電験三種の公式まとめ|科目ごとに覚える式と使う場面

電験三種の公式を理論・電力・機械・法規の科目ごとに、式と使う場面で整理する記事のアイキャッチ

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電験三種の参考書を開くと、公式がずらりと並んでいて「これを全部覚えるの?」と不安になりますよね。

結論から言うと、電験三種の公式は全部を丸暗記する必要はありません。オームの法則などの土台から導ける式が多く、本当に暗記が要る式はその一部です。

この記事を読むと、科目ごとの主な公式と使う場面、覚える順番、導ける式と暗記する式の見分け方が分かります。

目次

電験三種の公式はどれくらい覚える?

先に結論

公式の数は数え方しだいですが、どの科目も「土台の式」から枝分かれしています。土台を先に固めると、覚える量は思ったより少なくなります。

『公式が多すぎて、どこから手をつければいいか分からない』という方も多いはずです。

実は、電験三種の公式は大きく3つの種類に分けられるんです。この記事では、次の3つに分けて見ていきます。

種類中身例覚え方
土台の式ほかの式のもとになる式V = RI、P = VI、Q = CV意味と単位で理解して暗記
導ける式土台の式を組み合わせて出せる式P = I²R、合成抵抗、三相の電力一度自分で導いてみる
決まりの式・数値理屈より決まりとして覚える式水力発電の 9.8QH、B種接地の 150/Ig使う場面とセットで暗記

この分け方で見ると、「全部を暗記」ではなく「土台を理解して、決まりの式だけ暗記」という作戦が立てられます。

試験では公式集を持ち込めない

試験に持ち込めるのは、四則演算と√の計算ができる電卓などで、関数電卓は使えません。公式は頭に入れておく必要があります。

そのため、三角関数や√の値も、計算しやすい形で覚えておくと楽になります。例えば、cosθ = 0.8 なら sinθ = 0.6 という組み合わせは、問題でよく見る形です。

電験三種の公式を、土台の式・導ける式・決まりの式の3つに分け、土台から枝分かれする木の形で示した図解

理論の公式と使う場面

理論は「土台の式」が集まる科目

理論で覚える式は、電力・機械・法規の計算でもそのまま使います。ここをしっかり固めておくと、ほかの科目がぐっと楽になります。

理論は、電験三種の公式の土台になる科目です。『理論の公式だけで手一杯…』と感じるかもしれませんが、ここが固まれば後が楽になるんです。

分野式使う場面
直流回路V = RI電圧・電流・抵抗の計算すべて
直流回路直列 R1 + R2、並列 R1R2/(R1 + R2)合成抵抗を求める
直流回路P = VI = I²R = V²/R抵抗で消費する電力
直流回路R = ρl/A電線の長さや太さと抵抗の関係
静電気F = Q1Q2/(4πε0r²)電荷の間にはたらく力
静電気Q = CV、C = εS/dコンデンサの電荷と静電容量
静電気W = CV²/2コンデンサにたまるエネルギー
電磁気H = I/(2πr)直線電流のまわりの磁界
電磁気F = BIl磁界の中の電線にはたらく力
電磁気e = Blv磁界の中を動く導体の起電力
交流回路XL = 2πfL、XC = 1/(2πfC)リアクタンスを求める
交流回路Z = √(R² + X²)インピーダンスを求める
交流回路f = 1/(2π√(LC))共振周波数を求める
三相交流Y結線で線間電圧 = √3 × 相電圧Y結線の電圧の換算
三相交流Δ結線で線電流 = √3 × 相電流Δ結線の電流の換算
過渡現象RC回路 τ = RC、RL回路 τ = L/R時定数を求める

理論で「導ける式」の例

並列の合成抵抗の式は、覚えていなくても導けます。2つの抵抗に同じ電圧 V がかかると考え、電流を足し合わせると V/R1 + V/R2 になります。これを V/R の形にまとめると、合成抵抗が出てくるんです。

