電験三種の電磁気|磁界・電磁力・電磁誘導の要点

電験三種の電磁気を、磁界・電磁力・電磁誘導の考え方で紹介する記事のアイキャッチ

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電験三種の理論で磁気の分野に入ると、『左手と右手、どっちを使うんだっけ?』と毎回迷ってしまう方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の電磁気は「電流が磁界をつくる」「磁界の中の電流が力を受ける」「磁界が変わると電圧が生まれる」の3つの流れに分けると、すっきり頭に入ります。

この記事を読むと、電磁気の式のつながりと、フレミングの法則の使い分け、機械の科目とのつながりがつかめます。

目次

電磁気で出てくる量と式を表で見る

先に結論

電磁気の量は、磁界の強さH、磁束密度B、磁束Φ、電磁力F、誘導起電力e、インダクタンスLの6つが中心です。B = μH と Φ = BS の2つで、量どうしがつながります。

『磁界と磁束密度って、何が違うの?』というところで止まる方は多いです。

まず、名前と単位、代表的な式を表にまとめます。

量記号と単位代表的な式ひとことで言うと
磁界の強さH〔A/m〕直線電流なら H = I ÷(2πr)電流がつくる磁気の強さ
磁束密度B〔T〕B = μH1m²あたりの磁束の量
磁束Φ〔Wb〕Φ = BS面を通る磁気の線の総量
電磁力F〔N〕F = BIl磁界の中の電流が受ける力
誘導起電力e〔V〕e = N × ΔΦ ÷ Δt磁束が変わると生まれる電圧
インダクタンスL〔H〕e = L × ΔI ÷ Δt電流の変化をじゃまする度合い

μは透磁率で、真空中は μ0 = 4π × 10⁻⁷ H/m です。鉄心のように透磁率の大きい物を入れると、同じ磁界でも磁束密度がぐっと大きくなります。

磁界と磁束密度のちがいをたとえで

磁界Hは「電流がどれだけ磁気を押し出そうとしているか」、磁束密度Bは「実際にどれだけ磁束が通っているか」と考えてみてください。

同じ力で押しても、空気中より鉄心の中のほうが、たくさんの磁束が通ります。その「通しやすさ」が透磁率μなんです。

電流がつくる磁界を計算する

向きは右ねじ、大きさは形ごとの式

電流のまわりの磁界の向きは、右ねじの法則で決まります。大きさは、直線・円形コイル・ソレノイドの3つの形の式を使い分けます。

『形ごとに式が違って覚えにくい』と感じますよね。3つの形を並べて見比べると、違いがはっきりします。

電流の形磁界の強さの式覚えるポイント
長い直線電流H = I ÷(2πr)円周の長さ2πrで割る
円形コイルの中心H = NI ÷(2r)巻数Nを掛けて直径2rで割る
長いソレノイドの内部H = nInは1mあたりの巻数

例題:直線電流と円形コイル

自作の数値で計算してみます。

10Aの直線電流から0.5m離れた点の磁界は、10 ÷(2π × 0.5)で約3.18A/mです。

巻数10、半径0.1mの円形コイルに2Aを流すと、中心の磁界は 10 × 2 ÷(2 × 0.1)で100A/mになります。

平行な2本の電流は引き合う?反発する?

2本の平行な電線に電流を流すと、お互いがつくる磁界の中にいるので、電磁力が働きます。

同じ向きの電流なら引き合い、反対向きなら反発します。1mあたりの力は F = μ0 I1 I2 ÷(2πr)で、10Aどうしを0.1m離すと 2 × 10⁻⁴ N になります。

「同じ向きは引き合う」は磁石と逆

磁石は同じ極どうしが反発しますが、電流は同じ向きどうしが引き合います。ここは逆なので、取り違えないようにしておきましょう。

フレミングの左手と右手の使い分けを判定する

「力を求める」なら左手、「電圧を求める」なら右手

左手は、電流が流れているところに磁界があって、力が生まれる時に使います。右手は、導体を動かしたことで電圧が生まれる時に使います。

『左手は電動機、右手は発電機って覚えたけど、問題になると分からなくなる』という方も多いはずです。

実は、問題文の「何が与えられて、何を求めるか」を見れば、迷わず選べます。

比べるところフレミングの左手の法則フレミングの右手の法則
与えられるもの電流と磁界導体の動きと磁界
求めるもの力の向き(電磁力)電圧・電流の向き(誘導起電力)
代表的な式F = BIle = Blv
機械の例電動機(電気から回る力)発電機(回す力から電気)
指の意味(中指・人差し指・親指)電流・磁界・力電流・磁界・動き
問題文で与えられるものと求めるものから、フレミングの左手と右手のどちらを使うか判定する手順の図解
左手か右手かを決める手順
  1. 問題文で、電流が先に流れているか、導体が動かされているかを見る
  2. 電流が先なら左手、動きが先なら右手を選ぶ
  3. 中指・人差し指・親指に、電流・磁界・力(または動き)を当てる
  4. 大きさは F = BIl か e = Blv で出す

