電験2種の一次試験|三種との違いと科目ごとの対策

電験2種の一次試験について、三種との違いと科目ごとの対策を紹介する記事のアイキャッチ

当サイトの記事は、編集部が電気技術者試験センター・経済産業省などの公的機関と、各講座・出版社の公式サイトの公開情報を調べて独自に執筆しています。試験の日程・受験手数料・合格基準は年度ごとに変わるため、最新の情報は電気技術者試験センターの受験案内で確認してください。

電験三種に合格して、『次は電験2種の一次試験かな。でも三種と何が違うんだろう』と考えている方も多いですよね。

結論から言うと、一次試験は三種と同じ4科目のマーク式です。ただ、問題数がぐっと減って1問の重みが増え、計算は一段深くなります。

この記事を読むと、三種との違い、科目ごとの対策の順番、二種で増える公式、科目合格を使った計画の立て方が分かります。

目次

電験2種の一次試験とは?二次との関係から

先に結論

電験2種一次試験は、理論・電力・機械・法規の4科目をマークシートで答える試験です。4科目すべてに合格すると、記述式の二次試験に進めます。

電験二種(第二種電気主任技術者試験)は、一次と二次の2段階になっています。一次は多肢選択のマーク式、二次は記述式です。

二次試験を受けられるのは、同じ年度の一次試験の合格者と、前年度の一次試験合格者(一次免除の人)だけなんです。つまり、一次は二次への入場券のような位置づけです。

『三種を持っていれば一次は免除になるの?』と思う方もいるかもしれません。実は、三種の免状で二種の一次の科目が免除される仕組みはありません。

試験を行うのは、経済産業大臣の指定を受けた一般財団法人電気技術者試験センターです。受験資格の制限はなく、三種を持っていなくても受けられます。

項目電験2種の一次試験(令和8年度)
科目理論・電力・機械・法規の4科目
形式マークシートの多肢選択方式
試験日8月30日(日)の1日で4科目
時間割理論 9:15〜10:45/電力 11:25〜12:55/機械 14:15〜15:45/法規 16:25〜17:30
結果発表9月14日(月)
CBT方式なし(筆記のみ・年1回)

時間割は、三種の筆記方式とまったく同じです。1日で4科目を受けるので、朝から夕方まで集中が続くかどうかも大事なポイントになります。

令和8年度の一次はすでに終わっています。次の年度の日程は、電気技術者試験センターの第二種電気主任技術者試験のページで確かめましょう。

電験2種一次と二次の関係

一次と二次の関係を、流れで見ておきます。

一次から二次までの流れ(令和8年度)
  1. 5月18日から6月4日までに受験を申し込む
  2. 8月30日に一次試験の4科目を受ける
  3. 9月14日の結果発表で、合格か科目合格かを確かめる
  4. 一次に合格したら、11月15日の二次試験を受ける

一次の結果発表から二次まで、約2か月しかありません。一次の勉強をしながら、二次のことも少しずつ頭に入れておくと安心です。

二次の中身は電験2種の二次試験で、試験全体の流れは電験二種の試験でくわしく紹介しています。

三種と比べて何が変わる?問題数と合格基準の比較表

違いは「問題数が少ない」「1問が重い」「合格基準が年度で変わる」

同じ4科目でも、三種と二種の一次では問題の数と1問の深さがかなり違います。三種の感覚のまま臨むと、時間配分で戸惑いやすいところです。

『三種の延長で、少し難しくなるだけでしょ?』と考える方もいますよね。

ここは数字で比べてみるのが早いです。令和8年度の受験案内をもとに並べました。

比べる点電験三種電験2種の一次試験
1科目で解く問題理論・電力・機械はA問題14題・B問題3題、法規はA10題・B3題各科目A問題4題・B問題3題(理論・機械のBは選択問題を含む)
解答の形式五肢択一マークシートの多肢選択方式
試験時間理論・電力・機械90分、法規65分三種の筆記方式と同じ時間割
年の回数年2回(上期・下期)年1回
受け方CBTか筆記を選ぶ筆記のみ
科目合格の免除申請で最大連続5回(約2年半)翌年度・翌々年度の2回

同じ90分で解く問題の数が、ずいぶん少ないことが分かりますよね。そのぶん、1問の中で考える量が増えます。

電験三種と電験2種の一次試験を、問題数・形式・年の回数・科目合格の免除期間の4つの観点で2列に並べて比べた図解

90分の使い方を三種から変える

三種では、たくさんの問題を素早く解いていくリズムに慣れている方が多いはずです。二種の一次では、1問にじっくり向き合う時間の使い方に切り替えます。

例えばこんな進め方です。最初の数分で全部の問題に目を通し、手が付けやすい問題から解き始めます。

本番の時間配分で決めておくこと
  • 最初に全問を見て、解く順番を決める
  • 1問にかける時間の上限を決めて、超えたら次へ進む
  • 選択問題は、問題文を読み比べてから選ぶ
  • 最後の10分は、マークのずれと単位を見直す

