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法規の勉強で、『暗記はなんとかなるけど、計算問題になると何の公式を使えばいいか分からない』と困っている方も多いですよね。
結論から言うと、電験三種の法規の計算は、公式の数がそれほど多くありません。問題の型ごとに「使う公式」と「解く順番」を決めておけば、落ち着いて解けるようになります。
この記事を読むと、法規の計算で使う公式の一覧と、型ごとの解き方、過去問の使い方が分かります。
電験三種の法規の計算問題はどんな問題?
法規の計算は、電気施設管理の計算と、電気設備技術基準の解釈の数値を使う計算に分かれます。どちらも、条文や定義の言葉を式に置きかえる力が問われます。
電気技術者試験センターが公表する法規の範囲は、「電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理」です。法規の試験は65分で、A問題10題とB問題3題に答えます。
『法規なのに計算があるの?』と驚いた方もいるかもしれません。
実は、法規の計算は理論や電力の計算よりも、「言葉の定義を式にする」作業が中心なんです。例えば需要率なら、「最大需要電力を設備容量で割ったもの」という定義を知っていれば、そのまま式になります。
法規の範囲全体の進め方は電験三種の法規の出題範囲と覚え方で紹介しています。
計算問題を2つのグループに分ける
この記事では、法規の計算を次の2つに分けて考えます。
| グループ | 主な計算 | 必要なもの |
|---|---|---|
| 電気施設管理の計算 | 需要率・負荷率・不等率、変圧器の効率、力率の改善、電圧降下 | 定義の言葉と、電力の基本の式 |
| 解釈の数値を使う計算 | 絶縁耐力試験の電圧、B種接地抵抗、1線地絡電流、電線のたるみ | 解釈の数値と条件 |
法規の計算で使う公式の一覧表
法規の公式は、式だけでなく、どの法令の決まりから来るのかを一緒に覚えると、条件の読み違いが減ります。
『法規の計算で使う公式を全部知りたい』という声は本当によく聞きます。
この記事で扱う公式を、1枚の表にまとめました。解釈の数値は、経済産業省が公開している電気設備の技術基準の解釈で編集部が確かめたものです。
| 公式の名前 | 式 | 根拠・出どころ |
|---|---|---|
| 需要率 | 最大需要電力 ÷ 設備容量 × 100(%) | 定義 |
| 負荷率 | 平均需要電力 ÷ 最大需要電力 × 100(%) | 定義 |
| 不等率 | 各需要家の最大需要電力の和 ÷ 合成最大需要電力 | 定義(1以上になる) |
| 最大使用電圧(1,000Vを超え500,000V未満) | 使用電圧 × 1.15 ÷ 1.1 | 解釈 第1条 |
| 絶縁耐力試験の電圧(最大使用電圧7,000V以下の交流電路) | 最大使用電圧 × 1.5 | 解釈 第15条 |
| 試験に要る充電電流 | I = 2πfCV | 交流回路の基本 |
| B種接地抵抗値(基本) | 150 ÷ Ig 以下 | 解釈 第17条 |
| 1線地絡電流(中性点非接地・高圧) | I1 = 1 +(V′L ÷ 3 − 100)÷ 150 +(V′L′ − 1)÷ 2 | 解釈 第17条 |
| 変圧器の効率 | 出力 ÷(出力 + 鉄損 + 銅損)× 100(%) | 定義 |
| 銅損の変わり方 | 全負荷銅損 × 負荷率の2乗 | 電流の2乗に比例 |
| 力率改善のコンデンサ容量 | Q = P ×(tanθ1 − tanθ2) | 電力の三角形 |
| 三相3線式の電圧降下 | v = √3 × I ×(Rcosθ + Xsinθ) | 電力の基本 |
| 電線のたるみ | D = WS² ÷(8T) | 力のつり合い |
| 低圧電線路の漏えい電流の上限 | 最大供給電流 ÷ 2,000 | 電技 第22条 |

『表にすると多いな…』と感じた方もいるかもしれません。ただ、需要率から変圧器の効率までは、定義の言葉を覚えれば式は自然に出てきます。
公式を科目ごとにまとめて見たい方は、電験三種の公式まとめも使ってみてください。
電気施設管理の計算の型と例題
型1から型3は、定義の言葉と電力の基本の式で解ける計算です。順に例題で確かめていきましょう。
型1:需要率・負荷率・不等率