例題:同じ数値で左手と右手を比べる

磁束密度0.5Tの磁界の中に、長さ0.4mの導体が磁界と直角に置かれているとします。

導体に10Aを流すと、力は 0.5 × 10 × 0.4 で2Nです。こちらは左手の場面ですね。

同じ導体を磁界と直角に10m/sで動かすと、電圧は 0.5 × 0.4 × 10 で2Vです。こちらは右手の場面になります。導体が磁界と斜めの時は、直角の成分(sinθを掛けた分)だけで計算します。

電磁誘導とインダクタンス

磁束が「変わる」時だけ電圧が生まれる

ファラデーの法則では、誘導起電力は磁束の変化の速さに比例します。向きは、変化をじゃまする向き(レンツの法則)です。

『磁石をコイルの中に置いておくだけでは、電気は生まれないの?』と思いますよね。

そのとおりで、磁束がずっと同じなら電圧は生まれません。磁石を出し入れして磁束を変えている間だけ、電圧が生まれるんです。

例えば、巻数100のコイルを通る磁束が、0.1秒の間に0.02Wb変わったとします。誘導起電力は 100 × 0.02 ÷ 0.1 で20Vです。

レンツの法則で向きを決める

誘導起電力の向きは、「磁束の変化をじゃまする向きに電流を流そうとする向き」です。これがレンツの法則です。

例えば、コイルに磁石のN極を近づけると、コイルを通る磁束が増えます。するとコイルは、近づくN極を押し返すように、磁石側がN極になる向きに電流を流そうとします。

式に出てくるマイナスの記号(e = −N × ΔΦ ÷ Δt)は、この「じゃまする向き」を表しています。大きさだけを聞かれた時は、マイナスを気にせず計算して大丈夫です。

自己インダクタンスと相互インダクタンス

自分の電流の変化で自分に電圧が生まれるのが自己誘導で、その度合いが自己インダクタンスLです。となりのコイルの電流の変化で電圧が生まれるのが相互誘導で、度合いは相互インダクタンスMです。

比べるところ自己インダクタンスL相互インダクタンスM
電圧を生むもの自分の電流の変化相手のコイルの電流の変化
起電力の式e = L × ΔI ÷ Δte = M × ΔI ÷ Δt
よく出る式W = LI² ÷ 2(ためるエネルギー)M = k√(L1L2)(kは結合係数)
機械での例回路の電流の変化をなだらかにする変圧器

0.5Hのコイルの電流が、0.2秒で4A変わると、自己誘導の起電力は 0.5 × 4 ÷ 0.2 で10Vです。4A流れている時にためているエネルギーは、0.5 × 4² ÷ 2 で4Jになります。

合成インダクタンスは向きで変わる

2つのコイルを直列につなぐ時、磁束が強め合う向き(和動)なら L1 + L2 + 2M、打ち消し合う向き(差動)なら L1 + L2 − 2M です。

例えば、L1 = 0.3H、L2 = 0.2H、M = 0.1H なら、和動で0.7H、差動で0.3Hになります。問題文の「和動」「差動」の言葉を見落とさないようにしましょう。

機械科目の電動機・発電機とのつながり

機械の科目は、電磁気の応用問題の集まり

直流機・誘導機・同期機・変圧器は、どれも電磁力か電磁誘導で動いています。理論の電磁気がつかめていると、機械の科目の式の意味が分かりやすくなります。

『機械の科目は暗記が多くて大変そう』と思われがちですが、実は中身の多くは電磁気の考え方でできているんです。

機械の科目の機器使っている電磁気の考え方理論で押さえておくこと
直流電動機電磁力(左手)F = BIl
直流発電機電磁誘導(右手)e = Blv
変圧器相互誘導磁束の変化と巻数の関係
誘導電動機回転磁界と電磁誘導磁束の変化で電流が生まれること
同期発電機電磁誘導磁束を回して電圧を生むこと
電磁気の電磁力と電磁誘導が、機械の科目の電動機・発電機・変圧器につながることを示した図解