選択問題は、迷っている時間がもったいないところです。過去問を解く時から、「この分野ならこちらを選ぶ」と自分の基準を作っておきましょう。

合格基準は年度ごとに決まる

二種の一次の合格基準は、年度によって表し方も数字も変わります。

年度電験2種一次の合格基準
令和7年度90点満点で各科目54点以上
令和8年度理論47点、電力・機械・法規60点(いずれも100点換算)

令和8年度は、理論だけ基準が下がっています。試験の難しさに応じて調整されることがある、ということですね。

最新の合格基準は、電気技術者試験センターの発表で確かめましょう。

合格率はどのくらい?

『一次の合格率って、三種より高いの?低いの?』と気になる方もいますよね。

年度受験者合格者合格率
令和5年度6,318人1,545人24.5%
令和6年度7,479人2,159人28.9%
令和7年度7,211人2,524人35.0%

令和7年度は、4科目合格者のほかに科目合格者が3,493人(48.4%)いました。一度に4科目を通す人ばかりではなく、科目合格を積み上げている人も多いということです。

合格率の数字だけで難しさは決まりません

二種の一次を受ける人の多くは、三種で土台を作った人です。合格率が三種より高く見えても、受ける人の顔ぶれが違うので、そのまま「易しい」とは言えないんです。

科目ごとの対策:理論・電力・機械・法規

三種の土台に「一段深い計算」を積み増す

一次の4科目は、どれも三種の内容の延長にあります。新しく学ぶ範囲を見極めて、三種の教材と二種向けの教材を使い分けると効率が上がります。

ここでは、科目ごとに三種から何が増えるのかと、対策の進め方を見ていきます。出題の頻度は年度で変わるので、「この分野が毎年出る」という決めつけはしません。

理論:数学の道具が増える

理論は、三種と同じく電気回路・電磁気・電子理論・計測が中心です。ただ、二種では計算の道具が増えます。

例えば、スイッチを入れた直後に電流がどう変わるかを求める過渡現象の問題です。三種では時定数の意味を押さえれば解ける問題が多いですが、二種では微分方程式やラプラス変換で式を立てる力が求められます。

『数学がそこまでできるか不安…』という方もいるはずです。そんな時は、三角関数・複素数・微分積分を先に復習しておくと、理論の勉強がぐっと楽になります。

電力:送配電の計算が深くなる

電力は、発電・変電・送配電・電気材料の範囲です。三種で学んだ水力・火力の基本に加えて、送電線の計算が一段深くなります。

特に、パーセントインピーダンスを使った短絡電流の計算や、電圧降下の近似式は、二次の電力・管理にもつながる内容です。一次のうちに手を動かして慣れておくと、二次の準備が進めやすくなります。

機械:機器のしくみを式で説明できるか

機械は、三種と同じく変圧器・誘導機・同期機などの電気機器や、パワーエレクトロニクス、自動制御を学ぶ科目です。

二種では、機器の等価回路を自分で描いて、そこから式を作る力が問われます。図を見て答えを選ぶだけでなく、式の流れを追えるかどうかが分かれ目です。

自動制御では、伝達関数やブロック線図の計算を学びます。二次の機械・制御は自動制御も範囲に入るので、ここも早めに手を付けておきたいところです。

法規:条文の数値と施設管理の計算

法規は、電気事業法などの法令と、電気設備技術基準・解釈、電気施設管理の範囲です。

条文の数値を覚えるだけでなく、需要率・負荷率・力率改善といった電気施設管理の計算も学びます。三種で覚えた内容を土台に、二種の範囲で増える条文を足していく進め方が合っています。

法令の数値は改正されることがあります。条文は、e-Gov法令検索や経済産業省が公開している電気設備の技術基準の解釈で確かめておきましょう。

科目ごとの対策で確かめること
  • 理論は、微分方程式とラプラス変換のどちらで過渡現象を解くか決める
  • 電力は、パーセントインピーダンスの計算を手で最後まで解く
  • 機械は、主な機器の等価回路を何も見ずに描けるか試す
  • 法規は、三種で覚えた条文と二種で増える条文を分けてノートにまとめる

三種の参考書は使い回せる?

