電験三種は独学で合格できる?独学の進め方と講座を使う判断

電験三種を独学で合格するための進め方と、講座を使う判断を解説する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

『電験三種って、独学でも本当に受かるのかな』と、勉強を始める前に迷っている方も多いですよね。

結論から言うと、電験三種の独学での合格は十分にねらえます。受験資格の制限がなく、過去の試験問題と解答も公開されているので、市販の教材と組み合わせれば自分だけで進められる試験です。

この記事を読むと、独学が自分に向いているかの判定と、教材の組み合わせ、つまずいた時の立て直し方が分かります。

目次

電験三種は独学で合格できる?まず結論から

先に結論

独学で合格をねらえる試験です。ただし、科目合格を使って何回かに分けて取る前提で、計画と教材選びを先に決めておくことが大事です。

『電気の仕事をしたことがないし、独学なんて無理では』と不安になる気持ちは自然です。

実は、電験三種には受験資格の制限がありません。学歴や実務経験がなくても、誰でも受けられる国家試験なんです。

試験は理論・電力・機械・法規の4科目で、各科目とも五肢択一です。合格基準は各科目とも原則60点(100点満点)で、難しさによって調整されることがあります。

独学を後押しする3つの仕組み

独学で進めやすい理由は、試験の仕組みそのものにあります。

仕組み独学にとっての意味
科目合格制度合格した科目は申請により最大で連続5回まで免除される(年2回なので約2年半)
年2回の試験令和4年度から上期・下期の年2回になり、受ける機会が増えた
問題と解答の公開筆記方式の問題と解答は試験センターのホームページで公表されている

例えば1回目に理論と法規、2回目に電力と機械、という分け方もできます。1回で4科目を取りきらなくてよいので、働きながらでも計画を立てやすいんですね。

ただ、科目の免除は自動ではありません。申込みの時に免除の申請が要るので、そこだけは覚えておきましょう。くわしくは電験三種の科目合格制度で紹介しています。

それでも「独学は厳しい」と言われる理由

一方で、独学は厳しいという声もよく聞きますよね。

理由の多くは、試験そのものより「続けること」にあります。範囲が広く、理論の計算でつまずくと先に進めなくなりがちです。

さらに、分からない所を聞ける相手がいないことも大きいです。ここを先に手当てしておけば、独学のハードルはぐっと下がります。

独学でかかるお金の考え方

『独学なら、どのくらいお金がかかるの?』というのも気になるところですよね。

試験そのものの受験手数料は、令和8年度(2026年度)でインターネット申込みが7,700円、書面申込みが8,100円です。受ける科目の数にかかわらず同じ額で、別に納付の事務手数料がかかります。

これに教材代と電卓代が加わります。教材の価格は版や時期で変わるので、各出版社の公式サイトで確かめてみてください。最新の手数料は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

独学が向く人・講座が向く人の判定表

決め手は「時間」より「自分で立て直せるか」

独学か講座かは、使える時間の長さよりも、つまずいた時に自分で調べて立て直せるかどうかで考えると決めやすくなります。

ここがこの記事でいちばんお伝えしたいところです。『自分はどっちなんだろう』と迷う方は、次の表で当てはまる方を数えてみてください。

判定の観点独学が向く講座を考えたい
数学の基礎分数・文字式・三角比に抵抗が少ない中学・高校の数学から不安がある
調べる力分からない所を本や公式資料で調べられる何が分からないのかを言葉にしにくい
計画自分で週の予定を立てて守れる締め切りがないと後回しになりやすい
質問の相手職場や身近に電気に詳しい人がいる周りに聞ける人がいない
予算教材代を抑えたい費用をかけても時間を短くしたい
受験経験科目合格を持っている初めて受ける・何回か届かなかった

「独学が向く」に4つ以上当てはまれば、まず独学で始めてみる価値は十分にあります。

「講座を考えたい」が多くても、いきなり申し込む必要はありません。最初の1か月を独学で進め、つまずき方を見てから決める方法もあります。

電験三種の独学と講座のどちらが向くかを、数学の基礎・調べる力・計画・質問の相手・予算・受験経験の6つの観点で2列に比べた判定の図解

迷ったら最初の1か月で確かめる

表を見ても決めきれない時は、理論の教科書を1冊買って、最初の1か月だけ独学で進めてみてください。

1か月たった時に「どこが分からないか」を言葉にできていれば、独学を続けられる見込みは高いです。反対に、何が分からないのかも分からない状態なら、講座を考える材料になります。

