電験3種は初心者でも取れる?文系・未経験から始める順番

電験3種を初心者が文系・未経験から目指す時の始める順番を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電気の仕事をしたことがない、学生時代は文系だった、という方にとって、電験3種はかなり遠い資格に見えますよね。

結論から言うと、電験3種は初心者でも目指せる資格です。受験資格に制限はなく、科目ごとに合格を積み上げられる仕組みもあります。ただ、始める順番をまちがえると、最初の数か月で止まってしまいやすいです。

この記事を読むと、初心者がつまずきやすい所と、数学の復習をどこから始めるか、最初の3か月でやることが分かります。

目次

電験3種は初心者でも取れる?

先に結論

電験3種は、学歴・年齢・実務経験の制限がなく、誰でも受けられる国家試験です。初心者でも、数学の土台から順番に積み上げれば合格を目指せます。

『文系だし、電気のことは何も知らないけど大丈夫?』と不安な方も多いはずです。

まず知っておきたいのは、電験3種には受験資格の制限がないことです。電気技術者試験センターの受験案内でも、誰でも受験できるとされています。

さらに、科目ごとに合否が決まり、合格した科目は申請により最大で連続5回まで免除されます。試験は年2回なので、およそ2年半のあいだに4科目をそろえればよいんです。

初心者にとっての安心材料中身
受験資格制限なし。学歴・年齢・実務経験を問わない
科目合格合格した科目は申請により最大で連続5回まで免除
試験の回数年2回(上期・下期)
出題形式各科目とも五肢択一
合格基準各科目とも原則60点(調整されることがある)

ただし、簡単な試験ではない

試験センターの公表では、令和7年度(2025年度)下期の合格率は13.1%でした。初心者でも目指せますが、時間をかける覚悟は要ります。

最新の数字は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。合格の仕組みを知ったうえで、無理のない計画を立てることが大事なんです。

初心者が合格までにかかる期間の考え方

『初心者だと、合格まで何年かかるの?』というのも気になるところですよね。

これは、使える勉強時間と、数学をどこから復習するかで大きく変わります。数学の復習が多めに要る方は、その分の期間を最初から計画に入れておくのが安心です。

始める時の状態計画の立て方の例
数学に自信があり、時間も確保できる1年ほどで4科目を目指す計画も考えられる
数学の復習が要るが、時間はとれる最初の数か月を数学と理論に使い、科目合格で進める
数学の復習が要り、時間も限られる科目合格を使い、2年半の免除期間の中で4科目をそろえる

どの計画でも、「最初の3か月で何をするか」を決めておくと動き出しやすくなります。この記事の後半で、その中身を紹介しますね。

初心者が最初につまずく所

つまずきは「数学」と「電気の言葉」の2つに集まる

初心者が止まりやすいのは、計算の途中の式変形と、参考書に出てくる電気の用語です。あらかじめ知っておくと、つまずいても慌てずに済みます。

ここが大事なところです。初心者がつまずく所は、だいたい決まっています。

『参考書の最初の数ページで、もう分からなくなった』という声もよく聞きます。それは能力の問題ではなく、土台の部分を飛ばしてしまっていることが多いんです。

つまずく所よくある場面先にやっておくこと
分数・比の計算並列回路の合成抵抗で分数が重なる分数の足し算と通分を練習する
式の変形V = RI を I = V/R に直せない文字式の移項を練習する
平方根(√)三相交流で√3が出てくる√の計算と電卓での出し方を確かめる
指数と単位の接頭語kV、mA、μF、MΩが混ざる10の何乗かを表にまとめる
三角関数交流の力率 cosθ が分からない直角三角形のsin・cos・tanを復習する
ベクトル・複素数交流回路の計算で j が出てくるベクトルの足し算と複素数の基本を復習する
電気の用語電圧・電流・電力・電力量の区別がつかない用語を水の流れなどのたとえで説明してみる