勉強仲間との間で、こんなやり取りになることもありそうです。

「並列の合成抵抗の式、また忘れちゃった」
「電流を足すところから作り直せば出てくるよ。式を覚えるより早いかもしれない」

同じように、P = I²R は P = VI に V = RI を入れるだけです。こうした式は、一度自分で導いておくと、試験中に忘れても作り直せます。

理論で「決まりとして覚える」部分

一方で、クーロンの法則の 4πε0 や、共振周波数の 2π√(LC) の形は、理屈から毎回作るのは大変です。形そのものを覚えておく方が早い部分です。

交流の電力は3つをセットで覚える

交流回路の電力には、有効電力 P、無効電力 Q、皮相電力 S の3つがあります。式は P = VIcosθ、Q = VIsinθ、S = VI です。

この3つは、直角三角形の3辺の関係になっていて、S² = P² + Q² が成り立ちます。三角形を1つ描いておけば、3つの式をまとめて思い出せるんです。

『cosとsin、どっちが有効電力だっけ』と迷った時も、三角形の底辺が有効電力と決めておけば迷いません。法規の力率改善の計算でも、この三角形をそのまま使います。

例題:三相の電力を求める

自作の例題で、三相の電力の式を使ってみましょう。線間電圧6,600V、線電流100A、力率0.8の三相負荷の有効電力を求めます。

P = √3 × 6,600 × 100 × 0.8 で、√3 ≒ 1.732 として計算すると、およそ914,500W、つまり約915kWになります。

ここで単相の式 VIcosθ を使うと、√3の分だけ答えがずれてしまいます。三相の問題では、まず「線間電圧と線電流か」を確かめるクセをつけておきましょう。

理論の分野ごとの進め方は電験三種の理論で紹介しています。

電力の公式と使う場面

電力は「発電」と「送電・配電」で式の性格が違う

発電は効率や出力の式、送電・配電は電圧降下や損失の式が中心です。理論の式を応用する場面が多い科目です。

『電力は暗記の科目でしょ?』と思っている方もいるかもしれません。ただ、計算問題も出るので、主な式は押さえておきたいところです。

分野式使う場面
水力発電P = 9.8QHη(kW)流量 Q と有効落差 H から出力を求める
揚水P = 9.8QH/η(kW)揚水に要る電動機の入力を求める
火力発電η = 3,600P/(BH)燃料の量と発熱量から熱効率を求める
送電・配電v ≒ √3I(Rcosθ + Xsinθ)三相の電圧降下を求める
送電・配電損失 = 3I²R三相3線式の電力損失を求める
送電・配電Is = In × 100/%Z百分率インピーダンスから短絡電流を求める
架空電線D = WS²/(8T)電線のたるみを求める
架空電線L = S + 8D²/(3S)電線の実際の長さを求める

単位の換算で迷う所

火力の熱効率の式に出てくる 3,600 は、1kWh = 3,600kJ という換算の数字です。式を丸暗記するより、「電気の出力をkJに直して、燃料の熱量で割る」と覚えておく方が応用がききます。

例えば、出力 P はkW、燃料の消費量 B はkg/h、発熱量 H はkJ/kg です。単位をそろえる意味が分かれば、式の形を忘れても作り直せますよ。

例題:水力発電所の出力

自作の例題で、水力発電の式を使ってみます。流量20m³/s、有効落差50m、総合効率0.85の発電所の出力を求めます。

P = 9.8 × 20 × 50 × 0.85 で、答えは8,330kWです。

9.8は重力加速度からきている数字で、「水の重さ×高さ」がエネルギーになる、と考えると覚えやすくなります。揚水の時は、効率で割る形に変わる点も合わせて押さえておきましょう。

式で迷いやすい所確かめ方
効率を掛けるか割るか発電は取り出す側なので掛ける、揚水は入れる側なので割る
単位がkWかWか流量m³/sと落差mを入れるとkWになる
落差は総落差か有効落差か損失を引いた有効落差を使う

電力の式は理論とつながっている

送電の損失 3I²R は、理論の P = I²R を3本の電線ぶん足したものです。電圧降下の式も、理論の交流回路の考え方から出てきます。

電力の科目全体の進め方は電験三種の電力で紹介しています。

機械の公式と使う場面

機械は機器ごとに「決まった型の式」がある

変圧器・誘導機・同期機・直流機と、機器ごとに使う式が決まっています。機器の仕組みと式をセットで覚えるのがコツです。

機械は範囲が広く、式の数も多い科目です。『機械の公式がいちばん覚えにくい』という声もよく聞きます。

分野式使う場面
変圧器a = N1/N2 = V1/V2 = I2/I1巻数比から電圧・電流を換算する
変圧器η = 出力/(出力 + 鉄損 + 銅損)効率を求める
直流機E = kΦN回転速度と磁束から誘導起電力を求める
直流電動機V = E + IaRa端子電圧と電機子電流の関係
直流機T = kΦIaトルクを求める
誘導機s = (Ns − N)/Nsすべりを求める
誘導機二次入力 : 二次銅損 : 機械出力 = 1 : s : (1 − s)出力や損失を分ける
同期機Ns = 120f/p同期速度を求める
照明E = I/r²点光源の真下の照度を求める
電熱Q = mcΔT物を温めるのに要る熱量
パワーエレクトロニクス降圧チョッパ Vo = D × Vi出力電圧と通流率の関係
自動制御G/(1 + GH)フィードバックの伝達関数

