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電験三種の理論の勉強を進めていて、『電気計測は覚えることがバラバラで、手をつけにくい』と感じている方も多いですよね。
結論から言うと、電験三種の電気計測は「計器の種類の表」「分流器と倍率器」「誤差と補正」「測定法」の4つに分ければ、どれも型の決まった問題として取り組めます。
この記事を読むと、指示計器の見分け方と計算の手順、測定法の全体像がつかめます。
指示計器の種類と、直流・交流のどちらに使えるか
指示計器は、動く仕組みによって直流だけ・交流だけ・両方に使えるものに分かれます。可動コイル形は直流用、可動鉄片形は交流でよく使う、という2つから覚えると広げやすいです。
『計器の名前が似ていて、どれがどれか分からない』という声はとても多いです。
まず、代表的な指示計器を表にまとめます。「何の値を指すか」の列もあわせて見てみてください。
| 計器の種類 | 使える電流 | 指す値 | 主な使い道・特徴 |
|---|---|---|---|
| 可動コイル形 | 直流 | 平均値 | 感度がよく、直流の電流計・電圧計の基本 |
| 可動鉄片形 | 交流(直流も可) | 実効値 | 商用周波数の交流の電流計・電圧計 |
| 整流形 | 交流 | 平均値を測り、正弦波の実効値で目盛る | 可動コイル形に整流器を組み合わせたもの |
| 熱電形 | 交流・直流 | 実効値 | 高い周波数の交流も測れる |
| 電流力計形 | 交流・直流 | 実効値 | 電力計に使われる |
| 静電形 | 交流・直流 | 実効値 | 電圧計だけ。高い電圧の測定 |
| 誘導形 | 交流 | 実効値 | 電力量計に使われてきた |
「平均値」と「実効値」がポイント
可動コイル形は、流れる電流の平均値に応じて針が振れます。正弦波の交流をそのまま入れると、平均がゼロなので針はほとんど振れません。
整流形は、交流を整流して平均値を測り、正弦波なら実効値になるように目盛りを付けています。そのため、正弦波でないひずんだ波形では、表示がずれることがあるんです。
可動鉄片形が交流でも振れる理由
可動鉄片形は、コイルの中の2枚の鉄片が同じ向きに磁化されて、反発し合う力で針を動かします。
電流の向きが変わっても、2枚の鉄片は同じように磁化の向きが変わるので、いつも反発し合います。だから交流でも一方向に振れ、力が電流の2乗に比例するので実効値を指すんです。
正弦波の実効値は平均値の約1.11倍(波形率)です。整流形の計器でひずみ波を測る問題では、この関係を使って表示と実際の値のずれを考えます。
分流器と倍率器の計算
電流計の測れる範囲を広げるのが分流器で、電流計に並列につなぎます。電圧計の範囲を広げるのが倍率器で、電圧計に直列につなぎます。
『並列と直列、どっちがどっちだったかすぐ忘れる』という方もいますよね。
電流計は「余った電流を横に逃がす」から並列、電圧計は「余った電圧を手前で受け持つ」から直列、と考えると覚えやすいです。
| 比べるところ | 分流器 | 倍率器 |
|---|---|---|
| 広げるもの | 電流計の測定範囲 | 電圧計の測定範囲 |
| つなぎ方 | 電流計に並列 | 電圧計に直列 |
| 抵抗の式 | Rs = Ra ÷(n − 1) | Rm =(m − 1)× Rv |
| 記号の意味 | Raは電流計の内部抵抗、nは何倍に広げるか | Rvは電圧計の内部抵抗、mは何倍に広げるか |

例題:分流器と倍率器
自作の数値で計算してみます。
内部抵抗0.9Ω、最大目盛1Aの電流計で10Aまで測りたい時は、n = 10 なので Rs = 0.9 ÷ 9 で0.1Ωの分流器を並列につなぎます。
内部抵抗10kΩ、最大目盛10Vの電圧計で100Vまで測りたい時は、m = 10 なので Rm = 9 × 10kΩ で90kΩの倍率器を直列につなぎます。
電流計を電圧計として使う例題
最大目盛1mA、内部抵抗100Ωの電流計があるとします。針がいっぱいに振れる時、計器の両端の電圧は 1mA × 100Ω で0.1Vです。
この計器で10Vまで測る電圧計にしたいなら、10Vの時にちょうど1mAが流れればよいので、全体の抵抗は 10 ÷ 0.001 で10kΩです。直列に足す倍率器は 10kΩ − 100Ω で9,900Ωになります。
