = E × d が成り立ちます。電位差は「電界 × 距離」で出せるんです。
例えば、勉強を始めたばかりの頃はこんな会話になりがちです。
「電界と電位って、名前も似てるし同じようなものでしょ?」
「電界は坂の傾き、電位は坂の高さ、と考えると別物だと分かるよ」
坂が急なほど(電界が強いほど)、少し進むだけで高さ(電位)が大きく変わります。V = E × d は、この関係を式にしたものなんです。
電気力線で電界をイメージする
電界は、電気力線という線で絵にできます。正の電荷から出て、負の電荷に入る線です。
線が混んでいる所ほど電界が強く、線の向きが電界の向きです。点電荷のまわりでは、線が四方に広がるので、離れるほど線がまばらになり、電界が弱くなります。
クーロンの法則と電界を例題で確かめる
クーロンの法則の計算は、9 × 10⁹ に電荷の積を掛けて、距離の2乗で割るだけです。指数の計算を落ち着いて進めれば解けます。
『10の何乗の計算で、いつも桁を間違える』という方もいるかもしれません。自作の例題で、順番に追ってみます。
『真空中で、2 × 10⁻⁶ Cと3 × 10⁻⁶ Cの点電荷を0.3m離して置いた。働く力は?』
- 電荷の積を出す:2 × 10⁻⁶ × 3 × 10⁻⁶ で 6 × 10⁻¹²
- 距離の2乗を出す:0.3² で 0.09
- 9 × 10⁹ を掛けて距離の2乗で割る:9 × 10⁹ × 6 × 10⁻¹² ÷ 0.09 で 0.6N
- 同じ符号なので反発力と判断する
同じ電荷で電界と電位も出してみる
2 × 10⁻⁶ Cの電荷から0.3m離れた点の電界は、9 × 10⁹ × 2 × 10⁻⁶ ÷ 0.09 で 2 × 10⁵ V/m です。
同じ点の電位は、9 × 10⁹ × 2 × 10⁻⁶ ÷ 0.3 で 6 × 10⁴ V になります。電界は距離の2乗、電位は距離の1乗で割っているところを見比べてみてください。
さきほどの電界 2 × 10⁵ V/m の点に 3 × 10⁻⁶ C の電荷を置くと、力は F = QE で 0.6N です。クーロンの法則の答えと同じになりますね。
コンデンサの直列・並列の合成
コンデンサの並列はそのまま足し算、直列は逆数の和の逆数です。抵抗の合成とちょうど反対なので、ここでつまずく方が多いんです。
『抵抗と同じつもりで計算して、答えが合わない』というのは、静電気の分野でよくある失敗ですよね。
| 比べるところ | 直列 | 並列 |
|---|---|---|
| 合成の式 | 1 ÷ C = 1 ÷ C1 + 1 ÷ C2 | C = C1 + C2 |
| 2つの時の近道 | C1C2 ÷(C1 + C2) | C1 + C2 |
| 共通の量 | 電荷Q | 電圧V |
| 電圧の分かれ方 | 容量の小さいほうに大きくかかる | どれも同じ |
| 抵抗の合成と比べると | 抵抗の並列と同じ形 | 抵抗の直列と同じ形 |
例題:直列の電圧の分かれ方
2μFと3μFのコンデンサを直列にして、100Vをかけたとします。
合成容量は 2 × 3 ÷(2 + 3)で1.2μFです。たまる電荷は 1.2μF × 100V で120μCで、直列なのでどちらのコンデンサにも同じ120μCがたまります。
電圧は Q ÷ C で、2μFには60V、3μFには40Vです。足すと100Vになり、容量の小さいほうに大きな電圧がかかっていると分かります。
例題:並列にした時と3つ以上の時
同じ2μFと3μFを並列にすると、合成容量は5μFです。100Vをかければ、どちらにも100Vがかかり、電荷は200μCと300μCになります。
3つ以上の直列は、逆数を全部足してから逆数に戻します。例えば2μF・3μF・6μFの直列なら、1 ÷ 2 + 1 ÷ 3 + 1 ÷ 6 で1になるので、合成容量は1μFです。

直流の抵抗の合成と見比べたい方は、電験三種の直流回路もあわせて読んでみてください。
誘電体を入れた時の変化を判定表で見分ける
電源につないだままなら電圧Vが一定、切り離したあとなら電荷Qが一定です。どちらが一定かを決めれば、ほかの量の変化は式から決まります。
『誘電体を入れたら、電界は大きくなるの?小さくなるの?』と迷う問題は、実は判定の順番を決めておくとすっきり解けます。
平行板コンデンサの静電容量は C = εS ÷ d です。比誘電率εrの誘電体をすき間いっぱいに入れると、容量はεr倍になります。
数字で見てみます。極板の面積0.01m²、間隔1mmの空気のコンデンサなら、C = 8.85 × 10⁻¹² × 0.01 ÷ 0.001 で約88.5pFです。比誘電率4の誘電体をすき間いっぱいに入れると、約354pFになります。
| 変える操作 | 一定の量 | 静電容量C | 電荷Q | 電圧V | 電界E | エネルギーW |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 誘電体を入れる | V一定(電源につないだまま) | εr倍 | εr倍 | 変わらない | 変わらない | εr倍 |
| 誘電体を入れる | Q一定(切り離した) | εr倍 | 変わらない | 1 ÷ εr倍 | 1 ÷ εr倍 | 1 ÷ εr倍 |
| 極板の間隔を2倍 | V一定(電源につないだまま) | 2分の1 | 2分の1 | 変わらない | 2分の1 | 2分の1 |
| 極板の間隔を2倍 | Q一定(切り離した) | 2分の1 | 変わらない | 2倍 | 変わらない | 2倍 |

