電験三種の直流回路|オームの法則からキルヒホッフまでの解き方

電験三種の直流回路を、オームの法則からキルヒホッフの法則まで解き方の流れで紹介する記事のアイキャッチ

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理論の勉強を始めて、『直流回路は簡単と聞いたのに、電源が2つ出てきたら全然解けない』と困っている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の直流回路は、使う法則を5つほどに絞って、問題の形ごとに「どれを使うか」を決めておくと解きやすくなります。

この記事を読むと、直流回路の法則の使い分けと、例題を通した解き方の流れが分かります。

目次

電験三種の直流回路で使う法則を一覧で見る

先に結論

直流回路の問題は、オームの法則・合成抵抗・分圧と分流・キルヒホッフの法則・ブリッジの平衡でほとんど組み立てられます。テブナンの定理などは、その応用として覚えると楽です。

『直流回路って、結局いくつ法則を覚えればいいの?』と思いますよね。

まずは、よく使う法則を表にまとめます。式は記号の意味と一緒に覚えておきましょう。

法則式使う場面
オームの法則V = RI電圧・電流・抵抗のうち2つから残りを出す
直列の合成抵抗R = R1 + R2抵抗が1本道でつながっている
並列の合成抵抗R = R1R2 ÷(R1 + R2)抵抗が枝分かれしている(2本の時)
分圧V2 = V × R2 ÷(R1 + R2)直列の抵抗の1本にかかる電圧
分流I1 = I × R2 ÷(R1 + R2)並列の抵抗の1本に流れる電流
キルヒホッフの電流則入る電流の和 = 出る電流の和枝分かれする点(節点)
キルヒホッフの電圧則起電力の和 = 電圧降下の和1周する道すじ(閉回路)
ブリッジの平衡R1R4 = R2R3真ん中の枝に電流が流れない条件
電力P = VI = I²R = V²/R抵抗で使われる電力

『表にすると多く見えるけど…』と感じた方もいるかもしれません。ただ、分圧・分流・電力の式は、どれもオームの法則と合成抵抗から導けるものです。

分流の式は「反対側の抵抗」を掛ける

分流の式で迷いやすいのが、掛ける抵抗の取り違えです。

並列の2本のうちR1に流れる電流は、反対側のR2を掛けて出します。抵抗が小さい側に電流が多く流れる、と覚えておくと取り違えに気づけます。

例えば6Aの電流が2Ωと4Ωの並列に分かれる時、2Ω側は6×4÷6で4A、4Ω側は2Aです。小さい2Ωの側に多く流れていますね。

問題の型ごとに使う法則を決める判定表

「回路の形」を見れば最初の一手が決まる

直流回路の問題は、回路の形でおおよその解き方が決まります。最初の一手を表にしておくと、手が止まる時間が減ります。

『何から手をつければいいか分からない』という時は、次の表で回路の形を照らし合わせてみてください。

回路の形最初の一手次にやること
電源1つ、抵抗が直列と並列の組み合わせ合成抵抗で1本にまとめるオームの法則で全体の電流を出す
電源1つ、ある抵抗の電圧だけ知りたい分圧の式必要なら電力を出す
電源1つ、ある枝の電流だけ知りたい分流の式必要なら電力を出す
電源が2つ以上あるキルヒホッフの法則で式を立てる連立方程式を解く
4つの抵抗が菱形で、真ん中に枝があるブリッジの平衡を確かめる平衡なら真ん中を外して考える
抵抗が三角形につながっているΔ-Y変換直列と並列の回路にして解く
負荷の電力が最大になる条件を聞かれる最大電力の条件負荷の抵抗を内部抵抗と等しくする
電験三種の直流回路の問題を、回路の形から最初に使う法則を選ぶ判定の流れで示した図解

例題1:直列と並列の組み合わせ

自作の例題で、いちばん基本の流れを確かめます。

『2Ωの抵抗に、3Ωと6Ωの並列をつないだ回路に、12Vの電源をつないだ。全体の電流は?』

例題1の解き方
  1. 並列部分をまとめる:3×6÷(3+6)で2Ω
  2. 全体をまとめる:2Ω+2Ωで4Ω
  3. オームの法則:12÷4で3A

全体の電流は3Aです。さらに3Ωに流れる電流を聞かれたら、分流の式で3×6÷9となり2Aと出せます。

キルヒホッフの法則で電源が2つの回路を解く

電流の向きは仮に決めてよい

キルヒホッフの法則では、電流の向きを最初に仮に決めて式を立てます。答えがマイナスになったら、実際は逆向きに流れていた、というだけです。

『電源が2つあると、どっちの向きに電流が流れるか分からない』という悩みは本当によく聞きます。

結論から言うと、向きは分からなくて大丈夫なんです。仮に決めた向きで式を立てれば、計算の結果が向きを教えてくれます。

例題2:電源が2つの回路

『10Vの電源E1に2Ωの抵抗R1、4Vの電源E2に2Ωの抵抗R2がつながり、2つの枝が4Ωの抵抗R3で合流している。R3を流れる電流は?』という自作の例題です。

