電験三種の法規|出題範囲と覚え方・計算問題の配分

電験三種の法規を、出題範囲と覚え方・計算問題の時間配分から整理する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

理論・電力・機械の勉強が進んできて、『電験三種の法規は暗記ばかりで、どこから覚えればいいのか分からない』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、法規は「法律の仕組み」「数値の暗記」「計算問題」の3つに分けて進めると、量の多さに振り回されなくなります。

この記事を読むと、法規の範囲の全体像と、65分の使い方、条文の数値を自分で確かめる方法まで分かります。

目次

電験三種の法規はどんな科目?

先に結論

法規は、電気の保安に関する法令と、電気施設の管理を扱う科目です。試験時間は65分で、4科目の中でいちばん短い科目です。

電気技術者試験センターの受験案内では、法規の範囲は「電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理」とされています。ここには「電気設備の技術基準の解釈について」も含まれます。

試験の形を表にまとめました。数字は令和8年度(2026年度)の受験案内に基づいています。

項目法規の中身
試験時間65分(理論・電力・機械は各90分)
問題の数A問題10題・B問題3題
B問題の形1問の中に小問が2つ
解答の形五肢択一(筆記方式はマークシート、CBT方式はパソコン)
合格基準原則60点(難易度により調整する場合がある)

令和8年度上期の筆記方式では、法規は最後の時間帯の16時25分から17時30分に行われました。最新の時間割は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

『法規は4科目の最後だから、後回しでいいかな』と思った方もいるかもしれません。

ただ、法規の計算問題には、理論や電力の知識を使うものがあります。法規(電験3種)を最後に回す場合でも、計算の土台はほかの科目で作っておくと楽になりますよ。

「電験法規」とまとめて呼ばれることも

勉強仲間の間では、電験の法規を縮めて「電験法規」と呼ぶこともあります。

二種や一種の一次試験にも法規の科目があります。この記事では、三種の法規を中心に話を進めます。

法規の出題範囲を3つに分けて表で見る

範囲は「電気事業法」「電技と解釈」「施設管理」

法規の範囲は広く見えますが、大きく3つのかたまりに分けると、何を覚えればいいかが見えてきます。

『法規って、結局どの法律を覚えればいいの?』という声は本当によく聞きます。

この記事では、法規の範囲を次の3つに分けて考えます。

かたまり主な中身勉強の中心
電気事業法の関係電気工作物の区分、保安規程、主任技術者の選任、事故の報告仕組みと言葉の意味
電気設備技術基準と解釈電圧の区分、絶縁、接地、電線路、電気使用場所の施設数値と条件の暗記
電気施設管理需要率・負荷率・不等率、変圧器の効率、力率の改善計算の手順
電験三種の法規の出題範囲を、電気事業法・電気設備技術基準と解釈・電気施設管理の3つのかたまりに分けて示した図解

電気事業法は「仕組み」で覚える

電気事業法のかたまりでは、どんな電気工作物に、誰が、どんな義務を負うかが問われます。

例えば、事業用電気工作物を設置する人には2つの義務があります。保安規程を定めて届け出ること(電気事業法第42条)と、主任技術者を選任すること(同第43条)です。

最初に覚えたいのが、電気工作物の区分です。どの区分に入るかで、保安規程や主任技術者の義務がかかるかどうかが変わります。

区分ざっくり言うと根拠
一般用電気工作物600V以下で受電する住宅や小さな店の設備など電気事業法 第38条第1項、施行規則 第48条
事業用電気工作物一般用電気工作物以外の電気工作物電気事業法 第38条第2項
小規模事業用電気工作物事業用のうち、出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備や20kW未満の風力発電設備など電気事業法 第38条第3項、施行規則 第48条
自家用電気工作物電気事業の用に供するもの等と一般用以外。工場やビルの受電設備など電気事業法 第38条第4項

