電験三種のパワーエレクトロニクス|整流・インバータ・チョッパ

電験三種のパワーエレクトロニクスを、整流回路・チョッパ・インバータの働きから整理する記事のアイキャッチ

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機械の勉強を進めて、『パワーエレクトロニクスの波形の図を見ただけで手が止まる』という方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種のパワーエレクトロニクスは2つのことを押さえると、ぐっと読みやすくなります。「何を何に変える回路か」と「素子がいつオンになるか」です。

この記事では、素子と回路の役割を表で見たあと、平均電圧の例題と波形の問題の読み方まで進めます。

目次

電験三種のパワーエレクトロニクスはどんな分野?

先に結論

パワーエレクトロニクスは、半導体の素子をオンとオフで切り替えて、電気の形を変える技術です。電験三種では機械科目の出題範囲に入っています。

電気技術者試験センターが公表している機械科目の範囲を見てみましょう。電気機器・電動機応用・照明・電熱・自動制御などと並んで、パワーエレクトロニクスが書かれています。

機械科目の試験時間は90分です。A問題とB問題があり、B問題には選択問題も含まれます。

『機械って、モーターや変圧器の科目じゃないの?』と思った方もいるかもしれません。

実は、機械科目は回転機や変圧器だけでなく、電気を使う側の技術まで広く含む科目なんです。機械科目全体の進め方は電験三種の機械の攻め方で紹介しています。

変換は4つの組み合わせで考える

パワーエレクトロニクスの回路は、入る電気と出る電気の組み合わせで呼び名が決まります。最初にこの表を頭に入れておくと、問題文の回路名からやることが見えてきます。

入る電気出る電気回路の呼び名身近な使われ方の例
交流直流整流回路(順変換)充電器、直流電動機の電源
直流直流チョッパ(直流変換)直流電圧の上げ下げ
直流交流インバータ(逆変換)誘導電動機の速度を変える装置
交流交流サイクロコンバータなど周波数や電圧を変える
パワーエレクトロニクスの回路を、交流と直流の入る電気と出る電気の組み合わせで4種類に分けた図解

半導体素子の種類と役割を表で見る

素子は「自分で消せるか」で分ける

ダイオード、サイリスタ、トランジスタ系の素子の違いは、オンにする方法と、オフにする方法にあります。ここを表で覚えるのが近道です。

『素子の名前がたくさんあって、どれがどれだか分からない』という声は本当によく聞きます。

ただ、試験で見られるのは素子の中の細かい作りよりも、「どうやってオンとオフが決まるか」という性質です。次の表で比べてみてください。

素子オンになる時オフになる時覚え方のコツ
ダイオード順方向の電圧がかかった時逆方向の電圧になった時自分では何も選べない一方通行の弁
サイリスタ順方向の電圧+ゲートに信号電流がほぼゼロになった時点けられるが、自分では消せない
GTOゲートの信号でオンゲートの信号でオフゲートで消せるサイリスタ
パワートランジスタベースに電流を流すベースの電流を止める電流で操作する
パワーMOSFETゲートに電圧をかけるゲートの電圧をなくす電圧で操作し、切り替えが速い
IGBTゲートに電圧をかけるゲートの電圧をなくす電圧で操作し、大きな電流も扱える

素子の中で電子や正孔がどう動くかは、理論科目の電子理論と重なる部分です。基礎から確かめたい方は電験三種の電子理論も読んでみてください。

「電流で操作」か「電圧で操作」か

トランジスタは小さな電流でオンとオフを操作します。MOSFETとIGBTは、ゲートにかける電圧で操作します。

この違いは「電流駆動型と電圧駆動型」という言い方で問われることもあります。例えばこんな整理です。

  • 電流駆動型:パワートランジスタ
  • 電圧駆動型:パワーMOSFET、IGBT

整流回路・チョッパ・インバータの働きと式

平均電圧の式は3つ覚えれば戦える

整流回路は「交流の何倍の直流が出るか」、チョッパは「オンの時間の割合で電圧が決まる」と考えます。式は少なく、意味で覚えるのがコツです。

『式を覚えても、どの場面で使うのか分からない』という方のために、よく使う式を場面と一緒に並べます。

回路平均の出力電圧記号の意味
単相全波整流(ダイオード)Vd = 0.9VV は交流電圧の実効値
単相全波整流(サイリスタ・抵抗負荷)Vd = 0.9V ×(1 + cosα)÷ 2α は制御角
三相全波整流(ダイオード)Vd = 1.35VV は線間電圧の実効値
降圧チョッパVo = D × ED はオンの時間の割合(通流率)
昇圧チョッパVo = E ÷(1 − D)E は入力の直流電圧

0.9という数字は、2√2 ÷ πを計算したものです。1.35は3√2 ÷ πから来ています。

半波と全波はどこが違う?