キルヒホッフの法則で電源が2つの直流回路を解く時の、向きを仮に決めて式を立て、答えの符号で向きを確かめる流れを示した図解

ここでは、合流点の電圧をVとして、電流の出入りの式を立てます。

例題2の解き方
  1. 各枝の電流を V で表す:R1は(10 − V)÷2、R2は(4 − V)÷2、R3は V÷4
  2. 電流則の式を立てる:(10 − V)÷2 +(4 − V)÷2 = V÷4
  3. 両辺に4を掛ける:2(10 − V)+ 2(4 − V)= V
  4. 整理する:28 = 5V なので V = 5.6V
  5. R3の電流:5.6÷4で1.4A

R1の電流は(10 − 5.6)÷2で2.2Aです。R2の電流は(4 − 5.6)÷2で−0.8Aとマイナスになりました。

これは、R2の枝では電流が仮に決めた向きと逆に、0.8A流れているという意味です。2.2Aと−0.8Aを足すと1.4Aになり、R3の電流と合っていますね。

節点の電圧で立てると式が少なくて済む

電流を3つの未知数にして式を3本立てる方法もあります。ただ、例題2のように合流点の電圧を1つの未知数にすると、式が1本で済むので計算が速くなります。

ブリッジと最大電力の型

見た目が複雑でも、条件を確かめれば簡単になる

ブリッジ回路や最大電力の問題は、条件に当てはまるかを確かめるだけで一気に簡単になることがあります。

『菱形の回路が出てくると、それだけで身構えてしまう』という方もいますよね。

ブリッジ回路は平衡かどうかを先に見る

4つの抵抗を菱形につなぎ、真ん中に枝がある回路をブリッジ回路と呼びます。向かい合う辺の抵抗の積が等しい時、つまり R1R4 = R2R3 の時は平衡していて、真ん中の枝には電流が流れません。

例えば、上の2辺が2Ωと4Ω、下の2辺が3Ωと6Ωなら、2×6=4×3で平衡です。真ん中の枝を取り外して、直列と並列だけの回路として解けます。

三角形の回路はΔ-Y変換で直す

抵抗が三角形(Δ)につながっていると、直列にも並列にも見えず手が止まりますよね。そんな時は、Y形(星形)に直します。

変換の向き3本が同じ値Rの時一般の式(1本分)
ΔからY1本 R÷3両隣の2辺の積 ÷ 3辺の和
YからΔ1本 3R2本ずつの積の和 ÷ 向かいの1本

例えば、6Ωが3本のΔ結線をYに直すと、1本は2Ωです。Y形にすると直列と並列だけの回路になり、合成抵抗が出せるようになります。

最大電力は「負荷=内部抵抗」

電源に内部抵抗rがある時、負荷の抵抗Rで使われる電力がいちばん大きくなるのは、R = r の時です。

例えば、起電力12V、内部抵抗3Ωの電源なら、負荷を3Ωにした時に電流は12÷6で2A、負荷の電力は2×2×3で12Wになります。

よくある失敗

最大電力の条件を「負荷をいちばん小さくした時」と思い込む方がいます。負荷を小さくすると電流は増えますが、負荷にかかる電圧が下がるので電力は最大になりません。

テブナンの定理を一言でいうと

テブナンの定理は、「回路のある2つの端子から見ると、どんな回路も1つの電源と1つの抵抗にまとめられる」という考え方です。

まとめる時は、端子を開いた時の電圧を電源の値に、電源を取り除いて端子から見た合成抵抗を内部抵抗にします。電圧源は取り除く時に短絡(線でつなぐ)と考えます。

例えば、12Vの電源に6Ωと6Ωの直列がつながり、下の6Ωの両端を端子とします。端子の電圧は分圧で6V、端子から見た抵抗は6Ωと6Ωの並列で3Ωです。つまり「6Vの電源と3Ωの内部抵抗」にまとめられます。

