電験三種の電気事業法|試験に出る制度の整理

電験三種の法規で学ぶ電気事業法を、電気工作物の区分と保安の流れから整理する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

法規の勉強を始めて、『電気事業法は条文が長くて、何がどう決まっているのか頭に入らない』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の電気事業法は「どの電気工作物に」「だれが」「何をする義務があるか」の3点で読むと、制度の形が見えてきます。

この記事を読むと、電気工作物の区分から、保安規程・主任技術者・事故報告の流れまでを、条番号つきで押さえられます。

目次

電験三種の電気事業法は何を決めている法律?

先に結論

電気事業法は、電気事業の運営と、電気工作物の保安の両方を決めている法律です。電験三種の法規では、主に保安の部分を学びます。

電気事業法の第1条には、目的として「電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによつて、公共の安全を確保し」と書かれています。

電気技術者試験センターが公表する法規の範囲も、「電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理」です。電気料金や電力の小売りの仕組みよりも、保安の決まりが中心になります。

『電気事業法って、電力会社のための法律じゃないの?』と思った方もいるかもしれません。

実は、工場やビルの受電設備を持つ会社も、電気事業法の保安の決まりを守る立場なんです。電験三種の資格そのものも、この法律の主任技術者の制度から来ています。

法規の科目全体の進め方は電験三種の法規の出題範囲と覚え方で紹介しています。

電気工作物の区分を表で見る

区分が決まれば、かかる義務が決まる

電気事業法の保安の決まりは、電気工作物がどの区分に入るかで変わります。まず区分を言えるようにするのが近道です。

電気工作物とは、発電・蓄電・変電・送電・配電や、電気を使うために設置する機械や電線路などのことです(電気事業法第2条第1項第18号)。

その電気工作物を、電気事業法第38条が次のように分けています。数値は電気事業法施行規則第48条で確かめたものです。

区分ざっくり言うと例根拠
一般用電気工作物600V以下で受電し、構内だけで使う設備など住宅や小さな店の屋内配線法 第38条第1項、施行規則 第48条
事業用電気工作物一般用電気工作物以外のすべて工場、ビル、発電所法 第38条第2項
小規模事業用電気工作物事業用のうち、小さな発電設備出力10kW以上50kW未満の太陽電池発電設備、20kW未満の風力発電設備法 第38条第3項、施行規則 第48条
自家用電気工作物電気事業の用に供するもの等と一般用以外の事業用高圧で受電する工場やビルの受電設備法 第38条第4項
電気事業法の電気工作物の区分を、一般用電気工作物と事業用電気工作物に分け、事業用の中に小規模事業用と自家用を置いた入れ子の図解

一般用と事業用の線引き

一般用電気工作物は、600V以下で受電して、構内だけで使う設備が基本です。ただし、小規模発電設備以外の発電設備と同じ構内にあるものや、火薬類を製造する事業場などの場所にあるものは除かれます(施行規則第48条第3項)。

例えば、6,600Vの高圧で受電しているビルの設備は、一般用には入りません。事業用電気工作物で、さらに自家用電気工作物になります。

『小規模事業用って、事業用なの?』と迷う方もいますよね。

その通りで、小規模事業用電気工作物は事業用電気工作物の一部です。ただ、保安規程の届出や主任技術者の選任は不要で、代わりに使用の開始前の届出が決められています(法第42条第1項のかっこ書き・第46条)。

一般用電気工作物の安全はだれが確かめる?

一般用電気工作物には、保安規程や主任技術者の決まりがかかりません。その代わり、一般用電気工作物とつながる電線路を維持・運用する人(電線路維持運用者)が、技術基準に合っているかを調査する決まりがあります(法第57条)。