例えばこんな場面で考える

仕事のあと平日に1時間、土日に3時間とれる、ビルメンテナンス2年目の方を考えてみます。

職場の先輩に電気の質問ができて、数学も高校で一通りやっていれば、独学で十分に進められる条件です。

一方で、同じ時間がとれても、数学に苦手意識があって周りに聞ける人がいない場合は事情が変わります。最初の理論でつまずきやすいので、入門の講座や動画の多い教材を足すと楽になります。

文系出身や未経験から始める順番は電験3種は初心者でも取れる?で紹介しています。

独学で使う教材の組み合わせ

教科書1冊と過去問1冊を軸にする

教材を何冊も買い足すより、科目ごとに教科書1冊と過去問題集1冊を決めて、使い切る方が力がつきます。

『独学だと、何をそろえればいいのか分からない』という方も多いはずです。

基本の組み合わせは、科目別の教科書、過去問題集、そして試験センターの公開問題です。ここに電卓と、必要なら数学の入門書を足します。

役割教材の例使うタイミング
理解する科目別の教科書(例: TAC出版の教科書&問題集、オーム社の受験テキスト)最初に1周読む
解き方を覚える教科書に付いた例題・章末の問題章を読んだ直後
本番の形に慣れる年度別・分野別の過去問題集教科書を1周した後
最新の問題を見る試験センターが公開する問題と解答仕上げの時期
計算の土台電気数学の入門書理論の前、または詰まった時
試験で使う道具√の付いた電卓勉強の最初から

例えばTAC出版の「みんなが欲しかった!電験三種」シリーズは、教科書と過去問題集が一体になった構成で、公式には初学者・独学者向けと説明されています。

オーム社や電気書院からも、受験テキストや科目別の過去問題集が出ています。シリーズごとの違いは電験三種の参考書の選び方で並べています。

教材を増やしすぎないコツ

独学でよくあるのが、1冊目が終わる前に別の本が気になって買い足してしまうことです。

教材ごとに説明の順番や記号の使い方が少しずつ違います。何冊も並行すると、かえって混乱しやすいんです。

別の本を開くのは、今の本の説明でどうしても分からない所がある時だけにしておきましょう。その時も、同じ分野のページだけを読み比べる使い方で十分です。

電卓は最初から本番と同じものを

試験で使えるのは、四則演算と√(開平計算)ができる電卓です。関数電卓や、数式を記憶できる電卓は使えません。

√が必要な問題があるので、開平機能付きのものがすすめられています。勉強の最初から本番と同じ電卓を使い、指が覚えている状態にしておきましょう。

無料で使えるものも組み合わせる

試験センターのホームページでは、筆記方式の試験問題と解答が科目別のPDFで公開されています。第三種電気主任技術者試験の問題と解答のページから見られます。

ただし、公開されているのは問題と解答だけで、解説は付いていません。解説は市販の過去問題集などで補う必要があります。

動画で全体のイメージをつかみたい時は、電験3種をYouTubeで勉強する方法も参考にしてみてください。

独学の進め方は5つの手順で

範囲を決めて、教科書と過去問を往復する

独学では「どの科目を、いつの試験で取るか」を最初に決めておくと、迷う時間が減ります。

『とりあえず理論の本を最初から読もう』と始めて、途中で手が止まった経験がある方もいるかもしれません。

独学で迷わないための進め方を、手順にまとめました。

独学の進め方
  1. 受ける回と、その回で取る科目を決める
  2. 科目ごとに教科書と過去問題集を1冊ずつ決める
  3. 教科書を1周読み、例題を自分の手で解く
  4. 分野別に過去問を解き、間違えた問題に印を付ける
  5. 試験前は年度別に時間を計って解き、印の付いた問題を解き直す

