電験三種の変電所|機器の役割と保護の仕組みを表で覚える

電験三種の変電所を、機器の役割と保護の仕組み、操作の順番で紹介する記事のアイキャッチ

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電力の勉強を始めて、『変電所の問題は機器の名前ばかりで、どれが何をするのか頭に入らない』と感じている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の変電所は「機器ごとの役割」と「止める時と入れる時の順番」をセットで覚えると、一気に解きやすくなります。

この記事を読むと、変電所の機器の役割と保護の仕組み、計算問題の型が分かります。

目次

電験三種の変電所はどこで出る?

先に結論

変電所は電験三種の電力科目の範囲です。試験センターの出題範囲には「発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転」と書かれています。

『変電所って、電力科目のどこに入るの?』と迷いますよね。

試験センターが示す電力科目の範囲は、発電所・蓄電所・変電所の設計と運転、送電線路と配電線路、電気材料です。変電所は、発電所と送配電の間をつなぐ位置にあります。

電力科目全体の進め方は電験三種の電力で紹介しています。ここでは変電所だけに絞って見ていきますね。

変電所の仕事は大きく4つ

変電所は「電圧を変える所」と思われがちです。実はそれだけではなく、次の4つの仕事をしています。

変電所の仕事中身関わる主な機器
電圧を変える送電に向く高い電圧と、使う側に合う低い電圧の間で変える変圧器
電気を集めて分ける複数の送電線から受けて、複数の配電線へ送り出す母線・遮断器・断路器
電圧と力率を整える負荷の変化に合わせて電圧を保つ調相設備・負荷時タップ切換装置
事故から守る故障した所だけを素早く切り離す保護継電器・遮断器・避雷器

例えば、夕方に負荷が増えて電圧が下がりそうな時は、調相設備やタップの切換で電圧を保ちます。この「整える仕事」まで含めて変電所と考えておきましょう。

変電所にも種類がある

変電所は、発電所の近くで電圧を上げる所と、使う場所に近づくにつれて電圧を下げる所に分かれます。

電圧を何段階かに分けて下げていき、最後に配電線へ送り出すのが配電用変電所です。問題文に「配電用変電所」とあれば、高圧の配電線が引き出される所だと読み替えてください。

ビルや工場の受電設備(キュービクルなど)も、小さな変電設備と考えると機器の役割がつながります。遮断器・変流器・保護継電器の考え方は、規模が違ってもほとんど同じなんです。

変電所の機器の役割を表で覚える

機器は「何を開け閉めするか」「何を測るか」で分ける

変電所の機器は名前が似ていて混ざりやすいです。開閉する機器、守る機器、測る機器、整える機器の4つに分けると覚えやすくなります。

『遮断器と断路器って、何が違うの?』というのは、変電所でいちばん多い迷いどころですよね。

まずは主な機器を、役割ごとに表にまとめます。

分類機器役割覚えるポイント
変える主変圧器電圧を変える巻数比で電圧が決まる
開閉する遮断器(CB)負荷電流も事故電流も切れるアークを消す仕組みを持つ
開閉する断路器(DS)電流が流れていない回路を切り離す負荷電流は切れない
守る避雷器(LA)雷などの異常な電圧を大地へ逃がす機器の絶縁を守る
測る計器用変圧器(VT)高い電圧を測れる低い電圧に変える二次側を短絡させない
測る変流器(CT)大きな電流を測れる小さな電流に変える二次側を開放させない
整える電力用コンデンサ(SC)負荷の遅れ無効電力を打ち消し、力率を改善する重負荷の時に使う
整える分路リアクトル(ShR)遅れ無効電力をとり、電圧の上がりすぎを抑える軽負荷の時に使う
見張る保護継電器異常を見つけて遮断器に開けと指令する自分では電流を切らない
変電所の機器を、変える・開閉する・守る・測る・整える・見張るの6つの役割に分けて並べた図解

遮断器の消弧の方式も一緒に覚える

遮断器は、電流を切る時に出るアークを消す方法で種類が分かれます。

ガス遮断器(GCB)はSF6ガス、真空遮断器(VCB)は真空の中でアークを消します。ガス遮断器は高い電圧の変電所で、真空遮断器は高圧の配電用の設備でよく使われる、とセットで覚えておくと便利です。

CTの二次側を開けてはいけない理由

変流器(CT)の二次側を開放すると、一次側の電流がすべて励磁に使われ、二次側に高い電圧が出ます。焼損の原因になるので、計器を外す時は二次側を短絡してから外します。

逆に計器用変圧器(VT)は、二次側を短絡すると大きな電流が流れてしまいます。『CTは開けない、VTは短絡しない』と対で覚えるのがコツです。

よくある取り違え

CTとVTの「やってはいけないこと」を逆に覚えてしまう方が多いです。CTは電流を測る機器なので、二次側の電流の通り道をなくすと困る、と理由から覚えると混ざりません。

断路器と遮断器はどっちから操作する?