需要率は設備容量で、負荷率は最大需要電力で、不等率は合成の最大需要電力で割ります。分母を取り違えないことが一番のコツです。
『需要率と負荷率の関係が分からない』という相談はとても多い所です。
結論から言うと、2つの率は「最大需要電力」でつながっています。需要率の分子と、負荷率の分母が同じ最大需要電力なんです。
例題1:2つの需要家の不等率と負荷率
自作の例題で確かめます。
『需要家Aの最大需要電力は300kW、需要家Bは200kW。2つを合わせた最大需要電力は400kWだった。不等率は? また、AとB合わせた1日の平均需要電力が240kWなら、合成の負荷率は?』
- 各需要家の最大需要電力の和:300 + 200 で500kW
- 不等率:500 ÷ 400 で1.25
- 合成の負荷率:240 ÷ 400 × 100 で60%
不等率は1以上になります。AとBの最大需要電力は同じ時刻に重なるとは限らないので、合成の最大は、それぞれの最大の和より小さくなるからです。
合成の負荷率を出す時に、各需要家の最大需要電力の和(500kW)で割ってしまうミスがあります。合成の負荷率は、合成の最大需要電力(400kW)で割りましょう。
型2:変圧器の効率と全日効率
変圧器の効率の計算は、損失を鉄損と銅損に分け、銅損だけを負荷の大きさに合わせて変えるのがコツです。
『全日効率の問題で、どこに何時間を掛けるのか分からない』という方も多いはずです。
鉄損は電圧がかかっている間ずっと出る損失、銅損は電流が流れた分だけ出る損失です。この違いが、時間の掛け方の違いになります。
例題2:負荷が半分の時の効率
『容量100kVAの変圧器。鉄損0.5kW、全負荷の時の銅損1.5kW。力率1.0で、容量の半分の負荷をかけた時の効率は?』
- 出力:100 × 0.5 × 1.0 で50kW
- 銅損:1.5 × 0.5² で0.375kW
- 効率:50 ÷(50 + 0.5 + 0.375)× 100
- 計算すると約98.3%
例題3:1日の全日効率
『同じ変圧器を、1日のうち8時間は全負荷(力率1.0)、残りの16時間は無負荷で使った。全日効率は?』
- 1日の出力の電力量:100 × 8 で800kW・h
- 鉄損の電力量:0.5 × 24 で12kW・h(1日中出る)
- 銅損の電力量:1.5 × 8 で12kW・h(負荷がある間だけ)
- 全日効率:800 ÷(800 + 12 + 12)× 100 で約97.1%
鉄損に24時間を掛けるのは、無負荷の時間も電圧がかかっているからです。ここが全日効率の一番のポイントですね。
型3:電圧降下・力率改善・電線のたるみ
電圧降下や力率改善は、電力科目で学ぶ式をそのまま使います。法規の問題では、条件の読み取りがカギになります。
電圧降下や電力損失の考え方は、電力科目の送電・配電で学ぶ内容と同じです。ここでは法規の問題で使う形の例題を2つ見ておきます。
例題4:力率改善のコンデンサ容量
『有効電力300kW、力率0.8の負荷の力率を1.0に改善したい。必要なコンデンサの容量は?』
力率0.8の時、sinθは0.6なので、tanθ1は0.6 ÷ 0.8で0.75です。力率1.0では tanθ2 は0なので、300 ×(0.75 − 0)で225kvarになります。
例題5:電線のたるみ
『径間100m、電線の単位長さあたりの重さ(荷重)10N/m、水平張力20,000Nの電線のたるみは?』
10 × 100² ÷(8 × 20,000)を計算すると、100,000 ÷ 160,000で0.625mです。
単位をNとmにそろえてから式に入れると、桁の間違いが減りますよ。
例題6:三相3線式の電圧降下
『三相3線式の配電線に100Aの電流が流れている。電線1線あたりの抵抗は0.5Ω、リアクタンスは0.4Ω、負荷の力率は0.8(遅れ)。電圧降下は?』
力率0.8なので sinθ は0.6です。Rcosθ + Xsinθ は0.5 × 0.8 + 0.4 × 0.6で0.64になります。
これに√3 × 100を掛けると、1.732 × 100 × 0.64で約111Vです。単相2線式なら√3の代わりに2を掛ける、という違いも一緒に覚えておきましょう。
- 問題文の数値に印をつけ、単位を横に書く
- 使う公式の名前を問題の横に書く
- 公称電圧か最大使用電圧かを確かめる
- 鉄損と銅損で、掛ける時間が違うかを確かめる
- 答えの桁と単位が、選択肢と合っているか見る
解釈の数値を使う計算の型と例題
