電験三種の機械|範囲が広い科目の攻め方と分野を学ぶ順番

電験三種の機械科目を、四機を土台に分野を広げる攻め方と学ぶ順番で紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

機械の参考書を開いて、『範囲が広すぎて、どこから手をつければいいのか分からない』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の機械は「四機(直流機・変圧器・誘導機・同期機)」を土台にして、そのあと残りの分野を広げていくと進めやすい科目です。

この記事を読むと、機械科目の範囲の全体像と、自分に合った学ぶ順番、試験での得点の作戦が分かります。

目次

電験三種の機械はどんな科目?

先に結論

機械は、電気機器を中心に、パワーエレクトロニクス・照明・電熱・自動制御・情報処理まで入る、4科目の中でも範囲の広い科目です。試験時間は90分で、五肢択一で答えます。

『機械って、モーターの話だけじゃないの?』と思っていた方もいますよね。

試験センターが示す機械科目の範囲は、電気機器、パワーエレクトロニクス、電動機応用、照明、電熱、電気化学、電気加工です。さらに、自動制御、メカトロニクス、電力システムに関する情報伝送及び処理も入ります。

実は、モーターや変圧器などの電気機器は範囲の一部なんです。名前だけ見ると多いので、まずは分野ごとに中身を表にしておきます。

分野主な中身くわしい記事
直流機直流発電機・直流電動機、励磁の方式、起電力とトルク直流機
変圧器巻数比、等価回路、損失と効率、並行運転変圧器
誘導機すべり、トルク特性、始動方法誘導機
同期機同期速度、同期発電機と同期電動機、短絡比同期機
パワーエレクトロニクス半導体の素子、整流回路、インバータ、チョッパパワエレ
電動機応用ポンプ・送風機・巻上機などの所要動力四機とあわせて学ぶ
照明・電熱・電気化学照度の計算、熱量の計算、電池や電気分解照明・電熱・電気化学
自動制御・メカトロニクスブロック線図、伝達関数、フィードバック自動制御
情報伝送及び処理論理回路、2進数、プログラムの流れ情報処理

試験の形式と時間

機械は、A問題14題とB問題3題の形で出題されます。B問題には選択問題が含まれ、1問の中に小問が2つあります。

試験時間は90分です。情報処理の問題のプログラムはBASICとC言語が併記され、どちらか一方で答えられます(令和8年度(2026年度)の受験案内)。

合格基準は各科目とも原則60点ですが、難しさによって調整されることがあります。例えば令和7年度(2025年度)上期の筆記方式では、機械だけ55点以上が合格の基準でした。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

機械が難しいと言われる理由

『機械は4科目でいちばん難しい』という話を聞いて、不安になっている方もいるはずです。難しく感じられやすい理由は、次の3つに分けられます。

難しく感じる理由中身手の打ち方
範囲が広い電気機器から情報処理まで、分野の数が多い四機を土台にして、分野ごとに核を押さえる
実物を見たことがない回転機の中の様子がイメージしにくい図や写真で中の作りを見てから式に入る
理論の知識を前提にしている交流回路・三相・ベクトル図を使う理論の該当分野を先に確かめる

逆に言えば、この3つに手を打てば、機械は少しずつ得点できる科目になります。一度に全部を覚えようとしないことがいちばんのコツなんです。

「四機」から始める理由

四機は「ほかの分野の土台」になる

四機で使う電磁誘導・等価回路・三相の考え方は、パワエレや電動機応用の問題でもそのまま出てきます。だから最初に四機を固めると、後の分野が楽になります。

『四機から始めるのが定番と聞くけど、なぜなの?』と疑問に思いますよね。

理由は大きく3つあります。

  1. 四機は電気機器の中心で、範囲の中で占める部分が大きい
  2. 四機の考え方(磁束・起電力・すべり・等価回路)が、ほかの分野の土台になる
  3. 四機どうしも、前の機器の知識を次の機器で使う