ここに負荷をつなぐなら、負荷を3Ωにした時に電力が最大になる、とすぐに分かりますね。

計算ミスを減らすチェック

式は合っているのに答えが違う時は、ここを見る

直流回路の計算ミスは、単位・向き・合成の取り違えの3つがほとんどです。

『解き方は分かっているのに答えが合わない』という時は、次のチェックで見直してみてください。

直流回路の計算ミスを減らすチェック
  • kΩやmAなどの単位を、計算の前にそろえたか
  • 直列と並列の合成の式を取り違えていないか
  • 分流の式で、反対側の抵抗を掛けているか
  • 電流の向きを図に矢印で書き込んだか
  • 並列の合成抵抗が、いちばん小さい抵抗より小さくなっているか
  • 電流則で、節点に入る電流と出る電流を足し合わせて確かめたか

例えば、並列の合成抵抗を計算して、元の抵抗より大きな値が出たら、どこかで直列の式を使っています。答えの大きさを見るだけで気づけるミスなんです。

公式の全体のまとめは電験三種の公式まとめで、理論の分野全体の進め方は電験三種の理論で紹介しています。

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直流回路についてよくある相談

相談が多いのは「電源が複数」「最大電力」「電流が流れない枝」

知恵袋でも、直流回路の問題についての相談がたくさん寄せられています。よくあるものを選んで答えます。

相談1:電源が複数ある回路で抵抗値を求められない

過去の試験の、電源が複数ある回路で抵抗の値を求める問題が解けない、という相談があります。

この形は、例題2のようにキルヒホッフの法則で式を立てるのが基本です。分からない抵抗をRのまま式に入れ、電流則と電圧則で式を2本作れば、連立方程式でRが出せます。

相談2:可変抵抗で最大電力になる時の値が分からない

可変抵抗の電力が最大になる時の抵抗の値を求める問題で迷う、という相談もよく見かけます。

可変抵抗から見た残りの回路を、1つの電源と1つの内部抵抗にまとめます(テブナンの定理の考え方です)。そのうえで「可変抵抗=まとめた内部抵抗」とすれば、最大電力の条件が使えます。

相談3:電流が流れない枝は、ないものとして考えていい?

解説に「この枝には電流が流れないので、ないものとして考える」とあって、なぜそうしてよいのか分からない、という相談もあります。

電流が流れていない枝は、つないでいても外しても、ほかの部分の電流や電圧は変わりません。ブリッジの平衡のように、その枝の両端が同じ電圧になっている時に使える考え方です。

相談4:理論の過去問が7割から伸びない

理論に絞って長い時間勉強しているのに、過去問が7割から伸びない、という相談もあります。

7割取れているなら、基本の型は身についています。伸ばすには、落とした3割の問題を回路の形で分けてみてください。「電源が複数」「ブリッジ」など、同じ形で何度も落としていることが多いんです。

相談使う考え方
電源が複数で抵抗が出せないキルヒホッフの法則で式を2本立てる
可変抵抗の最大電力残りの回路をまとめて、負荷=内部抵抗
電流が流れない枝両端が同じ電圧なら外して考える
7割から伸びない落とした問題を回路の形で分ける

直流回路の解き方は、交流回路でもそのまま使います。次は電験三種の交流回路に進んでみてください。

よくある質問

電験三種の直流回路では、どの法則から覚えればいいですか?

オームの法則と合成抵抗から始めて、分圧と分流、キルヒホッフの法則、ブリッジの平衡の順に進めると、前の知識を使いながら覚えられます。

キルヒホッフの法則で、電流の向きが分からない時はどうしますか?

向きを仮に決めて式を立てます。答えがマイナスになったら、実際は逆向きに流れていたということです。

テブナンの定理は覚えたほうがいいですか?

覚えておくと、最大電力の問題や、一部の抵抗だけを変える問題で計算が楽になります。まずはキルヒホッフの法則で解けるようにしてから取り組むのがおすすめです。

直流回路の過去問はどう使えばいいですか?

回路の形ごとに分けて解き、最初の一手が合っていたかを確かめましょう。年度別の進め方は電験3種の理論の過去問の解き方で紹介しています。

まとめ

この記事の要点
  • 直流回路はオーム・合成抵抗・分圧と分流・キルヒホッフ・ブリッジでほとんど解ける
  • 回路の形を見て、最初の一手を判定表で決める
  • キルヒホッフでは電流の向きを仮に決めてよい
  • ブリッジは平衡かを先に確かめ、最大電力は負荷=内部抵抗
  • 計算ミスは単位・向き・合成の取り違えを見直す

電験の全体像は電験とは?で紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

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