型4と型5は、電気設備の技術基準の解釈にある数値と条件を使う計算です。条番号と一緒に覚えておくと、条件の読み違いが減ります。
型4:絶縁耐力試験の電圧と充電電流
絶縁耐力試験の計算は、公称電圧から最大使用電圧を出し、そこから試験電圧を出す、という3段の流れで進めます。
絶縁耐力試験は、電路に高い電圧を加えて、絶縁が耐えられるかを確かめる試験です。解釈第15条では、最大使用電圧が7,000V以下の交流の電路について決まりがあります。最大使用電圧の1.5倍の電圧を連続して10分間加えて、耐えることです。

例題7:公称6,600Vのケーブルの試験
『公称電圧6,600Vの高圧ケーブルの絶縁耐力試験を交流で行う。試験電圧は? また、ケーブルの3線一括の対地静電容量が0.4μF、周波数50Hzの時、試験に要る充電電流は?』
- 最大使用電圧:6,600 × 1.15 ÷ 1.1 で6,900V
- 試験電圧:6,900 × 1.5 で10,350V
- 充電電流:2 × 3.14 × 50 × 0.4 × 10⁻⁶ × 10,350
- 計算すると約1.30A
最大使用電圧の係数1.15 ÷ 1.1は、解釈第1条の表にある値です。公称電圧そのものに1.5を掛けてしまうと答えがずれるので、気をつけましょう。
解釈第15条では、ケーブルを使う交流の電路は、交流の試験電圧の2倍の直流電圧を10分間加える方法も認められています。直流なら充電電流がほとんど流れないので、試験装置を小さくできます。
型5:B種接地抵抗と1線地絡電流
B種接地抵抗の問題は、1線地絡電流 Ig を求めてから、150 ÷ Ig に入れる2段の流れです。
B種接地工事は、高圧と低圧が混ざった時(混触)に、低圧側の電圧が上がりすぎないようにするための接地です。解釈第17条では、接地抵抗値は基本が150 ÷ Ig 以下とされています。
さらに、35,000V以下の特別高圧や高圧の電路と低圧電路を結ぶ変圧器で、混触時に自動で遮断する装置がある場合は、値がゆるくなります。
| 遮断する時間 | B種接地抵抗値 | 根拠 |
|---|---|---|
| 下記以外 | 150 ÷ Ig 以下 | 解釈 第17条 |
| 1秒を超え2秒以下 | 300 ÷ Ig 以下 | 解釈 第17条 |
| 1秒以下 | 600 ÷ Ig 以下 | 解釈 第17条 |

例題8:ケーブルだけの高圧配電線
『公称電圧6.6kVの中性点非接地式の高圧電路。架空の電線はなく、ケーブルの線路の長さの合計が10km。1線地絡電流と、B種接地抵抗値の上限は?(自動で遮断する装置はないものとする)』
- V′は公称電圧を1.1で割った値:6.6 ÷ 1.1 で6
- 第2項:架空の電線はないので L = 0、(0 − 100)÷ 150 はマイナスなので0とする
- 第3項:(6 × 10 − 1)÷ 2 で29.5
- I1 = 1 + 0 + 29.5 で30.5、小数点以下を切り上げて31A
- B種接地抵抗値:150 ÷ 31 で約4.8Ω以下
解釈第17条では、計算した1線地絡電流は小数点以下を切り上げ、2A未満なら2Aとする、とされています。第2項・第3項がマイナスになる時は0にする決まりもあるので、合わせて覚えておきましょう。
令和4年度(2022年度)の過去問を使う時の進め方
令和4年度(2022年度)から、電験三種は上期と下期の年2回になりました。1年度で2回分の問題を練習できる、最初の年度です。
電気技術者試験センターのホームページでは、筆記方式の試験問題と解答が公開されています。最新の回から、古いものは平成21年度(2009年度)の分まで掲載されています。
『2022年の電験3種の法規の問題を解きたい』という方は、令和4年度の上期と下期の両方を使ってみてください。同じ年度の2回分を続けて解くと、時間配分の練習にもなります。
一方で、CBT方式の問題と解答は公開されていません。過去問で練習できるのは、筆記方式の回の問題です。
- 試験センターのホームページから、問題と解答のPDFを開く
- 法規の計算問題に印をつけ、この記事の型1から型5のどれかを書く
- 時間を測って、計算問題だけを解く
- 解答と照らし合わせ、間違えた所を公式の一覧表で確かめる
- 1週間後に、間違えた問題だけをもう一度解く
過去問の入手と使い方は電験三種の過去問の使い方で、くわしく紹介しています。
電験3種の法規の解説はどう探す?