例えば、誘導機の等価回路は変圧器の等価回路とほぼ同じ形です。変圧器を先にやっておくと、誘導機では「すべりが加わっただけ」と見られるようになります。

四機を学ぶ順番の目安

四機の順番でよく使われるのは、直流機、変圧器、誘導機、同期機の順です。

順番機器この順にする理由まず覚える式
1直流機電磁誘導とフレミングの法則をそのまま使え、式が少ないE = pZφN ÷(60a)
2変圧器等価回路・損失・効率の考え方が、後の機器でも出てくる巻数比 a = N1 ÷ N2
3誘導機変圧器の等価回路にすべりを加えると理解しやすいs =(Ns − N)÷ Ns
4同期機三相とベクトル図をよく使うので、最後にまとめてNs = 120f ÷ p
電験三種の機械科目で、直流機・変圧器・誘導機・同期機の四機を土台にして、パワエレ・照明・電熱・自動制御・情報へ広げていく学ぶ順番を示した図解
同期速度の式は2つの機器で使う

同期速度 Ns = 120f ÷ p は、誘導機と同期機の両方で使います。例えば4極・50Hzなら、120 × 50 ÷ 4 で1,500min⁻¹です。誘導機はこれより少し遅く回り、同期機はちょうどこの速さで回ります。

誘導機の例題で、式のつながりを確かめる

自作の例題で、同期速度とすべりのつながりを見てみます。

『6極・50Hzの三相誘導電動機が、すべり0.04で回っている。回転速度は?』

例題の解き方
  1. 同期速度を出す:Ns = 120 × 50 ÷ 6 = 1,000min⁻¹
  2. すべりの式を変形する:N = Ns(1 − s)
  3. 代入する:1,000 ×(1 − 0.04)= 960min⁻¹

このように、1つの式が分かれば次の式につながるのが四機のおもしろいところです。

四機それぞれで問われること

四機は、知識問題と計算問題の両方で出ます。機器ごとに、よく問われる中身を並べておきます。

機器知識問題で問われやすいこと計算で使う主な式
直流機励磁の方式と特性、電機子反作用、整流起電力 E = V + IaRa(発電機)
変圧器鉄損と銅損、結線の種類、並行運転の条件効率 = 出力 ÷(出力 + 鉄損 + 銅損)
誘導機トルクの比例推移、始動方法、速度制御二次入力:二次銅損:出力 = 1:s:(1 − s)
同期機短絡比、電機子反作用、V曲線、並行運転の条件出力 P = 3VEsinδ ÷ Xs

『表の式を全部いきなり覚えるの?』と身構えなくて大丈夫です。各機器の記事で、1つずつ例題と一緒に進めれば自然に身につきます。

自分に合った学ぶ順番の判定表

スタート地点によって、最初の一手は変わる

理論をどこまで終えているか、電気の仕事をしているかで、機械の始め方は変わります。自分に近い行を選んでみてください。

『四機からと言われても、理論がまだ終わっていない』という方もいるかもしれません。

ここが大事なところです。機械は理論の知識を多く使うので、理論の進み具合で始め方を変えるのがおすすめです。

あなたの状況最初の一手その次
理論がまだ半分も終わっていない理論の交流回路と三相交流を先に固める直流機から四機に入る
理論は一通り終わった直流機から四機を順に進めるパワエレ、自動制御へ
電気の現場で機器に触れている変圧器と誘導機から入り、実物と式を結びつける直流機と同期機を補う
機械だけ科目合格が残っている過去問を分野ごとに分け、落とした分野から四機以外の暗記分野を厚くする
計算が苦手で、まず点を拾いたい照明・電熱・電気化学の基本の式から四機の知識問題を足す

表の行は、1つに決めなくても大丈夫です。2つの行に当てはまるなら、より前の段階の行から始めると、後で戻る手間が減ります。

例えば「仕事のあと平日に1時間、土日に3時間とれる、ビルメンテナンス2年目」なら、変圧器や誘導電動機を毎日見ているはずです。目の前の機器と式を結びつけながら進めると、記憶に残りやすくなります。

機械を始める前のチェック
  • 理論の交流回路でベクトル図が描けるか
  • 三相交流の線間電圧と相電圧の関係を説明できるか
  • フレミングの左手と右手の法則の使い分けが分かるか
  • 電力 P = √3VIcosθ を使って電流を出せるか

チェックがつかない項目があれば、先に電験三種の理論で確かめておくと、機械の参考書がずっと読みやすくなります。

四機以外の分野はどう攻める?

