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機械の勉強を直流機から始めて、『分巻や直巻の違いが覚えられない』『式がたくさんあって混ざる』と感じている方も多いですよね。
結論から言うと、電験三種の直流機は「E = KφN」「T = KφIa」「V = E ± IaRa」の3つの式と、励磁方式の表があれば、計算も知識問題もほとんどつながります。
この記事を読むと、直流機の励磁方式の違い、起電力とトルクの式、速度制御と始動の方法が分かります。
電験三種の直流機は何を覚える?
直流機は機械科目の四機の1つで、同じ作りで発電機にも電動機にもなります。作りと3つの基本式を押さえてから、励磁方式・速度制御・始動へ進むと整理しやすいです。
『四機の中で、直流機から始めるのはなぜ?』と思う方もいますよね。
直流機は、フレミングの法則と電磁誘導をそのまま使って説明でき、式の数も少なめです。ほかの三機に進む前の土台になります。磁界と電磁誘導があいまいな方は、電験三種の電磁気で先に確かめておきましょう。
直流機の作り
直流機は、主に次の部品でできています。
| 部品 | 役割 |
|---|---|
| 界磁 | 磁束を作る(界磁巻線に電流を流す) |
| 電機子 | 回転して起電力を出したり、トルクを受けたりする |
| 整流子 | 電機子の中の交流と、外の直流を切り替える |
| ブラシ | 回転する整流子と外の回路をつなぐ |
実は、電機子の導体に流れる電流は、回転するたびに向きが変わる交流なんです。それを整流子とブラシで切り替えて、外からは直流に見えるようにしています。
発電機は右手、電動機は左手
直流機の動き方は、フレミングの法則で説明できます。どちらの手を使うかは、何が原因で何が結果かで決まります。
| 使い方 | 原因 | 結果 | 使う法則 |
|---|---|---|---|
| 発電機 | 導体を磁界の中で動かす | 起電力が出る | フレミングの右手の法則 |
| 電動機 | 磁界の中の導体に電流を流す | 力(トルク)が出る | フレミングの左手の法則 |
『電動機でも回れば起電力が出るの?』と思った方、そのとおりです。電動機の中でも右手の法則で起電力が出ていて、それが電源の電圧と向きが逆なので逆起電力と呼ばれます。
直流機の基本の式
直流機の式は、E = KφN と T = KφIa の2つが中心です。発電機は V = E − IaRa、電動機は V = E + IaRa で、端子電圧と起電力をつなぎます。
『式の形が似ていて、どれがどれか分からなくなる』という声は多いです。
まずは、よく使う式を表にまとめます。Kは機械の作りで決まる定数です。
| 項目 | 式 | 使う場面 |
|---|---|---|
| 誘導起電力 | E = pZφN ÷(60a)= KφN | 回転速度と磁束から起電力を出す |
| 発電機の端子電圧 | V = E − IaRa | 起電力から電機子の電圧降下を引く |
| 電動機の端子電圧 | V = E + IaRa | 電源の電圧が逆起電力と電圧降下を受け持つ |
| トルク | T = pZφIa ÷(2πa)= K′φIa | 磁束と電機子電流からトルクを出す |
| 出力 | P = EIa = ωT | 電気の出力と機械の出力をつなぐ |
| 回転速度(電動機) | N =(V − IaRa)÷ Kφ | 速度制御の考え方のもと |
pは極数、Zは電機子の導体の数、aは並列回路の数です。電動機では、Eのことを逆起電力と呼びます。
例題1:逆起電力・トルク・回転速度
自作の例題で、式のつながりを確かめます。
『端子電圧200V、電機子抵抗0.2Ωの他励直流電動機が、電機子電流50A、1,500min⁻¹で回っている。逆起電力とトルクは?さらに、磁束はそのままで電機子電流が100Aになった時の回転速度は?』
- 逆起電力:E = 200 − 50 × 0.2 = 190V
- 出力:190 × 50 = 9,500W
- 角速度:2π × 1,500 ÷ 60 で約157rad/s
- トルク:9,500 ÷ 157 で約60.5N・m
- 電流100Aの逆起電力:200 − 100 × 0.2 = 180V
- 回転速度は逆起電力に比例:1,500 × 180 ÷ 190 で約1,421min⁻¹
磁束が一定なら、回転速度は逆起電力に比例します。負荷が増えて電流が増えると、少しだけ速度が下がる、と読めますね。
励磁方式の違いを比べる
励磁方式は、界磁巻線を別の電源につなぐ他励、電機子と並列の分巻、直列の直巻、両方を持つ複巻の4つです。つなぎ方で、負荷が変わった時の性質が変わります。
『他励・分巻・直巻・複巻の違いが、どうしても混ざる』という方は多いですよね。
ここが大事なところです。界磁の電流がどこから来るかを考えると、性質は自然に決まります。
| 励磁方式 | 界磁巻線のつなぎ方 | 電動機としての性質 | 主な使われ方 |
