電験三種の照明・電熱・電気化学|暗記と計算の要点

電験三種の照明・電熱・電気化学を、暗記する所と計算する所に分けて整理する記事のアイキャッチ

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機械の勉強で、『照明や電熱は後回しにしていたけど、どこまでやればいいのか分からない』と迷っている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の照明と電熱は「用語をそろえて覚える所」と「決まった手順で計算する所」に分けると、短い時間でも形になります。

この記事を読むと、照明・電熱・電気化学の要点と、例題を使った計算の流れが分かります。

目次

電験三種の照明・電熱はどこで出る?

先に結論

照明・電熱・電気化学は、どれも機械科目の出題範囲に入っています。回転機や変圧器とは別の、電気を使う側の分野です。

電気技術者試験センターが公表する機械科目の範囲を見てみましょう。電気機器やパワーエレクトロニクスと並んで、照明・電熱・電気化学・電気加工が書かれています。

『機械なのに照明?』と不思議に思った方もいるかもしれません。

実は機械科目は、電気をつくる・変える機械だけでなく、電気で光や熱を得る技術まで広く含む科目なんです。機械科目全体の進め方は電験三種の機械の攻め方で紹介しています。

3つの分野で覚える量と計算の量を比べる

分野ごとに、覚える中心と計算の中心を表にしました。この表を見て、どこから手をつけるか決めてみてください。

分野主に覚えること主に計算すること
照明光束・光度・照度・輝度の意味と単位、光源の種類逆二乗則で照度を出す、必要な灯数を出す
電熱熱の伝わり方、加熱の方式、単位の換算水などを温める熱量と時間、効率
電気化学電池の種類、電気分解の仕組みファラデーの法則で析出する量を出す
電験三種の照明・電熱・電気化学を、覚える所と計算する所の2列に分けて並べた図解

照明の用語(光束・光度・照度・輝度)を表で見る

4つの用語は「光のどこを測るか」で分ける

光束は光の量そのもの、光度はある向きへの強さ、照度は照らされた面の明るさ、輝度は見た目のまぶしさです。

『光束と光度、照度と輝度がいつも混ざる』という声は本当によく聞きます。

ここは単位と一緒に表で覚えるのが近道です。

用語何を表すか単位イメージ
光束光源から出る光の量lm(ルーメン)蛇口から出る水の量
光度ある向きへの光の強さcd(カンデラ)ある向きに向けたホースの勢い
照度面に届いた光の量(面積あたり)lx(ルクス)床がどれだけ濡れたか
輝度ある向きから見た明るさcd/m²見た時のまぶしさ

例えば、同じ電球でも机の位置を遠ざけると、机の上の照度は下がります。一方で、電球そのものの光度は変わりません。

言葉にすると、こんなやりとりです。

「同じ電球なのに、机を離すと暗くなるのはなぜ?」
「電球の光度は同じでも、机に届く光が減って照度が下がるからだよ」

照明の光束・光度・照度・輝度の4つの用語を、電球と机の絵で光のどこを測るかに分けて示した図解

照度の計算は逆二乗則と角度

点光源から距離 r の点の照度は、光度 I を使って E = I ÷ r² で求めます。これが逆二乗則です。

光が面に斜めに当たる時は、cosθを掛けます。水平面の照度は E = I × cosθ ÷ r² です。

例題1:真下と斜めの照度

自作の例題で確かめます。

『光度200cdの点光源が床から2mの高さにある。真下の床と、真下から水平に2m離れた床の照度は?(光度はどの向きも同じとする)』

例題1の解き方
  1. 真下:200 ÷ 2² で50lx
  2. 斜めの点までの距離:√(2² + 2²)で2√2m、2乗すると8
  3. cosθ:高さ2 ÷ 距離2√2 で約0.707
  4. 斜めの点の水平面照度:200 × 0.707 ÷ 8 で約17.7lx

