エネルギー管理士と電験の違い|役割・試験の比較と両方取る意味

エネルギー管理士と電験の違いと、両方取る意味を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験三種を取ったあと、『次はエネルギー管理士かな』と考える方は多いですよね。

結論から言うと、エネルギー管理士と電験は、どちらも電気の知識を使いますが、役割がまったく違う資格です。電験は電気設備の保安を監督する資格、エネルギー管理士は工場などのエネルギーの使い方を管理する資格になります。

この記事を読むと、エネルギー管理士と電験の役割・試験の違いと、両方取る時の順番、気をつけたい勧誘が分かります。

目次

エネルギー管理士と電験の違いを表で比べる

先に結論

電験は電気事業法にもとづき、電気設備の保安を監督する電気主任技術者の資格です。エネルギー管理士は省エネ法にもとづき、工場などでエネルギーの使い方を管理する人の資格です。

『どちらも電気の資格で、ビルや工場で使うなら似たようなものでは?』と思う方もいますよね。

実は、受け持つ仕事の向きがはっきり違います。まずは表で並べてみました。

比べる点電験(電気主任技術者)エネルギー管理士
もとになる法律電気事業法省エネ法
試験を行う機関一般財団法人電気技術者試験センター一般財団法人省エネルギーセンター
主な役割事業用電気工作物の保安を監督するエネルギーの使い方を管理し、省エネを進める
選任される場面事業用電気工作物の設置者が選任する第一種エネルギー管理指定工場等で、使用量に応じて1〜4人を選任
資格の種類第一種・第二種・第三種1種類(免状に熱・電気の区別なし)
受験資格制限なし制限なし

電験は「安全」、エネルギー管理士は「効率」

ざっくり言うと、電験は電気を安全に使い続けるための資格です。点検や工事の監督を通して、事故を防ぐのが仕事の中心になります。

エネルギー管理士は、工場などでエネルギーをむだなく使うための資格です。使っている量を見て、減らす工夫を考えるのが仕事の中心なんです。

例えば同じ工場の中でも、こんな役割の分け方になります。

「受電設備の年次点検の段取りは、電気主任技術者が決めます」
「設備の入れ替えで電気の使用量をどれだけ減らせるかは、エネルギー管理士が検討します」

エネルギー管理者が選任される場所

省エネ法では、第一種エネルギー管理指定工場等のうち製造業などの5つの業種では、エネルギーの使用量に応じて1人から4人のエネルギー管理者を選任します。選ばれるのは、エネルギー管理士の免状を持つ人です。

一方の電験は、ビルや工場、発電所など、事業用電気工作物があるところで選任されます。『大きな工場なら、両方の資格を持つ人が求められることもある』と考えておくと、イメージしやすいはずです。

電験の種類ごとの違いは電験の1種・2種・3種の違いで紹介しています。

エネルギー管理士の試験と電験の試験を比べる

電気分野の4課目は、電験と重なる内容が多い

エネルギー管理士の試験は、熱分野か電気分野のどちらかを選んで4課目を受けます。電気分野は電気の基礎や電気設備を問うので、電験の勉強が土台になります。

『試験の中身はどのくらい違うの?』と気になる方も多いはずです。

令和8年度(2026年度)の公表をもとに、エネルギー管理士(電気分野)と電験三種の試験を並べました。

比べる点エネルギー管理士(電気分野)電験三種
試験日(令和8年度)8月2日(日)上期はCBT方式7月16日から8月9日、筆記方式8月30日
申込み(令和8年度)4月6日から6月22日上期は5月18日から6月4日
課目・科目4課目理論・電力・機械・法規の4科目
合格基準各課目とも配点の60%各科目とも原則60点(調整あり)
科目ごとの合格課目合格の免除期間は3年科目合格は申請で最大連続5回まで免除
免状の申請合格後、実務1年以上の実務従事証明書を出して申請合格後、免状交付申請書を出して申請

試験日は年度ごとに変わります。最新は省エネルギーセンターと電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

電気分野の4課目

エネルギー管理士の電気分野で受ける4課目は、次のとおりです。

エネルギー管理士(電気分野)の4課目
  • 課目Ⅰ エネルギー総合管理及び法規
  • 課目Ⅱ 電気の基礎
  • 課目Ⅲ 電気設備及び機器
  • 課目Ⅳ 電力応用

課目Ⅱから課目Ⅳは、電験の理論・電力・機械で学ぶ内容と重なるところが多いはずです。一方で課目Ⅰは、省エネ法やエネルギーの管理の考え方を問うので、電験とは別に準備が要ります。

電験の勉強はどの課目で生きる?