最初の手順で科目の順番に迷ったら、理論から始める人が多いです。理論で出てくる計算が、電力や機械の土台にもなるからなんです。

電験三種の独学を、科目を決める・教材を決める・教科書を読む・分野別の過去問・年度別の仕上げの5つの手順で上から下へ流れる形にした図解

科目ごとの全体の流れは電験三種に合格するにはでまとめています。

試験の時間に合わせた練習も入れる

試験時間は理論・電力・機械が各90分、法規が65分です。

教科書を読んでいる時期は時間を気にしなくてかまいません。ただ、過去問を年度ごとに解く段階では、本番と同じ時間で区切ってみてください。

時間が足りない場合は、解ける問題から先に手を付ける練習をしておくと、本番で焦りにくくなります。

法規はほかの科目と並べて進める

法規は電気法規と電気施設管理の科目で、「電気設備の技術基準の解釈」も範囲に入ります。

暗記の多い科目なので、計算の科目に疲れた日に少しずつ進めると気分が変わります。法規の中にも計算問題があり、理論の知識が役に立つ場面があります。

1週間の回し方の例

平日に1時間、土日に3時間とれる場合の、1週間の例です。

曜日やること
月から木教科書を1節読み、例題を解く
金今週の章末問題を解く
土分野別の過去問を解き、間違いに印を付ける
日印の付いた問題を解き直し、来週の範囲を決める

決まった型があると、疲れている日でも「今日はここまで」と区切りやすくなります。予定どおりにいかない週があっても、日曜に調整すれば大丈夫です。

独学でつまずいた時の立て直し方

つまずいたら「戻る場所」を決めておく

独学で止まりやすいのは、数学・用語・計算ミスの3つです。どこに戻るかを決めておけば、手が止まる時間を短くできます。

『理論の交流で急に分からなくなって、1か月そのまま』ということ、独学ではよくありますよね。

つまずき方ごとに、戻る場所を表にしました。

つまずき方よくある原因戻る場所
式の変形が追えない分数・文字式・三角比の基礎電気数学の入門書の該当の章
用語の意味が分からない前の章の内容を飛ばしている教科書の索引から最初の説明に戻る
解説を読んでも分からない解説が途中の計算を省いている別の教材の同じ分野の解説を読む
計算は合うのに答えが違う単位の換算や桁の取り違え単位を書きながら解き直す
法規が覚えられない条文の言葉だけで覚えようとしている図や表で数値をまとめ直す

例えば交流で止まった時は、三角関数と複素数の基礎に戻ってみてください。急がば回れで、数学の章を2〜3日やり直した方が、結果的に早く先へ進めることも。

立て直しのチェック
  • 分からない問題に印を付けて先に進んでいるか
  • 同じ分野で3回続けて止まっていないか
  • 教科書以外の説明を1つ読んでみたか
  • 解き直しの日を週に1回とっているか
  • 次の試験で取る科目を見直したか

解説の読み方を変えるだけで進むこともあります。過去問の解説との付き合い方は電験3種の解説の使い方で紹介しています。

質問できる相手を見つけておく

独学でいちばん困るのは、どうしても分からない時に聞ける人がいないことですよね。

職場に電気主任技術者や電気に詳しい先輩がいれば、1問だけでも聞いてみる価値があります。「この式の変形が分からない」のように、どこで止まったかを具体的に伝えると答えてもらいやすくなります。

身近にいない場合は、別の教材や公的な資料で調べる力が頼りになります。それでも止まるなら、質問の制度がある講座を考えるきっかけにしてみてください。

気持ちが切れた時の小さな再開

1週間以上あいてしまうと、戻るのがおっくうになりますよね。

そんな時は、前に解けた問題を1問だけ解いてみてください。「解ける」感覚を思い出すと、次の1問に手が伸びやすくなります。

講座を考えるタイミングはいつ?

