電験三種を取ったが実務経験がない時は?経験を積む道と職場選び

電験三種を取ったが実務経験がない時に、経験を積む道と職場の選び方を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験三種に受かったものの、『現場の経験がないけど、この先どうすればいいの?』と悩んでいる方は多いですよね。

結論から言うと、実務経験がないことは珍しくありません。補助の立場から経験を積める職場を選べば、選任や独立、二種の認定へと道を伸ばしていけます。

この記事を読むと、電験三種の実務経験を積むルートと、経験の年数の考え方、最初の職場の選び方が分かります。

目次

電験三種の実務経験は何に必要になる?

先に結論

電験三種の免状そのものは、試験に受かれば実務経験なしで交付されます。実務経験が必要になるのは、選任されて現場を任される時や、外部委託での独立、二種の認定などを考える時です。

『実務経験がないと、免状がもらえないの?』と心配している方もいるかもしれません。

試験に合格した人は、免状交付申請書を出せば免状を受けられます。実務経験が問われるのは、その先の場面なんです。

場面実務経験との関係
免状を受ける(試験に合格した場合)実務経験は要らない
電気主任技術者として選任される法律上の年数の決まりはないが、職場では経験が重視される
外部委託で独立する(電気管理技術者)免状に加えて告示で決められた実務経験が要る
二種の免状を認定で得る1万V以上の設備での保安監督の実務5年以上
第一種電気工事士の資格を得る三種の免状で実務5年以上、都道府県知事の認定

選任に年数の決まりがないのに経験が大事な理由

電気主任技術者は、保安の監督を誠実に行う義務があり、工事や運用に関わる人はその指示に従います。設備の止め方や点検の段取りを知らないまま選任されると、自分も周りも困ってしまいますよね。

だからこそ、多くの職場では補助の期間を置いてから受け持ちを任せます。『経験がないから雇ってもらえない』のではなく、『経験を積む期間を用意している職場を選ぶ』と考えると前向きに動けますよ。

年数の考え方を表で見る

外部委託の受け手になるために必要な実務経験は、経済産業省の資料では第三種で5年以上とされています。講習や訓練を受けると短くなるしくみもあります。

関東電気保安協会の説明では、第二種または第三種の免状を持ち、免状の交付後に「保安管理業務講習」を終えた人は、通算の期間が3年になります。

年数は最新の案内で確かめる

実務経験の数え方や短縮の条件は、告示や内規で決められています。独立を考える時は、産業保安監督部や講習を行う団体の最新の案内で確かめましょう。

認定で免状を得るしくみは電験の認定取得とは?で紹介しています。

実務経験を積む3つのルートを比べる

ビルメン・電気保安協会・工場の3つが代表的

公的な説明の中で、実務経験を積む道として見えてくるのは、ビルメンテナンス、電気保安協会などの保安法人、工場の電気係の3つです。

『どこで働けば経験が積めるの?』という方のために、3つのルートを並べました。

ルート経験の積み方公的な説明の例確かめたいこと
ビルメンテナンスビルの設備の運転・管理をしながら学ぶjob tagに、実務を積みながら電気主任技術者などを取ると一人前と書かれている選任された人の補助に入れるか
電気保安協会・保安法人補助の業務から始め、受け持ちを任される関東電気保安協会は補助で3年ほど経験してから受け持つ前提と説明何年で受け持つ前提か
工場の電気係自社の社員として受電設備や生産設備を保全する監督部の届け出の記載例に、社員が常に勤務して設備管理をする形がある受電の電圧と、選任の予定

関東電気保安協会は、電験の科目合格者を「検査助手」として採用し、入社後に第三種の免状を取って経験を積む前提の募集もあると案内しています。くわしくは関東電気保安協会の採用案内で確かめてみてください。

実務経験を積む3つのルートを、ビルメンテナンス・電気保安協会や保安法人・工場の電気係の3列で、経験の積み方と確かめたいことを並べた図解

ビルメンテナンスで経験を積む

ビル管理会社の社員が、委託契約にもとづいてビルに常に勤務し、選任される形があります。最初は選任された人の補助として、点検や記録に関わりながら覚えていくイメージです。