電験の科目とエネルギー管理士の課目を、つながりが分かるように並べてみました。あくまで勉強の進め方の目安として見てください。

エネルギー管理士(電気分野)の課目つながりのある電験の科目準備の考え方
課目Ⅰ エネルギー総合管理及び法規直接のつながりは少ない省エネ法とエネルギー管理を新しく学ぶ
課目Ⅱ 電気の基礎理論電験の回路や電磁気の復習から入る
課目Ⅲ 電気設備及び機器電力・機械変圧器や電動機などの知識を活かす
課目Ⅳ 電力応用機械照明や電熱などの分野を見直す

『電験に受かったから全部楽勝』とはいかないのが課目Ⅰです。ここに早めに時間を割いておくと、全体の計画が立てやすくなりますよ。

くわしくは省エネルギーセンターの令和8年度の受験の手引で確かめてみてください。

エネルギー管理士と電験の違いを、もとになる法律・役割・試験の4課目と4科目・免状の取り方で左右に並べて比べた図解

「電験があれば講習だけで取れる」は本当?

公的な資格は、講習だけでは取れない

省エネルギーセンターは、第三種電気主任技術者の資格を取れば講習を受けるだけでエネルギー管理士も取れる、と勧誘する団体があると注意をうながしています。こうした団体は省エネルギーセンターや経済産業省とは関係がない、とも書いています。

『電験を持っていれば、エネルギー管理士は講習だけでいいと聞いた』という方もいるかもしれません。

結論から言うと、そうした勧誘で公的なエネルギー管理士の資格を直接取ることはできません。省エネルギーセンターの令和8年度の受験の手引に、はっきり注意として書かれています。

エネルギー管理士の免状を得る道内容
試験の道試験に合格し、実務1年以上の実務従事証明書を出して申請する
研修の道省エネルギーセンターが行うエネルギー管理研修を修了する
勧誘でうたわれる「講習だけ」公的な資格は直接取れない(省エネルギーセンターが注意)
勧誘を受けた時に確かめること
  • 講習を行うのが省エネルギーセンターかどうか
  • 案内の資料に、実在しない「近道」を約束する言葉がないか
  • 申し込む前に、省エネルギーセンターの受験の手引を読んだか

研修の道を考える時は、受ける条件や時期を省エネルギーセンターの案内で確かめておきましょう。

両方取るなら、どちらが先?

保安の仕事に直結するなら電験から

ビルや工場の保安の仕事をするなら、選任の条件になる電験が先に役立ちます。工場で省エネの管理を任される予定があるなら、エネルギー管理士を急ぐ選び方もあります。

『両方取りたいけど、どちらから始めればいい?』と迷う方は多いはずです。

ここは、今の仕事とこれからの仕事で決めるのが近道です。自分に近い行を探してみてください。

今の状況先に考えやすい資格理由
ビルメンテナンスや設備管理の仕事をしている電験三種保安の監督をする人として選任される条件になる
工場で省エネの担当になりそうエネルギー管理士エネルギー管理者の選任でこの免状が求められる
電験三種に受かったばかりエネルギー管理士(電気分野)電気の基礎の勉強が新しいうちに進めやすい
どちらも仕事でまだ使う予定がない電験三種試験の機会が年2回あり、取ったあとの使い道が広い

例えば、仕事のあと平日に1時間、土日に3時間ほど取れる工場勤務の方を考えてみましょう。電験三種の上期を受けて夏を終え、翌年のエネルギー管理士の申込みに向けて課目Ⅰの勉強を始める、という並べ方ができます。

『同じ年の夏に両方受けたい』という方は、試験日が近いことに気をつけてください。令和8年度はエネルギー管理士が8月2日、電験三種の筆記方式が8月30日でした。

電験三種のCBT方式なら、令和8年度上期は7月16日から8月9日の間で日を選べました。エネルギー管理士の試験日と近づけすぎないよう、会場の予約の時に日程を考えておくと安心です。

今の仕事とこれからの仕事から、電験三種とエネルギー管理士のどちらを先に考えるかを分ける判定の図解

両方持つとどんな仕事に役立つ?