「止まった期間」と「科目合格の期限」で考える

独学から講座に切り替えるかどうかは、勉強が止まっている期間と、科目合格の免除がいつ切れるかで判断すると決めやすくなります。

『独学で始めたけど、このままでいいのかな』と迷い始めたら、次のような時が見直しのタイミングです。

こんな時考えたいこと
同じ分野で1か月以上止まっている質問ができる講座や、動画の多い教材を足す
試験で同じ科目に何度か届かなかったその科目だけ単科の講座や別の教材を試す
科目合格の免除がもうすぐ切れる残りの科目に集中できる形を選ぶ
締め切りがないと進まない添削や模試の日程がある通信講座を考える

講座といっても、通信・Web動画・通学など形はいろいろあります。全部の科目を頼む必要はなく、苦手な1科目だけ使う人もいます。

例えば「理論と法規は独学で取れたけれど、機械だけ2回続けて届かない」という場合です。この時は、機械の単科だけを講座にする、という組み合わせも考えられます。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

独学と講座は組み合わせてもいい

『独学か講座か、どちらか1つに決めないといけない』と考える必要はありません。

実際には、次のような組み合わせ方もあります。

組み合わせ方向いている場面
全部の科目を独学調べる力があり、質問できる相手もいる
苦手な1科目だけ講座ほかの科目は進むのに、1科目だけ止まる
入門だけ講座、あとは独学電気数学や理論の入口で不安がある
教材は市販、模試だけ外部本番の形での力試しをしたい

自分のつまずき方に合わせて、足りない所だけを補う考え方にすると、無理なく続けやすくなります。

講座を選ぶ時に確かめたいこと

講座を比べる時は、質問の方法と回数、学習期間、教材の構成を公式サイトで確かめておくと安心です。

教育訓練給付制度の対象になっている講座もあります。対象かどうかは各社の公式の案内や、厚生労働省の講座検索システムで確かめられます。

受講料や割引は時期で変わるので、各社の公式サイトで最新を見てみてください。講座の選び方は電験三種の講座の選び方でくわしく紹介しています。

独学についてのよくある相談

よくある相談から

Yahoo!知恵袋などに寄せられた、電験三種の独学についての相談を要約して紹介します。

独学を考えている方からは、同じような悩みがよく聞かれます。代表的なものに答えていきますね。

相談1: 独学と通信教育のどちらにするか迷っている

『独学でいくか、通信教育を使うか決められない』という相談です。

先ほどの判定表で、自分がどちらに多く当てはまるかを見てみてください。決めきれない時は、教科書を1冊買って理論の最初の数章を独学で進め、手応えを見てから決める方法もあります。

相談2: 文系の学校の卒業でも独学で突破できるか

『文系出身で、独学で何とか突破する勉強法を知りたい』という相談もあります。

文系だからといって受からない試験ではありません。ただ、理論の計算で数学を使うので、電気数学の入門から始める順番にしておくと、あとが楽になります。

相談3: お金をかけずに参考書と過去問だけで受かるか

『通信教育を受ける余裕がないので、参考書と過去問だけで勉強している』という相談です。

参考書と過去問だけで進めること自体は、独学の基本の形です。試験センターの公開問題も無料で使えるので、解説付きの過去問題集を1冊決めて、それを繰り返す形がおすすめです。

よくある質問

電験三種の独学は、どの科目から始めるのがいいですか?

理論から始める人が多いです。理論で出てくる計算や考え方が、電力や機械の土台になるからです。法規は暗記の多い科目なので、ほかの科目と並べて進める方法もあります。

独学でも1回で4科目に合格できますか?

1回で4科目を取る人もいます。ただ、科目合格を使って2〜3回に分けて取る計画にしておくと、無理のない進め方になります。

独学で使う過去問は何年分あればいいですか?

何年分という決まりはありません。まずは手元の過去問題集を1冊、間違えた問題がなくなるまで繰り返すことを目標にしてみてください。

独学の途中から講座に切り替えてもいいですか?

もちろん切り替えてかまいません。苦手な1科目だけを講座で補う形もあります。科目合格の免除の期限も見ながら考えてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • 電験三種は受験資格の制限がなく、独学での合格を十分にねらえる
  • 科目合格制度と年2回の試験を使い、何回かに分けて取る計画にする
  • 独学か講座かは、つまずいた時に自分で立て直せるかで判断する
  • 教材は科目ごとに教科書1冊と過去問題集1冊を決めて使い切る
  • 同じ分野で長く止まった時や科目合格の期限が近い時は、講座も考える
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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