電気以外に空調や給排水も担当することが多いので、電気の経験をどのくらい積めるかを確かめておきましょう。

電気保安協会・保安法人で経験を積む

外部委託の受け手の約半分は電気保安協会です(令和4年3月末時点で47%)。いろいろな事業場の設備を見られるのが、このルートの強みなんです。

将来の独立を考えている方にとっては、外部委託の仕事そのものを内側から学べる道でもあります。

工場の電気係で経験を積む

工場では、自社の社員として常に勤務し、受電設備と生産設備の保全を受け持つ形があります。1つの工場の設備を深く知れるのが、このルートの強みです。

特別高圧で受電している大きな工場なら、二種の認定に向けた1万V以上の経験にもつながります。受電の電圧は、応募の前に確かめておきましょう。

最初の職場選びで確かめたいこと

「経験として数えられるか」を最初に聞く

同じ設備の仕事でも、保安の監督の実務として数えられるかどうかで、その先の道が変わります。入る前に確かめておくのが近道です。

『入ってから、思っていた経験が積めなかった』というのは避けたいですよね。

最初の職場を選ぶ時に確かめたい項目を、チェックリストにしました。

最初の職場選びのチェック
  • 選任された電気主任技術者の補助に入れるか
  • 受け持つ設備の受電の電圧(二種の認定は1万V以上の経験が要る)
  • 何年ほどで受け持ちを任される前提か
  • 経験を証明する書類を会社が出してくれるか
  • 講習や研修を受ける機会があるか

例えば、面接ではこんな聞き方ができます。

「入社後の仕事は、保安の監督の実務経験として数えられますか?」
「受電の電圧が1万V以上の設備も受け持つことはありますか?」

職場ごとの仕事の違いは電験三種でできる仕事で紹介しています。

よくある失敗

求人票の「電気主任技術者」という言葉だけで決めてしまうことです。補助から始めるのか、すぐ選任されるのかで、最初の数年の過ごし方が大きく変わります。

今の職場で経験を積めないか考える

転職の前に、今の職場に受電設備がないかを見てみてください。選任された人や外部委託の担当者がいれば、点検に立ち会わせてもらえることもあります。

『転職しないと経験は積めない』と思い込まず、まず社内で聞いてみるのも一つの方法です。

合格してからの1年の過ごし方の例

例えば、平日は仕事のあとに1時間、土日に3時間ほど時間が取れる、ビルメンテナンス2年目の方なら、こんな1年の組み立て方があります。

時期やること
合格直後免状の交付を申請し、社内で受電設備の点検に立ち会えるか相談する
半年ほど点検の記録の付け方や、停電作業の段取りを覚える
1年ほど選任された人の補助として、年次点検に一通り関わる
その先二種の勉強や、経験を活かした転職を考える

実務経験のその先にある道

経験を積むと、選任・独立・二種の認定へ広がる

三種の免状と経験があれば、選任されて現場を任される道に加え、独立や二種の認定、第一種電気工事士の資格など、選べる道が増えていきます。

『経験を積んだら、どんな道があるの?』と気になる方もいますよね。

三種の免状を持つ人が経験を積んだ先の道を、順に並べました。

三種の免状を取ってからの道の例
  1. 補助の立場で、点検や記録、工事の立ち会いを経験する
  2. 電気主任技術者として選任され、事業場を受け持つ
  3. 1万V以上の設備で5年以上の保安監督の経験を積み、二種の認定を考える
  4. 告示の実務経験を満たし、電気管理技術者として独立を考える
電験三種の免状を取ってから、補助、選任、二種の認定、独立へと道が広がる流れを下から上へ示した図解

ほかにも、三種の免状で3年以上の実務経験か認定講習の修了で、認定電気工事従事者の認定証を受けられます。電圧600V以下の自家用電気工作物の簡易な電気工事ができる資格です。

経験を積んで得られるもの条件(試験センターの案内)
第一種電気工事士の資格三種の免状を受けたあと、5年以上の保安監督の実務経験で都道府県知事の認定
認定電気工事従事者の認定証3年以上の実務経験、または認定講習の修了
二種の免状(認定)1万V以上の設備で5年以上の保安監督の実務経験