『電流計を電圧計にできるの?』と驚く方もいますが、実は可動コイル形の電圧計の中身は、こうした電流計と倍率器の組み合わせなんです。
式を忘れても導ける
分流器の式は、電流計と分流器にかかる電圧が等しいことから出せます。電流計に1A、分流器に9A流れる時、0.9 × 1 = Rs × 9 なので Rs = 0.1Ω です。
直流回路の並列・直列の考え方そのものなので、不安な方は電験三種の直流回路で分流と分圧を見直しておきましょう。
誤差と補正の考え方
誤差は測定値Mから真の値Tを引いたもの、補正は真の値から測定値を引いたものです。率にする時、誤差率は真の値で、補正率は測定値で割ります。
『誤差率と補正率、分母がどっちか毎回迷う』というのは、電気計測でとても多い悩みです。ここは表で一度に見比べておきましょう。
| 用語 | 式 | 分母 | 102Vと測れて本当は100Vの時 |
|---|---|---|---|
| 誤差 | M − T | なし | +2V |
| 誤差率 | (M − T)÷ T × 100 | 真の値T | +2% |
| 補正 | T − M | なし | −2V |
| 補正率 | (T − M)÷ M × 100 | 測定値M | 約−1.96% |
覚え方は、「誤差は本当の値から見たずれ、補正は測った値をどれだけ直すか」です。直す元になるのは測った値なので、補正率は測定値で割るんです。
例題:電流計の誤差と補正
本当は5.0Aの電流を、電流計が4.9Aと示したとします。
誤差は 4.9 − 5.0 で −0.1A、誤差率は −0.1 ÷ 5.0 × 100 で −2%です。補正は +0.1A、補正率は 0.1 ÷ 4.9 × 100 で約+2.04%になります。
符号がひっくり返ることと、分母が違うので数字が少しずれることを、自分で計算して確かめてみてください。

計器の階級とは
指示計器には、どれくらいの誤差まで許されるかを表す階級があります。例えば0.5級なら、最大目盛の値に対して±0.5%までの誤差が許されます。
最大目盛に対する割合なので、目盛の小さい所で測るほど、測った値に対する誤差の割合は大きくなります。計器は、針が大きく振れる範囲で使うのがよい、と言われる理由です。
電気計測の測定法を一覧で見る
抵抗ならブリッジ、三相の電力なら二電力計法、絶縁なら絶縁抵抗計というように、測りたいものごとに定番の方法があります。
『測定法がたくさんあって覚えきれない』と思いますよね。測りたいものごとに並べると、意外とすっきりします。
| 測りたいもの | 代表的な測定法 | 押さえるポイント |
|---|---|---|
| 抵抗(中くらい) | ホイートストンブリッジ | 平衡の時、向かい合う辺の抵抗の積が等しい |
| 抵抗(とても小さい) | ダブルブリッジ | 接続部分の抵抗の影響を減らす |
| 電圧(正確に) | 電位差計 | 電流を流さずに比べて測る |
| 単相の電力 | 電力計、三電圧計法・三電流計法 | 電圧計や電流計の組み合わせでも測れる |
| 三相の電力 | 二電力計法 | 2つの電力計の読みの和が三相電力 |
| 絶縁の状態 | 絶縁抵抗計 | 電路と大地の間などの絶縁を確かめる |
| 波形 | オシロスコープ | 電圧の時間変化を画面で見る |
例題:ホイートストンブリッジ
4つの辺の抵抗を P、Q、R、X とし、検流計の振れがゼロ(平衡)になったとします。
向かい合う辺の積が等しいので PR = QX です。例えば P = 100Ω、Q = 200Ω、R = 50Ω なら、X = 100 × 50 ÷ 200 で25Ωになります。
三電圧計法で電力を出す
電力計がなくても、抵抗Rと負荷を直列にして、3つの電圧を測れば負荷の電力を出せます。これが三電圧計法です。
抵抗の電圧をV1、負荷の電圧をV2、全体の電圧をV3とすると、負荷の電力は P =(V3² − V1² − V2²)÷(2R)です。ベクトル図の三角形に余弦定理を使って導かれる式なので、交流のベクトル図に慣れていると覚えやすいですよ。
二電力計法の考え方
三相3線式の電力は、電力計を2つ使って、その読みを足せば測れます。
例えば、2つの電力計が3kWと1kWを示したら、三相の電力は4kWです。
力率が低い負荷では、片方の電力計が逆に振れることがあります。そのときは、その読みをマイナスとして足すのがルールです。
