技術士と電験の関係|電気電子部門を考える時の整理と順番

技術士と電験の関係と、両方を考える時の取る順番を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験の勉強を進めていると、『技術士の電気電子部門も気になるけど、電験とどう関係しているの?』と思うことがありますよね。

結論から言うと、技術士と電験はまったく別の制度の資格で、電験の免状があっても技術士の試験は免除されません。ただ、学ぶ電気の中身は重なる部分があるので、順番を考えれば両方をねらうこともできます。

この記事を読むと、技術士と電験の違いと、両方を考える時の取る順番が分かります。

目次

技術士と電験は何が違う?まず表で比べる

先に結論

電験は電気事業法にもとづく電気主任技術者の試験で、技術士は技術士法にもとづく試験です。試験を行う機関も、資格を持つ意味も違います。

『どちらも国の資格で電気を扱うなら、似たようなものでは?』と思う方も多いはずです。

実は、二つは役割がはっきり分かれています。まずは違いを並べてみました。

比べる点電験(電気主任技術者試験)技術士(電気電子部門)
もとになる法律電気事業法技術士法
試験を行う機関一般財団法人電気技術者試験センター公益社団法人日本技術士会
資格の種類第一種・第二種・第三種21の技術部門(電気電子部門はその一つ)
受験資格制限なし第一次試験は制限なし
資格の役割事業用電気工作物の保安の監督をする人として選任される技術部門ごとの専門の技術者であることを示す
試験の流れ三種は4科目、二種・一種は一次と二次第一次試験のあと、実務を積んで第二次試験

電験は「選任」に直結する資格

電験の免状は、電気主任技術者として選任されるための条件です。電気事業法では、事業用電気工作物の設置者が、免状を持つ人から主任技術者を選任すると決められています。

つまり、ビルや工場の保安を任される時に、直接求められるのが電験の免状なんです。

技術士は専門の技術者であることを示す資格

技術士は、技術部門ごとに専門の力を持つ技術者であることを示す資格です。電気電子部門のほかに、機械や建設、上下水道など多くの部門があります。

電気主任技術者として選任されるために技術士が要る、というしくみはありません。役割がそもそも違う、と考えておくと分かりやすいですよ。

職場ではどんな場面で違いが出る?

例えば、工場で新しい受電設備を入れる場面を思い浮かべてみてください。設備を使い始めたあと、点検や工事の時の保安を監督するのは、選任された電気主任技術者です。

一方で、設備の計画や設計の相談を受ける側で、専門の技術者として名乗れるのが技術士です。現場ではこんなやりとりになることもあります。

「この設備の保安は、うちの電気主任技術者が見ます」
「設計の考え方は、技術士の方に確かめてもらいましょう」

同じ設備に関わっていても、受け持つ場面が違うんですね。

電験の種類ごとの違いは電験の1種・2種・3種の違いでくわしく紹介しています。

技術士の試験はどんな流れ?電験との重なり

技術士は第一次試験から始まる

技術士の第一次試験は、基礎・適性・専門(選んだ1部門)の3科目です。受験資格の制限はなく、電験の免状がなくても受けられます。

『技術士の試験って、どこから受ければいいの?』という方もいますよね。

日本技術士会の公表では、令和8年度(2026年度)の技術士第一次試験は2026年11月22日(日)です。総合技術監理部門を除く20の技術部門から1つを選んで受けます。

項目令和8年度の技術士第一次試験
試験日2026年11月22日(日)
受験資格年齢・学歴・業務経歴などによる制限なし
科目基礎科目・適性科目・専門科目(選んだ1部門)
受験手数料13,000円
合格発表令和9年2月(官報で公告)

最新の内容は日本技術士会の第一次試験の案内で確かめてみてください。

第一次試験に受かると、修習技術者として実務の経験を積み、第二次試験に進む流れになります。

電験の勉強と重なるところ

電気電子部門の専門科目では、電気の基礎の知識が問われます。電験の理論で学ぶ回路や電磁気の考え方は、技術士の勉強でも土台になるはずです。

ただし、専門科目の選択科目の細かい内訳は、この記事では確かめられていません。受ける前に、日本技術士会の受験案内で出題の範囲を見ておきましょう。

技術士と電験の違いを、もとになる法律・試験を行う機関・資格の役割の3つで左右に並べて比べた図解

電験の免状で技術士の試験は免除される?