|---|---|---|---|
| 他励 | 別の電源につなぐ | 磁束が一定で、速度がほぼ一定。速度制御がしやすい | 細かい速度制御が要る用途 |
| 分巻 | 電機子と並列 | 速度がほぼ一定(定速度電動機) | 一定の速度で回す機械 |
| 直巻 | 電機子と直列 | 磁束が電流で変わり、始動トルクが大きい。負荷が軽いと速度が上がる | 電車や巻上機など |
| 複巻 | 分巻と直巻の両方 | 和動なら分巻と直巻の中間の性質 | 両方の性質が欲しい用途 |

直巻電動機を無負荷で回してはいけない理由
直巻電動機は、界磁の電流と電機子電流が同じです。負荷が軽くなると電流が減り、磁束も減ります。
回転速度は N =(V − IaRa)÷ Kφ なので、磁束が減ると速度が上がります。無負荷に近いと危険な高速になるため、ベルトで負荷をつなぐ使い方は避けます。
直巻電動機のトルクを「電流に比例」と覚えてしまう方がいます。直巻では磁束も電流に比例する(磁気飽和がない範囲)ので、トルクは電流の2乗に比例します。始動トルクが大きいのはこのためです。
発電機として使う時の違い
発電機では、負荷が増えた時に端子電圧がどう変わるかが問われます。他励は電機子の電圧降下の分だけ少し下がり、分巻は界磁の電流も減るので他励より下がり方が大きくなります。
分巻発電機は、自分の出した電圧で界磁に電流を流す自己励磁で電圧を立ち上げます。そのため、鉄心に残留磁気があることが前提になります。
例題3:分巻発電機の起電力
分巻では、電機子電流が負荷電流と界磁電流に分かれます。ここを取り違える方が多いので、自作の例題で確かめておきます。
『端子電圧220V、負荷電流100A、界磁巻線の抵抗55Ω、電機子抵抗0.1Ωの分巻発電機の誘導起電力は?』
- 界磁電流:220 ÷ 55 = 4A
- 電機子電流:負荷電流 + 界磁電流 = 100 + 4 = 104A
- 起電力:E = 220 + 104 × 0.1 = 230.4V
電機子電流を100Aのまま計算すると、230Vになってしまいます。差は小さくても選択肢では別の答えになるので、界磁電流の分を忘れずに足しましょう。
電機子反作用と整流の対策
電機子電流が作る磁束が、界磁の磁束を乱すことを電機子反作用と呼びます。磁束が減ったり、磁束の中性軸がずれたりします。
中性軸がずれると、ブラシの所で火花が出やすくなり、整流がうまくいかなくなります。対策は、補極(整流をよくする小さな磁極)と補償巻線(電機子反作用を打ち消す巻線)の2つを覚えておきましょう。
速度制御と始動の方法
回転速度の式の、電圧V・抵抗・磁束φのどれを変えるかで、速度制御の方法が分かれます。始動は、逆起電力がゼロの時の大きな電流を抑えるのが目的です。
『速度制御の方法は、何種類覚えればいいの?』と気になりますよね。
速度の式を見れば、変えられるものは3つしかありません。
| 方法 | 変えるもの | 特徴 |
|---|---|---|
| 電圧制御 | 端子電圧V | 広い範囲で滑らかに変えられる。ワードレオナード方式やチョッパを使う |
| 界磁制御 | 磁束φ | 界磁の電流を減らすと速度が上がる。損失が小さい |
| 抵抗制御 | 電機子回路の抵抗 | 直列に抵抗を入れる。抵抗で熱の損失が出る |

チョッパなど電圧を変える回路の仕組みは、電験三種のパワーエレクトロニクスで紹介しています。
始動抵抗が要る理由
電動機が止まっている時は、回転速度がゼロなので逆起電力もゼロです。そのまま電圧をかけると、電機子電流は V ÷ Ra ととても大きくなります。
自作の例題で確かめます。『端子電圧200V、電機子抵抗0.2Ωの電動機で、始動電流を100Aに抑えたい。始動抵抗は?』
- 抵抗なしの始動電流:200 ÷ 0.2 = 1,000A
- 100Aにするための全体の抵抗:200 ÷ 100 = 2Ω
- 始動抵抗:2 − 0.2 = 1.8Ω
回り始めると逆起電力が出て電流が減るので、始動抵抗は少しずつ小さくしていきます。
- 発電機は V = E − IaRa、電動機は V = E + IaRa を使い分けたか
- 分巻では、電機子電流と負荷電流の違い(界磁電流の分)を考えたか
- min⁻¹ を rad/s に直す時、2π を掛けて60で割ったか
- 直巻では、磁束も電流で変わることを考えたか
電験ガイド
独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ
電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。
講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。
直流機についてよくある相談
知恵袋でも、電験三種の直流機についての相談がたくさん寄せられています。よくあるものを選んで答えます。
相談1:三相の直流機ってあるの?