変圧器の効率は「最大になる条件」もセットで

変圧器の効率は、鉄損と銅損が等しい時に最大になります。式だけでなく、この条件もいっしょに覚えておきましょう。

鉄損は負荷にかかわらずほぼ一定で、銅損は負荷電流の2乗に比例します。この関係が分かると、「何割の負荷で効率が最大か」という問題も解けるようになります。

誘導機の比は機械で特に大事

誘導機の「1 : s : (1 − s)」の比は、出力や二次銅損を求める問題で何度も使います。すべり s の定義とセットで覚えておきたい式です。

例題:誘導電動機のすべりと回転速度

もう1問、自作の例題です。周波数50Hz・4極の三相誘導電動機が、すべり0.04で回っている時の回転速度を求めます。

まず同期速度は Ns = 120 × 50 ÷ 4 = 1,500 で、毎分1,500回転です。すべりの式を変形すると N = Ns(1 − s) なので、1,500 × (1 − 0.04) = 1,440 で、毎分1,440回転になります。

このように、機械の問題は同期機の式と誘導機の式をつなげて使うことがよくあります。式をばらばらに覚えるより、「同期速度からすべりの分だけ遅い」という流れで覚えておくと便利ですよ。

機械の科目の進め方は電験三種の機械で紹介しています。

法規の公式と使う場面

法規の計算は「施設管理の式」と「条文の数値」

法規の計算問題は、力率改善や需要率などの施設管理の式と、条文で決まった数値を使う問題に分かれます。

『法規は暗記だけだと思っていた』という方もいますよね。実は、法規にもB問題を中心に計算問題が出ます。

分野式・数値使う場面
力率改善Q = P(tanθ1 − tanθ2)必要なコンデンサの容量を求める
需要率最大需要電力 ÷ 設備容量 × 100(%)設備の使われ方を見る
負荷率平均電力 ÷ 最大電力 × 100(%)負荷のばらつきを見る
不等率各最大需要電力の和 ÷ 合成最大需要電力複数の負荷の重なりを見る
B種接地工事150/Ig 以下(基本)接地抵抗の上限を求める(解釈 第17条)
絶縁耐力試験最大使用電圧の1.5倍を連続10分間(7,000V以下の交流電路)試験電圧を求める(解釈 第15条)
低圧電線路の絶縁性能漏えい電流が最大供給電流の2,000分の1以下許される漏えい電流を求める(電技 第22条)

条文の数値は、e-Gov法令検索の電技と、経済産業省の解釈のPDFで編集部が確かめたものです。解釈は改正されることがあるので、最新のPDFも確かめておきましょう。

例題:力率改善のコンデンサ容量

ここで1問、自作の例題を解いてみましょう。

例題の解き方(有効電力300kWの負荷の力率を0.6から0.8に改善する)
  1. 改善前の力率0.6から sinθ1 = 0.8、tanθ1 = 0.8 ÷ 0.6 ≒ 1.333
  2. 改善後の力率0.8から sinθ2 = 0.6、tanθ2 = 0.6 ÷ 0.8 = 0.75
  3. Q = 300 × (1.333 − 0.75) ≒ 300 × 0.583 ≒ 175
  4. 答えは、およそ175kvarのコンデンサ

このように、cosθ が0.6や0.8の時は、sinθ が0.8や0.6になる組み合わせがよく出ます。数字の組を覚えておくと、計算がとても速くなりますよ。

法規の計算問題の型は電験三種の法規の計算問題で詳しく紹介しています。

公式を覚える順番と覚え方

理論の土台、各科目の決まりの式、条文の数値の順で

覚える順番を決めておくと、前に覚えた式が次の式の理解を助けてくれます。

ここが大事なところです。公式は、どの順番で覚えるかで負担が大きく変わります。

おすすめは、理論の土台の式から始めて、電力・機械の決まりの式、最後に法規の条文の数値へ進む順番です。

公式を覚える順番
  1. 理論の土台(V = RI、P = VI、Q = CV、F = BIl など)を意味ごと覚える
  2. 理論の導ける式を、自分で一度導いてみる
  3. 三相交流の√3の関係を、Y結線とΔ結線で整理する
  4. 電力・機械の決まりの式を、機器や設備ごとに覚える
  5. 法規の施設管理の式と、条文の数値を表にまとめる