絶縁抵抗計は、高い直流電圧をかけて、電路と大地の間などに流れるわずかな電流から抵抗を測ります。接地抵抗計は、補助の接地極を使って、接地極と大地の間の抵抗を測ります。
絶縁抵抗の測定は、法規の科目でも、電気設備の技術基準とあわせて出てきます。法規の全体像は電験三種の法規で紹介しています。
- 計器の種類から、直流か交流か、平均値か実効値かを言えるか
- 分流器は並列、倍率器は直列と判断できるか
- 誤差率は真の値、補正率は測定値で割ると言えるか
- 測りたいものから測定法を選べるか
電気計測の中には、電子回路を使った計測もあります。素子の動きを先に知りたい方は電験三種の電子理論もあわせて読んでみてください。
ひとりで計器のしくみがイメージしにくい時は、図や動画で説明してくれる講座を使う方法もあります。
電験ガイド
独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ
電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。
講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。
電気計測でよくある相談
知恵袋には、電気計測がどれくらい難しいのかや、誤差率と補正率の式の使い分けについての相談が多く見られます。よくあるものを選んで答えます。
相談1:電気計測・電子計測は難しい?
理論の科目の電気計測・電子計測は難しいのか、という相談があります。
結論から言うと、計器の表と分流器・倍率器の式、誤差の式を押さえれば、型の決まった問題が多い分野です。直流回路の計算ができる方なら、ぐっと取り組みやすいはずです。
相談2:誤差率と補正率の公式がごちゃごちゃになる
誤差率と補正率の公式を見比べても、どちらで割るのか覚えられない、という相談もよく見かけます。
例えば、こう考えてみてください。
「誤差率は、本当の値に対してどれだけずれたか」
「補正率は、測った値をどれだけ直せばいいか」
主語になる値で割ると覚えておくと、式を見なくても組み立てられますよ。
相談3:誤差率が小さい時は、補正率と同じと見てよい?
誤差率が数%くらいと小さい時、補正率は誤差率の符号を反対にしたものと考えてよいのか、という相談もあります。
誤差率が小さい時は、測定値と真の値がほぼ同じなので、分母の違いはごくわずかです。例えば誤差率+2%なら補正率は約−1.96%で、ほぼ−2%と見なせます。ただ、問題で正確な値を聞かれた時は、式どおりに計算しましょう。
| 相談 | この記事での答え |
|---|---|
| 電気計測は難しい? | 型の決まった問題が多く、直流回路ができれば進めやすい |
| 誤差率と補正率の分母は? | 誤差率は真の値、補正率は測定値 |
| 誤差が小さい時は? | ほぼ符号が反対の同じ値。正確な値は式どおりに |
よくある質問
電験三種の電気計測で最初に覚えることは何ですか?
指示計器の種類と、直流・交流のどちらに使えるか、平均値と実効値のどちらを指すかです。まず可動コイル形と可動鉄片形から覚えると広げやすくなります。
分流器と倍率器の違いは何ですか?
分流器は電流計に並列につないで電流の測定範囲を広げ、倍率器は電圧計に直列につないで電圧の測定範囲を広げます。
誤差率と補正率はどう違いますか?
誤差率は(測定値 − 真の値)を真の値で割り、補正率は(真の値 − 測定値)を測定値で割ります。分母が違う点に気をつけましょう。
可動コイル形の計器で交流は測れますか?
そのままでは測れません。可動コイル形は平均値で振れるので、正弦波の交流では針がほとんど振れません。交流を測る時は、整流器を組み合わせた整流形にします。
三相の電力はどう測りますか?
三相3線式では二電力計法がよく使われます。2つの電力計の読みを足すと三相の電力になり、片方が逆に振れた時はその読みをマイナスとして足します。
まとめ
- 指示計器は、使える電流と指す値(平均値か実効値か)で見分ける
- 分流器は並列で電流の範囲を、倍率器は直列で電圧の範囲を広げる
- 誤差率は真の値、補正率は測定値で割る
- 測定法は、測りたいものごとに定番の方法を覚える





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