例えば、勉強仲間とこんな話をすることがあります。

「直流機の起電力の式、丸暗記するしかないのかな」

「e = Blv を、導体の本数と回る速さで書きかえただけだよ」

理論で式の意味をつかんでおけば、機械の科目で新しい式が出てきても、どこから来たのか見当がつくんです。直流機は電験三種の直流機、誘導機は電験三種の誘導機で紹介しています。

機械の科目に進む前の電磁気のチェック
  • 左手と右手を、問題文から選び分けられるか
  • F = BIl と e = Blv を、図を見ながら使えるか
  • 磁束が変わる時だけ電圧が生まれる理由を言えるか
  • 相互誘導と変圧器のつながりを説明できるか

理論全体の進め方は電験三種の理論で見られます。式の意味をひとりでつかむのが不安な方は、図や動画で説明してくれる講座を使う方法もあります。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

電磁気でよくある相談

相談が多いのは「高校物理との差」と「式の意味」

知恵袋には、高校物理の電磁気とのちがいや、解説の式の意味が分からないという相談が多く見られます。よくあるものを選んで答えます。

相談1:電験三種と高校物理の電磁気、どちらが難しい?

電験三種の電磁気と、高校物理の電磁気はどちらが難しいのか、という相談があります。

扱う法則は重なる所が多いですが、電験三種は単位をそろえて数値を最後まで計算する問題が中心です。高校物理を学んだ方なら、法則の名前はなじみがあるはずなので、計算練習に時間を回すと進めやすいですよ。

相談2:解説で「磁気力F = 磁界の強さH」となるのはなぜ?

問題の解説で、磁気力と磁界の強さが同じ値になっている理由が分からない、という相談もあります。

磁界の強さHは、1Wbの磁極が受ける力として決められています。磁極mが受ける力は F = mH なので、mが1Wbなら F と H は同じ値になるんです。

相談3:高校物理はどの範囲が要る?

電験三種のために、高校物理のどの範囲を学べばいいのか、という相談もあります。

理論で直接使うのは電気と磁気の範囲です。そのほか、電子の運動の問題では力と運動の考え方を、機械の科目では回転の力(トルク)の考え方を使います。『物理を全部やり直さないと…』と気負わず、必要な所から戻ってみてください。

相談この記事での答え
高校物理とどちらが難しい?法則は重なる。電験は数値を最後まで出す計算が中心
磁気力F = 磁界Hになる理由は?1Wbの磁極が受ける力がHだから
高校物理はどこが要る?電気と磁気、それに力と運動・回転の考え方

よくある質問

電験三種の電磁気で最初に覚えることは何ですか?

電流が磁界をつくること、磁界の中の電流が力を受けること、磁束が変わると電圧が生まれることの3つです。それぞれ、右ねじの法則、フレミングの左手の法則、ファラデーの法則に当たります。

フレミングの左手と右手はどう使い分けますか?

電流と磁界から力を求める時は左手、導体の動きと磁界から電圧を求める時は右手です。左手は電動機、右手は発電機の考え方に当たります。

磁界の強さと磁束密度の違いは何ですか?

磁界の強さHは電流がつくる磁気の強さで、単位はA/mです。磁束密度Bは実際に通っている磁束の量で、単位はTです。B = μH の関係があります。

誘導起電力の式のマイナスは何を表していますか?

磁束の変化をじゃまする向きに電圧が生まれる、というレンツの法則を表しています。大きさを求める問題では、マイナスを外して計算します。

電磁気は機械の科目でも使いますか?

使います。直流機・誘導機・同期機・変圧器は、どれも電磁力か電磁誘導で動いているので、理論の電磁気が土台になります。

まとめ

この記事の要点
  • 電磁気は「電流が磁界をつくる」「電流が力を受ける」「磁束の変化で電圧が生まれる」の3つの流れ
  • 磁界の式は、直線・円形コイル・ソレノイドで使い分ける
  • 力を求めるなら左手、電圧を求めるなら右手
  • 誘導起電力は磁束が変わる時だけ生まれる
  • 機械の科目の電動機・発電機・変圧器の土台になる

電験の全体像は電験とは?、静電気の分野は電験三種の静電気とコンデンサで紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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