選任と免状の関係は電気主任技術者と電験の関係でくわしく紹介しています。経験を積める職場を探したい方は、電気主任技術者の求人に強い転職支援もあわせて見てみてください。

電験ガイド

電験の資格を活かせる職場を探すなら

電気主任技術者の求人は、ビルの設備管理や工場、電気保安の仕事など職場によって探し方が変わります。設備管理・建設の分野に特化した転職支援サービスで、資格や経験に合う求人を相談してみましょう。

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求職者の利用は無料と公式サイトに記載があります。求人の内容は公式サイトで確かめてください。

実務経験でよくある相談

多いのは「証明してくれる会社は?」「経験だけで取れる?」「独立できる?」

知恵袋などでは、実務経験を証明できる会社の探し方や、経験だけで免状が取れるのか、独立できるのかといった相談がよく見られます。

よく見かける相談を3つ選んで答えていきます。

実務経験を証明してくれる会社はどう探す?

「電験三種を取ったが、実務経験を証明できる会社はどこか」という相談がありました。

二種の認定などで経験を証明する時は、どの電圧の設備で、どんな保安監督の仕事をしたかが問われます。面接の段階で、経験を証明する書類を出してもらえるかを聞いておくと安心です。

日々の仕事の記録も、自分で残しておくと役に立ちます。受け持った設備の名前と受電の電圧、関わった点検や工事の時期をメモしておくと、あとで証明を頼む時に話がスムーズです。

転職先の探し方は電験三種を活かす転職で紹介しています。

電験三種は実務経験さえあれば取れる資格?

「電験三種は実務経験さえあれば取れるのか」という相談です。

経験だけでは取れません。試験に合格する道のほかに、経済産業大臣が認定する学校で所定の単位を取って卒業し、実務経験を積んで申請する「認定」の道があります。

三種の認定では、認定校の大学卒業で1年、短大・高専で2年、高校で3年の実務経験が目安です(電圧500V以上の設備)。

実務経験があれば独立開業できる?

「電験三種と実務経験があれば独立開業できるか」という相談もありました。

個人として外部委託を受ける「電気管理技術者」になるには、免状に加えて告示で決められた実務経験や、点検に使う機械器具などの条件を満たす必要があります。受け持てる事業場の数にも上限があります。

『いつか独立したい』という方は、保安協会や保安法人で外部委託の仕事を経験しておくと、条件を満たす道筋が見えやすくなりますよ。

よくある質問

電験三種の免状を受けるのに実務経験は要りますか?

試験に合格した場合は要りません。免状交付申請書を出せば免状を受けられます。

外部委託で独立するには何年の実務経験が要りますか?

経済産業省の資料では第三種で5年以上で、保安管理業務講習の修了などで短くなるしくみがあります。最新の条件は産業保安監督部などの案内で確かめましょう。

実務経験を積むにはどんな職場がありますか?

ビルメンテナンス、電気保安協会や保安法人、工場の電気係などがあります。補助の立場から経験を積める職場を選ぶのがおすすめです。

科目合格の段階でも経験を積める職場はありますか?

関東電気保安協会は、科目合格者を検査助手として採用し、入社後に第三種の免状を取って経験を積む前提の募集があると案内しています。

三種から二種を認定で取るには何が必要ですか?

三種の免状を受けたあと、電圧1万V以上の設備で5年以上の保安監督の実務経験を積むことが目安です。

まとめ

この記事の要点
  • 試験に合格すれば、実務経験がなくても電験三種の免状は受けられる
  • 実務経験は、選任・独立・二種の認定などの場面で必要になる
  • 経験を積む代表的なルートは、ビルメン・電気保安協会や保安法人・工場の電気係
  • 最初の職場では、経験として数えられるか、受電の電圧、証明の書類を確かめる

実務経験がないのは、合格したばかりの人にとって当たり前のことです。まずはチェックリストを手に、補助から経験を積める職場を一つ探してみてください。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

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