三種で使った参考書は、二種の一次の入り口として役に立ちます。基本の考え方は同じだからです。

ただ、二種の範囲で深くなる計算や新しい公式は、三種の参考書だけでは足りないことも。三種の本で復習しながら、二種向けの教材で深い部分を足すのが現実的な使い方です。

職場で二種を目指している人同士なら、こんな会話になるかもしれません。

「三種の時の参考書、二種でも使える?」
「基本の復習ならそのまま使えるよ。深い計算だけ二種向けの本で足そう」

電験2種で新しく覚える公式の一覧

一次で覚えた公式は、そのまま二次でも使う

二種の一次で増える公式は、二次の記述でも土台になります。一次のうちに「式の意味」まで理解しておくと、二次の準備がずっと楽になります。

『電験2種の公式って、三種から何が増えるの?』という声はよく聞きますよね。

ここでは、三種の教科書ではあまり深く扱わず、二種で使う場面が増える代表的な公式を集めました。記号の意味とあわせて見てみてください。

科目公式・考え方使う場面
理論RL回路の電流 i = (E/R)(1 − e^(−t/τ))、時定数 τ = L/Rスイッチを入れた後の電流の変化
理論ラプラス変換でLを sL、Cを 1/(sC) に置きかえる過渡現象を代数の計算で解く
電力短絡電流 Is = In × 100 ÷ %Z遮断器の容量を考える計算
電力短絡容量 Ps = Pn × 100 ÷ %Z受電点の短絡容量を求める
電力電圧降下の近似式 ΔV ≒ (PR + QX) ÷ V送電線の受電端の電圧を求める
電力送電電力 P = (Vs × Vr ÷ X) × sin δ送電できる電力の大きさを考える
機械誘導機の比例推移(r2/s が同じならトルクも同じ)二次抵抗を変えた時の速度とトルク
機械同期機の出力 P = (V × E ÷ Xs) × sin δ負荷角と出力の関係
機械閉ループの伝達関数 G ÷ (1 + GH)フィードバック制御の計算

ここに並べたのは代表的なものだけです。三種の公式の総まとめは電験三種の公式まとめで紹介しているので、土台の確認に使ってみてください。

電験2種の一次試験で増える公式を、理論・電力・機械の3つの科目のカードに分けて並べた図解

例題:パーセントインピーダンスで短絡電流を求める

公式は、実際に数字を入れて使ってみると身につきます。ここでは自作の例題を1つ解いてみましょう。

例題

基準容量 10MV·A、定格電圧 6.6kV の受電点があります。受電点から電源側を見たパーセントインピーダンスが、10MV·A基準で5%の時、三相短絡電流と短絡容量を求めてみてください。

まず、基準容量での定格電流 In を求めます。三相なので、In = 10,000kV·A ÷ (√3 × 6.6kV) で、およそ874.8Aです。

次に、短絡電流は Is = In × 100 ÷ %Z なので、874.8A × 100 ÷ 5 で、およそ17,500A(17.5kA)になります。

短絡容量は Ps = Pn × 100 ÷ %Z なので、10MV·A × 100 ÷ 5 で200MV·Aです。

答えを出した後に、「%Zが小さいほど短絡電流は大きくなる」という関係を言葉でも確かめておくと、二次の記述にも生きてきます。

公式は「導き方」まで押さえる

二種の一次は、公式を当てはめるだけでは解けない問題もあります。式がどこから出てきたのかを知っていると、形を変えて出された時にも対応しやすいんです。

よくある失敗

公式を暗記カードで覚えるだけで、自分で導いたことがないまま本番を迎えることです。等価回路やベクトル図から式を作る練習を、1つの公式につき1回はしておきましょう。

科目合格を使った一次の計画の立て方

3年で4科目をそろえる枠で考える

一次の科目合格は、翌年度と翌々年度の2回、申請で免除されます。3年間で4科目に合格すれば、二次の受験資格がそろいます。

『1年で4科目は無理かも…』と不安になる方もいますよね。そう思うのは自然なことです。

一次は科目合格の制度があるので、何年かに分けて取る計画も立てられます。ただし、三種の科目合格(最大連続5回)とは期間が違うので、そこは気を付けておきましょう。

計画の型1年目2年目3年目向いている人の例
一気に取る4科目に合格二次に集中なし三種合格の直後で勉強の習慣が残っている人
2科目ずつ理論と法規電力と機械二次に集中平日に1時間、土日に3時間ほど勉強できる人
理論を先に理論だけ電力・機械・法規二次に集中数学の復習から始めたい人
電験2種の一次試験で科目合格を使い、3年の枠で4科目をそろえる計画の型を並べた図解

