電験三種の発電|水力・火力・原子力・再エネの要点

電験三種の発電を、水力・火力・原子力・再生可能エネルギーの要点で紹介する記事のアイキャッチ

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電力の科目の勉強を始めて、『水力・火力・原子力に太陽光や風力まで、覚えることが多すぎる』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の発電は「何のエネルギーを、どんな順で電気に変えるか」を方式ごとに押さえ、計算は水力の出力と火力の熱効率から固めると進めやすくなります。

この記事を読むと、5つの発電方式の違いと、計算の型、暗記で押さえる言葉がつかめます。

目次

5つの発電方式の違いを比較表で見る

先に結論

発電方式の違いは、もとになるエネルギーと、それを回る力に変える機器の違いです。水力は水の位置エネルギー、火力は燃料の熱、原子力は核分裂の熱、太陽光は光、風力は風の運動エネルギーを使います。

『方式ごとにバラバラに覚えていて、頭の中がごちゃごちゃ』という方もいるかもしれません。

まずは5つの方式を1枚の表で見比べてみます。「出題の型の目安」の列で、計算と言葉のどちらに重心があるかもつかんでおきましょう。

方式もとになるエネルギー電気に変えるまでの主な機器出題の型の目安
水力水の位置エネルギーダム・水圧管・水車・発電機出力の計算と、水車の種類の言葉
火力燃料の化学エネルギー(熱)ボイラ・蒸気タービン・復水器・発電機熱サイクルの言葉と、熱効率の計算
原子力核分裂の熱原子炉・蒸気タービン・発電機炉の種類や材料の言葉、質量とエネルギーの計算
太陽光光太陽電池・パワーコンディショナ仕組みと特徴の言葉
風力風の運動エネルギー風車(ブレード)・発電機出力と風速の関係、特徴の言葉

試験センターが公表している電力の科目の範囲には、発電所の設計及び運転が入っています。どの方式がどれだけ出るかは年度で変わるので、表の型の目安をもとに、全体をひととおり押さえておくと安心です。

水力・火力・原子力・太陽光・風力の5つの発電方式を、もとになるエネルギーと主な機器で並べて比べた図解

火力と原子力は「お湯をわかす所」が違うだけ

火力と原子力は、どちらも蒸気でタービンを回して発電します。違うのは、水を蒸気にする熱を、燃料を燃やしてつくるか、核分裂でつくるかです。

だから、タービンや復水器の話は火力と原子力で共通する所が多いんです。火力を先に学んでおくと、原子力の勉強がぐっと楽になります。

電力の科目全体の中での発電の位置づけは、電験三種の電力で紹介しています。

水力発電:出力の式と水車の種類

出力は P = 9.8QHη、落差で水車を選ぶ

水力発電の出力は、流量Q〔m³/s〕、有効落差H〔m〕、効率ηを掛けて9.8倍すると出せます。水車は、落差の大きさによって向いている種類が変わります。

『水力の計算問題は、どの数字を使えばいいか分からない』という相談は、本当に多いんです。

式そのものはシンプルなので、問題文から Q・H・η の3つを正しく拾えるかがポイントになります。

式に入れる値意味気をつける所
流量Q1秒あたりに流れる水の量〔m³/s〕1日や1年の量なら秒あたりに直す
有効落差H実際に使える落差〔m〕総落差から損失落差を引く
効率η水車と発電機を合わせた効率別々なら掛け合わせる
水力発電の出力の式P=9.8QHηで、流量・有効落差・効率をどう拾うかを示した図解

例題1:水力発電所の出力

自作の数値で計算してみます。

『総落差120m、損失落差5m、流量15m³/s、水車の効率0.9、発電機の効率0.95の水力発電所の出力は?』

例題1の解き方
  1. 有効落差を出す:120 − 5 で115m
  2. 効率をまとめる:0.9 × 0.95 で0.855
  3. 式に入れる:9.8 × 15 × 115 × 0.855
  4. 答え:約14,450kW

『9.8って、どこから来たの?』と思いますよね。水1m³の重さ1,000kgに重力加速度9.8m/s²を掛け、kWに直すために1,000で割ると、ちょうど9.8が残るんです。

例題2:降水量から流量を出す

流域の降水量から、川の流量を出す問題もあります。

流域面積100km²、年間の降水量2,000mm、そのうち川に流れ出る割合(流出係数)が0.7だとします。1年に流れ出る水は、100 × 10⁶ m² × 2m × 0.7 で1.4 × 10⁸ m³です。