直流機は直流なので単相だけで、三相の直流機はないのでは、という相談があります。
『直流に単相や三相ってあるの?』と迷いますよね。単相・三相は交流の言葉なので、外から見た直流機の電源や出力には当てはまりません。
ただ、先ほどのとおり、電機子の中では交流が流れています。それを整流子で切り替えて直流にしているのが直流機なんです。
相談2:電機子電圧とは、端子電圧のこと?
他励直流電動機の問題で「電機子電圧」と書かれていて、端子電圧と同じ意味なのか、という相談もあります。
他励電動機では、界磁は別の電源につながっているので、電機子にかかる電圧が端子電圧と同じになります。問題文の電機子電圧は、電機子回路の両端にかける電圧と読んで大丈夫です。
一方、逆起電力Eとは違うので注意しましょう。電機子電圧から電機子抵抗の電圧降下を引いたものがEです。
相談3:無負荷と全負荷の意味が分からない
直流発電機の問題で出てくる「無負荷」と「全負荷」の意味がよく分からない、という相談もとても多いです。
無負荷は、負荷をつながず出力がゼロの状態です。発電機なら電機子電流がほぼゼロなので、端子電圧は起電力とほぼ同じになります。
全負荷は、定格の出力を出している状態です。電機子電流が定格まで流れるので、IaRa の分だけ端子電圧が下がります。
| 相談 | 押さえる考え方 |
|---|---|
| 三相の直流機はあるか | 単相・三相は交流の言葉。中の交流を整流子で直流にしている |
| 電機子電圧の意味 | 他励では端子電圧と同じ。逆起電力Eとは別 |
| 無負荷と全負荷 | 無負荷は出力ゼロ、全負荷は定格出力 |
よくある質問
電験三種の直流機で、最初に覚える式は何ですか?
E = KφN、T = KφIa、発電機の V = E − IaRa と電動機の V = E + IaRa です。この3つで、起電力・トルク・回転速度の計算がつながります。
分巻と直巻の違いは何ですか?
界磁巻線を電機子と並列につなぐのが分巻、直列につなぐのが直巻です。分巻は速度がほぼ一定、直巻は始動トルクが大きく、負荷が軽いと速度が上がります。
直流電動機の速度制御には、どんな方法がありますか?
端子電圧を変える電圧制御、界磁の電流を変える界磁制御、電機子回路の抵抗を変える抵抗制御の3つです。どれも N =(V − IaRa)÷ Kφ の式から説明できます。
電機子反作用の対策は何ですか?
補極と補償巻線です。補極は整流をよくするための小さな磁極で、補償巻線は電機子電流が作る磁束を打ち消すための巻線です。
直流電動機に始動抵抗が要るのはなぜですか?
止まっている時は逆起電力がゼロなので、電機子抵抗だけで電流が決まり、とても大きな電流が流れるからです。始動抵抗で電流を抑え、回り始めたら小さくしていきます。
まとめ
- 直流機は同じ作りで発電機にも電動機にもなり、整流子で中の交流を直流にしている
- E = KφN、T = KφIa、V = E ± IaRa の3つの式が計算の中心
- 励磁方式は他励・分巻・直巻・複巻で、界磁巻線のつなぎ方で性質が決まる
- 速度制御は電圧・界磁・抵抗の3つで、速度の式から説明できる
- 始動時は逆起電力がゼロなので、始動抵抗で電流を抑える





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