細かい区分と流れは電験三種の電気事業法でくわしく紹介しています。

電技と解釈は「数値と条件」で覚える

電気設備技術基準(電技)は、守るべき性能を定めた省令です。その具体的な数値や施設の方法を示したのが、電気設備技術基準の解釈(解釈)です。

電技は「〜の危険がないように」と目的を書き、解釈は「〜Ω以下」のように具体的な値を書いている、と考えると区別しやすくなります。

読み方のコツは電気設備技術基準と解釈の読み方で紹介しています。

施設管理は「計算の手順」で覚える

電気施設管理では、需要率や負荷率、変圧器の効率、電圧降下、力率の改善などの計算が出てきます。

例えば、設備容量の合計が500kWの工場で、最大需要電力が300kWだったとします。需要率は最大需要電力 ÷ 設備容量なので、300 ÷ 500で60%です。

同じ工場の1日の平均需要電力が180kWなら、負荷率は平均 ÷ 最大で、180 ÷ 300の60%になります。言葉の定義さえ押さえれば、計算そのものは割り算1回で済むんです。

力率の改善も、施設管理で扱う計算の一つです。有効電力 P の負荷の力率を cosθ1 から cosθ2 に上げるとします。必要なコンデンサの容量は、Q = P ×(tanθ1 − tanθ2)で求めます。

例えば300kWの負荷の力率を0.8から1.0に上げるなら、cosθ1 = 0.8の時の tanθ1 は0.75、力率1.0の時の tanθ2 は0です。コンデンサの容量は300 × 0.75で225kvarになります。

法規の計算問題の公式と解き方は、法規の計算問題の型でまとめています。

65分の時間配分と、暗記と計算の進め方

時間の目安を決めてから問題を開く

65分は短く感じますが、A問題を先に片づけ、B問題に時間を残すと決めておくと、焦らずに解き進められます。

『65分で13題って、時間が足りるの?』と不安になりますよね。

時間の使い方に正解はありませんが、例えば次のような目安を作っておくと、当日に迷いません。

時間の使い方の目安分やること
A問題(10題)約30分暗記で答えられる問題から解く
B問題(3題)約25分計算を落ち着いて進める
見直し約10分マークずれと単位を確かめる

これはこの記事で考えた一例です。暗記が得意な人はA問題を短く、計算が得意な人はB問題を後半にまとめて、と自分に合わせて変えてみてください。

CBT方式と筆記方式で変わること

令和8年度(2026年度)からは、申込みの時にCBT方式か筆記方式かを選びます。どちらを選んでも、法規の時間や問題の数の考え方は同じです。

違いは、解き方の環境です。CBT方式はパソコンの画面で問題を読み、試験の終わりに得点が表示されます。筆記方式は問題用紙に書き込みながら解けるので、計算の途中を余白に書けます。

CBT方式を選ぶ方は、画面で長い条文の問題文を読む練習を、過去問のPDFで一度しておくと安心です。

暗記と計算、どちらから始める?

公表されている過去の問題を見ると、法規には暗記で答える問題と、計算で答える問題の両方が含まれています。

結論から言うと、最初は暗記の「仕組み」から入り、計算は並行して少しずつ進めるのがおすすめです。仕組みが分かると、数値の意味もつながって覚えやすくなるからです。

暗記から入る良さ
  • 電気事業法の言葉が分かると、問題文が読める
  • 短い時間でも、すき間に進めやすい
  • 数値の意味がつながって覚えやすい
計算を後回しにしすぎた時
  • 試験の直前に計算の練習が足りなくなる
  • 理論や電力の公式を忘れてしまう
  • B問題で時間が足りなくなる

例えば、仕事のあと平日に1時間とれる方なら、平日の30分を暗記、残りの30分を計算1問、という分け方もできます。

よくある失敗

条文の数値だけを一覧で丸暗記して、条件を覚えていないことがあります。「何ボルト以下の時に」「どんな場所で」という条件とセットで覚えないと、ひっかけの選択肢で迷ってしまいます。