調査で技術基準に合っていないと分かった時は、所有者や占有者に、とるべき措置を通知します。住宅の配線の安全は、この仕組みで守られているんですね。

保安規程・主任技術者の選任・事故報告の流れ

設置者の義務は「維持」「保安規程」「選任」の3本柱

事業用電気工作物を設置する人は、技術基準に合うように維持し、保安規程を定め、主任技術者を選ぶ義務を負います。

『条文の番号がたくさん出てきて、どれが何だったか分からなくなる』という声は本当によく聞きます。

まずは、設置者の義務を3つの条文に分けて覚えましょう。

義務中身根拠
技術基準への適合事業用電気工作物を、技術基準に合うように維持する法 第39条
保安規程保安規程を定め、使用の開始前に届け出る。設置者と従業者は守る法 第42条
主任技術者の選任主任技術者免状を持つ人から主任技術者を選び、選任・解任を届け出る法 第43条

ここでいう技術基準が、法規で学ぶ電気設備技術基準です。電技と解釈の読み方は電気設備技術基準と解釈で紹介しています。

設置から事故報告までの流れ

自家用電気工作物を新しく置く場面を、時間の順に並べてみます。

自家用電気工作物の保安の流れ
  1. 技術基準に合うように設備をつくる(法第39条)
  2. 保安規程を定め、使用の開始前に届け出る(法第42条)
  3. 主任技術者を選任し、遅滞なく届け出る(法第43条)
  4. 主任技術者の保安の指示のもとで、工事・維持・運用を行う(法第43条)
  5. 事故が起きたら、決められた期限で報告する(電気関係報告規則第3条)
自家用電気工作物を置いてから、技術基準への適合、保安規程の届出、主任技術者の選任、保安の監督、事故報告までの流れを示した図解

事故報告は、電気関係報告規則第3条で決まっています。例えば感電で人が死傷した事故(死亡または入院の場合)が対象です。

この場合、事故の発生を知った時から24時間以内可能な限り速やかに、電話等で報告します。さらに30日以内に報告書を出し、報告先は設置場所を管轄する産業保安監督部長です。

よくある失敗

保安規程は「使用の開始前」、主任技術者の選任の届出は「遅滞なく」と、届け出るタイミングが違います。どちらも同じ時期だと思い込むと、正誤問題で迷ってしまいます。

主任技術者の選任の形を比べる

選任の形は4つに分けて覚える

主任技術者は、自分で選ぶ形のほかに、外部に委託する形や、兼任・許可選任の形があります。それぞれ根拠の条文が違います。

『外部委託と兼任と許可選任、どう違うの?』と混乱しやすい所です。

この記事では、選任の形を次の4つに分けて見ていきます。

選任の形どんな形か根拠
選任免状を持つ人を、その事業場の主任技術者に選ぶ法 第43条第1項
外部委託電気管理技術者や電気保安法人と委託契約を結び、承認を受けて選任しない施行規則 第52条第2項
兼任承認を受けて、1人が2つ以上の事業場の主任技術者を兼ねる施行規則 第52条第4項
許可選任自家用電気工作物で、許可を受けて免状のない人を選ぶ法 第43条第2項

外部委託ができるのは、施行規則第52条第2項に書かれた設備です。例えば、電圧7,000V以下で受電する需要設備が入っています。出力5,000kW未満の太陽電池発電所・蓄電所(7,000V以下で連系等をするもの)なども対象です。

免状はどうやって交付される?

主任技術者免状は、経済産業大臣が交付します(法第44条第2項)。交付を受けられるのは、電気主任技術者試験に合格した人か、決められた学歴または資格と実務の経験がある人です。

また、この法律や命令に違反した時は、免状の返納を命じられることがあります(法第44条第4項)。『免状は一度取れば終わり』ではなく、職務を誠実に行う義務(法第43条第4項)とセットで覚えておきましょう。

免状の種類と監督できる範囲

第三種電気主任技術者が保安の監督をできるのは、電圧5万V未満の事業用電気工作物です。ただし、出力5千kW以上の発電所又は蓄電所は除かれます(施行規則第56条)。

第二種は電圧17万V未満、第一種はすべての事業用電気工作物です。主任技術者と電験の関係は電気主任技術者と電験の関係でくわしく紹介しています。

e-Gov法令検索で条文を確かめる手順

迷ったら、条文そのものを読む

テキストの書き方に迷ったら、e-Gov法令検索で電気事業法の条文を開くのがいちばん確かです。

実は、電気事業法と施行規則は、e-Gov法令検索で誰でも無料で読めるんです。

電気事業法の条文を確かめる手順
  1. e-Gov法令検索で「電気事業法」と入れて検索する
  2. 目次から「第38条」など、確かめたい条を開く
  3. 主語(だれが)と、義務(しなければならない)に線を引く
  4. 「ただし」や「を除く」の部分を書き出す
  5. 数値が「経済産業省令で定める」となっていたら、電気事業法施行規則を開く