止める時は遮断器が先、入れる時は断路器が先

断路器は負荷電流を切れません。だから、電流を切る仕事はいつも遮断器にやらせて、断路器は電流が流れていない時にだけ動かします。

『停電の時の操作の順番がいつも逆になる』という悩みは本当によく聞きます。

結論から言うと、「断路器は電流が流れていない時しか触れない」という1点から考えれば、順番は自然に決まるんです。

場面1番目2番目3番目
送電を止める(停止)遮断器を開く負荷側の断路器を開く電源側の断路器を開く
送電を始める(投入)電源側の断路器を閉じる負荷側の断路器を閉じる遮断器を閉じる

例えば、点検のために回路を止める場面を考えてみてください。遮断器で電流を切ってから断路器を開ければ、断路器が開く時には電流が流れていません。

断路器を負荷電流が流れたまま開くとどうなる?

断路器にはアークを消す仕組みがありません。負荷電流が流れたまま開くとアークが出続け、機器の損傷や作業する人の危険につながります。

このため実際の設備では、遮断器が閉じている間は断路器を操作できないようにするインタロックが付いています。試験でも「インタロック」という言葉は、この誤操作を防ぐ仕組みとして出てきます。

操作の順番を確かめるチェック
  • その操作の時、断路器に電流が流れていないか
  • 電流を切っているのは遮断器か
  • 止める時は遮断器を最初に開いたか
  • 入れる時は遮断器を最後に閉じたか

保護継電器は何を見張っている?

継電器は「異常の見つけ役」、遮断器は「切り役」

保護継電器は、CTやVTから受けた電流・電圧で異常を見つけ、遮断器に開く指令を出します。故障した所だけを切り離すのが目的です。

『継電器の種類が多すぎて覚えられない』という方もいますよね。

実は、何を見張っているかで分けると、電験三種で出てくる継電器はそれほど多くありません。

継電器見張っている異常主に守る所
過電流継電器(OCR)決めた値より大きな電流配電線・変圧器
地絡継電器(GR)地絡(大地への漏れ)による電流配電線
比率差動継電器変圧器の入る電流と出る電流の差変圧器の内部
距離継電器電圧と電流から求めた事故点までの距離送電線
ブッフホルツ継電器内部故障で油の中に出るガスや油の流れ油入変圧器
保護継電器がCTとVTから信号を受けて異常を見つけ、遮断器に開く指令を出して故障区間だけを切り離す流れを示した図解

比率差動継電器の考え方

変圧器が正常なら、一次側から入る電流と二次側から出る電流は、巻数比を考えるとつり合います。

内部で故障が起きると、このつり合いが崩れて差が出ます。この差を見て動くのが比率差動継電器です。外の事故では動かず、変圧器の中の事故だけに反応できるのが強みなんです。

変圧器そのものの式は別の記事で

巻数比や損失、効率など変圧器の計算は電験三種の変圧器で紹介しています。変電所の問題で変圧器の式が出てきたら、そちらとつなげて覚えておきましょう。

変電所の計算問題はこの3つの型

計算は「三相の電流」「短絡電流」「力率改善」が軸

変電所の計算問題は、三相電力の式で電流を出す型、百分率インピーダンスで短絡電流を出す型、電力用コンデンサの容量を出す型に分けて練習すると迷いません。

『知識問題は分かるけど、計算が出ると手が止まる』という方も多いはずです。

ここでは自作の例題で、3つの型の流れを確かめます。

型1:三相電力の式で電流を出す

『6.6kVで、1,000kW・力率0.8の負荷に送る時の線電流は?』

三相電力は P = √3VIcosθ です。I = 1,000,000 ÷(√3 × 6,600 × 0.8)を計算すると、約109Aになります。

型2:百分率インピーダンスで短絡電流を出す

『容量10MVA・二次電圧6.6kV・百分率インピーダンス7.5%の変圧器で、二次側の三相短絡電流は?』

型2の解き方
  1. 定格電流を出す:10,000,000 ÷(√3 × 6,600)で約875A
  2. 短絡電流の式:短絡電流 = 定格電流 × 100 ÷ 百分率インピーダンス
  3. 代入する:875 × 100 ÷ 7.5 で約11,700A(約11.7kA)