単相半波整流は、交流の半分の波だけを通します。全波整流は、マイナス側の波も向きをそろえて通すので、平均の電圧が半波の2倍になります。

ダイオードの単相半波整流なら、平均電圧は約0.45Vです。全波の0.9Vの半分、と覚えておけば十分ですよ。

勉強仲間との会話なら、こんなやりとりになるかもしれません。

「半波と全波、どっちがどっちか分からなくなるんだよね」
「波が半分しか出ないのが半波。だから電圧も全波の半分だよ」

例題1:サイリスタの単相全波整流

自作の例題で、式の使い方を確かめます。

『実効値100Vの交流を、サイリスタの単相全波整流回路で整流した。負荷は抵抗だけで、制御角は60°。出力の平均電圧は?』

例題1の解き方
  1. cos60°は0.5なので、(1 + 0.5)÷ 2 で0.75
  2. 0.9 × 100 で90V
  3. 90 × 0.75 で67.5V

答えは67.5Vです。制御角が0°なら90V、180°なら0Vになるので、その間に入っているか確かめると安心です。

例題2:降圧チョッパと昇圧チョッパ

『入力200Vの直流を、オンの時間の割合0.4でチョッパ運転した。降圧チョッパなら出力は? 昇圧チョッパなら?』

降圧チョッパは0.4 × 200で80Vです。昇圧チョッパは200 ÷(1 − 0.4)で、約333Vになります。

「降圧なら入力より小さく、昇圧なら大きくなる」という向きを先に確かめておくと、式の取り違えに気づけます。

インバータは「速度を変える」場面で出てくる

インバータは直流を交流に変え、周波数を変えられます。誘導電動機の回転の速さは周波数で変わるので、電動機の速度を変える話とセットで出てきます。電動機の側の話は直流機の種類と式と合わせて読むとつながります。

波形の問題の読み方をチェックで身につける

波形は「どの素子がオンの時間か」を塗り分ける

波形の図が並ぶ問題は、時間を区切って「今どの素子がオンか」を書き込むと、出力の形が自然に決まります。

『波形を選ぶ問題は、どれも同じに見えてしまう』という方も多いはずです。

実は、波形の問題は図をいきなり見比べるより、手順を決めて読む方が速いんです。この記事では、次のチェックで読み進める方法をおすすめします。

波形の問題を解く前のチェック
  • 入る電気が交流か直流かを確かめる
  • 素子がダイオードかサイリスタかを見る
  • サイリスタなら制御角αの位置に印をつける
  • 負荷が抵抗だけか、コイルを含むかを確かめる
  • 半周期ごとに、オンの素子を書き込む
パワーエレクトロニクスの波形の問題を、交流か直流か、素子の種類、制御角、負荷、オンの素子の順に確かめていく流れの図解

コイルを含む負荷と還流ダイオード

負荷にコイル(インダクタンス)があると、電流はすぐには止まりません。素子がオフになっても、コイルは電流を流し続けようとします。

この時に電流の逃げ道になるのが、還流ダイオードです。

例えば問題文に「還流ダイオードがある」と書かれていたとします。その時は「素子がオフの間も、負荷の電流はダイオードを通って流れ続ける」と読みかえてみてください。出力電圧がマイナスに振れない波形を選べばよい、と見当がつきます。

よくある失敗

抵抗負荷の波形の覚え方を、コイルを含む負荷の問題にもそのまま当てはめてしまうことがあります。負荷の種類は、問題文の最初で確かめておきましょう。

よくある相談:パワーエレクトロニクスが苦手な時は?