法規でまず押さえたい数値を条番号つきで見る

数値は「どの法令の何条か」と一緒に覚える

法規の数値は、条番号と組にしておくと、あとで条文を確かめる時に迷いません。ここでは、e-Gov法令検索と経済産業省の解釈で編集部が確かめた数値だけを載せます。

『覚える数値が多すぎて、どれから手をつければいいか分からない』という方も多いはずです。

まずは、ほかの問題の土台になる数値から押さえましょう。

数値の中身決まり根拠
低圧の範囲直流750V以下、交流600V以下電技 第2条
高圧の範囲低圧を超え、7,000V以下電技 第2条
特別高圧の範囲7,000Vを超えるもの電技 第2条
低圧電路の絶縁抵抗(300V以下・対地電圧150V以下)0.1MΩ以上電技 第58条
低圧電路の絶縁抵抗(300V以下・その他)0.2MΩ以上電技 第58条
低圧電路の絶縁抵抗(300Vを超える)0.4MΩ以上電技 第58条
絶縁抵抗の測定が難しい時の漏えい電流1mA以下解釈 第14条
低圧電線路の漏えい電流最大供給電流の2,000分の1以下電技 第22条
最大使用電圧7,000V以下の交流電路の絶縁耐力試験最大使用電圧の1.5倍の電圧を連続10分間解釈 第15条
A種接地工事の接地抵抗値10Ω以下解釈 第17条
C種接地工事の接地抵抗値10Ω以下(0.5秒以内に自動で遮断する装置があれば500Ω以下)解釈 第17条
D種接地工事の接地抵抗値100Ω以下(0.5秒以内に自動で遮断する装置があれば500Ω以下)解釈 第17条
B種接地工事の接地抵抗値(基本)150 ÷ Ig 以下(Igは1線地絡電流)解釈 第17条

事故の報告も、時間の決まりがある所です。自家用電気工作物で感電による死傷事故などが起きた時は、事故の発生を知った時から24時間以内に、可能な限り速やかに電話等で報告します。そのうえで30日以内に報告書を出します(電気関係報告規則 第3条)。

電技は「電気設備に関する技術基準を定める省令」、解釈は「電気設備の技術基準の解釈」のことです。解釈は改正されることがあるので、勉強の途中でも最新版を確かめる習慣をつけておきましょう。

数値の覚え方は「組」で覚える

例えば絶縁抵抗の0.1・0.2・0.4MΩは、使用電圧が上がるほど大きい値になる、という並びで覚えると忘れにくくなります。

接地工事の10Ωと100Ωも、「A種とC種は10Ω、D種は100Ω」と組にすると整理できます。

語呂合わせで覚える工夫は電験3種の語呂合わせで紹介しています。

監督の範囲も法令で決まっている

第三種電気主任技術者が保安の監督をできるのは、電圧5万V未満の事業用電気工作物(出力5千kW以上の発電所又は蓄電所を除く)です。これは電気事業法施行規則第56条で定められています。

e-Gov法令検索で条文を確かめる手順

数値に迷ったら、元の条文に当たる

テキストや問題集の数値に迷った時は、e-Gov法令検索で条文そのものを読むのがいちばん確かです。

『テキストによって書き方が違って、どれが正しいのか分からない』という経験はありませんか?

実は、電気事業法や電技は、e-Gov法令検索で誰でも無料で読めるんです。調べ方を手順にしました。

e-Gov法令検索で条文を確かめる手順
  1. e-Gov法令検索を開く
  2. 法令名に「電気事業法」や「電気設備に関する技術基準を定める省令」と入れて検索する
  3. 目次から、確かめたい条(例:第58条)を選ぶ
  4. 表や「ただし」の部分まで読み、条件を書き出す
  5. 自分のノートの数値と条件を、条文に合わせて直す

解釈は省令ではないため、e-Gov法令検索ではなく、経済産業省のホームページで公開されています。解釈の条番号は「解釈 第17条」のように、電技の条番号と分けてノートに書いておきましょう。

e-Gov法令検索で電気事業法や電技の条文を開き、条件まで読んでノートの数値を直すまでの流れを示した図解

条文を読む時のコツ

条文は1文が長いので、主語と義務の部分に線を引くと読みやすくなります。

例えば電気事業法第43条第1項なら、「事業用電気工作物を設置する者は」が主語で、「主任技術者を選任しなければならない」が義務です。間の部分は、選任のしかたを説明しています。

勉強仲間と話すなら、こんなやりとりになるかもしれません。

「第43条って、結局何が書いてあるの?」
「事業用電気工作物を置く人は、主任技術者を選ばないといけない、ってことだよ」

よくある相談:法規の勉強の進め方

相談の多くは「何から」と「あと少しで落ちた」

法規の相談は、始め方が分からない悩みと、合格点に少し届かなかった悩みに分かれます。どちらも、範囲を3つに分けて見直すと次の一手が決まります。

Yahoo!知恵袋などに寄せられる相談から、テーマに合うものを3つ選んで答えます。

相談1:法規の勉強は何から始めればいい?