四機以外は「1分野1つの核になる式や考え方」から

パワエレ・照明・電熱・電気化学・自動制御・情報は、それぞれ核になる考え方が決まっています。まずその核だけを押さえ、過去問で広げていきます。

『四機が終わっても、まだこんなに残っているの?』とため息が出ますよね。

ただ、四機以外の分野は、四機に比べると1つの分野がコンパクトです。核になる考え方を表にしておきます。

分野核になる考え方・式つまずきやすい所
パワーエレクトロニクス素子のオンとオフで電圧を切り替える波形と平均電圧の読み取り
電動機応用ポンプの所要動力は流量・揚程・効率で決まる単位のそろえ方
照明照度は光度に比例し、距離の2乗に反比例する角度があるときのcosの掛け方
電熱熱量 = 質量 × 比熱 × 温度差J と kW・h の換算
電気化学電気分解の量は流した電気量に比例する電池の種類と特徴の暗記
自動制御ブロック線図をまとめて伝達関数を出すフィードバックの式の符号
情報処理2進数と論理回路、プログラムの流れ真理値表の作り方

照明と電熱は計算の練習にちょうどいい

照明と電熱は、使う式が少なく、計算の流れも短めです。

例えば、電熱で「水20kgを15℃から85℃まで温める熱量」なら、20 × 4.2 × 70 で5,880kJです(水の比熱を4.2kJ/(kg・K)とした自作の例)。式に入れるだけなので、計算に慣れる練習にもなります。

パワエレと電動機応用も式は短い

パワエレの整流回路では、平均電圧の式がよく使われます。例えば、ダイオードの単相全波整流回路で抵抗負荷なら、直流の平均電圧は交流の実効値の約0.9倍です。交流100Vなら約90Vになります。

電動機応用では、ポンプの所要動力 P = 9.8QH ÷ η(kW)が代表的な式です。Qは毎秒の流量(m³/s)、Hは揚程(m)、ηは効率です。

例えば流量0.5m³/s、揚程20m、効率0.8なら、9.8 × 0.5 × 20 ÷ 0.8 で122.5kWと出ます。自作の例ですが、式に入れる順番さえ覚えれば短い計算で済むんです。

自動制御と情報は「型」で覚える

自動制御は、ブロック線図をまとめる手順が決まっています。フィードバックの形は「G ÷(1 + GH)」の型を最初に覚えておきましょう。

情報処理は、2進数の変換と論理回路の真理値表が中心です。プログラムの問題も、変数の値を1行ずつ表に書き出して追えば解けるように作られています。

よくある失敗

四機の計算が苦手だからといって、四機以外の暗記分野だけで合格点を狙う作戦は、うまくいかないことがあります。四機は範囲の中心なので、知識問題だけでも拾えるようにしておきましょう。

試験で得点を積み上げる作戦

「解ける問題から先に」と「選択問題の見極め」

90分でA問題14題・B問題3題を解くので、時間の使い方が点に直結します。迷った問題は印をつけて後回しにしましょう。

『時間が足りなくて、最後まで解けなかった』という声は機械でよく聞きます。

電験三種の機械の試験時間を、知識問題を先に解いて計算問題に時間を残す順番で使う流れを示した図解

実は、問題の並び順どおりに解く必要はありません。知識問題を先に片づけて、計算問題に時間を残す方が落ち着いて解けます。

試験時間の使い方の例
  1. 全体を見渡し、知識問題と計算問題に印をつける
  2. 知識問題を先に解く(迷ったら印をつけて飛ばす)
  3. B問題の選択問題は、問題文を読んでから得意な方を選ぶ
  4. 計算問題を、得意な分野から順に解く
  5. 印をつけた問題に戻り、残りの時間で見直す

過去問は分野ごとに分けて解く

過去問を年度ごとに解くだけだと、どの分野が弱いのかが見えにくいんです。

1回分を解いたら、落とした問題を四機・パワエレ・照明などの分野に分けてみてください。同じ分野で何度も落としていれば、そこが次に勉強する所です。過去問の入手と使い方は電験三種の過去問で紹介しています。

過去問の結果次にやること
四機の計算を落としているその機器の基本の式に戻り、例題を解き直す
四機の知識問題を落としている機器の作りと特徴を表にまとめ直す
パワエレの波形で迷う素子のオンとオフの区間を図に書き込む
照明・電熱で単位を間違える単位の換算だけを先に練習する
時間が足りない知識問題を先に解く順番を試す

科目合格の制度を使って、機械を後の回に回す作戦もあります。どの科目から取るかの考え方は電験三種の科目合格制度で紹介しています。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

機械についてよくある相談

相談が多いのは「四機の難しさ」「理論の次の進め方」「型の覚え方」

知恵袋でも、電験三種の機械についての相談がたくさん寄せられています。よくあるものを選んで答えます。

相談1:四機を難しい順に並べるとどうなる?

