電験三種の自動制御|ブロック線図と伝達関数の読み方

電験三種の自動制御を、ブロック線図と伝達関数の読み方から整理する記事のアイキャッチ

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機械の勉強で、『伝達関数やブロック線図が出てくると、何をしているのか分からなくなる』という方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の自動制御は「信号がどこを通って、どこで戻ってくるか」を追えるようになると、式の意味が見えてきます。

この記事を読むと、フィードバック制御の部品の役割から、ブロック線図をまとめる手順、周波数応答の計算の型までが分かります。

目次

電験三種の自動制御はどんな分野?

先に結論

自動制御は、機械科目の出題範囲に入っています。目標の値に合わせて、機械や設備を自動で動かす仕組みを扱う分野です。

電気技術者試験センターが公表する機械科目の範囲には、電気機器やパワーエレクトロニクスと並んで、自動制御とメカトロニクスが書かれています。

『機械科目なのに、数学みたいな式ばかり』と感じた方もいるかもしれません。

実は、自動制御の式は「入れた信号が何倍になって出てくるか」を表しているだけなんです。身近な例で言うと、エアコンが室温を測りながら設定温度に近づける動きが、自動制御そのものです。

機械科目全体の進め方は電験三種の機械の攻め方で紹介しています。

シーケンス制御とフィードバック制御

自動制御には、大きく2つの考え方があります。

フィードバック制御
  • 結果を測って目標と比べる
  • ずれがあれば自動で直す
  • 例:エアコンの室温の調節
シーケンス制御
  • 決めた順番どおりに動かす
  • 結果を測って直すことはしない
  • 例:全自動洗濯機の工程

フィードバック制御の構成要素を表で見る

部品の名前は「信号の通り道」の順に覚える

目標値から制御量まで、信号が通る順に部品を並べると、名前と役割がつながって覚えやすくなります。

『目標値、操作量、制御量…名前が似ていて混ざる』という声は本当によく聞きます。

エアコンの例に当てはめて、信号が通る順に並べてみました。

部品・信号役割エアコンの例
目標値こうしたいという値設定温度
比較部目標値と結果を比べて差を出す設定温度と室温の差を出す
調節部(制御器)差に応じてどれだけ動かすか決める冷やす強さを決める
操作部実際に制御対象を動かすコンプレッサーを動かす
操作量制御対象に加えるもの送り出す冷たい風
制御対象制御したい機械や設備部屋
制御量制御したい量室温
検出部制御量を測って戻す温度センサー
外乱外から入る乱れ窓からの日差し
フィードバック制御の構成要素を、目標値から比較部・調節部・操作部・制御対象・検出部へ信号が回る輪の形で示した図解

比例・積分・微分の動作

調節部の動き方には、比例動作(P)、積分動作(I)、微分動作(D)があります。

動作何に応じて動かすか特徴
比例(P)今のずれの大きさ簡単だが、ずれが少し残ることがある
積分(I)ずれがたまった量残ったずれ(定常偏差)をなくす
微分(D)ずれが変わる速さ急な変化に早めに手を打つ

ブロック線図の等価変換の手順

まとめ方は3つの型だけ

ブロック線図は、直列・並列・フィードバックの3つの型で1つの箱にまとめられます。まずはこの3つを使いこなせるようにしましょう。

『ブロック線図の箱がたくさんあると、どこから手をつけていいか分からない』という方も多いはずです。

まずは3つの型を表で見てください。

型つながり方まとめた結果
直列箱 G1 と G2 が1本道でつながるG1 × G2
並列同じ信号が G1 と G2 に分かれて足し合わされるG1 + G2(引く時は G1 − G2)
フィードバック出力が H を通って戻り、入力から引かれるG ÷(1 + G × H)

フィードバックの式は「前向きの道 ÷(1 + 1周の道)」と覚えると、少し複雑な形にも使えます。

ブロック線図をまとめる手順
  1. 一番内側のフィードバックの輪を探す
  2. 輪の中の直列と並列を先に1つの箱にする
  3. 輪をフィードバックの式で1つの箱にする
  4. 外側に向かって同じことをくり返す
  5. 最後に全体を1つの式にする