1年は約3,154万秒なので、平均の流量は約4.4m³/sになります。面積はm²、降水量はmに直すのを忘れないようにしましょう。

水車の種類は落差で見分ける

水車は、落差の大きさで向いている種類が変わります。

水車の種類向いている落差ひとことで言うと
ペルトン水車高い落差ノズルから吹き出す水をバケットに当てて回す
フランシス水車中くらいの落差水が羽根車の外から入り、中心から抜ける
カプラン水車・プロペラ水車低い落差プロペラのような羽根で回す。カプランは羽根の角度を変えられる
揚水発電は「水をくみ上げて、ためておく」

揚水発電は、電気が余る時に下の池から上の池へ水をくみ上げ、電気が足りない時にその水で発電する方式です。くみ上げる時の電力は P = 9.8QH ÷ η のように、効率で割る形になります。

例えば、流量10m³/s、揚程200m、ポンプと電動機を合わせた効率0.85なら、くみ上げに要る電力は 9.8 × 10 × 200 ÷ 0.85 で約23,060kWです。発電の時と違って効率で割るのは、損失のぶんだけ余計に電力が要るからなんです。

水力発電所の分け方

水力発電所は、水の使い方と、落差のつくり方の2つで分けられます。

分け方種類ひとことで言うと
水の使い方流れ込み式川の水をためずにそのまま使う
水の使い方調整池式1日や1週間の中で水量を調整する
水の使い方貯水池式季節をまたいで水をためて使う
水の使い方揚水式下の池から上の池へくみ上げて使う
落差のつくり方水路式・ダム式・ダム水路式水路で落差をかせぐか、ダムでかせぐか、両方か

水力でよく出る言葉

キャビテーションは、水車の中で圧力が下がった所に気泡ができ、それがつぶれて羽根を傷める現象です。

サージタンクは、水圧管の手前に設けて、急に水を止めた時の水圧の上がり方(水撃作用)をやわらげる設備です。言葉と「何のための設備か」をセットで覚えておきましょう。

火力発電:熱サイクルと熱効率

水の流れを一周たどれれば、言葉の問題に強くなる

汽力発電は、ボイラで蒸気をつくり、タービンを回し、復水器で水に戻し、給水ポンプでボイラに送り返す、という一周(ランキンサイクル)でできています。

『火力の言葉は、機器の名前ばかりで覚えにくい』と感じますよね。

ばらばらの名前として覚えるより、水が一周する順番でたどると、ぐっと覚えやすくなります。

汽力発電の水と蒸気の流れ
  1. 給水ポンプで水をボイラへ送る
  2. ボイラで水を蒸気にし、過熱器でさらに温度を上げる
  3. 高温・高圧の蒸気でタービンを回し、発電機を回す
  4. タービンを出た蒸気を、復水器で冷やして水に戻す
  5. 水を給水ポンプへ戻し、また一周する
汽力発電で、給水ポンプ・ボイラ・過熱器・タービン・復水器を水と蒸気が一周するランキンサイクルの流れを示した図解

熱効率を上げるくふう

熱効率を上げるくふうも、論説の問題でよく問われる所です。

くふう何をするかなぜ効率が上がるか
再熱サイクルタービンの途中の蒸気をボイラに戻して温め直す蒸気の熱をもっと仕事に使える
再生サイクルタービンの途中から蒸気を抜き、給水を温めるボイラで加える熱が少なくて済む
コンバインドサイクルガスタービンの排熱で蒸気をつくり、蒸気タービンも回す1つの燃料で2回発電する

例題3:火力発電の熱効率

『出力100,000kWで1時間運転し、発熱量44,000kJ/kgの燃料を20,000kg使った。発電端の熱効率は?』

1kW・hは3,600kJです。1時間に出した電力量は 3,600 × 100,000 で3.6 × 10⁸ kJになります。

燃料の熱量は 20,000 × 44,000 で8.8 × 10⁸ kJなので、熱効率は 3.6 ÷ 8.8 で約40.9%です。式で書くと η = 3,600P ÷(BH)になります。

例題4:熱効率から燃料の量を出す

逆に、熱効率から燃料の量を出す問題もあります。

出力500,000kWで1時間運転し、熱効率40%、燃料の発熱量50,000kJ/kgなら、燃料は 3,600 × 500,000 ÷(0.4 × 50,000)で90,000kg、つまり90tです。

環境対策の設備も言葉で押さえる

火力発電所の排ガスをきれいにする設備も、論説の問題で問われることがあります。何を取り除く設備かをセットで覚えておきましょう。

設備取り除くものひとことで言うと
排煙脱硫装置硫黄酸化物(SOx)石灰などと反応させて取り除く
排煙脱硝装置窒素酸化物(NOx)アンモニアと触媒で窒素と水に変える
電気集じん器ばいじん(すす・灰)電気の力で粒を引きつけて集める