免除されない

技術士法施行規則で第一次試験の一部が免除されるのは、中小企業診断士や情報処理の高度試験の合格者などです。電気主任技術者の免状による免除は決められていません。

『電験二種を持っていれば、技術士の専門科目くらいは免除されるのでは?』と期待する方もいるかもしれません。

結論から言うと、電験2種や技術士の電気電子部門のあいだに、試験の免除のしくみはありません。技術士法施行規則の第6条を見ても、電気主任技術者の免状は免除の対象に入っていないんです。

免除の対象になっているもの免除される科目
旧法で技術士となる資格を持つ人第一次試験
中小企業診断士経営工学部門の専門科目
情報処理安全確保支援士・情報処理の高度試験の合格者情報工学部門の専門科目
電気主任技術者の免状を持つ人免除の決まりなし

逆に、技術士の資格で電験の科目が免除されるしくみも、試験センターの案内にはありません。電験は誰でも受けられますが、受ける時は4科目そろえる必要があります。

免除がないなら、試験の時期を並べて計画する

二つの試験を同じ年に受けたい方は、まず試験の時期を並べてみてください。令和8年度(2026年度)の公表では、次のような並びになっています。

試験令和8年度の試験の時期
電験三種 上期CBT方式 7月16日から8月9日、筆記方式 8月30日
電験二種・一種 一次8月30日
電験二種・一種 二次11月15日
技術士 第一次試験11月22日
電験三種 下期CBT方式 令和9年2月4日から2月28日、筆記方式 令和9年3月21日

例えば、電験二種の二次と技術士の第一次試験は、1週間しか離れていません。『同じ年に両方受けよう』と考えている方は、どちらを本命にするかを先に決めておくと、直前の勉強で迷わずにすみます。

一方、電験三種の上期を受けた人なら、秋は技術士の第一次試験に集中する、という並べ方もできます。最新の日程は、電気技術者試験センターと日本技術士会の案内で確かめましょう。

よくある勘違い

「電験を持っていれば技術士は半分取れたようなもの」という言い方を見かけることがあります。試験の免除はないので、それぞれの試験を一から受けるつもりで計画しておきましょう。

技術士と電験3種・二種、どちらを先に取る?

仕事で選任をめざすなら電験から

ビルや工場の保安の仕事をしたいなら、電験の免状が先に役立ちます。設計や研究の仕事で専門性を示したいなら、技術士を先に考える人もいます。

『技術士と電験3種、両方ほしいけれど、どちらから始めるべき?』と迷う方は多いはずです。

ここは、今の仕事とこれからやりたい仕事で決めるのが近道です。自分に近い行を探してみてください。

今の状況・やりたいこと先に考えやすい資格理由
ビルメンテナンスや工場の設備管理で働いている電験三種保安の監督をする人として選任される条件になる
三種を持っていて、大きな工場の保安も担当したい電験二種監督できる範囲が電圧17万V未満まで広がる
設計・開発・研究の仕事で専門性を示したい技術士の第一次試験技術部門ごとの専門の技術者として名乗る道が開ける
両方ほしいが、使える時間が限られている仕事に直結する方から1つずつ二つの試験に免除のしくみがないため
今の仕事とやりたい仕事から、電験三種・電験二種・技術士のどれを先に考えるかを分ける判定の図解

例えば、平日の夜に1時間、土日に3時間ほど勉強の時間を取れる、ビルメンテナンス2年目の方を考えてみましょう。この場合は、日々の仕事に結びつく電験三種から始め、その後に二種か技術士かを決めるのが自然な流れです。

電験二種がどんな資格かは電験二種とは?で紹介しています。

順番を決める前に確かめたいこと
  • 今の職場で選任や保安の仕事に関わる予定があるか
  • 転職したい先の求人で、どの資格が条件になっているか
  • 1年のうち、試験の時期に勉強の時間を取れるか
  • 試験日が重ならないか(電験の下期と技術士の第一次試験など)