電気の用語は「たとえ」で一度つかむ

電圧・電流・抵抗の関係は、水の流れにたとえるとイメージしやすくなります。電圧は水を押し出す力、電流は流れる水の量、抵抗は管の細さ、という具合です。

もちろん、たとえは入り口にすぎません。イメージがつかめたら、V = RI の式で正しく説明できるようにしておきましょう。

勉強仲間との間で、こんな会話になることもありそうです。

「電圧と電流、何がどう違うのか、いまいちピンとこなくて」
「水道のホースで考えると分かりやすいよ。押す力が電圧で、流れる水の量が電流」

単位の接頭語は最初に表にしておく

電験3種では、同じ問題の中にkV(キロボルト)やmA(ミリアンペア)が混ざることがあります。k は10の3乗、m は10のマイナス3乗、μ は10のマイナス6乗、M は10の6乗です。

この表をノートの最初のページに書いておくだけで、計算ミスがぐっと減りますよ。

「電力」と「電力量」は別のもの

初心者が混ぜやすい言葉に、電力と電力量があります。電力は1秒あたりの電気の仕事の大きさで、単位はW(ワット)です。電力量は、その電力をどれだけの時間使ったかで、単位はWh(ワット時)です。

例えば、100Vで2Aの電流が流れる電気器具なら、電力は P = VI = 100 × 2 = 200Wです。これを3時間使うと、電力量は 200 × 3 = 600Wh になります。

『電気料金の請求書に出てくるkWhは、どっち?』と思った方は鋭いです。あれは電力量なんです。身近なものと結びつけると、言葉の違いが覚えやすくなりますよ。

電験3種の初心者がつまずきやすい所を、数学(分数・式変形・√・三角関数・複素数)と電気の用語の2つのグループに分けて示した図解

数学はどこから復習する?判定表

自分がどこまで分かるかで、復習の始め方を決める

中学の数学から始めるか、高校の数学から始めるかは人によって違います。次の判定で、自分のスタート地点を確かめてみてください。

『数学は中学からやり直した方がいいの?』と迷う方も多いですよね。

全員が中学からやり直す必要はありません。今の自分が分かる所と分からない所を確かめて、分からない所から始めれば十分なんです。

次の問題が…分からない時に戻る所目安の分野
3/4 + 5/6 を通分して計算できる中学1年の分数と小学校の通分分数・比
2x + 3 = 11 を解ける、式を移項できる中学1年の1次方程式文字式・方程式
x² = 9 を解ける、√12 を 2√3 にできる中学3年の平方根と2次方程式平方根
直角三角形で cos、sin、tan の値を出せる高校の三角比三角関数
2つの矢印(ベクトル)を足した向きと長さを出せる高校のベクトルベクトル
j² = −1 を使って (3 + j4) の大きさを出せる高校の複素数複素数

上から順に試してみて、最初に「分からない」と感じた所が、あなたのスタート地点です。

判定表の問題の答え

判定表の問題の答えも載せておきます。答え合わせをしてみてください。

問題答え解き方のポイント
3/4 + 5/619/12分母を12にそろえて 9/12 + 10/12
2x + 3 = 11x = 43を右に移して 2x = 8
x² = 9x = 3、−32乗して9になる数は2つある
√122√312 = 4 × 3 で、√4 = 2 を外に出す
(3 + j4) の大きさ5√(3² + 4²) = √25 = 5

最後の問題は、交流回路のインピーダンスの計算とまったく同じ形です。ここが解ければ、交流回路の入り口に立てていますよ。

文系の方は三角関数とベクトルを重点的に

文系の方は、高校で三角関数やベクトル、複素数をあまり学んでいないこともあります。この3つは交流回路の計算でくり返し使うので、少し時間をかけて復習しておきましょう。

逆に、微分・積分は勉強の最初に手をつけなくても大丈夫です。最初から手を広げすぎない方が続けやすいですよ。

数学の復習だけで何か月も止まらない

数学を完璧にしてから電気の勉強を始めようとすると、なかなか先に進めません。基本の計算ができたら、理論の直流回路と並行して進めてみてください。

最初の3か月でやること

3か月で「数学の土台」と「理論の入り口」まで

最初の3か月は、合格に直結する勉強というより、勉強を続けられる土台を作る期間です。

『最初の3か月で、何を目標にすればいいの?』という方のために、月ごとの目安を表にしてみました。

例えば、仕事のあと平日に1時間、土日に3時間ほどとれる方を想定しています。時間が少ない方は、それぞれの月を少し長めにとってください。

時期やること月末にできていたいこと
1か月目分数・式変形・平方根・単位の接頭語の復習。電気の用語に慣れるV = RI を使った簡単な計算ができる
2か月目三角関数・ベクトル・複素数の復習。理論の直流回路に入る直列・並列の合成抵抗とキルヒホッフの法則で解ける
3か月目理論の静電気・電磁気を1周。交流回路の入り口交流のリアクタンスとインピーダンスの意味を説明できる