『脱硫と脱硝、どっちがどっちだっけ』と迷ったら、「硫」は硫黄、「硝」は窒素の仲間(硝酸)と、漢字から思い出すと覚えやすいですよ。

原子力発電:核分裂と炉の種類

「減速材・冷却材・制御棒」の役割を言えるようにする

原子力発電は、ウランの核分裂で出る熱で蒸気をつくります。炉の中の材料の役割と、沸騰水型・加圧水型の違いが、言葉の問題の中心です。

『原子力は難しそうで、手をつけていない』という方も多いはずです。

ただ、計算は質量とエネルギーの関係くらいで、中心は言葉の問題です。役割を表で覚えてしまえば、短い時間で得点源にしやすい分野なんです。

炉の中のもの役割軽水炉での例
核燃料核分裂を起こして熱を出す低濃縮ウラン
減速材中性子の速さを落として、核分裂を起こしやすくする軽水(ふつうの水)
冷却材炉の熱を運び出す軽水
制御棒中性子を吸収して、核分裂の数を調整するホウ素やカドミウムなどを含む材料

沸騰水型と加圧水型の違い

日本の原子力発電所で使われてきた軽水炉には、沸騰水型(BWR)と加圧水型(PWR)があります。

沸騰水型は、炉の中で水を沸騰させ、その蒸気で直接タービンを回します。加圧水型は、炉の水に高い圧力をかけて沸騰させず、蒸気発生器で別の水を蒸気にしてタービンを回します。

例題5:質量とエネルギー

核分裂では、反応の前後でわずかに質量が減り、その分がエネルギーになります。式は E = mc² です(cは光の速さで約3 × 10⁸ m/s)。

1gの質量がすべてエネルギーになったとすると、1 × 10⁻³ × (3 × 10⁸)² で9 × 10¹³ Jです。kW・hに直すと、9 × 10¹³ ÷ 3.6 × 10⁶ で2.5 × 10⁷ kW・hになります。

『たった1gで、そんなに?』と驚きますよね。少ない燃料で大きなエネルギーを取り出せることが、原子力発電の大きな特徴なんです。

原子力発電の特徴も言葉で

原子力発電は、少ない燃料で長く運転でき、発電中に二酸化炭素を出しません。一方で、放射性物質を安全に扱い、使い終わった燃料を管理する必要があります。

こうした特徴は、ほかの発電方式と比べる正誤の問題で問われることがあります。冒頭の比較表と見比べながら覚えておきましょう。

太陽光・風力など再生可能エネルギー

太陽光は温度、風力は風速の3乗

太陽電池は温度が上がると出力が下がります。風力の出力は、風速の3乗と、風車が風を受ける面積に比例します。この2つは計算にも言葉の問題にも使えます。

『再エネは新しい分野だから、古い参考書には少ないのでは?』と気になる方もいますよね。

再生可能エネルギーは、仕組みと特徴の言葉が中心です。教材を選ぶ時は、新しい範囲に合わせて改訂されているかも見ておくと安心です。

方式仕組み押さえたい特徴
太陽光太陽電池(pn接合)で光を直接電気に変え、パワーコンディショナで交流にする天気や時間で出力が変わる。温度が上がると出力が下がる
風力風で風車を回し、発電機を回す出力は風速の3乗と受風面積に比例
地熱地下の蒸気でタービンを回す天気に左右されにくい
燃料電池水素と酸素の化学反応で直接電気をつくる発電と同時に熱も取り出せる

例題6:風速と風車の大きさを変えると

風力の出力は P = ρAv³ ÷ 2 です(ρは空気の密度、Aは受風面積、vは風速)。

風速が2倍になると、出力は2³で8倍になります。風車の直径を2倍にすると、面積は2²で4倍なので、出力も4倍です。

例えば、勉強仲間とこんな会話になることがあります。

「風速が2倍で出力8倍って、多すぎない?」

「1秒に当たる空気の量も2倍、速さの2乗のエネルギーも4倍だから、掛けて8倍なんだよ」

例題7:太陽電池の出力

太陽電池の出力は、日射の強さ × パネルの面積 × 変換効率で考えます。

例えば、1m²あたり1kWの日射が、面積10m²、変換効率20%のパネルに当たると、出力は 1 × 10 × 0.2 で2kWです。温度が上がると効率が下がるので、真夏の晴れた日でも出力がいちばん大きくなるとは限らないんです。