電験を活かせる職場は電験三種でできる仕事で紹介しています。保安の仕事への転職を考えている方は、電気主任技術者の求人に強い転職支援の案内もあわせて見てみてください。

電験ガイド

電験の資格を活かせる職場を探すなら

電気主任技術者の求人は、ビルの設備管理や工場、電気保安の仕事など職場によって探し方が変わります。設備管理・建設の分野に特化した転職支援サービスで、資格や経験に合う求人を相談してみましょう。

講座の選び方プライムキャリアの公式サイトを見る

求職者の利用は無料と公式サイトに記載があります。求人の内容は公式サイトで確かめてください。

もう一つ考えたいエネルギー管理士

電気の資格で、電験と一緒によく名前が挙がるのがエネルギー管理士です。こちらは省エネの管理を担う資格で、試験の電気分野は電験と学ぶ内容が重なります。

技術士・電験とあわせて考えたい方は、エネルギー管理士と電験の違いも読んでみてください。

技術士と電験でよくある相談

多いのは「どっちが難しい?」と「取ったあとの仕事」

知恵袋などでは、技術士と電験の難しさを比べる相談や、技術士を取ったあとの仕事についての相談がよく見られます。

よく見かける相談を3つ選んで答えていきます。

電験三種と技術士、どちらが難しい?

「電験三種と技術士はどちらが難しいか」という相談は、とても多く見かけます。

ただ、試験のしくみが違うので、一つの物差しでは比べにくいところです。電験三種は4科目すべてで基準点を取る試験で、技術士はまず第一次試験の3科目、その先に第二次試験があります。

『どっちが上か』を決めるより、『自分の仕事にどちらが役立つか』で考える方が、勉強も続けやすいですよ。

技術士の一次の電気と電験3種、どちらが先?

「技術士の第一次試験の電気電子部門と電験3種は、どちらを先に受けるべきか」という相談もありました。

どちらも受験資格の制限がないので、どちらからでも受けられます。電験三種で回路や電磁気の基礎を固めておくと、技術士の専門科目にも入りやすくなるはずです。

一方で、設計や開発の仕事で技術士を早く目指したい人は、技術士の第一次試験から始める選び方もあります。

技術士を取ったあと、どんな会社で役立つ?

「技術士の電気電子部門を取ったあと、採用してくれるのはどんな業種か」という相談です。

技術士は技術部門ごとの専門の技術者であることを示す資格なので、設計や技術の相談を受ける仕事で名乗れるのが強みです。一方、ビルや工場の保安の監督をする仕事では、電験の免状が選任の条件になります。

『どちらの仕事をしたいか』をはっきりさせておくと、資格の選び方も迷いにくくなりますよ。

よくある質問

技術士と電験はどちらも国の資格ですか?

はい。電験は電気事業法にもとづく電気主任技術者の試験で、技術士は技術士法にもとづく試験です。試験を行う機関も別です。

電験の免状で技術士の試験科目は免除されますか?

免除されません。技術士法施行規則で第一次試験の一部が免除されるのは中小企業診断士などで、電気主任技術者の免状は入っていません。

技術士の第一次試験に受験資格はありますか?

ありません。年齢・学歴・業務経歴などによる制限はなく、誰でも受けられます。

電験と技術士を同じ年に受けられますか?

受けられます。令和8年度は電験二種・一種の二次が11月15日、技術士の第一次試験が11月22日でした。時期が近いので、どちらを本命にするか先に決めておきましょう。

電気主任技術者として選任されるのに技術士は要りますか?

要りません。選任の条件になるのは電気主任技術者の免状です。

まとめ

この記事の要点
  • 電験は電気事業法、技術士は技術士法にもとづく別々の資格
  • 電験は保安の監督をする人として選任される条件、技術士は専門の技術者であることを示す資格
  • 電験の免状で技術士の試験科目は免除されず、その逆もない
  • 保安の仕事をしたいなら電験から、設計や開発で専門性を示したいなら技術士から考える

技術士と電験は、どちらが上というより役割の違う資格です。まずは自分がこの先どんな仕事をしたいかを書き出してから、取る順番を決めてみてください。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次