試験センターが公開しているのは問題と解答(正答)だけで、解説はありません。電験3種の法規の解説が欲しい時は、市販の過去問題集や講座の教材を使うことになります。
解説を読む時は、答えの数字を追うだけでなく、「どの公式を、なぜ使ったか」をノートに1行で書き出してみてください。次に同じ型が出た時に、その1行が手がかりになります。
よくある相談:法規の計算問題で迷うこと
相談を見ると、計算の力そのものより、言葉の定義や条件の読み違いでつまずいている例が目立ちます。
Yahoo!知恵袋などに寄せられる相談から、テーマに合うものを3つ選んで答えます。
相談1:法規の計算で使う公式を全部知りたい
『電験3種の法規の計算問題で使う公式を、全部教えてほしい』という相談です。
この記事の公式の一覧表が、その答えの土台になります。ただ、公式を覚えるだけでなく、どの型の問題で使うかをセットにしておくのが大事です。
相談2:負荷率と需要率の関係が分からない
『負荷率と需要率の関係は、そのまま代入すれば分かるの?』という相談もあります。
2つの率は、どちらも最大需要電力を使っています。需要率 × 設備容量で最大需要電力が出て、それに負荷率を掛けると平均需要電力が出る、とつなげると分かりやすくなります。
例えば設備容量500kW、需要率60%、負荷率50%なら、最大需要電力は300kW、平均需要電力は150kWです。
相談3:令和4年度の法規の合格点は60点?
『令和4年度の電験三種の法規の合格点は60点だった? 調整はあった?』という相談も見かけます。
合格基準は、各科目とも原則60点で、難易度などから調整する場合があります。各回の合格基準は試験センターの試験結果の発表で公表されているので、気になる回は最新の情報とあわせて試験センターの案内で確かめましょう。
| 相談 | まずやること |
|---|---|
| 公式を全部知りたい | 一覧表で公式と型をセットにして覚える |
| 需要率と負荷率の関係が分からない | 最大需要電力でつないで考える |
| 過去の回の合格点が知りたい | 試験センターの試験結果の発表で確かめる |
会話にすると、こんなやりとりがよくあります。
「需要率と負荷率、どっちが何で割るんだっけ?」
「需要率は設備容量で、負荷率は最大需要電力で割るんだよ」
計算に自信がつかない時は、解説の動画や添削がある講座を使う方法もあります。講座の比べ方は次の案内から確かめてみてください。
電験ガイド
独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ
電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。
講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。
よくある質問
電験三種の法規の公式は、いくつ覚えればいいですか?
この記事の一覧表に載せた公式が土台になります。数より、問題の型ごとにどの公式を使うかを覚えておく方が大事です。
絶縁耐力試験の電圧は、公称電圧の1.5倍ですか?
最大使用電圧が7,000V以下の交流の電路では、最大使用電圧の1.5倍です(解釈第15条)。公称電圧から最大使用電圧を出してから1.5倍にします。
B種接地抵抗値の150という数字の意味は?
混触した時に、低圧側の対地電圧が150Vを超えないようにするための値です。1線地絡電流 Ig で割ると、接地抵抗値の上限が出ます。
電験3種の法規の解説はどこで読めますか?
試験センターが公開しているのは問題と解答だけで、解説はありません。市販の過去問題集や講座の教材を使いましょう。
関数電卓は使えますか?
使えません。四則演算と√の電卓は使えます。tanθやsinθは、力率0.8なら sinθ = 0.6のように、三角形の辺の比から出す練習をしておきましょう。
まとめ
- 電験三種の法規の計算は、施設管理の計算と、解釈の数値を使う計算に分かれる
- 需要率・負荷率・不等率は、何で割るかを取り違えない
- 絶縁耐力試験は、公称電圧、最大使用電圧、試験電圧の3段で出す
- B種接地抵抗は、1線地絡電流を出してから150 ÷ Ig に入れる
- 変圧器の全日効率は、鉄損に24時間、銅損に負荷の時間を掛ける
- 令和4年度(2022年度)からは年2回なので、1年度で2回分を練習できる





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