表の「2科目ずつ」の組み合わせは一例です。自分が得意な科目と苦手な科目で組み合わせを変えてみてください。

申込みの前に、家族や職場にこんなふうに伝えておくと、勉強の時間も作りやすくなります。

「今年は理論と法規だけ受けて、来年に残りの2科目を受けるつもり」
「じゃあ夏までは土日の午前を勉強の時間にしよう」

免除の申請を忘れない

科目合格の免除は、自動では付きません。申込みの時に、免除の申請をする必要があります。

一次の計画を立てる時のチェック
  • 科目合格の免除が使えるのは翌年度と翌々年度の2回だけと確かめる
  • 申込みの時に免除の申請をする
  • 1年目に受ける科目と、翌年に回す科目を決める
  • 一次に合格した年の二次も、受けるかどうか決めておく

一次に合格した年の二次で不合格だった場合も、翌年度は一次免除で二次から受けられます。一次の計画と二次の計画は、つなげて考えておくと安心です。

一人で進めるのが不安な時は

二種の一次は、三種よりも教材選びに迷いやすい試験です。数学の復習から二次の記述までを順番に進められる講座を使う人もいます。

独学で進めるか講座を使うかは、勉強の時間と、質問できる相手がいるかで決めるのがおすすめです。講座の比べ方は次の案内から読んでみてください。

電験ガイド

独学で進めるか、講座を使うか迷っている方へ

電験三種は4科目の範囲が広く、理論や機械の計算でつまずく人も少なくありません。通信・Web動画・DVD・通学など講座の学び方の違いと、比べる時のチェックポイント、資料請求で確かめたい点をまとめました。

講座の選び方電験三種の講座の選び方を見る

当サイト内の解説ページに移動します。試験の日程・受験手数料は電気技術者試験センターの案内で最新情報を確認してください。

電験2種一次でよくある相談

多いのは「科目の順番」「三種の教材」「配点」の悩み

知恵袋などでは、一次の勉強の進め方に関する相談が多く見られます。ここでは3つを選んで答えていきます。

難しい科目の順番と勉強時間が知りたい

「電験2種の一次試験で難しい科目の順番と、科目ごとの勉強時間を知りたい」という相談がありました。

結論から言うと、どの科目が難しく感じるかは、その人の得意分野で大きく変わります。電気回路が得意な人と、機器の仕事をしている人では、感じ方が逆になることもあるんです。

そこで、勉強時間の目安を人の数字で決めるより、まず過去問を1年分解いてみるのがおすすめです。手が止まった科目から時間を多めに配分すると、自分に合った計画になります。

三種の参考書で電力と機械は十分?

「電力と機械は三種で使っていた参考書で十分だと聞いたが本当か」という相談もありました。

三種の参考書は、基本の復習には十分役に立ちます。ただ、二種の範囲で深くなる計算は載っていないことがあるので、二種の過去問を解いてみて足りない部分を確かめるのが確実です。

例えば、パーセントインピーダンスや電圧降下の問題で手が止まるなら、その分野だけ二種向けの教材で補う、という使い方ができます。

大問ごとの配点はどうなっている?

「一次試験で、1つの大問の中の配点がどうなっているか知りたい」という相談もありました。

配点は、試験センターが公表する問題や受験案内で確かめるのが確実です。合格基準も年度で変わるので、最新の発表を見ておきましょう。

過去問の入手方法は電験2種の過去問で紹介しています。

よくある質問

電験2種の一次試験はどんな形式ですか?

理論・電力・機械・法規の4科目を、マークシートの多肢選択方式で答えます。各科目でA問題4題・B問題3題を解き、理論と機械のB問題には選択問題が含まれます。

電験2種1次試験の科目合格は何年使えますか?

一部の科目に合格すると、翌年度と翌々年度の2回、申請でその科目が免除されます。三種の科目合格とは期間が違うので注意しましょう。

三種を持っていると一次の科目は免除されますか?

三種の免状で二種の一次の科目が免除される仕組みはありません。三種を持っていても、一次は4科目を受ける必要があります。

電験2種一次の試験日はいつですか?

令和8年度(2026年度)は8月30日(日)でした。年1回の実施なので、次の年度の日程は電気技術者試験センターの案内で確かめましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 電験2種の一次試験は、4科目をマークシートで答える試験で、全科目合格で二次に進める
  • 三種より問題数が少なく、1問の中で考える量が多い
  • 理論は微分方程式やラプラス変換、電力は%インピーダンスなど、計算の道具が増える
  • 一次で覚えた公式は、二次の記述でも土台になる
  • 科目合格の免除は翌年度・翌々年度の2回なので、3年で4科目をそろえる計画を立てる
電験ガイド

電験ガイド 編集部

電験(電気主任技術者試験)の一種・二種・三種について、試験の仕組み・科目別の要点・勉強の進め方・講座の選び方・資格を活かす仕事までを、受験する人の目線で整理している情報サイトです。 公式サイト

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