電験は電気設備の保安、エネルギー管理士はエネルギーの使い方と、守る範囲が違います。両方持っていると、工場やビルで「安全」と「効率」の両方を相談できる人になれます。

電験を活かせる職場は電験三種でできる仕事で紹介しています。設備管理や電気主任技術者の求人を見ながら、両方の資格がどう生きるかを転職支援の担当者に聞いてみるのも一つの方法です。

電験ガイド

電験の資格を活かせる職場を探すなら

電気主任技術者の求人は、ビルの設備管理や工場、電気保安の仕事など職場によって探し方が変わります。設備管理・建設の分野に特化した転職支援サービスで、資格や経験に合う求人を相談してみましょう。

講座の選び方プライムキャリアの公式サイトを見る

求職者の利用は無料と公式サイトに記載があります。求人の内容は公式サイトで確かめてください。

技術士とあわせて考えたい方は、技術士と電験の関係も読んでみてください。

エネルギー管理士と電験でよくある相談

多いのは「講習だけで取れる?」「電験で免除はある?」「どちらが役立つ?」

知恵袋などでは、講習だけで取れるという話の真偽や、電験の免状で課目が免除されるか、どちらが仕事で役立つかといった相談がよく見られます。

よく見かける相談を3つ選んで答えていきます。

実務経験があれば講習だけで取れると聞いた

「エネルギー管理士は試験を受けなくても、講習だけで得られると知った」という相談がありました。

公的な免状を得る道は、試験に合格して申請するか、省エネルギーセンターのエネルギー管理研修を修了するかです。電験を持っていれば講習だけで取れる、という勧誘は省エネルギーセンターが注意をうながしています。

『何だかうまい話だな』と感じたら、まず省エネルギーセンターの公式の案内と見比べてみてください。

電験三種があれば電気分野の課目は免除される?

「電験三種を持っていれば、エネルギー管理士の電気の基礎は免除されるのか」という相談です。

この記事で調べた受験の手引の範囲では、電験の免状で課目が免除されるしくみは確かめられていません。免除として書かれているのは、課目合格の3年間の免除です。

ただ、電験で学んだ内容は課目Ⅱから課目Ⅳの土台になります。免除はなくても、勉強の負担は軽く感じられるはずです。

エネルギー管理士と電験三種、どちらが役立つ?

「エネルギー管理士と電験三種は、将来どちらが役立つのか」という相談もありました。

電験三種は、ビルや工場の保安の監督をする人として選任される条件になります。エネルギー管理士は、第一種エネルギー管理指定工場等でエネルギー管理者として選任される条件です。

どちらが上というより、働きたい場面で選ぶのが近道ですよ。電験を活かす転職の進め方は電験三種を活かす転職で紹介しています。

よくある質問

エネルギー管理士と電験の一番の違いは何ですか?

電験は電気設備の保安を監督する資格、エネルギー管理士はエネルギーの使い方を管理して省エネを進める資格です。もとになる法律も試験を行う機関も違います。

エネルギー管理士に受験資格はありますか?

ありません。ただ、試験に合格したあと免状を申請する時に、実務1年以上の実務従事証明書が要ります。

電験を持っていれば講習だけでエネルギー管理士になれますか?

なれません。省エネルギーセンターは、そうした勧誘をする団体は省エネルギーセンターや経済産業省と関係がないと注意をうながしています。

エネルギー管理士の電気分野の課目は何ですか?

エネルギー総合管理及び法規、電気の基礎、電気設備及び機器、電力応用の4課目です。

まとめ

この記事の要点
  • 電験は電気設備の保安の監督、エネルギー管理士はエネルギーの使い方の管理の資格
  • エネルギー管理士の電気分野は4課目で、課目Ⅱから課目Ⅳは電験と重なる内容が多い
  • 「電験があれば講習だけで取れる」という勧誘で公的な資格は取れない
  • 保安の仕事なら電験から、工場の省エネの担当ならエネルギー管理士から考える

エネルギー管理士と電験は、守る範囲の違う資格です。まずは自分の職場で、どちらの役割を任されそうかを考えてから、取る順番を決めてみてください。

電験ガイド

電験ガイド 編集部

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