苦手の原因は「素子」と「波形」に分けて考える

相談の多くは、素子の性質があいまいなまま波形の問題に進んでいることから来ています。順番を戻すだけで解けるようになることも。

Yahoo!知恵袋などに寄せられる相談から、よくあるものを3つ選んで答えます。

相談1:難しくて捨てる人が多いと聞いた

『パワーエレクトロニクスは捨てる人が多いと聞いたけど、捨ててもいい?』という相談です。

結論から言うと、最初から捨てると決める必要はありません。機械科目は範囲が広く、ほかの分野で点を取る作戦もありますが、表の式だけで解ける問題を逃すのはもったいないですよね。

まずは素子の表と平均電圧の式だけ覚えて、過去問で解けるかを試してから決めても遅くありません。

相談2:理論の電子理論を先に理解しておく必要がある?

『パワーエレクトロニクスを理解するには、理論の電子理論が分かっていないとだめ?』という相談もあります。

ダイオードやトランジスタの基本的な性質は、電子理論で学ぶ内容と重なります。ただ、半導体の中の動きを深く知らなくても、オンとオフの条件が分かれば解ける問題もあります。

迷ったら、電子理論のダイオードとトランジスタの部分だけ先に読み直してみてください。

相談3:自動制御と並んで勉強の仕方が分からない

『パワーエレクトロニクスと自動制御の勉強の仕方が分からない』という相談は、閲覧も多い内容です。

どちらも、言葉と式の意味をつなげずに問題へ進むと手が止まりやすい分野です。自動制御の進め方は電験三種の自動制御で紹介しています。

相談の内容まずやること
捨てたほうがいいか迷う素子の表と平均電圧の式で解ける問題を試す
電子理論から必要か迷うダイオードとトランジスタの部分だけ読み直す
勉強の仕方が分からない回路の4分類、素子、式、波形の順に進める

苦手な人向けの勉強の順番

「分類、素子、式、波形」の順に1つずつ

いきなり過去問の波形から入ると、つまずきやすくなります。土台から順に積むのが近道です。

『どこから手をつければいいの?』という方は、次の順番で進めてみてください。

パワーエレクトロニクスの勉強の順番
  1. 変換の4分類(整流、チョッパ、インバータ、交流変換)を表で覚える
  2. 素子ごとのオンとオフの条件を言えるようにする
  3. 平均電圧の式を、例題で1回ずつ計算する
  4. 波形の問題を、チェックの手順で解いてみる
  5. 過去問で間違えた問題の波形を、自分で描き直す
過去問は「式の確認」と「波形の確認」に分けて使う

過去問を解く時は、計算の問題と波形の問題を分けて印をつけておくと便利です。計算で落としたのか、波形で落としたのかが分かると、戻る場所がはっきりします。

例えば、仕事のあと平日に1時間とれる方なら、1日目に表、2日目に素子、3日目に式という具合に、1日1段ずつ進めるとちょうどよい量です。

独学で進めにくいと感じたら、動画や添削のある講座を使う方法もあります。講座の比べ方は次の案内から確かめてみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

よくある質問

電験三種のパワーエレクトロニクスは何の科目に入りますか?

機械科目です。電気技術者試験センターが公表している機械科目の範囲に、パワーエレクトロニクスが含まれています。

整流回路の0.9や1.35という数字は覚える必要がありますか?

覚えておくと計算が速くなります。0.9は2√2÷π、1.35は3√2÷πから来ているので、意味と一緒に覚えると忘れにくくなります。

試験で関数電卓は使えますか?

使えません。四則演算と√が使える電卓は持ち込めます。cosの値を電卓で出せないので、30°や60°など主な角度の値は覚えておくと安心です。

チョッパの降圧と昇圧の式を取り違えてしまいます。

降圧なら入力より小さく、昇圧なら大きくなる、という向きを先に確かめる癖をつけると防げます。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種のパワーエレクトロニクスは機械科目の範囲に入っている
  • 回路は、入る電気と出る電気の組み合わせで4つに分けて覚える
  • 素子は、オンとオフをどう決めるかで比べると覚えやすい
  • 平均電圧の式は、単相全波・三相全波・チョッパの3種類から
  • 波形の問題は、オンの素子を区切って書き込みながら読む
電験ガイド

電験ガイド 編集部

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