加え合わせ点や引出し点をずらす時

輪が重なっていて3つの型にそのまま当てはまらない時は、加え合わせ点や引出し点を箱の前後にずらします。ずらしても信号の大きさが変わらないように、補正の箱を足すのがルールです。

ずらし方足す補正の箱
加え合わせ点を、箱 G の前(入力側)へ移す移した信号に 1 ÷ G を掛ける
加え合わせ点を、箱 G の後ろ(出力側)へ移す移した信号に G を掛ける
引出し点を、箱 G の後ろへ移す引き出した信号に 1 ÷ G を掛ける
引出し点を、箱 G の前へ移す引き出した信号に G を掛ける

「ずらす前と後で、同じ信号が届いているか」を確かめれば、表を忘れても自分で補正の箱を決められますよ。

例題1:フィードバックの輪を1つにまとめる

自作の例題で確かめます。

『前向きの道の伝達関数 G が20、戻りの道 H が0.05の負のフィードバック。全体の伝達関数は?』

1周の道は20 × 0.05で1です。全体は20 ÷(1 + 1)で10になります。

もし前向きの道が G1 = 4 と G2 = 5 の直列なら、先に4 × 5で20にしてから、同じ計算をすればOKです。

ブロック線図の問題で最初に確かめること
  • 入力と出力がどの信号かに印をつける
  • 加え合わせ点の符号がプラスかマイナスかを見る
  • 一番内側の輪がどこかを探す
  • 輪が重なっていたら、ずらす点を1つ決める
  • 最後の式に s が残るか、数字だけになるかを予想する

答えの選択肢を先に眺めて、分母の形をつかんでおくのも手です。例えば分母が「1 + …」の選択肢ばかりなら、負のフィードバックの輪が1つある、と見当がつきます。

よくある失敗

戻りの信号が「引かれる」のか「足される」のかを見落とすミスがあります。加え合わせ点の符号がマイナスなら分母は1 + GH、プラスなら1 − GHです。符号は最初に丸で囲んでおきましょう。

伝達関数と周波数応答の問題の型

周波数応答は「s を jω に置きかえる」だけ

周波数応答の計算は、伝達関数の s に jω を入れて、複素数の大きさ(ゲイン)と角度(位相)を出す作業です。

伝達関数は、入力が何倍になって出てくるかを s の式で表したものです。基本になる形を表にしました。

要素伝達関数性質
比例要素Kそのまま K 倍する
積分要素1 ÷ s入力をためていく
微分要素s入力の変わる速さを出す
1次遅れ要素K ÷(1 + sT)ゆっくり追いつく。T は時定数

ゲインをデシベルで表す時は、20 × log10(大きさ)を使います。大きさが10倍なら20dB、1倍なら0dBです。

例題2:1次遅れ要素のゲインと位相

『伝達関数 G(s) = 1 ÷(1 + 0.1s)に、角周波数10rad/sの正弦波を入れた。ゲインと位相は?』

例題2の解き方
  1. s を jω に置きかえる:1 ÷(1 + j × 10 × 0.1)= 1 ÷(1 + j1)
  2. 大きさ:1 ÷ √(1² + 1²)= 1 ÷ √2 で約0.707
  3. デシベル:20 × log10(0.707)で約−3dB
  4. 位相:分母の角度が45°なので、位相は−45°

ωT = 1になる角周波数を、折れ点角周波数と呼びます。ボード線図ではここで約−3dB・−45°になり、それより高い周波数ではゲインが10倍ごとに20dBずつ下がっていきます。

ステップ応答と時定数

入力を急に一定の値にした時の出力の変化を、ステップ応答と呼びます。1次遅れ要素では、出力はゆっくりと最終の値に近づいていきます。

時定数 T だけ時間がたつと、出力は最終の値の約63.2%に届きます。これは 1 − e⁻¹ を計算した値です。

例えば K = 2、T = 0.5秒の1次遅れに、大きさ1のステップを入れたとします。最終の値は2なので、0.5秒後の出力は2 × 0.632で約1.26です。

1次遅れ要素の伝達関数にjωを入れて、ゲインと位相を求めるまでの流れと、ボード線図の折れ点の形を示した図解

よくある相談:自動制御が分からない時は?