- 電源につないだままか、切り離したかを問題文から読む
- 一定の量(VかQ)を決める
- C = εS ÷ d で静電容量の変化を出す
- Q = CV、E = V ÷ d、W = CV² ÷ 2 で残りを決める
例えば、間隔を2倍にして電荷が一定なら、電圧は2倍になります。ただ距離も2倍なので、電界 E = V ÷ d は変わらない、という流れです。
『電界が変わらないのに、エネルギーは2倍になるの?』と不思議に感じますよね。
極板どうしは引き合っているので、間隔を広げるには外から仕事をしなければなりません。その仕事のぶんだけ、たまるエネルギーが増えると考えると納得できます。
静電気の式は、ほかの分野の式と並べて覚えると忘れにくくなります。電験三種の公式まとめも役立ててみてください。
静電気の分野の勉強の進め方
静電気は、クーロンの法則から順に式がつながっています。ひとつずつ導けるようにしておくと、初めて見る問題でも手が動きます。
『公式は覚えたのに、過去問だと解けない』という方も多いはずです。過去問に入る前に、次の項目を確かめておきましょう。
- 電界と電位の違いを、自分の言葉で言えるか
- 9 × 10⁹ を使った指数の計算で、桁を間違えないか
- コンデンサの直列・並列を、抵抗と取り違えずに合成できるか
- 電圧一定か電荷一定かを、問題文から読み取れるか
- 静電エネルギーの式を、Q = CV で書きかえられるか
静電気が終わったら、次は磁気の分野に進む方が多いです。電界と磁界は似た形の式が出てくるので、電験三種の電磁気で見比べながら進めてみてください。理論全体の順番は電験三種の理論で紹介しています。
ひとりで式の意味がつかめない時は、図や動画で説明してくれる講座を使う方法もあります。
電験ガイド
独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ
電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。
講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。
静電気とコンデンサでよくある相談
知恵袋には、式の意味や、充電したコンデンサどうしをつないだ時の考え方についての相談が多く見られます。よくあるものを選んで答えます。
相談1:V = W ÷ Q の「電位はエネルギー÷電荷」がピンとこない
電位はエネルギーを電荷で割った値、という説明がイメージできない、という相談があります。
1Cの電荷を、その場所まで運んでくるのに要る仕事が電位だと考えてみてください。高い所ほど位置エネルギーが大きいのと同じで、電位が高い場所ほど1Cあたりのエネルギーが大きいんです。
相談2:平行板の電界は V = Ed と E = Q ÷(εS)のどっち?
平行板コンデンサの内部の電界を出す式が2つあって、どちらを使えばいいのか、という相談もあります。
結論から言うと、どちらも同じ値になります。Q = CV と C = εS ÷ d を組み合わせると、Q ÷(εS)は V ÷ d に書きかえられるからです。手元にある値で選べば大丈夫です。
相談3:充電したコンデンサを別のコンデンサにつないだら?
2つのコンデンサをつないだ時の電荷と電圧の考え方が分からない、という相談も多いです。
ポイントは、つなぐ前とあとで電荷の合計が変わらないことです。例えば100Vで充電した2μF(電荷200μC)を、空の3μFにつなぐと、電圧は 200 ÷(2 + 3)で40Vになります。
『エネルギーも変わらないのでは?』と思いますよね。実は、つなぐ前の0.01Jがつないだあとは0.004Jに減ります。減ったぶんは、つないだ時の電線の熱などに変わったと考えます。
相談4:理論の分野はどの順番で進める?
静電気・磁気・直流回路・交流回路・三相交流などの分野を、どの順番で勉強すればいいのか、という相談もあります。
決まった正解はありませんが、直流回路から入り、静電気、磁気、交流回路と進める方が多いです。静電気と磁気は似た形の式が多いので、続けて学ぶと見比べやすくなりますよ。
よくある質問
電験三種の静電気で最初に覚える式は何ですか?
クーロンの法則 F = Q1Q2 ÷(4πε0 r²)と、Q = CV です。ここから電界・電位・静電エネルギーの式につなげていくと覚えやすくなります。
電界と電位の違いは何ですか?
電界は1Cの電荷が受ける力で、単位はV/mです。電位は1Cの電荷が持つエネルギーで、単位はVです。点電荷では、電界は距離の2乗、電位は距離に反比例します。
コンデンサの合成は抵抗と何が違いますか?
コンデンサは並列が足し算、直列が逆数の和の逆数で、抵抗とちょうど反対です。直列では電荷が、並列では電圧が共通になります。
静電エネルギーの式はいくつ覚えればいいですか?
W = CV² ÷ 2 を1つ覚えておけば十分です。Q = CV を使うと、QV ÷ 2 や Q² ÷(2C)にも書きかえられます。電荷が一定の問題では Q² ÷(2C)の形が便利です。
誘電体を入れると電界はどう変わりますか?
電源につないだままなら電圧が一定なので、電界は変わりません。電源から切り離したあとなら電荷が一定なので、電界は比誘電率の分だけ小さくなります。
まとめ
- 静電気の量は、力・電界・電位・静電容量・電荷の5つが中心
- 1 ÷(4πε0)は約9 × 10⁹ として計算する
- コンデンサの合成は抵抗と逆で、直列は電荷、並列は電圧が共通
- 誘電体や間隔の変化は、電圧一定か電荷一定かを先に決める
- つないだ時は電荷の合計が保たれる
電験の全体像は電験とは?で紹介しています。





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