電験三種の変圧器|等価回路・損失・効率・並行運転の解き方

電験三種の変圧器を、等価回路・損失・効率・並行運転の計算の型で紹介する記事のアイキャッチ

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機械の勉強で変圧器まで来て、『等価回路や効率の式が多くて、どれをいつ使うのか分からない』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の変圧器は「巻数比」「損失」「効率」「電圧変動率」「並行運転」の5つの型に分けると、問題ごとに使う式がすぐ決まります。

この記事を読むと、変圧器の基本式と等価回路の考え方、計算問題の型と解く手順が分かります。

目次

電験三種の変圧器はどこで出る?

先に結論

変圧器は機械科目の「電気機器」の中心で、四機(直流機・変圧器・誘導機・同期機)の1つです。電力科目の変電所の問題でも出てきます。

『変圧器って、機械と電力のどっちで勉強すればいいの?』と迷いますよね。

機器そのものの仕組みや損失・効率は、機械科目で学びます。変電所の中での使われ方や短絡電流の話は、電力科目でも出てきます。

機械科目全体の進め方は電験三種の機械で、変電所での役割は電験三種の変電所で紹介しています。この記事では、変圧器そのものに絞って見ていきますね。

変圧器の基本式を一覧で見る

まずは、変圧器でよく使う式を表にまとめます。式は記号の意味と一緒に覚えておきましょう。

項目式使う場面
巻数比a = N1 ÷ N2 = V1 ÷ V2電圧を変える比を出す
電流の比I1 ÷ I2 = 1 ÷ a電流は巻数に反比例する
二次側を一次側に換算r2′ = a² × r2等価回路を1つにまとめる
効率η = 出力 ÷(出力 + 鉄損 + 銅損)損失から効率を出す
銅損(負荷の割合α)α² × 全負荷銅損負荷を変えた時の銅損
最大効率の条件鉄損 = 銅損効率がいちばん高い負荷を出す
電圧変動率(近似)ε = pcosθ + qsinθ負荷をつないだ時の電圧の変わり方

『表にすると多いな…』と感じた方もいるかもしれません。ただ、どれも「巻数比」と「損失」の2つの考え方から出てくる式なんです。

例題0:巻数比で電圧と電流を出す

自作の例題で、いちばん基本の型を確かめておきます。

『一次電圧6,600V、二次電圧220Vの変圧器で、二次側に300Aが流れている。巻数比と一次電流は?』

巻数比は 6,600 ÷ 220 で30です。電流は巻数に反比例するので、一次電流は 300 ÷ 30 で10Aになります。一次側は電圧が高い分、電流が小さいんですね。

等価回路はこう読む

等価回路は「理想の変圧器」に「損失の元」を足した図

変圧器の等価回路は、巻線の抵抗とリアクタンス、それに鉄心の励磁回路を、理想の変圧器に書き足したものです。二次側を一次側に換算すると、1つの回路として計算できます。

『等価回路の図を見ると、どこが何なのか分からなくなる』という声はとても多いです。

結論から言うと、等価回路は部品ごとに「何の損失や電圧降下を表しているか」が分かれば読めます。

等価回路の部品表しているもの関わる損失・現象
一次巻線の抵抗 r1一次側の巻線の抵抗銅損
二次巻線の抵抗 r2二次側の巻線の抵抗銅損
漏れリアクタンス x1・x2鉄心を通らずに漏れる磁束電圧降下
励磁コンダクタンス g0鉄心で失われる電力鉄損
励磁サセプタンス b0鉄心に磁束を作る電流励磁電流
変圧器の等価回路を、理想の変圧器に巻線の抵抗・漏れリアクタンス・励磁回路を書き足し、二次側を一次側に換算してまとめる流れで示した図解

二次側を一次側に換算する

変圧器の計算では、二次側の抵抗やリアクタンスを一次側に換算して、1つの回路にまとめることがよくあります。

換算は、インピーダンスなら巻数比の2乗を掛けます。例えば巻数比10の変圧器で、二次巻線の抵抗が0.02Ωなら、一次側に換算すると 10² × 0.02 で2Ωです。

『電圧は a 倍、電流は 1/a 倍なのに、なぜインピーダンスは a² 倍なの?』と思いますよね。インピーダンスは電圧÷電流なので、a ÷(1/a)で a² 倍になる、というわけです。

簡易等価回路で計算を楽にする

励磁電流は負荷電流に比べてとても小さいので、励磁回路を電源側の端に移した「簡易等価回路」がよく使われます。

こうすると、巻線の抵抗とリアクタンスを一次側と二次側で足し合わせて、直列の1本にまとめられます。試験の計算問題も、ほとんどがこの簡易等価回路で解けるように作られています。