5つの発電の暗記ポイントを最後にチェック

ここまでの内容を、言葉で答えられるかチェックしてみてください。

発電の暗記ポイントのチェック
  • 水力の出力の式と、有効落差の出し方を言える
  • ペルトン・フランシス・カプランの向いている落差を言える
  • キャビテーションとサージタンクの意味を言える
  • ランキンサイクルの機器を、水の流れの順に言える
  • 再熱サイクル・再生サイクル・コンバインドサイクルの違いを言える
  • 減速材・冷却材・制御棒の役割を言える
  • 沸騰水型と加圧水型の違いを言える
  • 太陽電池の温度と出力、風力の風速と出力の関係を言える

発電で使う式は、ほかの科目の式とまとめて見返すと忘れにくくなります。電験三種の公式まとめもあわせて使ってみてください。

ひとりで範囲の広い発電を進めるのが不安な方は、図や動画で仕組みを説明してくれる講座を使う方法もあります。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

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発電の分野でよくある相談

相談が多いのは「水力の計算」と「どれから手をつけるか」

知恵袋には、水力発電の計算問題の答えを聞く相談がとても多く、発電方式の難しさの順番を聞く相談も見られます。よくあるものを選んで答えます。

相談1:水力発電の問題の答えが分からない

電力の水力発電の問題の答えを教えてほしい、という相談が、知恵袋にはたくさん寄せられています。

結論から言うと、まずは P = 9.8QHη のQ・H・ηを問題文から探してみてください。答えが合わない時は、次の3つを見直すと原因が見つかることが多いです。

見直す所よくあるつまずき
落差総落差のまま使って、損失落差を引いていない
流量1日や1年の水の量を、秒あたりに直していない
効率水車と発電機の効率の、片方しか掛けていない

相談2:火力・水力・原子力、難しい順は?

発電の内容で、火力・水力・原子力を難しい順に並べるとどうなるか、という相談もあります。

難しさの感じ方は人によって違うので、順位は決めにくいところです。目安としては、水力と火力は計算と言葉の両方、原子力は言葉が中心です。

『計算が苦手』という方は原子力の言葉から、『計算は得意』という方は水力の式から入ると、最初の手ごたえをつかみやすいですよ。

相談3:発電は電力の科目のどこから始めればいい?

電力の科目の中で、発電から始めるべきか、送配電から始めるべきか、という迷いもよく聞きます。

理論と並行して勉強している方は、イメージしやすい発電から入ると進めやすいです。理論が終わっている方は、計算の多い送配電から入るのもひとつの手です。変電所は電験三種の変電所、送配電は電験三種の送電・配電で紹介しています。

相談この記事での答え
水力の答えが合わない落差・流量・効率の3つを見直す
難しい順は?人による。水力・火力は計算と言葉、原子力は言葉が中心
発電から始める?理論と並行なら発電、理論が終わっていれば送配電も手

よくある質問

電験三種の発電では何を学びますか?

水力・火力・原子力・太陽光・風力などの発電方式の仕組みと、水力の出力や火力の熱効率などの計算です。電力の科目の範囲の一部になっています。

水力発電の出力の式は何ですか?

P = 9.8QHη〔kW〕です。Qは流量〔m³/s〕、Hは有効落差〔m〕、ηは水車と発電機を合わせた効率です。

火力発電の熱効率はどう計算しますか?

出力P〔kW〕、1時間の燃料の量B〔kg〕、発熱量H〔kJ/kg〕から、η = 3,600P ÷(BH)で計算します。1kW・hが3,600kJであることを使います。

沸騰水型と加圧水型の違いは何ですか?

沸騰水型は炉の中で水を沸騰させ、その蒸気で直接タービンを回します。加圧水型は炉の水を沸騰させず、蒸気発生器で別の水を蒸気にしてタービンを回します。

コンバインドサイクル発電とは何ですか?

ガスタービンで発電し、その高温の排ガスで蒸気をつくって蒸気タービンでも発電する方式です。1つの燃料で2回発電するので、熱効率を高くできます。

風力発電の出力は風速とどんな関係がありますか?

出力は風速の3乗に比例します。風速が2倍になると、出力は8倍になります。

まとめ

この記事の要点
  • 発電方式の違いは、もとになるエネルギーと、回る力に変える機器の違い
  • 水力は P = 9.8QHη、落差で水車の種類を選ぶ
  • 火力は水と蒸気の一周をたどり、熱効率は η = 3,600P ÷(BH)
  • 原子力は減速材・冷却材・制御棒と、沸騰水型・加圧水型の違い
  • 太陽光は温度、風力は風速の3乗がポイント

電験の全体像は電験とは?で紹介しています。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

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