この3か月が終わる頃には、参考書の理論の前半が読めるようになっているはずです。そこから先の計画は、電験三種の勉強計画で1年計画と3年計画を比べています。

初心者が勉強を始める手順
  1. 試験の形(4科目・科目合格・年2回)を確かめる
  2. 数学の判定表で自分のスタート地点を決める
  3. 初心者向けの参考書か講座を1つ選ぶ
  4. 数学の復習と理論の直流回路を並行して始める
  5. 1か月ごとに、できるようになったことを書き出す
1か月目は数学の基礎と用語、2か月目は三角関数と直流回路、3か月目は静電気・電磁気と交流の入り口という、最初の3か月の流れを示した図解

1日の勉強の進め方の例

平日の1時間を、どう使うかの例も挙げておきます。

時間やること
最初の10分前の日に解いた問題を1〜2問解き直す
次の30分参考書を読み、例題を一緒に解く
最後の20分章末の問題を自分で解き、分からない所をノートに書く

最初に前の日の復習を入れると、忘れかけたところで思い出せるので、記憶に残りやすくなります。疲れた日は最初の10分だけでもかまいません。

3か月たっても思うように進まない時は

『3か月たったのに、まだ直流回路で止まっている』ということもあります。そんな時も、焦らなくて大丈夫です。

まずは、どこで止まっているかを書き出してみてください。式の変形で止まっているなら数学に戻り、用語の意味で止まっているなら別の参考書の同じ章を読んでみます。

止まっている所が分かれば、やることがはっきりします。計画は遅れてもかまわないので、月ごとの目標を少しずつ後ろにずらして、続けることを優先しましょう。

理論の中で入りやすい分野

理論の中では、直流回路がいちばん入りやすい分野です。使う数学が分数と1次方程式くらいで、電験3種の考え方の土台になるからです。

直流回路の解き方は電験三種の直流回路で、理論全体の進め方は電験三種の理論で紹介しています。

文系・未経験の人が気をつけたいこと

一人で抱え込まず、続けられる仕組みを作る

文系や未経験の方が途中で止まる理由は、内容の難しさより「分からない所を聞けない」「続かない」ことが多いです。

『分からない所があっても、聞ける人がいない』という悩みもよくありますよね。

独学で進める場合は、分からない所をノートに書き出しておき、参考書を2冊目で読み比べる方法があります。講座の中には、質問できる仕組みがあるものもあります。

職場でこんな会話になることもありそうです。

「電験3種の勉強を始めたんですけど、交流のところで止まっちゃって」
「交流は三角関数が分かると急に楽になるよ。いったん数学に戻ってみたら?」

文系・未経験の方の続けるためのチェック
  • 1日のうちで勉強する時間帯を決めている
  • 分からない所を書き出すノートがある
  • 1か月ごとの目標を紙に書いている
  • 疲れた日は5分だけでも参考書を開く
  • 質問できる相手か仕組みを1つ持っている
仕事のあとの夜に自宅の机で、入門書とノートを広げて電験3種の勉強をしている手元の様子を写した写真

仕事に結びつけて考えると続きやすい

電験3種を取ると、ビルや工場などの電気設備の保安の監督ができるようになります。電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5千kW以上の発電所などを除く)が範囲です。

『この資格を取ったら、こんな仕事ができる』と具体的に思い描けると、勉強の気持ちが続きやすくなりますよ。

初心者のよくある相談に答えます

相談の多くは「何から始めるか」と「どの分野が入りやすいか」

知恵袋でも、電験3種の初心者からの相談がたくさん見られます。その中から3つを選んで答えます。

相談1:文系の初心者は何から始めればいい?

電験3種の初心者で文系だが、何から始めた方がいいか、という相談です。

結論から言うと、数学の判定表で自分のスタート地点を確かめ、分からない所から復習を始めるのがおすすめです。そのうえで、理論の直流回路に並行して入ります。

文系だから不利、ということはありません。数学の復習に少し多めに時間をとる、と考えておけば十分です。

相談2:理論の中で、比較的とっつきやすい分野は?