電圧の比と電流の比を取り違えない

電圧は巻数に比例し、電流は巻数に反比例します。巻数比10の変圧器なら、二次側の電圧は一次側の10分の1で、電流は10倍です。迷ったら「入る電力と出る電力はほぼ同じ」から確かめましょう。

鉄損・銅損と効率の計算の型

鉄損は負荷に関係なく一定、銅損は負荷の2乗に比例

変圧器の損失は、鉄心で出る鉄損と、巻線で出る銅損に分かれます。効率は、負荷が変わると銅損だけが変わる、と考えると解けます。

『鉄損と銅損、どっちが負荷で変わるんだっけ?』と迷うことはありますよね。

鉄損は、電圧をかけているだけで鉄心に出る損失なので、負荷の大きさに関係なくほぼ一定です。銅損は巻線の抵抗に電流が流れて出る損失なので、負荷電流の2乗に比例します。

比べる点鉄損銅損
どこで出るか鉄心巻線
中身ヒステリシス損と渦電流損巻線の抵抗による損失
負荷との関係負荷に関係なくほぼ一定負荷電流の2乗に比例
測る試験無負荷試験短絡試験
減らす工夫けい素鋼板を薄く重ねる太い巻線を使う

周波数が変わると鉄損はどうなる?

鉄損は、ヒステリシス損と渦電流損の2つに分かれます。試験では「電圧はそのままで周波数を変えると、どちらがどう変わるか」がよく問われます。

損失電圧が一定で周波数を上げた時減らす工夫
ヒステリシス損減る(電圧の2乗に比例し、周波数に反比例すると近似)ヒステリシスの小さいけい素鋼を使う
渦電流損ほぼ変わらない(電圧の2乗に比例)薄い鋼板を絶縁して重ねる

『周波数が上がると損失も増えそう』と感じますよね。ただ、電圧が一定なら周波数が上がるほど鉄心の磁束密度が下がるので、ヒステリシス損はむしろ減るんです。

例題1:全負荷と半分の負荷の効率

自作の例題で、効率の出し方を確かめます。

『定格容量100kVA、鉄損0.5kW、全負荷銅損2kWの変圧器がある。力率1で、全負荷と2分の1負荷の時の効率は?』

例題1の解き方
  1. 全負荷の出力:100kVA × 力率1 = 100kW
  2. 全負荷の効率:100 ÷(100 + 0.5 + 2)で約97.6%
  3. 2分の1負荷の出力:50kW
  4. 2分の1負荷の銅損:(1/2)² × 2 = 0.5kW
  5. 2分の1負荷の効率:50 ÷(50 + 0.5 + 0.5)で約98.0%

2分の1負荷の方が、効率が高くなりました。『負荷が小さい方が効率がいいの?』と意外に感じますよね。

最大効率は「鉄損=銅損」の時

効率がいちばん高くなるのは、鉄損と銅損が等しくなる負荷の時です。

例題1では、負荷の割合をαとすると、α² × 2 = 0.5 となる時です。α² = 0.25 なので α = 0.5、つまり2分の1負荷で最大効率になります。ちょうど手順4で銅損が0.5kWになり、鉄損と同じになっていたんです。

よくある失敗

負荷の割合を変えた時に、銅損をαの1乗で計算してしまう失敗がよくあります。銅損は電流の2乗に比例するので、負荷が半分なら銅損は4分の1です。

全日効率という考え方

1日の中で負荷が変わる変圧器では、1日分の電力量で効率を考えることがあります。これを全日効率と呼びます。

鉄損は1日24時間ずっと出て、銅損は負荷がある時間だけ負荷に応じて出ます。軽い負荷の時間が長い変圧器では、鉄損が小さい方が全日効率は高くなる、と覚えておきましょう。

例えば例題1の変圧器が、1日のうち8時間だけ全負荷(力率1)で、残りは無負荷だったとします。出力の電力量は 100 × 8 で800kW・h、鉄損は 0.5 × 24 で12kW・h、銅損は 2 × 8 で16kW・hです。

全日効率は 800 ÷(800 + 12 + 16)で約96.6%になります。全負荷の時の効率より低いのは、負荷のない16時間にも鉄損が出ているからなんです。

電圧変動率・三相結線・並行運転の型

電圧変動率は「pcosθ + qsinθ」の近似式で解ける

電圧変動率は、百分率抵抗降下pと百分率リアクタンス降下qを使って、近似式 ε = pcosθ + qsinθ で求めます。遅れ力率の負荷が前提です。

『電圧変動率の式は、送電の電圧降下の式に似ている』と気づいた方もいるかもしれません。

実はそのとおりで、考え方はほとんど同じなんです。変圧器の中の抵抗とリアクタンスで、どれだけ電圧が落ちるかを百分率で表しています。

電圧変動率はもともと何の割合?