『法規の勉強をしようと思っているけど、何をしたらいいのか分からない』という相談です。

結論から言うと、まずは電気事業法の「電気工作物の区分」と「主任技術者の選任」から始めるのがおすすめです。ほかの条文の主語がだれなのかが分かり、問題文が読めるようになります。

そのあとで、電技の電圧の区分と絶縁、接地の数値に進みましょう。

最初の1週間は、問題を解くより、電気事業法の第38条・第42条・第43条を声に出して読むだけでも十分です。『こんな地味なことでいいの?』と思うかもしれませんが、条文の言い回しに慣れると、過去問の選択肢の違いに気づけるようになります。

相談2:法規の計算問題は難しい?

『法規の計算問題は、理論などと比べて難しいの?』という相談もあります。

法規の計算は、需要率や変圧器の効率のように、手順が決まっているものが中心です。ただ、問題文が長く、どの数値をどこに使うかを読み取る力が要ります。

最初は問題文の数値に印をつけ、使う式を横に書く練習から始めてみてください。

相談3:あと少しで合格点に届かなかった

『法規だけ合格点に少し届かなかった。次はどうすればいい?』という悔しい相談もあります。

ほかの科目に合格しているなら、科目合格の免除を申請して、法規に集中できる回を作れます。免除は申請しないと受けられないので、申込みの時に忘れないようにしましょう。科目合格の仕組みは電験三種の科目合格制度で紹介しています。

見直す時は、落とした問題を「仕組み」「数値」「計算」の3つに分けて数えてみてください。どこで点を落としたかが分かれば、次の勉強の配分が決まります。

相談まずやること
何から始めればいいか分からない電気工作物の区分と主任技術者の選任から読む
計算問題が難しそう問題文の数値に印をつけ、使う式を横に書く
合格点に少し届かなかった落とした問題を3つに分けて数える

法規の勉強の順番

仕組み、数値、計算の順に積み上げる

法規は、仕組みを先に入れると数値が覚えやすくなり、数値が分かると計算問題の条件も読めるようになります。

『結局、どういう順番で進めればいい?』という方は、次の順番で進めてみてください。

法規の勉強の順番
  1. 電気事業法で、電気工作物の区分と主任技術者の決まりを読む
  2. 電技の電圧の区分・絶縁・接地の数値を、条番号と組で覚える
  3. 需要率・負荷率・変圧器の効率の計算を、例題で1回ずつ解く
  4. 過去問で、暗記の問題と計算の問題に印をつけて解く
  5. 間違えた数値は、e-Gov法令検索や解釈で条文を確かめる
試験の前に確かめたいこと
  • 電圧の区分(低圧・高圧・特別高圧)を言える
  • 絶縁抵抗の3つの値を、条件と一緒に言える
  • 接地工事の種類ごとの接地抵抗値を言える
  • 需要率・負荷率・不等率の式を書ける
  • 65分の時間配分の目安を決めてある

例えば、土日に3時間とれる方なら、1時間を数値の見直し、2時間を過去問の計算問題、という分け方もできます。

条文の読み方や計算問題の解説を動画で見たい方は、講座を使う方法もあります。講座の比べ方は次の案内から確かめてみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

電験三種の法規の試験時間は何分ですか?

65分です。令和8年度(2026年度)の受験案内でも、理論・電力・機械の各90分に対して、法規は65分とされています。最新は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

法規の合格点は何点ですか?

原則60点です。ただし試験の難易度などから、合格基準を調整する場合があります。

電技と解釈は、どちらを覚えればいいですか?

両方です。電技は守るべき性能、解釈はその具体的な数値や施設の方法を示しています。数値の多くは解釈にあるので、条番号と組で覚えておきましょう。

条文の数値はどこで確かめられますか?

電気事業法や電技はe-Gov法令検索で読めます。解釈は経済産業省のホームページで公開されています。

法規だけ別の回に受けることはできますか?

科目合格した科目は、申請により最大で連続5回まで免除されます。ほかの科目が合格済みなら、法規だけを受けるという形にできます。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種の法規は、電気法規(保安に関するもの)と電気施設管理の科目
  • 試験時間は65分で、A問題10題・B問題3題
  • 範囲は電気事業法・電技と解釈・施設管理の3つに分けて進める
  • 数値は条番号と組にして、条件と一緒に覚える
  • 迷った数値はe-Gov法令検索や経済産業省の解釈で確かめる
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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