直流機・変圧器・誘導機・同期機の四機を、難しい順に並べてほしいという相談はとても多いです。

『難しい所から先にやった方がいいのかな』と考える方もいますよね。ただ、難しさは人によって違い、何を先に学んだかでも変わります。

順番を決めるなら、難しさより「前の知識を次で使えるか」で決める方が効率的です。この記事の表のように、直流機から同期機へ進めると、前の機器の考え方を使いながら学べます。

相談2:理論に絞って勉強してきた。次の科目はどう進める?

理論を先に勉強して点が取れるようになったので、電力・機械・法規をどう進めればいいか、という相談もあります。

理論で点が取れているなら、機械に入る準備はできています。理論の交流回路と三相交流を使う四機から始めると、理論の力をそのまま活かせます。

機械と電力は、変圧器や同期発電機など重なる話題もあります。機械で学んだ機器の知識が電力の理解も助けてくれるんです。

相談3:自動制御は過去問のパターン暗記で大丈夫?

自動制御の過去問の解き方は覚えたが、パターンを覚えるだけで本番も解けるのか、という相談もあります。

自動制御は、ブロック線図のまとめ方や伝達関数の読み方など、型がはっきりした分野です。型を覚えるのは正しい進め方です。

ただ、本番では見たことのない形の図が出ることもあります。型を覚えたら、「なぜその形にまとめられるのか」を自分の言葉で説明できるかを確かめておくと安心です。

相談4:平均照度の問題で、何を掛ければいいか分からない

照明の平均照度を求める問題で、1灯が受け持つ面積や照明率をどう使うのか迷う、という相談もあります。

平均照度は、E = NFUM ÷ A で求めます。Nは灯数、Fは1灯の光束、Uは照明率、Mは保守率、Aは床の面積です。

例えば、光束3,000lmの照明が20灯、照明率0.6、保守率0.7、床の面積120m²なら、20 × 3,000 × 0.6 × 0.7 ÷ 120 で210lxです。1灯が受け持つ面積で考える問題は、Aにその面積、Nに1を入れれば同じ式で解けます。

相談押さえる考え方
四機の難しい順難しさより、前の知識を次で使える順に学ぶ
理論の次の進め方理論の力を使える四機から入る
自動制御はパターン暗記でいいか型を覚えたうえで、理由を説明できるようにする
平均照度で何を掛けるかE = NFUM ÷ A に灯数・光束・照明率・保守率を入れる

よくある質問

電験三種の機械は、どの分野から勉強すればいいですか?

直流機・変圧器・誘導機・同期機の四機から始めるのがおすすめです。四機の考え方が、パワエレや電動機応用など、ほかの分野の土台になります。

機械の試験時間と問題数はどのくらいですか?

試験時間は90分で、A問題14題とB問題3題の形です。B問題には選択問題が含まれ、1問の中に小問が2つあります。

機械は理論の後に勉強した方がいいですか?

理論の交流回路や三相交流を使う問題が多いので、理論を一通り終えてから始めると読みやすくなります。理論と並行して進める場合も、交流回路だけは先に押さえておきましょう。

四機以外の分野は捨ててもいいですか?

おすすめしません。照明・電熱・電気化学などは使う式が少なく、得点につなげやすい分野です。核になる式だけでも押さえておきましょう。

機械の合格基準は何点ですか?

各科目とも原則60点ですが、難しさによって調整されることがあります。令和7年度(2025年度)上期の筆記方式では、機械は55点以上でした。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 機械は電気機器を中心に、パワエレ・照明・電熱・自動制御・情報まで入る範囲の広い科目
  • 四機は直流機・変圧器・誘導機・同期機の順に進めると、前の知識を次で使える
  • 理論の進み具合や仕事の経験で、最初の一手を判定表で選ぶ
  • 四機以外は、分野ごとの核になる式や考え方から押さえる
  • 試験では知識問題を先に解き、過去問は分野ごとに分けて弱点を見つける
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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