距離が遠くなるうえに斜めから当たるので、真下の3分の1ほどまで暗くなることが分かりますね。

例題2:部屋に必要な照明器具の数

部屋全体を明るくする計算には、光束法を使います。必要な灯数 N は、N = E × A ÷(F × U × M)で求めます。

E は目標の照度、A は床の面積、F は1灯あたりの光束です。U は照明率、M は保守率で、どちらも1より小さい値になります。

『10m×8mの事務室を平均照度500lxにしたい。1灯の光束は3,000lm、照明率0.6、保守率0.7とする。必要な灯数は?』

例題2の解き方
  1. 床の面積:10 × 8 で80m²
  2. 必要な光束の合計:500 × 80 で40,000lm
  3. 1灯で実際に使える光束:3,000 × 0.6 × 0.7 で1,260lm
  4. 灯数:40,000 ÷ 1,260 で約31.7、切り上げて32灯

灯数は小数点以下を切り上げます。切り捨てると目標の照度に届かないからなんです。

電熱の熱量計算の手順

電熱は「必要な熱量」から逆算する

電熱の計算は、まず温めたい物に必要な熱量を出し、効率で割ってから、電力と時間の関係に直します。この順番を守るとミスが減ります。

『電熱の問題は単位がバラバラで混乱する』という方も多いはずです。

使う関係は次の3つだけです。

関係式使う場面
物を温める熱量Q = m × c × ΔT質量 m、比熱 c、温度の上がり幅 ΔT
電力と熱量Q = P × t電力 P(kW)と時間 t(s)なら Q は kJ
単位の換算1kW・h = 3,600kJ電力量と熱量を行き来する

水の比熱は約4.18kJ/(kg・K)です。問題文に書かれている値があれば、その値を使いましょう。

例題3:電気湯沸かしの時間

『10kgの水を20℃から80℃まで温める。電熱器の消費電力は2kW、効率は80%とする。かかる時間は?(水の比熱は4.18kJ/(kg・K))』

例題3の解き方
  1. 水に必要な熱量:10 × 4.18 × 60 で2,508kJ
  2. 効率で割る:2,508 ÷ 0.8 で3,135kJ
  3. 時間:3,135 ÷ 2 で1,567.5秒
  4. 分に直す:約26分

電力量で答える問題なら、3,135 ÷ 3,600 で約0.87kW・hです。

加熱の方式と熱の伝わり方

電熱では、計算のほかに加熱の方式の名前と仕組みも問われます。代表的なものを表にしました。

加熱の方式仕組み使われ方の例
抵抗加熱電流を流した抵抗が発熱する電気炉、電気ストーブ
アーク加熱電極の間のアーク放電の熱を使うアーク炉、溶接
誘導加熱交流の磁界で金属に渦電流を流すIH調理器、金属の焼き入れ
誘電加熱高周波の電界で絶縁物の中から温める電子レンジ、木材の乾燥
赤外線加熱赤外線の放射で表面を温める塗装の乾燥

熱の伝わり方は、伝導・対流・放射の3つです。熱伝導の問題では、熱の流れを電流、温度差を電圧、熱抵抗を電気抵抗に置きかえる「熱回路」で考えると、オームの法則と同じ形で解けますよ。

よくある失敗

効率で割るところを、効率を掛けてしまうミスがよくあります。損失があるなら必要な電気は多くなる、と向きを確かめてから計算しましょう。

電気化学(電池・電気分解)の要点

電気分解は「電気の量で析出量が決まる」

ファラデーの法則では、流した電気の量(電流 × 時間)に比例して、電極に出てくる物質の量が決まります。

電気化学は暗記の比重が大きい分野です。ただ、電気分解の量を求める計算だけは、手順を覚えておくと得点源になります。

電池の種類を表で整理

種類特徴例
一次電池使い切りで充電できないマンガン乾電池、アルカリ乾電池
二次電池充電してくり返し使える鉛蓄電池、リチウムイオン電池
燃料電池燃料と酸素の反応から電気を取り出す水素を使う燃料電池
鉛蓄電池の反応も押さえておく

鉛蓄電池は、放電すると正極も負極も硫酸鉛に変わり、電解液の希硫酸は薄くなります。充電すると元の物質に戻り、希硫酸も濃くなります。電解液の濃さで充電の具合が分かる、という点も一緒に覚えておきましょう。

例題4:電気分解で出てくる銅の量

『硫酸銅の水溶液に10Aの電流を965秒流した。陰極に出てくる銅は何gか?(銅の原子量63.5、イオンの価数2、ファラデー定数96,500C/mol)』

例題4の解き方
  1. 流れた電気の量:10 × 965 で9,650C
  2. 電子の量:9,650 ÷ 96,500 で0.1mol
  3. 銅の量:銅は電子2個で1個出るので、0.1 ÷ 2 で0.05mol
  4. 質量:0.05 × 63.5 で約3.18g

「電子の量を出してから、価数で割る」という2段階に分けると、式を丸ごと覚えなくても解けます。

よくある相談:機械の照明・電熱はどこまでやる?