理論はどれも初心者には難しく感じるが、比較的とっつきやすい分野はどこか、という相談です。

おすすめは直流回路です。オームの法則とキルヒホッフの法則を使えば解ける問題が多く、使う数学も分数と1次方程式が中心です。

直流回路で「解けた」という手応えをつかんでから、静電気や電磁気、交流回路へ進むと、自信を持って続けられます。

相談3:フレミングの左手と右手で迷ってしまう

フレミングの左手の法則と右手の法則で迷う、という相談です。

左手は、電流が流れる導体が磁界から力を受ける時、つまり電動機(モーター)の考え方に使います。右手は、導体が磁界の中を動いて起電力が生まれる時、つまり発電機の考え方に使います。

『どっちだっけ?』と迷ったら、「電流が先にあるなら左手、動きが先にあるなら右手」と考えてみてください。中指・人差し指・親指の向きは、左手では「電流・磁界・力」の順です。

相談4:r と d、距離の記号の違いが分からない

物理の初心者で、式に出てくる r と d の違いが分からない、という相談です。

記号の意味は、問題や参考書の中でそのつど決められています。よく見るのは、r が中心からの距離や半径、d が板と板のすき間のような間隔を表す使い方です。

例えば、点電荷の間の力の式では r(電荷の間の距離)を、平行板コンデンサの静電容量 C = εS/d では d(板の間隔)を使います。記号が出てきたら、まず「この問題では何を表しているか」を図の中で確かめるクセをつけておきましょう。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

初心者は独学と講座、どちらで始める?

どちらでも始められる。続けられる方を選ぶ

初心者でも独学で合格する人はいますし、講座で順番を決めてもらって進める人もいます。自分の性格と生活に合う方を選びましょう。

『独学で始めて、だめなら講座にしようかな』と考える方もいますよね。それも一つの方法です。

比べる点独学が向いている人講座が向いている人
計画自分で順番を決められる順番を決めてほしい
分からない所参考書を読み比べて自分で調べられる質問できる仕組みがほしい
ペース自分のペースで進めたい締め切りがある方が続く

初心者向けの参考書を選ぶ時のチェック

初心者の方は、最初の1冊選びで迷いますよね。書名で決めるより、中身の作りを見て選ぶのがおすすめです。

初心者向けの参考書のチェック
  • 数学の復習の章か、別冊の数学の本がある
  • 図や色分けが多く、式の途中が省かれていない
  • 例題の後に、すぐ自分で解ける問題がある
  • 過去問の解説が付いている

書店で手に取れる場合は、苦手な分野のページを開いて、読んでみて分かりそうかを確かめると失敗しにくいです。

独学の進め方は電験三種は独学で合格できる?で、講座の比べ方は電験三種の講座の選び方で紹介しています。勉強全体の手順は電験三種に合格するにはでまとめています。

よくある質問

電験3種は文系の初心者でも合格できますか?

目指せます。受験資格に制限はなく、科目合格の制度もあります。数学の復習に少し多めに時間をとる計画にしておきましょう。

初心者は中学の数学からやり直すべきですか?

全員が中学からやり直す必要はありません。判定表で自分が分からない所を見つけ、そこから復習を始めれば十分です。

初心者は、まずどの科目から勉強すればいいですか?

理論からがおすすめです。理論の中でも直流回路から入ると、使う数学が少なく、ほかの科目の土台にもなります。

初心者は参考書と講座、どちらから始めるのがいいですか?

どちらからでも始められます。自分で順番を決めて進められるなら参考書から、順番や質問の仕組みがほしいなら講座の資料を取り寄せて比べてみてください。

電気の実務経験がなくても大丈夫ですか?

受験に実務経験は要りません。試験は筆記の学科だけなので、参考書と過去問で知識を積み上げていけば目指せます。

まとめ

この記事の要点
  • 電験3種は受験資格の制限がなく、初心者でも目指せる
  • 初心者がつまずくのは、数学(分数・式変形・√・三角関数・複素数)と電気の用語
  • 数学は判定表で自分のスタート地点を決め、分からない所から復習する
  • 最初の3か月で、数学の土台と理論の入り口までを目標にする
  • 独学も講座も選べる。続けられる方を選ぶ

電験の全体像は電験とは?で紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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