この値は、遮断器が切れる電流の大きさを選ぶ時の目安になります。百分率インピーダンスが小さいほど短絡電流は大きくなる、と向きも一緒に覚えておきましょう。

型3:力率を1にするコンデンサの容量

『300kW・力率0.8(遅れ)の負荷の力率を1にするには、何kvarのコンデンサが要る?』

力率0.8の時、無効電力は 300 × 0.6 ÷ 0.8 で225kvarです。これを打ち消すので、225kvarのコンデンサが要ります。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

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変電所についてよくある相談

相談が多いのは「無効電力の言い方」「ガス絶縁」「需要設備」

知恵袋でも、電験三種の変電所についての相談がよく寄せられています。よくあるものを選んで答えます。

相談1:「コンデンサは進み無効電力を消費する」の意味が分からない

電力用コンデンサの説明で「進相無効電力を消費する(遅れ無効電力を供給する)」と書かれていて混乱した、という相談があります。

これは同じことを2通りに言っているだけです。負荷が遅れ無効電力を使う向きを「消費」と決めると、コンデンサはその逆向きなので「遅れ無効電力を供給する」と言えます。

『じゃあどっちで覚えればいいの?』と思いますよね。試験では「コンデンサは力率を進める側、リアクトルは遅らせる側」と向きだけ押さえておけば、どちらの言い方でも読み替えられます。

相談2:ガス絶縁の変電所は何がいいの?

ガス絶縁開閉装置(GIS)を使う変電所と、空気で絶縁する変電所の違いについての相談もあります。

GISは、遮断器や断路器などをSF6ガスを入れた金属の容器にまとめた設備です。SF6ガスは絶縁の力が強いので、機器を小さくまとめられます。

充電部が容器の中にあるため、塩害や雪の影響を受けにくい点もよく問われます。

相談3:変電所は需要設備に入る?

法規の勉強で「発電所や変電所は需要設備なのか」と迷った、という相談もあります。

用語の意味は、電気設備技術基準の解釈の最初の条文(用語の定義)で決められています。言葉の定義は条文で確かめるのがいちばん確実なので、電気設備技術基準と解釈で読む所を確かめてみてください。

相談押さえる考え方
コンデンサの無効電力の言い方向きだけ押さえれば言い方は読み替えられる
ガス絶縁の変電所小さくまとまり、塩害などに強い
変電所は需要設備か用語の定義は解釈の条文で確かめる

よくある質問

電験三種の変電所は、どの科目で出ますか?

電力科目です。試験センターの出題範囲に「発電所、蓄電所及び変電所の設計及び運転」と書かれています。

断路器と遮断器は、どちらを先に操作しますか?

止める時は遮断器を先に開き、入れる時は遮断器を最後に閉じます。断路器は負荷電流を切れないので、電流が流れていない時にだけ操作します。

CTとVTで注意することは何ですか?

CTは二次側を開放しない、VTは二次側を短絡しない、の2点です。CTの二次側を開けると高い電圧が出るため、計器を外す時は短絡してから外します。

変電所の計算問題は何から練習すればいいですか?

三相電力の式で電流を出す型から始めて、百分率インピーダンスで短絡電流を出す型、コンデンサで力率を改善する型の順に進めると、前の計算を使いながら練習できます。

まとめ

この記事の要点
  • 変電所は電力科目の範囲で、電圧を変える・集めて分ける・整える・守るの4つの仕事をする
  • 機器は変える・開閉する・守る・測る・整える・見張るの役割で分けて覚える
  • 止める時は遮断器が先、入れる時は断路器が先
  • CTは二次側を開けない、VTは二次側を短絡しない
  • 計算は三相の電流・短絡電流・力率改善の3つの型で練習する

送電線と配電線の話は電験三種の送電・配電、発電所の話は電験三種の発電に続きます。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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