相談の多くは「機械の範囲が広すぎる」悩み

照明・電熱は、機械の中では計算の型が少ない分野です。範囲の広さに疲れた時の、立て直しの場所として使えます。

Yahoo!知恵袋などに寄せられる相談から、テーマに合うものを3つ選んで答えます。

相談1:電動機応用・照明・電熱・電気化学の重要度は?

『4つのうち、どれを優先すればいい?』という相談です。

結論から言うと、優先度は人によって変わります。計算が得意なら照明と電熱、暗記が得意なら電気化学から入るのがおすすめです。

出題の頻度を当てにするより、「自分が短い時間で解けるようになる分野」から固める方が、点数は安定しやすいですよ。

相談2:機械だけ落ちて、2年目にどう勉強すればいい?

『去年は機械だけ落ちた。今年は何を変えればいい?』という相談もあります。

機械は範囲が広いので、回転機と変圧器だけに時間を使い切ってしまうことも。照明・電熱のように型の決まった分野を、週に1回は触れておく形に変えてみてください。

科目合格の免除を使って機械に集中できる年なら、なおさら取りこぼしを減らしたいところです。

相談3:電験三種の最大の関門は機械?

『機械が一番難しいって本当?』と気になる方もいますよね。

ただ、どの科目が難しく感じるかは、電気の経験や数学の得意さで変わります。照明・電熱のように、身近なイメージで理解できる分野から入ると、機械への苦手意識が和らぐこともあります。

相談まずやること
優先順位が決められない計算型か暗記型か、自分の得意で選ぶ
機械だけ落ちた型の決まった分野を週1回くり返す
機械が難しそうで不安身近なイメージの分野から入る

照明・電熱・電気化学の覚え方と勉強の順番

用語の表、式、例題の順で1分野ずつ

3つの分野を同時に進めるより、1分野ずつ「用語の表、式、例題」を回す方が定着します。

『結局、どの順でやればいい?』という方は、次の順番で進めてみてください。

照明・電熱・電気化学の勉強の順番
  1. 照明の4つの用語と単位を、表を隠して言えるようにする
  2. 逆二乗則とcosθの例題を1回解く
  3. 電熱の3つの関係を書き出し、湯沸かしの例題を解く
  4. 電池の種類と電気分解の手順を覚える
  5. 過去問で、それぞれの分野を1問ずつ解く

式を1か所にまとめておきたい方は、電験三種の公式まとめも使ってみてください。同じ機械の中では、自動制御や情報処理も計算の型が決まっている分野です。

例えば、通勤の電車で用語の表を見直し、帰宅後の30分で例題を1問だけ解く、という分け方もできます。

独学で進め方に迷ったら、講座を使う方法もあります。講座の比べ方は次の案内から確かめてみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

電験三種の照明と電熱は何の科目ですか?

機械科目です。電気技術者試験センターが公表している機械科目の範囲に、照明・電熱・電気化学が含まれています。

光度と照度の違いを一言で言うと?

光度は光源がある向きに出す光の強さ、照度は照らされた面に届いた光の量です。光度は光源の性質、照度は場所によって変わる値と考えると区別しやすくなります。

電熱の計算で単位が分からなくなります。

電力をkW、時間を秒にそろえると、熱量はkJで出ます。電力量のkW・hに直す時は3,600で割りましょう。

電気分解の式は丸ごと覚えるべきですか?

電気の量からファラデー定数で電子の量を出し、価数で割って物質の量にする、という2段階で考えれば丸暗記しなくても解けます。

まとめ

この記事の要点
  • 照明・電熱・電気化学は、電験三種の機械科目の範囲に入っている
  • 照明は光束・光度・照度・輝度を単位と一緒に表で覚える
  • 照度は逆二乗則とcosθで計算する
  • 電熱は必要な熱量を出し、効率で割ってから時間に直す
  • 電気分解は電子の量を出してから価数で割る
電験ガイド

電験ガイド 編集部

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