例えば第38条の「低圧」は、条文では「経済産業省令で定める電圧以下」と書かれています。施行規則第48条を開くと、600ボルトと分かる、という具合です。

勉強仲間と話すなら、こんなやりとりになるかもしれません。

「第38条に600Vって書いてないんだけど?」
「法律は省令にゆずってるんだよ。施行規則の第48条に書いてあるよ」

よくある相談:電気事業法の読み方

相談の多くは「定義」と「条文の文法」

電気事業法の相談は、言葉の定義の取り違えと、長い条文の読み方の2つに分かれます。

Yahoo!知恵袋などに寄せられる相談から、テーマに合うものを3つ選んで答えます。

相談1:自家用電気工作物の定義がよく分からない

『自家用電気工作物って、結局どこまでを言うの?』という相談です。

結論から言うと、事業用電気工作物から、電力会社などの電気事業の用に供するものを除いた残り、と考えると分かりやすくなります。工場やビルの高圧の受電設備が代表例です。

相談2:第38条の文章の読み方が分からない

『第38条の条文の解釈と文法が分からない』という相談もあります。

第38条は、ただし書きやかっこ書きが多い条文です。まずはかっこの中を飛ばして読み、主語と結論だけをつかんでから、かっこの中を1つずつ戻って読んでみてください。

相談3:免状を持たない人を選任できる条件は?

『第43条で、主任技術者の免状を持たない人を選べるのはどんな時?』という相談です。

第43条第2項では、自家用電気工作物(小規模事業用電気工作物を除く)を設置する人が、主務大臣の許可を受けた場合に限られています。まずは「自家用」「許可」の2語を押さえておきましょう。条文を読む時は、かっこ書きの「小規模事業用電気工作物を除く」も見落とさないようにしたいところです。

相談まず押さえること
自家用電気工作物の定義事業用から電気事業の用に供するもの等を除いた残り
第38条の読み方かっこを飛ばして主語と結論を先に読む
免状のない人の選任自家用であること、許可を受けること

電気事業法の言葉や数値を覚える工夫は、電験3種の語呂合わせでも紹介しています。

例えば、通勤の電車で条文を1条ずつ読み、帰宅後に区分の表を書き出す、という分け方もできます。

条文の読み方や制度のつながりを動画で学びたい方は、講座を使う方法もあります。講座の比べ方は次の案内から確かめてみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

電験三種の電気事業法はどの科目で出ますか?

法規です。電気技術者試験センターが公表している法規の範囲は、電気法規(保安に関するものに限る)及び電気施設管理です。

一般用電気工作物の「低圧」は何ボルトですか?

電気事業法第38条を受けた施行規則第48条で、600ボルトと定められています。

保安規程はいつまでに届け出ますか?

事業用電気工作物の使用の開始前です(電気事業法第42条)。変更した時は遅滞なく届け出ます。

事故の報告はいつまでにしますか?

電気関係報告規則第3条で、事故の発生を知った時から24時間以内可能な限り速やかに電話等で報告し、30日以内に報告書を出すと決められています。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種の電気事業法は、法規の科目で保安の部分を中心に学ぶ
  • 電気工作物は、一般用・事業用・小規模事業用・自家用に分けて覚える
  • 設置者の義務は、技術基準への適合・保安規程・主任技術者の選任の3本柱
  • 選任の形は、選任・外部委託・兼任・許可選任の4つ
  • 迷った条文は、e-Gov法令検索で施行規則まで開いて確かめる
電験ガイド

電験ガイド 編集部

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