電圧変動率は、定格の負荷をつないだ時と外した時で、二次電圧がどれだけ変わるかの割合です。

式で書くと、(無負荷の時の二次電圧 − 定格二次電圧)÷ 定格二次電圧 です。これを百分率で表します。

例えば、負荷を外すと二次電圧が少し上がる変圧器ほど、電圧変動率は大きくなります。電圧変動率が小さい変圧器は、負荷が変わっても電圧が安定している、と読み替えておきましょう。

例題2:電圧変動率

『百分率抵抗降下2%、百分率リアクタンス降下4%の変圧器に、力率0.8(遅れ)の負荷をつないだ時の電圧変動率は?』

cosθ = 0.8、sinθ = 0.6 なので、2 × 0.8 + 4 × 0.6 = 1.6 + 2.4 で4.0%です。

三相結線の種類と特徴

三相の変圧器や、単相の変圧器3台をつなぐ時の結線にも種類があります。結線の特徴は知識問題でよく問われます。

結線主な特徴
Δ-Δ第3調波の電流がΔの中を回り、電圧がひずみにくい。1台が故障してもV結線で送れる
Y-Y中性点を接地できるが、第3調波の影響が出やすい
Y-Δ・Δ-Y一次と二次で電圧の位相が30度ずれる。電圧を変える用途で広く使われる
V-V単相変圧器2台で三相を送れる。利用率は約0.866(√3 ÷ 2)

V結線の出力は、変圧器1台の容量の√3倍です。Δ結線3台と比べると、出力は約0.577倍(1 ÷ √3)になります。三相の√3の関係があいまいな方は、電験三種の三相交流で先に確かめておきましょう。

単巻変圧器は自己容量が小さくて済む

一次と二次で巻線の一部を共有する変圧器を単巻変圧器と呼びます。電圧の差が小さい時に使うと、変圧器そのものの大きさ(自己容量)を小さくできます。

自己容量と負荷容量の比は、(高い電圧 − 低い電圧)÷ 高い電圧です。例えば3,300Vを3,000Vに変える時、300 ÷ 3,300 で約11分の1の自己容量で済みます(自作の例)。

並行運転の条件と負荷分担

2台以上の変圧器を並列につないで使うことを並行運転と呼びます。条件がそろっていないと、変圧器の間で電流が回り(循環電流)、損失や過熱の原因になります。

『並行運転の条件、いくつあったっけ?』と毎回数え直してしまう方もいますよね。

条件は、なぜそれが要るかとセットで覚えると忘れにくくなります。

並行運転の条件のチェック
  • 極性が同じか(違うと大きな循環電流が流れる)
  • 巻数比(変圧比)が等しいか(違うと二次電圧の差で循環電流が流れる)
  • 百分率インピーダンスが等しいか(違うと負荷を容量どおりに分けられない)
  • 抵抗とリアクタンスの比が等しいか(違うと電流の位相がずれて分担が悪くなる)
  • 三相の場合は、相回転と角変位(位相のずれ)が同じか

例えば、Y-Δ結線の変圧器とY-Y結線の変圧器は、位相が30度ずれているので並行運転できません。結線の表とつなげて覚えておくと、選択肢の誤りに気づけます。

例題3:負荷の分担

『どちらも容量100kVAの変圧器Aと変圧器Bを並行運転する。Aの百分率インピーダンスは4%、Bは5%。合わせて180kVAの負荷をとる時、それぞれの分担は?』

例題3の解き方
  1. 分担は「容量 ÷ 百分率インピーダンス」に比例する
  2. Aの比:100 ÷ 4 = 25、Bの比:100 ÷ 5 = 20
  3. Aの分担:180 × 25 ÷(25 + 20)= 100kVA
  4. Bの分担:180 × 20 ÷(25 + 20)= 80kVA