つまずきは「式の意味」と「計算の手順」に分けて考える

相談の多くは、伝達関数の意味があいまいなまま計算に進んでいることから来ています。意味を一言で言えるようにするだけで、手が動き始めることも。

Yahoo!知恵袋などに寄せられる相談から、テーマに合うものを3つ選んで答えます。

相談1:自動制御は実は簡単って本当?

『自動制御は簡単と聞いたけど、本当?』という相談です。

結論から言うと、解き方の型が決まっているので、型を覚えた人には「簡単」に感じやすい分野です。ただ、複素数や対数に慣れていないと、最初は時間がかかります。

複素数の計算に不安があるなら、理論の交流回路の復習とセットで進めるのがおすすめです。

相談2:伝達関数がよく分からない

『伝達関数がだいたい何なのか、ざっくり知りたい』という相談もあります。

ざっくり言えば「この箱に信号を入れたら、何倍になって出てくるか」です。s は時間の変化を表す記号で、式の形を見れば、すぐ反応する箱か、ゆっくり反応する箱かが分かります。

例えば会話にすると、こんな感じです。

「1 ÷(1 + sT)って何を表してるの?」
「入れた信号に、時定数 T のぶんだけ遅れて追いつく箱だよ」

相談3:位相の計算式が導けない

『位相の式が、なぜそうなるのか分からない』という相談です。

位相は複素数の角度です。分母にある複素数の角度は、全体の位相ではマイナスとして効いてきます。

1 + j1 なら角度は45°で、分母にあるので−45°です。同じように、分母が 1 + j√3 なら角度は60°なので、位相は−60°になります。まずは実部と虚部を書き出して、三角形を描いてみてください。

相談まずやること
簡単と聞いたが解けない3つの型と周波数応答の手順を覚える
伝達関数が分からない「何倍になって出てくるか」と言いかえる
位相の式が分からない実部と虚部で三角形を描く

勉強の順番と、ほかの分野とのつながり

構成要素、等価変換、伝達関数、周波数応答の順に

いきなりボード線図から入ると、つまずきやすくなります。言葉から式へ、順に積み上げましょう。

『どこから始めればいい?』という方は、次の順番で進めてみてください。

自動制御の勉強の順番
  1. フィードバック制御の部品の名前を、エアコンの例で言えるようにする
  2. 直列・並列・フィードバックの3つの型で、箱をまとめる練習をする
  3. 代表的な伝達関数の形を、表を隠して書けるようにする
  4. 1次遅れのゲインと位相の例題を解く
  5. 過去問で、ブロック線図と周波数応答の問題を1問ずつ解く

同じ機械科目では、パワーエレクトロニクスや情報処理も型が決まった分野です。計算の型を固める練習として、照明・電熱と並べて進める方法もあります。

例えば、平日は部品の名前と3つの型を1日15分ずつ、土日に例題と過去問をまとめて解く、という分け方もできます。

独学で式の意味がつかみにくいと感じたら、講座を使う方法もあります。講座の比べ方は次の案内から確かめてみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

電験三種の自動制御は何の科目ですか?

機械科目です。電気技術者試験センターが公表している機械科目の範囲に、自動制御とメカトロニクスが含まれています。

フィードバックの式は丸暗記でいいですか?

「前向きの道 ÷(1 + 1周の道)」という形で覚えると、箱が増えた時にも使えます。加え合わせ点の符号がプラスなら分母は1 − GHになる点にも気をつけましょう。

関数電卓が使えないのに、log の計算はどうしますか?

試験では関数電卓は使えません。log10 2 が約0.301、log10 3 が約0.477などの主な値と、√2 が約1.414などを覚えておくと計算できます。

複素数が苦手でも自動制御は解けますか?

周波数応答の問題では複素数の大きさと角度を使います。理論の交流回路で、実部と虚部から大きさと角度を出す練習をしておくと楽になります。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種の自動制御は機械科目の範囲に入っている
  • フィードバック制御の部品は、信号の通り道の順に覚える
  • ブロック線図は直列・並列・フィードバックの3つの型でまとめる
  • 周波数応答は s を jω に置きかえ、ゲインと位相を出す
  • 1次遅れは折れ点で約−3dB・−45°になる
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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