職場の先輩に相談すると、こんな答えが返ってくるかもしれません。

「公式ノートを最初から全部作ろうとしたら、理論だけで1か月かかってしまって」
「最初は理論の土台だけでいいよ。電力や機械の式は、その科目を勉強する時に足していけばいいから」

例えば、仕事のあと平日に1時間とれる方なら、1日に新しい式を2〜3個と、前の日の式の見直しを組み合わせるくらいが続けやすいです。

導ける式か暗記する式かの判定

『この式は覚えるべき?導けばいい?』と迷った時は、次のチェックで判定してみてください。

導ける式かどうかの判定
  • 理論の土台の式を2つ組み合わせると出てくる
  • 単位をそろえると形が決まる
  • 図を描くと、足し算や比で説明できる
  • 上のどれにも当てはまらない式は、形ごと暗記する

数値だけの部分や、√3・4πε0のような係数は、語呂合わせを使うのも一つの手です。工夫の仕方は電験3種の語呂合わせで紹介しています。

理論の土台の式から始め、導ける式、三相の√3の整理、電力と機械の決まりの式、法規の数値へと進む覚える順番を示した図解
式だけを覚えて問題を解かない

公式の一覧を何度も眺めるだけでは、試験で使える形になりません。式を1つ覚えたら、その式を使う問題を1問解いてみましょう。

電験三種の公式についてよくある相談

相談の多くは「何個覚えるか」と「暗記で足りるか」

知恵袋でも、電験三種の公式の覚え方についての相談が多く見られます。その中から3つを選んで答えます。

相談1:覚える公式は全部で何個くらい?

電験三種で覚える公式は何個くらいあるのか、という相談です。

答えは、数え方しだいで大きく変わります。導ける式まで数えると多く見えますが、土台の式と決まりの式に絞れば、この記事の表くらいが中心になります。

個数を気にするより、「この式はどの土台から出てくるか」を説明できるかを目安にしてみてください。

相談2:公式を20個くらい覚えれば、あとは応用でなんとかなる?

公式を20個ほど覚えれば、あとは応用で解けると聞いたが本当か、という相談です。

土台の式から多くの式が導ける、という意味では近い考え方です。ただ、導くには時間がかかるので、試験でよく使う式は形ごと覚えておく方が安心です。

また、電力や機械の決まりの式(水力の 9.8QH、誘導機の比など)は、理論の式だけでは出てきません。科目ごとに、決まりの式は別に覚えておきましょう。

相談3:2次方程式の解の公式は必要?

試験に解の公式は必要か、できれば覚えたくない、という相談です。

『数学の公式までは覚えたくない…』という気持ちは分かります。ただ、問題によっては2次方程式を解く場面が出てくるので、覚えておくと安心です。

中学・高校の数学の復習から始めたい方は、電験3種は初心者でも取れる?で復習する範囲を紹介しています。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

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√付きの電卓と公式を書き込んだノート、科目別の参考書が並ぶ自習机の様子を写した写真

よくある質問

電験三種の公式は、どの科目から覚えればいいですか?

理論からがおすすめです。理論の式は電力・機械・法規の計算でも使う土台になります。

試験に公式集や関数電卓は持ち込めますか?

持ち込めません。使える電卓は四則演算と√の計算ができるもので、関数電卓は使えません。公式は頭に入れておく必要があります。

公式を忘れた時のために何をしておけばいいですか?

土台の式から自分で導く練習をしておくと、試験中に忘れても作り直せます。単位をそろえて式の形を確かめる方法も役に立ちます。

法規の数値も公式と同じように覚えればいいですか?

法規の数値は理屈で導けないものが多いので、条文の番号と条件をセットにして表で覚えるのがおすすめです。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種の公式は、土台の式・導ける式・決まりの式の3つに分けて考える
  • 理論の土台を先に固めると、電力・機械・法規の式が理解しやすい
  • 電力と機械は、設備や機器ごとの決まりの式を場面とセットで覚える
  • 法規は施設管理の式と、条番号つきの数値を表にまとめる
  • 式を1つ覚えたら、その式を使う問題を1問解く

電験の全体像は電験とは?で紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

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