百分率インピーダンスが小さいAの方が、多く負荷をとっています。Aはちょうど定格の100kVAなので、これ以上負荷を増やすとAが先に過負荷になる、と読めますね。

変圧器の並行運転の条件を、極性・巻数比・百分率インピーダンス・抵抗とリアクタンスの比・角変位の5つのチェックで示した図解

計算問題の型と解く手順

問題文の言葉で、使う型を先に決める

変圧器の計算問題は、問題文の言葉を見れば、どの型を使うかがほぼ決まります。型が決まれば、あとは手順どおりに進めるだけです。

『式は覚えたのに、問題を見ると何から始めればいいか分からない』という時は、次の表で照らし合わせてみてください。

問題文の言葉使う型最初の一手
巻数比、一次電圧、二次電流巻数比の型電圧は比例、電流は反比例
一次側に換算した抵抗換算の型巻数比の2乗を掛ける
効率、○分の1負荷効率の型銅損を負荷の割合の2乗で出す
最大効率になる負荷最大効率の型鉄損=銅損の式を立てる
百分率抵抗降下、電圧変動率電圧変動率の型cosθとsinθを確かめる
並行運転、負荷の分担負荷分担の型容量÷百分率インピーダンスの比を出す
V結線、1台が故障結線の型出力は1台の容量の√3倍
計算の見直しチェック
  • kVAとkWを取り違えていないか(力率を掛けたか)
  • 銅損を負荷の割合の2乗で計算したか
  • 一次側と二次側のどちらの値かを確かめたか
  • 効率(出力 ÷ 入力)が1より小さくなっているか

例えば、出力が入力より大きくなる効率が出たり、二次電流が一次電流より小さくなる降圧変圧器の答えが出たりしたら、どこかで比を逆にしています。答えの大きさを見るだけで気づけるミスなんです。

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変圧器についてよくある相談

相談が多いのは「定格容量」「無負荷試験と短絡試験」「学ぶ順番」

知恵袋でも、電験三種の変圧器についての相談がたくさん寄せられています。よくあるものを選んで答えます。

相談1:定格容量は一次側と二次側のどちらの値?

「変圧器の定格容量」と言われた時、一次側と二次側のどちらで考えればいいのか、という相談があります。

変圧器の定格容量は、定格二次電圧と定格二次電流で出せる皮相電力(kVA)として決めるのが一般的です。つまり、二次側から取り出せる容量と考えておきましょう。

ただ、損失はとても小さいので、試験の計算では一次側の容量もほぼ同じとして扱うことが多いです。問題文に「定格二次電圧」とあれば、その電圧で電流を出せば大丈夫です。

相談2:短絡試験では、なぜ鉄損を無視できるの?

無負荷試験で鉄損、短絡試験で銅損を測ると習ったけれど、短絡試験でも鉄損は出ているのでは、という相談もあります。

鋭い疑問ですよね。短絡試験では、二次側を短絡して定格電流が流れるまで一次側の電圧を上げます。この時の電圧は定格電圧よりずっと低いので、電圧で決まる鉄損はとても小さくなります。

そのため、短絡試験で測った電力はほぼ銅損と見なせる、というわけです。無負荷試験はその逆で、電流がとても小さいので銅損が無視でき、ほぼ鉄損を測れます。

相談3:変圧器・誘導機・同期機は、どの順番で勉強する?

機械の勉強は、変圧器と誘導機と同期機をどの順番でやればいいか、という相談もとても多いです。

変圧器を先にやるのがおすすめです。誘導機の等価回路は、変圧器の等価回路にすべりを加えた形なので、変圧器が分かっていると誘導機がぐっと読みやすくなります。続きは電験三種の誘導機で紹介しています。

相談押さえる考え方
定格容量はどちらの値か二次側で取り出せる皮相電力として決めるのが一般的
短絡試験で鉄損を無視できる理由電圧がとても低いので鉄損が小さい
学ぶ順番変圧器を先にやると誘導機が読みやすい

よくある質問

電験三種の変圧器は、どの科目で出ますか?

主に機械科目の電気機器で出ます。変電所の中での使われ方や短絡電流の話は、電力科目でも出てきます。

変圧器の最大効率はどんな時ですか?

鉄損と銅損が等しくなる負荷の時です。銅損は負荷の割合の2乗に比例するので、その割合をαとして α² × 全負荷銅損 = 鉄損 の式で求めます。

鉄損と銅損の違いは何ですか?

鉄損は鉄心で出る損失で、負荷に関係なくほぼ一定です。銅損は巻線の抵抗で出る損失で、負荷電流の2乗に比例します。

並行運転の条件はいくつありますか?

単相なら、極性・巻数比・百分率インピーダンス・抵抗とリアクタンスの比の4つです。三相ではこれに相回転と角変位が加わります。

V結線の出力はどれくらいですか?

変圧器1台の容量の√3倍です。同じ変圧器3台のΔ結線と比べると、約0.577倍になります。

まとめ

この記事の要点
  • 変圧器は機械科目の四機の1つで、電力科目の変電所の問題でも出てくる
  • 等価回路は理想の変圧器に損失の元を足した図で、二次側は巻数比の2乗で換算する
  • 鉄損は一定、銅損は負荷の2乗に比例し、鉄損=銅損で最大効率になる
  • 電圧変動率は pcosθ + qsinθ の近似式で解ける
  • 並行運転は条件を理由とセットで覚え、負荷分担は容量÷百分率インピーダンスの比で出す
電験ガイド

電験ガイド 編集部

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